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注)問題文中、次の法令名は略称で記載されています。
●エネルギーの使用の合理化に関する法律→省エネ法
●労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法
律→労働者派遣法
●下請代金支払遅延等防止法→下請法
問題1 従業員Aは、物流センター(倉庫)で、製品の保管管理を担当している。 最近、自社の工場から入荷す
る、ある製品の梱包ダンボールが製造原価の削減により強度が弱くなり、今までと同様の積み上げ段数で
保管することができなくなってしまった。
次の記述のうち、従業員Aのとる対応として、最も適切なものを選びなさい。
ア.製造原価の削減は大切なことなので、積み上げ保管はやめて広い面積に平積みにする。
イ.物流センターでは今までどおりの段数で積み上げ保管し、つぶれてしまった製品は生産部門の責任と
して工場に返品する。
ウ.積み上げ保管ができなくなることによる保管費用の増加を計算し、生産部門、製品開発部門と協議
する。
エ.物流センターで解決すべき問題なので、従来のダンボールを物流センターで購入し、工場から入荷し
たものを詰め替える。
問題2 物流とロジスティクスに関する次の記述のうち、誤っているものを選びなさい。
ア.物流という言葉は、かつて流通( Distribution) やマーケティングの分野で、取引流通(商取引
流通)と、商品の供給すなわち物理的な流通機能を分けて考えようと、「物的流通( Physical
Distribution)」 という考え方をとったことから発生した言葉である。
イ.我が国では、物流を構成する要素としての「輸送」や「保管・荷役」といった機能も、物的流通の
普及と同時に、初めて技術開発や効率化の対象になった。
ウ.道路の建設、港湾や空港の建設とそれに伴う法制度など、産業活動全般の振興を目的とした社会的施
設・制度の敷設や充実という国家的課題については、「運輸」 や「物資流動」として、行政が取り組ん
でいる。
エ.ロジスティクスとは、前線の戦術展開に合わせて、タイムリーに武器や弾薬、食料、水などを供給し
なければならない軍事戦略の言葉を、企業経営に用いたものである。
平成19 年度後期ビジネス・キャリア検定試験の「ロジスティ
クス管理3 級」の試験問題を中央職業能率開発協会(JAVADA)
の許可を得て以下に転載する。 問題は全部で50 問。 配点は1
問2点。 回答は選択式で電卓の使用が許可されている。 試験時
間は120 分。 60 点以上が合格となる。 ストップウォッチを横
に置いて、いざ挑戦。 (回答は本号97 頁に掲載)
「ロジスティクス管理3級」に挑戦
資 料
特集
31 DECEMBER 2008
問題3 ロジスティクスと関連部門に関する次の記述のうち、不適切なものを選びなさい。
ア.生産工場の立地や生産量の計画、在庫の管理機能などは、ロジスティクスの観点からの計画の策定や
推進が必要であり、ロジスティクス部門が統括することが望ましい。
イ.製品の梱包サイズや重量などは物流コストに影響するため、製品開発においてはロジスティクスの観
点からの検証を行うことが望ましい。
ウ.ロジスティクス部門は、顧客への納入条件や注文の締切りなど販売部門(営業部門)との連携は重要
な機能である。 特に、顧客への物流サービスの向上は物流コストの負担増を伴うことが多く、販売部
門(営業部門)との十分な調整が必要である。
エ.製造業におけるロジスティクス活動では、生産部門や販売部門との連携や調整が重要であるが、対象
とするのは完成品のみであり、部品や資材の調達は対象外としてよい。
問題4 ロジスティクスに関する次の記述のうち、誤っているものを選びなさい。
ア.市場の変動にタイムリーに対応する効果的な商品供給を行うためには、関連する組織や企業がそれ
ぞれ自らの思惑で勝手に活動していては必ずしも全体の最適な活動にはならない。 サプライチェー
ン全体で最適になるよう組織や企業が連携して情報の共有化を図り、市場の変動に対応した商品
供給を行うという考え方が誕生した。 それをサプライチェーンマネジメント( SCM:Supply Chain
Management) という。
イ.循環型社会の形成に向けて、ロジスティクスにおいても、商品の返品や回収、廃棄といういわゆるリ
バースロジスティクスということも重要な課題となっている。
ウ.ロジスティクスと物流は、同じことを意味する。 ロジスティクスという用語の真意は物流を現代的に
表現しようとするもので、このことによって、少しでも物流という分野が抱えている3K、すなわち、
きつい、汚い、暗いというイメージを払拭し、社会的地位を上げることである。
エ.企業において物流やロジスティクスを担当する部門は、社内の多くの関連部門だけでなく、必要によ
って取引先や顧客企業、あるいは業界の競合企業とも協議や調整が必要となる。 さらには、国や地
方行政機関、大学や研究機関、関連団体などとも交流を持つことが望ましい。
問題5 C社では、今まで工場の組織の一部として物流を実行する機能(オペレーション機能)を持った『物流
課』が、隣接する倉庫を活用して全社の物流を担当していた。
今度、これを廃止して、実行機能である出荷業務や保管、輸送の業務をすべて物流事業者に委託をし、
新たに本社にロジスティクスの観点で全社の管理をする「ロジスティクス部」の設置を検討することになっ
た。
以下は、そのロジスティクス部の新設を検討する会議での意見である。
次の記述のうち、最も適切なものを選びなさい。
ア.ロジスティクスの機能は、資材調達や生産、さらに営業活動など一連の流れを効率的に推進するよう
管理することが必要だから、改めて購買部、工場、営業部との関連も含めて、ロジスティクス部の業
務を設計すべきだろう。
イ.物流の実行業務をすべて物流業者に任せるのだから、新たにロジスティクス部という組織は要らない
のではないか。 物流業者からの費用請求のチェックを財務部で行えば十分である。 あとは、工場や営
業に任せておけば良いのではないか。
ウ.ロジスティクス部の設置は必要だ。 物流業者の業務遂行に無駄がないかどうかを常に見ている必要が
ある。 ただし、生産や営業とは関連がないと思う。
エ.ロジスティクスというのは軍事戦略だと聞いたことがある。 平和時の企業経営に、そんな組織が必要
なのか。 余分な要員の増加になるだけではないか。
問題6 物流サービスとコストに関する次の記述のうち、最も適切なものを選びなさい。
ア.物流サービスとは有償のサービスであり、競合他社と差別化するために最もコストを掛けるべき顧客
サービスである。
イ.物流サービスには様々なサービス内容があるが、顧客の要望とコストとのバランスを考慮して最適なサ
ービスレベルを決定することが必要である。
DECEMBER 2008 32
ウ.物流サービスにはコストが掛かるため、できるだけサービスレベルは落としていく必要がある。
エ.物流サービスは、掛けたコストに比例して顧客満足度が上がっていく。
問題7 物流サービスに関する次の記述のうち、不適切なものを選びなさい。
ア.物流サービス水準とは、納品にかかわる顧客との取引条件のことを指す。
イ.物流サービスとは、納品先での付帯作業のことを指す。
ウ.顧客によってサービス要求が異なれば、それに掛かるコストも異なる。
エ.物流サービスの代表的なものに、納品時間への対応がある。
問題8 物流サービス管理に関する次の記述のうち、不適切なものを選びなさい。
ア.物流サービスを向上させていくためには、発生するコストとそれに対する利益がどれだけ増加するの
かを分析する必要がある。
イ.取り扱う物量が多くなるほど、その単位当たりの物流サービスに掛かるコストは低減していく傾向が
ある。 逆に取り扱う物量が少ないほど、物流サービスに掛かるコストは高くなる傾向がある。
ウ.競合他社の提供している物流サービス内容が自社のサービス内容と異なっていても、特に問題視しな
くてよい。
エ.物流サービスを管理するためには、物流サービスの水準を決定し、測定できる状態にする必要がある。
問題9 物流サービスの評価とフォローアップに関する次の記述のうち、適切なものを選びなさい。
ア.物流サービスの評価は、顧客のニーズに臨機応変に対応した回数により決定される。
イ.顧客と合意したサービスの中で、水準に満たないサービス内容については、サービス廃止または停止
を検討する必要がある。
ウ.物流サービスの評価とフォローアップとは、実態が計画どおりに遂行されているかを定性的に検証し、
今後の対策を検討することである。
エ.物流サービスを評価し、フォローアップするためには、物流サービスの水準および物流品質水準が設
定されていることが前提となる。
問題10 物流における品質管理の重要性や物流品質向上への取組みに関する次の記述のうち、不適切なものを
選びなさい。
ア.物流品質は顧客へ提供する物流サービスの一部であり、顧客満足度を大きく左右する。 提供する物流
サービスの品質が保たれているかどうかを、できるだけ数値データで客観的に把握することが大切で
ある。
イ.物流品質として管理すべき項目には、納期遵守率、納品率、貨物事故、ドライバー印象、環境対応
など、広範な内容が含まれる。 しかし、作業時に発生する人身事故や自動車事故などは、労働災害
として別途安全管理マネジメントで把握・報告されているので、物流品質には含まなくてもよい。
ウ.数値データで示すことが難しい物流品質、例えばドライバーに対する顧客の印象も、顧客へのアンケ
ート調査やヒアリング時に、5段階評価などで点数化すれば数値データでの評価が可能となる。
エ.物流品質管理で重要なことは、品質の実態を把握し、問題の発生原因を洗い出し、これらの原因が
発生しないように、暫定対策と恒久対策を予防的に実施するというPDCA改善サイクルを回すことで
ある。 改善サイクルが正しく機能していると、問題発生の原因に対する予防措置が講じられ、結果と
して、問題そのものが発生しなくなる。
問題11 A社のある1カ月の物流活動(受注及び出荷)実績は、以下のとおりであった。 次のうち、物流品質指
標である納期遵守率と納品率の実績の組合せとして、正しいものを選びなさい。
なお、納期遵守率(%)とは、総出荷件数に対する納期を遵守した出荷実績件数の比率とする。 また、
納品率(%)とは、受注ピース数に対する出荷実績ピース数の比率とする。 いずれも、小数点第2位を四
捨五入して算出すること。
特集
33 DECEMBER 2008
ア.納期遵守率99.4 % 納品率99.9 %
イ.納期遵守率99.3 % 納品率99.4 %
ウ.納期遵守率99.9 % 納品率99.3 %
エ.納期遵守率99.4 % 納品率99.3 %
問題12 物流品質の向上(原因への対策実施)に関する次の記述のうち、不適切なものを選びなさい。
ア.物流品質の問題は、企業全体の様々なプロセスの方法に起因して発生する。 このような問題を本質的
に解決するには、プロセスごとに、業務に精通したベテラン参加の検査活動を中心に行うと効果的で
あり、コストも掛からない。
イ.物流品質を向上するには、社長から現場作業者や営業パーソンなど全従業員に物流品質の大切さを認
識してもらい、発生原因に対する自主的な改善活動へのモチベーションを高めることが効果的である。
ウ.物流品質の向上のための情報収集や対策を、コンピュータで実施できている企業は少ない。 物流品質
に関する問題は、手書きの管理表を作り、発生原因別にどれぐらいの件数が発生しているかを調べ、
その原因を解決するというような粘り強いアクションを取ることにより解決される。
エ.貨物品質は、どこで、どのような状態で、何が劣化・汚損・濡損・破損したのかの実態を常に記録
することにより、改善方策が見えてくる。 全員の協力による原因別の対策をとることが重要である。
問題13 物流品質の向上には、問題点の現状分析と原因追求が必要である。 そのために有効なデータ分析ツール
(手法)として、パレート図がある。
次の記述のうち、パレート図の活用として、適切なものを選びなさい。
ア.物流センターにおけるピッキングミスのデータを毎日集計している。 このデータから日々の作業が安定
していたかどうかを把握し、万が一異常(通常日ではないようなこと)が発生したときには早くそ
の発生を知り、原因を調べて対策をとりたい。 毎日の出荷物量とピッキングミス件数に基づく(毎日
の)発生率(%)を算出し、折れ線グラフで記入した資料を作りたい。
イ.納品クレームの内容と発生件数を集計したデータがある。 このデータを基に、問題解決や改善を進め
るために、どの内容が重要かを視覚的に判断したいので、クレーム件数の多い順に棒グラフを書き、
累計構成比率(%)を折れ線グラフで記入した資料を作りたい。
ウ.物流センターのピッキングミスを撲滅したい。 ピッキングミスには多様な原因が考えられるので、ミス
発生に影響している原因を探るために、グループ・ディスカッションを通じて、様々な意見を聴取し
た。 これら意見を整理し、原因と結果の因果関係を表す資料を作成したい。
エ.納品のクレーム内容と発生件数および倉庫内での流通加工作業時間帯を集計したデータがある。 この
データを基に、時間帯別の作業ミスの発生頻度や業務契約内容との関係などを知りたいので、作業開
始から作業終了時点までの作業時間帯別のクレーム発生件数を棒グラフ表示した資料を作成したい。
問題14 次の事例を読み、設問に答えなさい。
《事例》
消費者向けの情報機器を扱う卸売業A社では納品率が低く、営業部門からはその改善を強く要求されて
いる。 A社の販売商品は、ほかの情報機器と同様にライフサイクルが短い。 また総量発注品、つまりA社が
3カ月間分の発注を総量で行い、発注した数量にあわせ、メーカーが生産、デイリーの納品依頼に基づいて
A社にその数量を納品するというものである。 小売店からはデイリーで注文があり、翌々日に届けるという
納品条件となっている。 ピーク月の出荷は平常月の2倍、ピーク日の出荷は日平均の2倍と、さして出荷の
波動が大きいわけでもない。 A社は現在、出荷の変動に備えるために、在庫を4.2カ月分保有している。
受注及び出荷(納品)の内訳 当月実績データ
総受注件数 24,767件
受注実績 アイテム(明細)数 202,074アイテム
ピース(PCS)数 1,333,763ピース
総出荷件数 24,767件
内 納期遅れ出荷件数 149件
出荷(納品)実績 アイテム(明細)数 202,069アイテム
ピース(PCS) 数 1,324,700ピース
梱包箱数 46,528箱
DECEMBER 2008 34
【設問】A社が納品率を向上するために挙げた次の施策のうち、不適切なものを選びなさい。
ア.作業方法を見直し、ピッキングミス、検品ミスなどを削減する。
イ.受注、発注のオンライン化(EOS 化、Web注文など)を進める。
ウ.メーカー(調達先)の生産システムにまで踏み込み、発注─納品リードタイムを短縮する。
エ.営業の販売予測精度を改善し、仕入れは営業の販売計画を忠実に守って行うこととする。
問題15 総合物流施策大綱(2005─2009) に関する次の記述のうち、不適切なものを選びなさい。
ア.政府は経済情勢の変化を踏まえ、グローバル化の進展に対応した国際競争力の更なる強化を主眼とし
て、総合物流施策大綱を策定した。
イ.政府は、総合物流施策大綱の目標として、スピーディーでシームレスな物流やディマンドサイドを重視
した効率的物流システムなどの実現を掲げている。
ウ.政府は、総合物流施策大綱に掲げられた貨物交通マネジメントを推進するために、卸売市場の機能高
度化や空コンテナの情報提供システムの構築を進めている。
エ.政府は、総合物流施策大綱および関連政策の着実な実現を図るため、年間100項目以上の政策指標を
フォローアップし、その結果を公表することとしている。
問題16 改正省エネ法及びその関連法に関する次の記述のうち、正しいものを選びなさい。
ア.我が社は自らの事業活動に伴う貨物輸送をすべて外部に委託しており、その総量は2,000万トンキロで
ある。 この場合、我が社は特定荷主として、改正省エネ法およびその関連法に基づき、省エネ計画の
策定などを行う必要がある。
イ.我が社は荷主からの委託および自社内で必要な貨物輸送のために、貨物自動車を200台有している。
この場合、我が社は特定輸送事業者として、改正省エネ法およびその関連法に基づき、省エネ計画の
策定などを行う必要がある。
ウ.我が社は、改正省エネ法およびその関連法によって、特定荷主に指定されている。 この場合、省エネ
への取組の推進体制の整備を通じて、エネルギー消費量を年率1 %低減させることを目標として行動
することが定められている。
エ.我が社は自らの事業活動に伴う貨物輸送をすべて自社で行っており、その総量は3,000万トンキロであ
る。 この場合、我が社は特定荷主に当てはまらないため、改正省エネ法およびその関連法に基づき、
省エネ計画の策定などを行う必要はない。
問題17 企業が行う労務管理に関する次の記述のうち、正しいものを選びなさい。
ア.労働基準法では、賃金や就業時間、解雇など労働条件の最低基準を定めている。 なお、労働条件の
うち、労働災害に起因する休業補償については、労働安全衛生法において規定されている。
イ.パートタイマーおよびアルバイトを雇用する事業所の場合、当該人数が5名を超えない限り、労働基準
法を適用する必要はない。
ウ.労働者派遣法は、人材派遣会社が労働者を派遣するに当たり、従事する業務の内容や就業場所、休
憩時間などに関する労働者派遣契約を、派遣先企業との間に結ぶことを定めている。
エ.平成16年3月の改正労働者派遣法施行に伴い、派遣可能職種が特定の一部を除き原則自由化されると
ともに、派遣可能期間が、一部の業務を除き最長5年まで延長された。
問題18 平成16年の改正下請法施行によって、親事業者には、「4つの義務」と「11の禁止事項」が定められた。
このうち「4つの義務」に関する次の記述のうち、正しいものを選びなさい。
ア.親事業者が下請事業者に対し役務提供の委託を発注する場合、親事業者は下請事業者から役務が提
供される期日または期間など、具体的記載事項をすべて記載している注文書面(3条書面)を、直ち
に交付しなければならない。
イ.親事業者が下請事業者に対し役務提供の委託を発注する場合、親事業者は下請事業者との合意の下
に、下請代金の支払期日を、下請事業者が役務の提供をした日から起算して90日以内のできる限り
短い期間内で定めなければならない。
特集
35 DECEMBER 2008
ウ.親事業者が下請事業者に対し役務提供の委託を発注した場合、親事業者は下請事業者から役務が提
供された期日または期間など、当該委託内容に関する具体的事項を記載した書類(5条書類)を作成
し、3年間保存しなければならない。
エ.下請事業者が親事業者に対し役務提供を行ったにもかかわらず、親事業者による支払が遅延した場
合、親事業者は、下請事業者による役務提供日から実際に支払をする日までの期間について、当該
未払金額に年率14.6 % を乗じた額の遅延利息を支払わなければならない。
問題19 環境問題と物流活動に関する次の記述のうち、適切なものを選びなさい。
ア.我が社が製造、販売している商品Aは、現在、重量ベースで10 %を鉄道で輸送している。 地球環境問
題への積極的な取組を表示するマークであるエコレールマークを取得するには、鉄道の利用を最低で
も10 %増加させなければならない。
イ.内航海運は、トラックに比べて極めて環境負荷の小さい輸送手段であり、環境への配慮を第一に考え
るならば、あらゆる状況において、企業はトラック輸送から内航海運輸送へのシフトを行うべきであ
る。
ウ.集荷・配送は、幹線輸送に比べて1回当たりの距離が短い。 そのため、環境負荷の小さいトラックを
導入する際の高コストを考慮するならば、その導入の必要性は低い。
エ.企業は、輸送費や保管費、包装費など、自社が把握する物流コストだけでなく、環境など社会に与
える影響も含めたコストが可能な限り小さくなるように、物流システムを構築すべきである。
問題20 在庫管理を行う上で、その目的を明確にしておくことは重要である。 次の在庫管理の目的とその対応
のうち、在庫量の適性化という観点で不適切なものを選びなさい。
ア.Aコンビニでは、常に品切れを起こさぬよう、店頭の商品をこまめに補充している。
イ.B卸では仕入原価を下げるため、メーカーからできるだけ大きなロットで仕入れを行うようにしてい
る。
ウ.メーカーC社では、商品の品質劣化や陳腐化、投下資金の金利負担、保管コストなど、在庫を保有す
ることによって生じる様々なリスクを考慮して、在庫をなるべく少なくするよう生産計画を組んでい
る。
エ.インターネット書店D社では、注文への即応を考慮しつつ、品切れや過剰在庫を生じさせない在庫水
準を維持するようコンピュータで在庫管理を行っている。
問題21 在庫管理の手法に関する次の記述のうち、正しいものを選びなさい。
ア.入庫に当たっては、品目、数量、品質のチェックを厳密に行うべきであるが、納期については、ばら
つくのが通常であり、幅をもたせてチェックすべきである。
イ.在庫は現物ではなく、常に「当残=前残+入庫量−出庫量」の式で算出した数量が正しいものとし
て管理しなくてはならない。
ウ.情報システム上の在庫と現物の差異を減らすには、入庫時の「ところ番地(ロケーション)」を正確に
記録し、出庫時にその「ところ番地」から正確にピッキングすることが重要となる。
エ.在庫管理システムは、倉庫における入庫、保管、出庫といった実務を支援するために最適である。
問題22 適正在庫量を決定するに当たっては様々な要素を検討する必要があるが、次の記述のうち、最も適切な
ものを選びなさい。
ア.アパレルなど季節変動が大きく売れ行きの予想が難しい商品には、不定期不定量補充方式が適してい
る。
イ.年間を通してみると、特売やキャンペーンなどの意図的な販売がない限り、シャンプーはビールより
一般的に標準偏差が大きい。
ウ.海外から海上コンテナ単位で仕入れを行う場合は、不定期不定量補充方式が適している。
エ.在庫補充のリードタイムは、輸送のリードタイムによって決まる。
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問題23 安全在庫に関する次の記述のうち、不適切なものを選びなさい。
ア.安全在庫は、出荷量の変動が大きいほど多く必要になる。
イ.安全在庫量は、在庫補充リードタイムには左右されない。
ウ.安全係数が大きくなれば、品切れ率は小さくなる。
エ.安全係数は、一般的に2とすることが多い。
問題24 在庫分析手法に関する次の記述のうち、適切なものを選びなさい。
ア. 倉庫内の商品を出荷頻度に応じたレイアウトに変更するために、流動数曲線グラフを作成した。
イ.長期滞留在庫を廃棄処分するために、商品のABC分析を行った。
ウ.商品が入庫してから出庫するまでの滞留時聞を調べ、ランク分けする在庫鮮度分析を行った。
エ. 適正在庫量を算出するために、出荷頻度分析を行った。
問題25 棚卸しに関する次の記述のうち、最も不適切なものを選びなさい。
ア.実地棚卸しの結果、情報システム上の在庫量と現物に差異が生じている場合は、原則として現物に合
わせて情報システム上の在庫量を修正する。
イ.部品は在庫品目数が著しく多くなるので、循環棚卸しや動きがあった品目だけ棚卸しする方法が効率
的である。
ウ.入出庫時の単純な人的ミスをなくすためには、バーコードやRFID(Radio Frequency Identification)
の活用が効果的である。
エ.全品目のデータ精度を高めるために、期末・月末だけでなくできる限り頻繁に一斉棚卸しを行うべき
である。
問題26 次の事例を読み、設問に答えなさい。
《事例》
日用雑貨卸A社は、在庫商品の欠品に悩まされている。 欠品に対する顧客からのクレームも多く、一部
の顧客では取引を他社に切り替えるところもでてきている。 一方では倉庫の中にまったく売れなくなった
不動在庫も多く存在しており、保管コストや荷役コストが増大し、経営を圧迫している。 A社の経営者は、
こうした問題の大きな原因に在庫管理の不備があると考え、実態調査及び改善活動に乗り出した。
【設問】次の記述のうち、A社が適正な在庫管理に取り組む上で最も不適切なものを選びなさい。
ア.品目別に過去の出荷実績を収集し、在庫のABC分析を行う。
イ.品目別に過去の出荷実績を収集し、出荷量の平均値とばらつき(標準偏差)を算出する。
ウ.商品別に出荷特性に応じた在庫補充方式を取り入れる。
エ.欠品を回避するために、安全在庫を極力増やす。
問題27 ハブ&スポーク・システムに関する次の記述のうち、誤っているものを選びなさい。
ア.不採算路線の撤廃を行わねばならず、地方路線の便数が減少する。
イ.一度ハブに貨物を集約するため、一経路当たりの積載効率が向上する。
ウ.貨物を集約して輸送するため、CO2の排出など、環境負荷が低減する可能性が高い。
エ.ハブに貨物を集中させるため、荷役業務の集約が可能となり、作業人員を軽減できる。
問題28 物流センターにおける業務の効率化とその手法に関する次の記述のうち、誤っているものを選びなさい。
ア.物流センターにおける作業効率化には、出荷指示データの分析が有効である。
イ.物流センターにおける作業効率化には、一般に移動距雛の短縮が有効である。
ウ.出荷作業の効率化には、出荷頻度を分析することが有効である。
エ.輸配送業務の効率化には、品目別のピッキング回数を分析するのが有効である。
特集
37 DECEMBER 2008
問題29 物流拠点計画に関する次の記述のうち、誤っているものを選びなさい。
ア.在庫分散型であってもその調達拠点と配送面でのサービスレベルを事前に設定しておく。
イ.在庫集約型の場合であっても、どこかに通過型のデポを設ける場合がある。
ウ.在庫を集約すると、配送リードタイムのサービスレベルが低下しやすい。
エ.在庫を分散させると、拠点運営に関するコストも分散するため、その低減に結びつく場合が多い。
問題30 物流業務を外部企業へ委託する際の委託先選定及び管理に関する次の記述のうち、適切なものを選び
なさい。
ア.日本における各物流会社の実力は近似しているので、コストで比較し選定する。 その後は請求を確認
すればよい。
イ.見積りの前提条件は可能な限り前提条件を簡略化し、提出フォーマットは各物流会社に任せる方がよ
い。
ウ.作業者への指示は業務委託会社に任せるべきであって、自社が関与すべきではない。
エ.荷役作業における人件費は、一般的に物流コストの中で最も大きな比率を占めると言われる。 人件費
の安い物流会社がコスト面で最も有利になる。
問題31 共同配送に関する次の記述のうち、正しいものを選びなさい。
ア.荷主主導で共同配送を進める場合、総論で賛成を得ても各論では反対意見が出やすい。 そのため、
意見を調整する強いイニシアティブを取ることができるリーダーが必要である。
イ.多頻度小口納品は車両も小さく、在庫も最低限に抑えることができる。 このため、共同配送よりコ
スト面や環境負荷面でも有利に働き、なおかつJIT( Just In Time) への対応面でも望ましい。
ウ.共同配送は、保管場所を集約しなければその効果は出ない。
エ.ミルクラン方式は共同配送の一つの事例と位置付けることができるが、車両の規模が大きくなりがち
で環境負荷は大きくなる。
問題32 製造業A社は、自社物件の倉庫にて自社運営で行っていた業務を、3PL事業者へアウトソースすること
とした。 次の記述のうち、それに伴い期待できる効果として、不適切なものを選びなさい。
ア.自社の物流管理業務が必要なくなり、物流部門を解散し、その人員を営業・開発部門に集中するこ
とができる。
イ.3PL事業者に任せるため、従来の固定人件費を変動費化することができる。
ウ.自社の資産である現在の拠点を売却し、新たな資金を作ることができる。
エ.これまで一致しないことが多かったシステム上の在庫と実在庫の差異を明確にすることができ、在庫
管理の精度が向上する。
問題33 製造業A社は、これまで100 %国内生産であった最終製品の生産処点のすべてを海外へ移転することと
なった。 それに伴う物流ネットワーク再編に関する次の記述のうち、不適切なものを選びなさい。
ア.海外の物流処点を備蓄型とし、国内の物流拠点を仕分け・配送機能を重視したものとした。
イ.国内の物流拠点は、基本的に在庫を置かないことを前提に、仕分け機能を重視して自動仕分け機を
導入した。
ウ.これまで製品のみの取扱いだけであった国内の物流拠点に、海外への部品、半製品輸出の機能を持
たせた。
エ.商品の輸出・輸入を考慮し、国内の物流拠点を港・空港からの配送を重視した立地に移転させ、そ
の条件に合致しない従来の物流拠点は廃止した。
問題34 トラック運賃・料金と営業倉庫料金に関する次の記述のうち、不適切なものを選びなさい。
ア.トラック運賃・料金は、規制緩和の流れの中で、認可制から届出制に移行し、さらに事前届出制か
ら事後届出制となった。
DECEMBER 2008 38
イ.トラック運送事業者の営業所における貨物の保管料は、当該営業所が所在する級地における営業倉庫
の保管料金が適用される。
ウ.貸切トラックの時間制運賃における「時間」とは、トラックが積込み場所に到着してから、貨物の運
送が終わって車庫に戻るまでの時間である。
エ.三辺の和が1mで20kgのダンボール入り貨物5個を東京から大阪まで送る場合、積合せ運賃の方が、宅
配便運賃より安い。
問題35 物流コストを把握する切り口に関する次の記述のうち、不適切なものを選びなさい。
ア.調達、社内、販売、返品、回収のそれぞれについて幾ら掛かっているかを見るのが、領域別の切り
口である。
イ.輸送、保管、包装など物流を構成する要素ごとに、それぞれ幾ら掛かっているかを見るのが、機能
別の切り口である。
ウ.輸送事業者・倉庫事業者など社外に支払うものと、物流子会社など自家物流にかかるものに分けて
見るのが、主体別の切り口である。
エ.車両・施設・機器などの固定費部分と、パート人件費・燃料費などの変動費部分に分けて見るのが、
変固別の切り口である。
問題36 物流コストのトレードオフに関する次の記述のうち、最も適切なものを選びなさい。
ア.高度な物流サービスを受けようとすると、それに応じて物流コストが上昇することは避けられない。
イ.荷主側から見た物流コストは、物流事業者側から見れば運賃・料金という売上高であり、両者はトレ
ードオフの関係にある。
ウ.配送拠点を増やすと、納品先までの配送距離が短くなって配送コストは減るが、配送拠点における在
庫が増え保管コストが増加する。
エ.納品日時が指定されているときには、受注締切り時刻を早めれば、出荷までに時間的余裕が生まれ
て物流コストが下がる。
問題37 物流コストの算定方式に関する次の記述のうち、正しいものを選びなさい。
ア.物流コストの算定方式はトンキロ法・燃費法など法令で定められており、年間3,000万トンキロ以上の
貨物輸送を行う荷主は、毎年実績を報告する義務がある。
イ.中小企業庁が定めた物流コスト算定方式は、中小企業にも物流コストを算定できるよう簡略化された
管理会計といえる。
ウ.財務省が定めた物流コスト算定方式は、損益計算書上の勘定科目に従う方式のため、多くの企業で導
入されている。
エ.会社法が施行されたことにより、各企業の物流コスト算定方式が法的にも統一されるので、物流コス
トの企業間比較が容易になる。
問題38 物流ABC(活動基準原価計算)に関する次の記述のうち、不適切なものを選びなさい。
ア.物流ABCとは、商品アイテムごとに出荷頻度と在庫量を調べて、適切な在庫管理を行う手法である。
イ.物流ABCの導入に当たっては、まず、物流コスト把握の最小単位となるアクティビティを、導入の目
的に応じてできるだけ細分化することが必要である。
ウ.物流ABCによる算出方法でも、人件費・物件費などの投入要素別による算出方法でも、算定された
物流コストは等しくなるのが原則である。
エ.物流ABCを導入すれば、商品別・顧客別・セールス担当者別などの物流コスト差をはっきりさせるこ
とができる。
問題39 次の事例を読み、設問に答えなさい。
《事例》
飲料メーカーA社では、物流コスト低減を目的に物流拠点の再配置の検討を開始した。 飲料は物流コス
ト負担力がなく、また季節による売上げの変動が激しい製品・商品であるため、飲料メーカーでは古くか
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特集
ら物流コスト低減に取り組んできた。 しかしながら、多品種化に伴う在庫と欠品の増加、倉庫の狭隘化に
直面しており、在庫削減が急務となっている。 A社でもこの問題を抱えており、現状の拠点配置や他社事
例などを基に、複数の拠点再配置案を作成した。
【設問】A社における物流拠点再配置案の選定のための投資対効果分析に関する次の記述のうち、不適切
なものを選びなさい。
ア.投資については、輸送・保管コストの変化を、年間平均物量を用いて試算する。
イ.効果については、物流サービスレベル向上に伴う売上げ・利益増を試算する。
ウ.在庫量変化のシミュレーションを行い、それに基づいて保管コストと在庫資本コスト、在庫リスクコス
トを試算する。
エ.配送コストについては、配送量と配送距離のシミュレーションに基づいて試算する。
問題40 B社では東京近郊の工場から福岡のDC( Distribution Center) までの輸送について、トラック輸送から
鉄道コンテナによる輸送への切り替えを検討している。 これに伴う費用対効果分析に関する次の記述のう
ち、不適切なものを選びなさい。
ア.現状の輸送コストについては、実額をベースとして変更案との条件をそろえて計算する。
イ.工場から発駅、着駅からDCまでの運賃は、貸切トラックの距離制運賃を用いて試算する。
ウ.鉄道輸送へのモーダルシフトに伴う在庫増加と、それによるコスト増についても、費用対効果計算の
試算の対象とする。
エ.鉄道輸送へのモーダルシフトに伴う温暖化ガス削減効果は、費用対効果計算には含めない。
問題41 物流情報システムは物流の実態・特徴に沿って構築されるものであるが、次の記述のうち、不適切なも
のを選びなさい。
ア.物流情報システムは、物の状況・動態を把握・指示・実行するシステムである。
イ.物流も環境問題との調和が重要となっており、物流情報システムでも環境計画への影響を評価するこ
とが必要である。
ウ.物流は、生産、販売とあいまって企業全体を支える活動であるため、物流の効率化こそ物流情報シ
ステムを構築し、活用していく最も大きな目的である。
エ.入出荷や在庫の個数・数量を正確に把握することが物流情報システムの大事な役割である。
問題42 物流情報システムの構成に関する次の記述のうち、不適切なものを選びなさい。
ア.物流情報システムは、戦略・計画レベル、管理レベル及び業務処理レベルの3階層から見ると全体像を
把握しやすい。
イ.物流データベースは物流情報システムの中核であり、需要予測から得意先への供給プロセスの在庫管
理などで重要な役割を果たす。
ウ.戦略・計画レベルの物流情報システムは、業務処理レベルのデータを基に拠点や配送計画などの物流
モデルの設計、シミュレーションが中心となる。
エ.物流情報システムの構築に当たっては、企業のほかの根幹業務である生産、販売などと連動する業務
処理レベルのシステムのみ整備することが重要である。
問題43 物流情報システム構築の際の設計方針、取組方に関する次の記述のうち、適切なものを選びなさい。
ア.当初の目的を達成できない情報システムは、その設計ステップで前工程よりも後工程のプログラム開
発やテストが不十分だからである。
イ.物流情報システムを活用し、物流コストの削減や入手不足をカバーする省力化などをすすめるために
は、最新の自動化システムや無線システム(RFIDタグ)を導入することが最適である。
ウ.物流情報システムを明確化された目的に沿って構築するためには、システム構築の旗振りをするため
に必要な権限を持たせたCIOの設置が望まれる。
エ.物流情報システムの設計では、ITやシステムの可能性、実効性、採算性よりは多品種少量や都度発
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注・都度納品などの顧客ニーズの反映が最優先されるべきである。
問題44 次の事例を読み、設問に答えなさい。
《事例》
X社は中堅の運送業と倉庫業を営む物流事業者である。 X社は事業拡大を目指した中期5カ年計画を策
定し、新たに3PL事業分野に進出することを決定した。 そのために現状の物流情報システムを再構築し、
3PL事業への対応を図ることとなった。 再構築は情報化投資を極力抑制するために、抜本的な作り直しで
なく、既存のシステムのうち有効な部分はいかし(部分的修正はある)、不足の部分を新規に作ることと
した。
これまでのビジネスでは特定顧客を中心に、堅実に顧客サービスを上げ、物流品質の維持を続け、利益
を確保してきたが、今後は積極的に提案ビジネスを行い、顧客開拓に努め、増収増益を目標とする方針で
ある。
【設問】次の記述のうち、X社の物流情報システムの再構築の考え方として、適切なものを選びなさい。
ア.3PL事業には物流情報システム及びITが有力なツールかつ不可欠なので、CIOとしてITの専門家を外
部から招聘する。
イ.3PL事業拡大のため、対象とする荷主を限定せずに、あらゆる荷主に対応できるように、情報システ
ムは荷主ごとに個別システムの企画・開発・運用として顧客ニーズの充足を図る。
ウ.X社と3PLの荷主及び荷主の得意先との情報ネットワークは、全国をカバーする。
エ.3PL事業はこれまでの特定顧客の業界と特定地域に限定し、既存の情報システムを標準化し有効に活
用する。
問題45 オーダーエントリーに関する次の記述のうち、不適切なものを選びなさい。
ア.発注側の電話/FAXによる受注オーダーをコンピュータに入力する「直接入力」では、迅速に発注対
象となる正しい品番を検索し確定することが、効率化のためには有効である。
イ.オンライン入力によるオーダーエントリーでは、国内用の標準化された物流EDIメッセージである
JTRNが普及しており、JTRNで定義されているデータ項目に対して、個別企業の利用形態に合わせ
て、データの内容を変更し導入を行う。
ウ.オーダーエントリーでは、入力されたデータに対して、オーダーナンバー、日付、得意先名、注文品
名・コード、数量、単価、納期などの項目を必要に応じてチェックする。
エ.オーダーエントリーでは、入力データのチェック後、注文品に対する在庫照会及び有効在庫数の在庫
引き当てを行い、不足する場合はバックオーダー(受注残)として登録し、別途不足数の集計を行う。
問題46 発注処理に関する次の記述のうち、誤っているものを選びなさい。
ア.コンピュータによる自動発注( CAO)は、発注側で決められた基準に基づく発注数の計算及び受注
側の最小発注単位への調整を行うものである。
イ.発注時に発注ナンバーを採番し受注側に送信することにより、商品入荷時の検品作業は効率化する。
ウ.携帯型発注端末は、多品種、大量の発注行数のデータを顧客のオーダーに合わせて発注処理を行うと
きに効果的である。
エ.バックオーダー商品の納品リードタイムをできるだけ短くするには、発注先ごとの締切り時刻に合わ
せて、発注処理を細分化し、発注することが有効である。
問題47 倉庫管理システム(WMS)に関する次の記述のうち、誤っているものを選びなさい。
ア.倉庫管理システムは、入庫管理・在庫管理・出庫管理を含み、商品の大きさや出荷単位などの物流
特性に合わせた在庫管理に有効である。
イ.カートピッキングシステムによるバーコード検品システムは、リストピッキングに比べて、出荷作業時
間の短縮の面で有効である。
ウ.入荷処理におけるバーコード検品システムでは、仕入れ先が商品にはり付けたラベルのバーコードを読
み取ることにより、個別商品のJANコードによる検品より効率的に処理することができる。
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特集
エ.倉庫内における各種業務の作業管理システムでは、作業量と作業に要する時間数から、作業コストを
算出することができる。
問題48 輸配送管理システムに関する次の記述のうち、正しいものを選びなさい。
ア.配送・配車計画システムは、運行管理者による手作業の配車計画に取って代わるシステムであり、こ
のシステム導入により、自動的に最適な配車計画作成が可能となる。
イ.運行管理では、運転日報の作成や運行管理者による運転者の安全管理が必要である。 車載端末を用
いた運行管理システムの導入により、運転日報の作成支援や、安全運行管理が可能となる。
ウ.求荷求車システムは、インターネット上において、幅広い業種業態の企業による求荷情報と求車情報
から最適な組合せを自動検索し、マッチングさせることができる。
エ.荷物追跡管理システムでは、利用者はインターネット上で運送伝票番号などを入力することにより、
入力時点での受付貨物の所在を正確に把握することが可能となる。
問題49 在庫受け払い処理に関する次の記述のうち、正しいものを選びなさい。
ア.入荷処理では、入荷商品の全数量入荷検品による正確な在庫計上を行うことが一般的である。
イ.商品の入荷の確認は、当日の入荷検品と検品後の入荷処理がすべて終了した後に、確認可能となる。
ウ.返品や棚卸し時の在庫差異が発生した場合、これらの受け払い処理を行うことにより、正しい在庫数
を管理することができる。
エ.出荷処理では、情報システム上と現物の在庫量に差異が発生した場合、差異の原因が判明するまで出
荷処理を一時中断することが必要である。
問題50 次の事例を読み、設問に答えなさい。
《事例》
卸売業A社では、東京都、埼玉県、千葉県の3カ所に営業所を持ち、営業所ごとに在庫を配置し、販
売管理システムによる在庫管理の下で、各営業所の営業担当者が顧客から電話/ FAXにより注文を受け、
営業担当者が商品をピッキングし、営業車で顧客へ納品している。
納品を急ぐため、システムへの受注入力は、一日の納品が終了し帰社後入力することが多く、入力漏れ
や入力間違いが時々発生している。
A社の現在の課題は、以下のとおりである。
●営業担当者によるシステム入力確認が実施されておらず、各営業所の在庫数が販売管理シス
テムの在庫数と一致していない。
●電話による注文が多く、営業担当者以外は商品が判別できない注文が多いため、受注入力
が遅くなっている。
●欠品防止のため営業担当者が必要以上に商品を発注するため、在庫が多い。
●置き場所が標準化されていないため、どこにどの商品が配置されているかは、当該営業担
当者しか分からない。
【設問】次の記述のうち、A社の物流業務を効率化するに当たり、これらの課題を解決する手段として、
適切なものを選びなさい。
ア.WMSを導入し、物流センターを設けて営業所在庫を集約し、営業担当者に代わって物流専門の担当
要員により物流業務を行う。
イ.受注システムを導入し、受注センターを設置して、電話/ FAX による受注を受注センターへ集約す
る。
ウ.WMSを各営業所に導入し、営業担当者の管理の下で、受注入力、ピッキング業務を行う。
エ.不良在庫を削減するために、発注処理システムを導入し、EOSによりオンラインで発注処理を行う。
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