2009年2月号
現場改善
現場改善
本社物流部門を新設して改善を実現大手精密機械メーカーS社
FEBRUARY 2009 84
初めての物流改革
精密機械メーカーS社は、年商約一〇〇
〇億円、主力商品では国内トップシェアを誇
る大手メーカーである。
同社総務部のM氏が、 私の執筆した記事を読んで我々日本ロジファ クトリー(NLF)に問い合わせを入れてき た。
もっとも初回の面談はコンサルティング の依頼というより、物流管理とは何なのかを 説明することに終始した。
S社は長年、技術力の強化と製品開発に 力を注ぐ反面、物流をはじめとしたバック オフィス機能をなおざりにしてきた感があっ た。
しかし、生産活動や販売網が広く海外に 広がってきたこと、さらには市場が成熟化し、 シェア拡大に限界が見えてきたことなどから、 同社としては初めて後方支援機能に本格的な メスを入れ、収益性向上を目指す体制強化に 乗り出したのであった。
これを受けて総務、人事、財務などの各管 理部門では、早々にプロジェクトチーム(P T)が発足し、改革がスタートしていた。
し かし物流に関しては専門部署がなかったこと もあり、どこからメスを入れるべきなのか判 断がつかずにいた。
そもそも物流の業務範囲 とは、どこからどこまでなのかさえ見えてい ない状態だった。
社内の戸惑いを示すかのように、正式に物 流PTが発足したのも、我々の初回の訪問か ら半年近くが経過した後のことだった。
そこ にアドバイザーとして参加した我々は、先ず そのチーム編成を見て頭を抱えた。
総務、経 営企画、システム部といった管理系部門のメ ンバーのみの編成で、肝心な販売や製造の担 当者が入っていない。
そのことを指摘し、なぜ販売や製造を巻き 込む必要があるのかを説明し、チーム編成の 見直しを促した。
その一カ月後、チームは再 編成され、ようやくプロジェクトはキックオ フを迎えたのであった。
S社は国内三カ所に生産拠点を構えている。
物流拠点も三カ所。
東西二拠点のほか、成 田空港に近い原木に輸出拠点を設置している。
我々は各拠点を視察して回り、それぞれの拠 点の入出荷状況や荷姿、作業手順、業務を委 託している物流会社などを把握し、それと並 行してS社から提出されたデータ類のチェッ クを行った。
事例で学ぶ 現場改善 日本ロジファクトリー 青木正一 代表 第73 回 年商一〇〇〇億円のメーカーが初めて本格的な物流改革 に乗り出した。
効果を実現するには恒常的な物流管理専門 部署を設置する必要があった。
プロジェクトチームは経営陣 を説得し、組織改革を断行。
苦労を重ねながらも徐々に全 社を巻き込んでいった。
本社物流部門を新設して改善を実現 大手精密機械メーカーS社 85 FEBRUARY 2009 S社の製品は大きく?大物?と?小物? に分けられる。
?大物?の物流は工場から顧 客に直接納品するのが基本となっている。
一 方、?小物?は工場からいったん物流センター に移し、そこで荷揃えも含めて処理する体制 となっていた。
このうち後者、物流センター から顧客までの小物の販売物流を、当面の改 善の対象に定めた。
まだトータル物流コストを算出していない 段階であったが、S社の決算書を見る限り、 売上高に対する支払物流費の比率は一%以下 に収まっており、上場している同業他社と比 較しても決して高くはなかった。
物流フロー にも大きな問題は見られなかった。
しかし、数多くのヒアリングやPTとの協 議を重ねることで、S社の物流課題は徐々に 浮き彫りになってきた。
そこから我々NLF は、次の五つのテーマを具体的な改善項目と して提示した。
?物流業務の可視化 ?物流専門部署の設立 ?受注業務における手書き、転写業務の削減 ?主力物流パートナーの決定 ?物流拠点立地の見直し ?物流業務の可視化については、拠点別 のトータル物流コストの算出から取りかかっ た。
同時に工場の部品調達まで含めた物流フ ローを作成した。
さらに誤出荷率、返品率等 の物流品質の管理指標や、一人当たり出荷個 数、残業率といった生産性指標を作成するた めのデータ収集に着手した。
一般に物流管理の専門部署が存在しない企 業では、全社的な指標管理が行われていない ことが多い。
ましてやS社のような規模とも なれば、各現場では基幹システムに合わせた オペレーションを行いながらも、その生産性 は拠点ごとに管理し、部分最適となっている 場合が多い。
これを統一したフォームに集約 する作業には苦労を要する。
大企業の物流改 善で我々NLFがいつも痛感させられている ことである。
物流部門設置の投資対効果を検証 ?物流専門部署の設立は、S社が後方支 援機能を強化し、継続的な改善を行うために は不可欠の施策であった。
しかし、組織改革 の実施はPTの持つ権限を超えていた。
PT から経営陣に対して要請はするものの、なか なか理解が得られない。
そこで私が駆り出さ れることになった。
PTのメンバーに代わっ て私がS社の取締役会に出席し、直接経営陣 に現状報告と物流専門部署の必要性を訴える ことになったのだ。
その結果、何とか承認は得られた。
ただし 条件付きだった。
その条件とは、適切な人事 案を提示すること、そして部署設立の投資対 効果を示すというものであった。
人事案については、それまで各工場で物流 業務に携わってきたメンバーを中心にキャス ティングを行った。
しかし、どうしても部門 長を任せられる人材が見当たらない。
一時は 我々NLFとの窓口を務めるM氏にも白羽の 矢が立ったが、管理畑が長く現場経験のない ことから見送りとなった。
最終的には、従来から物流に強い関心と知 識を持っていた九州工場長を初代物流部門長 として起用することに決まった。
工場長とい う重職にはあるものの、あと一年で定年を迎 える年齢であり、その後は顧問として再雇用 することが決まっていたことから、本人およ び経営陣も受け入れやすかったようである。
一方、物流専門部隊の投資対効果に関し ては、どれだけ物流コストを削減できるかと いう点に尽きた。
前述したように、S社の物 流にはそれほど大きなムダがあるわけではな かった。
それだけに改善によるコスト削減効 果には限界があった。
我々としても初年度で 五%削減、その後は三%、三%、二・五% という固いラインでシミュレーションを行うほ かなかった。
そこから新設する物流部門の定員を四人と 弾いた。
一人を増員しても会社に大きく貢献 できる計算であった。
ちなみに同部門は設立 から一年半を経過した現在、六人体制に増員 され、その人件費を十分にペイするだけの貢 献を果たしている。
?受注業務の改善は、オンライン化が狙い だった。
それまでは電話受注こそなかった ものの、全体の六〇%をファクスで受けてい た。
その入力作業に人手がとられていた。
そ こでエクセル(表計算ソフト)を使って簡単 FEBRUARY 2009 86 な「受注(発注)フォーム」を作成し、ファ クスからの切り替えを?啓蒙?した。
販売部門が根気強く顧客を説得したことで、 現状でファクス受注率を六〇%から三五%に まで引き下げることに成功した。
今後半年で 二〇%まで低減できる見込みだ。
営業本部長 によるトップダウンが功を奏した。
また別案として、ウェブ上に受注窓口を作 ることも検討したが、投資の伴う改善テーマ はプロジェクトの第二フェーズとして位置付 けていたことに加え、一部の中小ユーザーに 反発されかねないという意見が販売部門から 多く寄せられたため、時期尚早と判断した。
協力会社を四〇社から三社に集約 ?主力物流パートナーの決定は、物流コン ペの実施というかたちで進めていった。
S社 の年間支払物流費は約一〇億円であった。
そ れに対して協力物流会社の数は四〇社を超え ていた。
三カ所の国内工場と三カ所の物流拠 点が、それぞれ物流会社と契約を結んでおり、 料金体系もバラバラだった。
これではボリュームディスカウントが利かな いだけでなく、請求書のチェックもままなら ない。
そこで西日本、東日本、そして輸出拠 点となっている原木の三カ所で、それぞれ元 請けを任せる物流パートナーを見つけること となった。
当初は全国の物流を3PL一社に 集約する案も出ていたが、競争原理の確保と、 リスクヘッジの点から、パートナーの数は三 社と決定した。
その選考過程では料金、提案力はもとより、 トラブル発生時のクイックレスポンス、そして コンプライアンスに基づく機密保持とセキュ リティ体制を重視した。
運営面では在庫管理 能力とシステム対応力、そして3PL会社の アンダーとなる協力会社の対応力まで選考の 評価項目に加えた。
最近の物流コンペでは、元請けとして選ん だ3PLの対応や実績、コストに問題はなく とも、いざ運用となった段階で、エンドユー ザーからのクレームが多発するという失敗が 珍しくない。
その多くは3PLのアンダーで 現場を担う協力会社の作業品質や、荷主と 現場のコミュニケーション不足が原因である。
その点に留意したのである。
また原木のセンターでは航空便を多く利用 していたこともあり、外資系フォワーダー をメーンパートナーとして、他に波動対応力、 輸送力を補強するかたちで国内フォワーダー 二社をサブパートナーに設定した。
?物流拠点立地の見直しでも、コンペ参加 企業から提案を受けたが、いずれの物件も拡 張性に課題が残った。
しかもPT自身で着地 点分析を行い、最適立地を検証したところ、 最適とする立地と既存拠点では直線距離で一 五キロメートルも離れていない。
移転コスト や現場管理スタッフの通勤問題もあり、既存 の施設をそのまま使用することにした。
こうしてS社のPTは苦労の末に、物流 改善の第一フェーズを終了した。
PTおよび 我々NLFが経営陣に提示した、物流コスト の五%削減という計画は無事クリアすること ができた。
先日、久しぶりにM氏から連絡が入った。
予定よりも前倒しにして改善の第二フェーズ に取りかかることが取締役会で決定したとの ことであった。
リーマンショックを機に、輸 出を中心に売り上げが大幅にダウンしたこと が原因だ。
今回は拠点の集約まで視野に入れ て、物量減少に対応した、さらなるコストダ ウン策を検討する必要があるという。
世界同 時不況は国内の物流拠点にも容赦なく迫って いるのである。
あおき・しょういち 1964年生まれ。
京都産 業大学経済学部卒業。
大手 運送業者のセールスドライ バーを経て、89 年に船井 総合研究所入社。
物流開発 チーム・トラックチームチー フを務める。
96年、独立。
日本ロジファクトリーを設 立し代表に就任。
現在に至る。
HP:http://www.nlf.co.jp/ e-mail:info@nlf.co.jp プロジェクトチームで出荷の着地点 を地図上にクリッドし、物流拠点の 最適な立地を検証した。
同社総務部のM氏が、 私の執筆した記事を読んで我々日本ロジファ クトリー(NLF)に問い合わせを入れてき た。
もっとも初回の面談はコンサルティング の依頼というより、物流管理とは何なのかを 説明することに終始した。
S社は長年、技術力の強化と製品開発に 力を注ぐ反面、物流をはじめとしたバック オフィス機能をなおざりにしてきた感があっ た。
しかし、生産活動や販売網が広く海外に 広がってきたこと、さらには市場が成熟化し、 シェア拡大に限界が見えてきたことなどから、 同社としては初めて後方支援機能に本格的な メスを入れ、収益性向上を目指す体制強化に 乗り出したのであった。
これを受けて総務、人事、財務などの各管 理部門では、早々にプロジェクトチーム(P T)が発足し、改革がスタートしていた。
し かし物流に関しては専門部署がなかったこと もあり、どこからメスを入れるべきなのか判 断がつかずにいた。
そもそも物流の業務範囲 とは、どこからどこまでなのかさえ見えてい ない状態だった。
社内の戸惑いを示すかのように、正式に物 流PTが発足したのも、我々の初回の訪問か ら半年近くが経過した後のことだった。
そこ にアドバイザーとして参加した我々は、先ず そのチーム編成を見て頭を抱えた。
総務、経 営企画、システム部といった管理系部門のメ ンバーのみの編成で、肝心な販売や製造の担 当者が入っていない。
そのことを指摘し、なぜ販売や製造を巻き 込む必要があるのかを説明し、チーム編成の 見直しを促した。
その一カ月後、チームは再 編成され、ようやくプロジェクトはキックオ フを迎えたのであった。
S社は国内三カ所に生産拠点を構えている。
物流拠点も三カ所。
東西二拠点のほか、成 田空港に近い原木に輸出拠点を設置している。
我々は各拠点を視察して回り、それぞれの拠 点の入出荷状況や荷姿、作業手順、業務を委 託している物流会社などを把握し、それと並 行してS社から提出されたデータ類のチェッ クを行った。
事例で学ぶ 現場改善 日本ロジファクトリー 青木正一 代表 第73 回 年商一〇〇〇億円のメーカーが初めて本格的な物流改革 に乗り出した。
効果を実現するには恒常的な物流管理専門 部署を設置する必要があった。
プロジェクトチームは経営陣 を説得し、組織改革を断行。
苦労を重ねながらも徐々に全 社を巻き込んでいった。
本社物流部門を新設して改善を実現 大手精密機械メーカーS社 85 FEBRUARY 2009 S社の製品は大きく?大物?と?小物? に分けられる。
?大物?の物流は工場から顧 客に直接納品するのが基本となっている。
一 方、?小物?は工場からいったん物流センター に移し、そこで荷揃えも含めて処理する体制 となっていた。
このうち後者、物流センター から顧客までの小物の販売物流を、当面の改 善の対象に定めた。
まだトータル物流コストを算出していない 段階であったが、S社の決算書を見る限り、 売上高に対する支払物流費の比率は一%以下 に収まっており、上場している同業他社と比 較しても決して高くはなかった。
物流フロー にも大きな問題は見られなかった。
しかし、数多くのヒアリングやPTとの協 議を重ねることで、S社の物流課題は徐々に 浮き彫りになってきた。
そこから我々NLF は、次の五つのテーマを具体的な改善項目と して提示した。
?物流業務の可視化 ?物流専門部署の設立 ?受注業務における手書き、転写業務の削減 ?主力物流パートナーの決定 ?物流拠点立地の見直し ?物流業務の可視化については、拠点別 のトータル物流コストの算出から取りかかっ た。
同時に工場の部品調達まで含めた物流フ ローを作成した。
さらに誤出荷率、返品率等 の物流品質の管理指標や、一人当たり出荷個 数、残業率といった生産性指標を作成するた めのデータ収集に着手した。
一般に物流管理の専門部署が存在しない企 業では、全社的な指標管理が行われていない ことが多い。
ましてやS社のような規模とも なれば、各現場では基幹システムに合わせた オペレーションを行いながらも、その生産性 は拠点ごとに管理し、部分最適となっている 場合が多い。
これを統一したフォームに集約 する作業には苦労を要する。
大企業の物流改 善で我々NLFがいつも痛感させられている ことである。
物流部門設置の投資対効果を検証 ?物流専門部署の設立は、S社が後方支 援機能を強化し、継続的な改善を行うために は不可欠の施策であった。
しかし、組織改革 の実施はPTの持つ権限を超えていた。
PT から経営陣に対して要請はするものの、なか なか理解が得られない。
そこで私が駆り出さ れることになった。
PTのメンバーに代わっ て私がS社の取締役会に出席し、直接経営陣 に現状報告と物流専門部署の必要性を訴える ことになったのだ。
その結果、何とか承認は得られた。
ただし 条件付きだった。
その条件とは、適切な人事 案を提示すること、そして部署設立の投資対 効果を示すというものであった。
人事案については、それまで各工場で物流 業務に携わってきたメンバーを中心にキャス ティングを行った。
しかし、どうしても部門 長を任せられる人材が見当たらない。
一時は 我々NLFとの窓口を務めるM氏にも白羽の 矢が立ったが、管理畑が長く現場経験のない ことから見送りとなった。
最終的には、従来から物流に強い関心と知 識を持っていた九州工場長を初代物流部門長 として起用することに決まった。
工場長とい う重職にはあるものの、あと一年で定年を迎 える年齢であり、その後は顧問として再雇用 することが決まっていたことから、本人およ び経営陣も受け入れやすかったようである。
一方、物流専門部隊の投資対効果に関し ては、どれだけ物流コストを削減できるかと いう点に尽きた。
前述したように、S社の物 流にはそれほど大きなムダがあるわけではな かった。
それだけに改善によるコスト削減効 果には限界があった。
我々としても初年度で 五%削減、その後は三%、三%、二・五% という固いラインでシミュレーションを行うほ かなかった。
そこから新設する物流部門の定員を四人と 弾いた。
一人を増員しても会社に大きく貢献 できる計算であった。
ちなみに同部門は設立 から一年半を経過した現在、六人体制に増員 され、その人件費を十分にペイするだけの貢 献を果たしている。
?受注業務の改善は、オンライン化が狙い だった。
それまでは電話受注こそなかった ものの、全体の六〇%をファクスで受けてい た。
その入力作業に人手がとられていた。
そ こでエクセル(表計算ソフト)を使って簡単 FEBRUARY 2009 86 な「受注(発注)フォーム」を作成し、ファ クスからの切り替えを?啓蒙?した。
販売部門が根気強く顧客を説得したことで、 現状でファクス受注率を六〇%から三五%に まで引き下げることに成功した。
今後半年で 二〇%まで低減できる見込みだ。
営業本部長 によるトップダウンが功を奏した。
また別案として、ウェブ上に受注窓口を作 ることも検討したが、投資の伴う改善テーマ はプロジェクトの第二フェーズとして位置付 けていたことに加え、一部の中小ユーザーに 反発されかねないという意見が販売部門から 多く寄せられたため、時期尚早と判断した。
協力会社を四〇社から三社に集約 ?主力物流パートナーの決定は、物流コン ペの実施というかたちで進めていった。
S社 の年間支払物流費は約一〇億円であった。
そ れに対して協力物流会社の数は四〇社を超え ていた。
三カ所の国内工場と三カ所の物流拠 点が、それぞれ物流会社と契約を結んでおり、 料金体系もバラバラだった。
これではボリュームディスカウントが利かな いだけでなく、請求書のチェックもままなら ない。
そこで西日本、東日本、そして輸出拠 点となっている原木の三カ所で、それぞれ元 請けを任せる物流パートナーを見つけること となった。
当初は全国の物流を3PL一社に 集約する案も出ていたが、競争原理の確保と、 リスクヘッジの点から、パートナーの数は三 社と決定した。
その選考過程では料金、提案力はもとより、 トラブル発生時のクイックレスポンス、そして コンプライアンスに基づく機密保持とセキュ リティ体制を重視した。
運営面では在庫管理 能力とシステム対応力、そして3PL会社の アンダーとなる協力会社の対応力まで選考の 評価項目に加えた。
最近の物流コンペでは、元請けとして選ん だ3PLの対応や実績、コストに問題はなく とも、いざ運用となった段階で、エンドユー ザーからのクレームが多発するという失敗が 珍しくない。
その多くは3PLのアンダーで 現場を担う協力会社の作業品質や、荷主と 現場のコミュニケーション不足が原因である。
その点に留意したのである。
また原木のセンターでは航空便を多く利用 していたこともあり、外資系フォワーダー をメーンパートナーとして、他に波動対応力、 輸送力を補強するかたちで国内フォワーダー 二社をサブパートナーに設定した。
?物流拠点立地の見直しでも、コンペ参加 企業から提案を受けたが、いずれの物件も拡 張性に課題が残った。
しかもPT自身で着地 点分析を行い、最適立地を検証したところ、 最適とする立地と既存拠点では直線距離で一 五キロメートルも離れていない。
移転コスト や現場管理スタッフの通勤問題もあり、既存 の施設をそのまま使用することにした。
こうしてS社のPTは苦労の末に、物流 改善の第一フェーズを終了した。
PTおよび 我々NLFが経営陣に提示した、物流コスト の五%削減という計画は無事クリアすること ができた。
先日、久しぶりにM氏から連絡が入った。
予定よりも前倒しにして改善の第二フェーズ に取りかかることが取締役会で決定したとの ことであった。
リーマンショックを機に、輸 出を中心に売り上げが大幅にダウンしたこと が原因だ。
今回は拠点の集約まで視野に入れ て、物量減少に対応した、さらなるコストダ ウン策を検討する必要があるという。
世界同 時不況は国内の物流拠点にも容赦なく迫って いるのである。
あおき・しょういち 1964年生まれ。
京都産 業大学経済学部卒業。
大手 運送業者のセールスドライ バーを経て、89 年に船井 総合研究所入社。
物流開発 チーム・トラックチームチー フを務める。
96年、独立。
日本ロジファクトリーを設 立し代表に就任。
現在に至る。
HP:http://www.nlf.co.jp/ e-mail:info@nlf.co.jp プロジェクトチームで出荷の着地点 を地図上にクリッドし、物流拠点の 最適な立地を検証した。
