2009年3月号
特別レポート
特別レポート
3PLは儲からない商売なのか? 米アームストロング&アソシエイツ
MARCH 2009 38
3PLは儲からない商売なのか?
── Is Contract Logistics a Dog? ──
米アームストロング&アソシエイツ
3PL事業は魅力的なビジネスたり得るのか。
荷主企業 はワンストップ・サービスやグローバル化への対応を本当 に求めているのか。
ロジスティクス業界のリーダーたちが 意見を二分する問題に、3PL市場研究で知られる米アー ムストロング&アソシエイツ社が断を下す。
アセット型 VS ノンアセット型 倉庫業務と3PLに関し、ロジスティクス業界の リーダーたちの考え方は大きく二つに分かれてい る。
フェデックスとエクスペダイターズは倉庫を持 たず、自社で3PL業務を行うこともない。
一方、 UPS、DHL、キューネ+ナーゲルといったグロ ーバルSCM企業はその反対の立場を取る。
否定派であるフェデックスのフレデリック・スミ ス会長兼社長兼CEOは、倉庫を持たないという 方針について二〇〇五年に次のように述べている。
「倉庫業は利益率が低い。
我々は必要に応じて外部 の倉庫業者を利用すれば良い」「我々の顧客はすべ ての業務をプロバイダー一社に集約することを求め てはいない(注1)」──つまり3PLについては 他のプロバイダーを利用されても構わないという考 えを示唆している。
さらにスミスは「我々のサプライチェーン・ビジ ネス(付加価値倉庫事業)のゴールは明確である。
それはフェデックスの輸配送ネットワークを利用し て、顧客に付加価値サービスを提供することであ る。
それが求めるサービスでなければ、当社のサプ ライチェーン・システムを利用しなければよいだけ の話だ。
率直に言って、このセクターで当社が今後 も成長し続けることができるかについては確信が 持てない。
競合他社が向かう方向に追随すべきか、 あるいは新たなビジネスチャンスが生まれてくるの をじっと待つべきなのかは、まだ誰にもわからな い」とも述べている。
一方肯定派は、世界全体を網羅する“輸配送イ ンフラ”と“臨機応変なソリューション”の必要性 を強調する。
UPSの見解はこうだ。
「我々は世界 一七五カ国にわたって三五〇〇万平方メートルの輸 配送スペースを利用し、サプライチェーンを運用し ている。
ヘルスケア、テクノロジー、一般消費財、 小売りといった業界のそれぞれのサプライチェーン に特化したサービス、情報技術システム、輸配送イ ンフラを提供している(注2)」UPSの“臨機応 変なソリューション”には3PL業務も含まれてい る。
DHLはさらにはっきりと述べている。
「統合は 我々の顧客にとって競争力の源泉となる。
サプライ チェーン全体にわたり、あらゆる製品をスタート地 点から最終消費地まで運ぶという、全世界的であ りながらローカルにも適応したワンストップのロジ スティクス・サービスは、エクセルの買収により可 能となった(注3)」(編集部注:DHLの親会社で あるドイツポストは〇五年十二月、当時3PL世界 最大手だったエクセルを五五億ユーロで買収した) UPSやDHL派の言い分によれば、3PLは グローバルSCMに欠くべからざるものである。
グ ローバル・ソリューションに必須であればこそ、3 PLの利益率がどうであれ事業を継続しなければ ならないというわけである。
ヨーロッパ大陸 31% 図1 DHL の地域別売上比率 アジア・ 太平洋 6% アメリカ大陸 26% イギリス・中東・アフリカ 37% 特別レポート 39 MARCH 2009 グローバル・サービスに関しては、多くの研究者 やアナリストもUPSやDHLと同じ立場を取る。
毎年3PLのCEOに調査を行っているロバート・ リーブ教授もその一人だ。
〇八年に行ったインタビ ューの中で、リーブ教授は3PLビジネスの進化に ついて次のように語っている。
「3PLはロケット工学のような複雑なものでは ない。
業界全体を大きな目で見てみれば、何が起 きているかは自ずとわかるはずである。
成長を続 けるためにはグローバル・サービスを提供しなけれ ばならない、というのがその一つだ。
ほんの一〇 年前の話だが、毎年行っている調査研究のために インタビューしたCEOの大半は、米国外に進出す る必要性を認めていなかった。
しかし、ユーザー側 の市場動向から見れば、3PL業者に選択の余地 はないことが徐々に明らかになってきた」 「国内で享受しているサービスに満足している顧 客が今は多くても、いずれは同じサービスを国外で も求められるだろうということは、当事者である 彼らよりむしろ私の方が見えやすかったのかもし れない。
もしそうしなければグローバル・サービス の部分だけではなく、仕事全体をも失いかねない と私は彼らに忠告した。
グローバルに展開するチャ ンスを失うだけでなく、今ある国内の仕事も危う くなるということだ」 「一〇年以上経った今から振り返ると、3PL業 界全体としては、今日のような事態を想定してグ ローバル・サービスへ参入する戦略をうまく立てて きた、と評価する向きもあるかもしれない。
確か にそうしたケースもあるだろう。
だが、他の地域や 国でも同じようなサービスが必要だという要求を大 口顧客から突きつけられたために、やむを得ず対 応せざるをえなかったという方が、より事態を正 確に言い表しているのではないだろうか(注4)」 リーブ教授はグローバリゼーションの必要性を明 言しているが、だからといってそれがそのまま3 PLの必要性を証明することにはならない。
3P Lに関して誰の意見が正しいかを見きわめるには、 次の三つの疑問に答えを出さなければならない。
?3PLは利益を確保できるビジネスなのか? ?グローバルSCM企業であるためには、自社で 3PL業務を引き受ける機能が必要か? ?顧客は本当にワンストップのグローバルSCMを 求めているか? まず一つめの疑問に関して、これまでの常識で は、3PLはフォワーディングなどのノンアセット の輸送管理ビジネスにくらべて利益率が低いと考え られてきた。
ただしその常識は、評価軸として総 売上高に対する粗利益率を用いることを前提とし ている。
フォワーディング事業の財務分析を行う際、こ れまでの会計の慣行では税金立替分と外注先の 輸送業者への支払分を総売上( Turnover=Gross Revenue) から差し引いた粗利益( Gross Profit=Net Revenue)をベースにして各種の指標 が計算される。
これが倉庫事業では、総売上から 営業費(従来の会計では売上原価)を差し引いた 残りが粗利益となる。
通常、輸送の外注費は総売 上の一五%未満であるため、3PLの粗利益は相 対的に小さくなってしまう。
利益率を比較するに は、ある程度GAAP(一般に公正妥当と認めら れる会計原則)に則って比較されるべきである。
具体的にまずDHLのケースを見てみよう。
DH Lはグローバルな存在感を持つ3PL業界のマーケ ット・リーダーである。
売上高をベースにすれば、 DHLエクセルサプライチェーン(DHLの3PL 部門)はDHLグローバルフォワーディング(同フ ォワーディング部門)に比べ、より多くのEBI T(利払い・税引き前当期利益)を稼ぎ出してい る(表1)。
〇八年一月からの九カ月間でも、サプライチェー ンは三億一九〇〇万ドルのオペレーティング・キャ ッシュフローを生み出しているのに対し、グローバ ルフォワーディングとDHLフレイトは、合わせて も一億一六〇〇億ドルである。
しかし、これまで と同じように粗利益率で比較すれば、DHLグロ ーバルフォワーディングの方が有利なセグメントと 売上高 12,233 百万ドル 18,612 百万ドル 粗利益 2,814 百万ドル 1,270 百万ドル 粗利益率 23.0% 6.8% EBIT 386 百万ドル 673 百万ドル 売上高EBIT 率 3.2% 3.6% 粗利益EBIT 率 13.7% 53.0% 売上高 3,198 百万ドル 8,292 百万ドル 4,013 百万ドル 粗利益 600 百万ドル 1,092 百万ドル 3,001百万ドル 粗利益率 18.8% 13.2% 5.2%(注6) EBIT 169 百万ドル 332 百万ドル 87 百万ドル 売上高EBIT 率 5.3% 4.0% 2.2% 粗利益EBIT 率 28.2% 30.4% 2.9% DHL グローバル フォワーディング 表1 DHL の売上・利益比較(2007 年) 表2 キューネ+ナーゲルの売上・利益比較(2007 年) DHL エクセル サプライチェーン 航空 フォワーディング 海上 フォワーディング3PL MARCH 2009 40 いう評価になってしまう。
DHLのもっとも手強い競合相手がキューネ+ナ ーゲルであり、グローバルSCMに対するアプロー チも共通している。
同社が〇五年にフランスの3 PL、ACRロジスティクスを買収した際、クラウ ス・ヘルムスCEOは「我々の持つ強力な陸海空 の機能を活用して、欧州全域をカバーする一貫し たグローバル・ソリューションを提供するのに、A CRロジスティクスは組む相手として理想的なパー トナーである」と述べている。
キューネ+ナーゲルは自らを“グローバル・コン トラクト・ロジスティクスとSCMのリーダー”と 位置付けており、海上フォワーダーとしては世界第 一位、航空フォワーダーとしては同四位であるとし ている。
キューネ+ナーゲルは3PLの中でも、財務内容 を詳しく開示することで知られている。
投資家と 一般社会へ積極的に情報を開示する姿勢は、我々 の分析にも益するところが多い。
表2は粗利益率がフォワーディングビジネスでは 重要な指標であることを示している。
ただし、3 PLの粗利益率の部分には、EBITDA(利払 い・税引き・償却前利益)を売上高で割った数値 が置かれている。
というのもそのまま計算すると 3PLの粗利益率は七四・八%にもなってしまう が、キューネ+ナーゲルの3PL部門の収益性を示 す適切な指標を得るには、営業費の大半を差し引 く必要があるからである。
表2が示すように、粗利益に対するEBIT率 を見た場合は断然フォワーディング部門が優勢だ が、売上高に対するEBIT率で比較をするとそ の差は縮まる。
インテグレーター VS 3PL CEVAロジスティクスも3PL大手の一角を 占める。
国際エクスプレス便大手で親会社だったT NTが、3PLは事業継続をしても利益は見込めな いと判断してTNTロジスティクスを売却した後、 現在の社名となった。
買った側のファンドであるア ポロ・マネジメント( Apollo Management)はそ の後、米国のEGL(Eagle Global Logistics)と いうフォワーダーをも買収して事業を強化した。
CEVAは自動車業界に特化し、3PL事業で 年間四八億ドルを売り上げているが、買収費用の 金利負担で赤字を計上している。
買収された会社 の収益性が落ちるというこのジレンマは、CEV Aに限ったことではない。
なぜなら契約が成立し た後、買収のコスト負担がのしかかってくるからで ある。
グローバルSCMの必要性以外にも、グローバル 市場の規模という現実が3PL肯定派の論拠とな る。
航空フォワーディングの世界市場規模は二六〇 億ドル、海上が四〇〇億ドル、そして3PLは世 界の倉庫市場の中で三五%を占め、二六〇〇億ド ルの市場となっている。
ということは、この市場 の中でさらに3PLが伸びる余地があるというこ とだ。
3PL肯定派と否定派の対立に決着をつけるた め、DHL、キューネ+ナーゲル、CEVA、UP Sといった先行者に追いつき追い越せとばかりに、 パナルピナがSCM/3PL事業を急速に拡大し ているという事実を指摘しておこう。
〇七年の年 次報告書で同社はSCMについてこう述べている 「ロジスティクスの各プロセスを外注化するという 世界的趨勢は、ビジネスがグローバル化してきてい ることの典型的証左であり、この事態はあらゆる 主要な産業において進行している」 我々アームストロング&アソシエイツでは一〇年 以上にわたり、米国の3PLと国際輸送管理(フ ォワーディングおよび輸送管理システム)について 調査を行ってきた。
〇八年の3PL市場規模は売 上高で二八七億ドル、粗利益が二三五億ドル、九五 年からの年平均成長率(CAGR)は一七%を超 える(図2)。
我々の調査は3PL三四社をコア・ サンプル・グループとしており、このグループで市 場全体の六割を占める。
グループの粗利益EBIT率は五・九%で、米 国勢の収益性は、DHLやキューネ+ナーゲルをは じめとする欧州勢に勝る。
〇七年の税引後当期純 利益率は三・六%。
ちなみにDHLの売上高EB 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 予想 09 予想 10 予想 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 (百万ドル) (年) 図2 3PLと国際輸送管理セグメントの粗利益 3PL (アセットベース) 国際輸送管理 (ノンアセットベース) 41 MARCH 2009 IT率は三・六%である。
図3のなかで、ジェイコブソン社はプライベート エクイティファンドのオークヒル・キャピタルパート ナーズが所有し、GENCOサプライチェーン・ソ リューションズとKencoロジスティクス・サービ シズはオーナー企業である。
また、キャタピラー社 は公開企業であるが、ロジスティクス部門だけの数 値は公表していない。
GENCOは北米で二番目の規模の3PL業者 である。
高度な配送サービスを誇るが、高い収益 性を支えているのは業界一といわれる静脈物流で ある。
三二五万平方メートルある倉庫のうち約一 割を静脈物流に充てており、売り上げの四割、E BITの半分以上を静脈物流が占める。
一例を挙 げると、ミルウォーキーではキャピタル・リターン ズ社のオペレーションを行っており、一万七八四〇 平方メートルの倉庫に六〇〇人の従業員を抱える。
ジェイコブソン社のEBITには幅広い梱包サー ビスが貢献しており、この分野をさらに強化する ためウィルパック社を買収した。
ニッチビジネスを 追求することで成長を続けている。
UTiワールドワイドは高い利益率が見込める業 界に特化し、幅広い高付加価値サービスを提供し ている。
グローバルSCM部門も持つが、規模の 点で若干見劣りがする。
なお、買収資金の負担が 3PL部門の利益に影響を与えている。
Kencoは南東部を地盤とする老舗のオーナー 企業であったが、ここ五年で一気に現代化された。
例えばKencoはストライカ ー・メディカル・プロダクツ 社のSCMを丸ごと請け負っ ている。
これはロジスティク スのすべてのプロセスを3P L一社に委託している良い 例である。
ストライカーのよ うな多くの中堅企業にとって は適切な戦略であると言える。
図3の中で売上高EBIT率が高い企業は例外 なくニッチな分野に特化しており、UPSサプライ チェーン・ソリューションズを含むグローバルなフ ォワーダーよりも収益性が高い。
我々アームストロング&アソシエイツは詳細にわ たる研究「Warehousing in North America」にお いて3PLについて包括的な調査を行った。
そし て二七社による四〇〇の事例をもとに、EBIT について次のような数値を得た(図4)。
売上高EBIT率の個々の予想値と実際値は、全 体平均が予想の七・二%から実際には六・八%で あったことを反映している。
中央値は、五%の予 想が四%になった。
調査した3PLのうち五五% の売上高EBIT率は、四・九%以下である。
一 方、三〇%の3PLは一〇%を超える売上高EB IT率をマークしている。
利益を得る可能性の高 いニッチな分野で、いかに地歩を占めるかが3PL の課題である。
収益性を改善する方策としては優良顧客を得る ことが重要であるが、比較的有利な特定の業種と いうものがある。
自動車や食品・飲料といった業 界にくらべ、化学、情報通信、アパレル、ハイテク 産業などは概して賢明な選択であると言えるだろう (表3)。
我々のデータは、国際倉庫協会(IWLA: International Warehouse Logistics Association) の集めたデータとも一致する。
回答のあった三四社 の〇五年の平均は売上高EBIT率は五・三%で、 二・八%から一〇・一%の幅に分布している。
ま たROA(総資産利益率)は十三%、その中の非 上場企業の自己資本利益率は二八・六%となって 11.0 10.0 10.0 9.5 8.5 3.6 2.9 -2.0 12.0 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0 -2.0 (%) (%) 図3 粗利益EBIT率比較(3PL) 図4 売上高EBIT率の予想値と実際値 GENCO ジェイコブソンUTi CAT ロジスティクス Kenco DHL Exel キューネ+ ナーゲル CEVA 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0 <0% 0-4.9% 5-9.9% 10-14.9% 《売上高EBIT率》 15-19.9% 20-24.9% 25or >% 予想値 実際値 化学 情報通信 アパレル ハイテク/コンピュータ ヘルスケア・化粧品 小売/日用雑貨 工業製品(自動車を除く) 建設資材 自動車 食品/飲料 表3 製品/産業別営業利益率 22.5% 20.2% 18.7% 18.2% 15.8% 13.9% 13.9% 12.9% 12.5% 12.4% いる。
3PLはグローバル化すべきか? グローバルSCMには、政府の規制等をクリアし たり、基本的なロジスティクスや付加価値サービス を提供する能力が求められる。
セキュリティ問題 に端を発した政府による規制強化により、可視性 とコミュニケーションを確保するための情報システ ム、インターフェース、インターネットポータル等 がますます求められるようになってきた。
オーダ ー、輸配送、保管などを管理するための、インタ ーネットと相性の良い複雑なITプラットフォーム も同様である。
グローバルSCM企業として市場に参入するため には、莫大なリソースとITプラットフォームの構 築が求められる。
米国では中小のフォワーダーの多 くがもはや輸入業務を行っておらず、大半は通関 業務とニッチな輸出に特化している。
アジアからの輸入はNVOCC(非船舶運航業 者)が担っており、主な業者はエクスペダイターズ、 キューネ+ナーゲル、DHLグローバルフォワーディ ングなどである。
海上コンテナのうち、大手コンテ ナ船社とフォーチュン五〇〇社の間で独自契約が結 ばれるケースも増えている。
ウォルマートとターゲ ットは、自社と子会社も含め年間一〇〇万本を超 えるコンテナの輸送契約を共同で結んでいる。
グローバルSCM企業は大手企業の下請業者と しての役割も果たしている。
例えばDHLは七〇 〇人を擁する「インターナショナル・サービス・セ ンター」という組織を抱え、そこでは「LOG─N ET」と呼ばれるインターネットベースの国際輸送 管理システムを利用して、ユーザーに輸送管理サー ビスを提供してい る。
グローバルカス タマーからの様々 な要求により、従 来のサービス範囲 も変容を迫られる。
例えばドアツード ア・サービスには、 「VMI(ベンダー 主導型在庫管理)」 が求められること が多い。
これまで このサービスは、配 送センターから各 地域の倉庫や販売店に納入する際に行われてきた。
それが昨今では、中国から米国の配送センターお よび販売店への輸送にもVMIが求められる。
こ うしたサプライチェーンでは、短期の保管を伴うク ロスドッキングや積み替えなどが重要なポイントと なる。
DHLでは、海上コンテナと航空貨物の短期の 保管やクロスドッキングは、自社のフォワーディン グ用敷地で行われる。
在庫をコントロールするのは 主に、全米各地にある配送センターである。
配送 センターを経由せず発送地から顧客まで直接運ば れる荷物もあるが、フルコンテナなどは基本的に配 送センターに送られる。
付加価値サービスは最適なロケーションで行われ る。
倉庫会社、運送会社、通関業者など、グロー バルSCM企業のオペレーションにかかわるすべて の業者が、同じインターネット・ソリューションの 傘の下で統合されている。
また、UPS、DHL、 キューネ+ナーゲルといった企業では、すべての拠 点が同じ会社のITと通信プラットフォームを共有 している。
我々の3PLデータベースによれば、最も求めら れているサービスはなによりも新しい3PLサービ スである。
こうしたサービスには、3PLプロバイ ダーと顧客の双方が歩み寄って協力体制を築くこ とが欠かせない。
図5に挙げた付加価値サービス のほとんどはここ三〇年あまりの間に登場し、複 雑化してきた。
プロセス改善への強い要望があれ ばこそ新たなサービスが広がり、同時に既存の付加 価値サービスのレベルをも押し上げるのである。
サプライチェーンの各プロセスが時とともに改善 されていくにつれ、すべてを完備したグローバルS CM企業がシェアの伸ばすと考えるのは理に適って いる。
部分的にしか対応できないことは不利な条 MARCH 2009 42 表4 付加価値サービスの割合 キッティング/ピッキング&パッキング/ラベリング 23.0% ピッキング&パッキング キッティング ラベリング カスタマイズ&サブアンセブリー 16.7% サブアンセブリー カスタマイズ 静脈物流/修理 15.1% 修理 静脈物流 在庫管理/ VMI 13.3% 在庫管理 VMI 特殊包装/再包装 13.1% 特殊包装 再包装 輸配送管理 9.1% 店舗直送 輸配送 輸出入サービス クロスドッキング 5.6% 温度帯管理 1.6% コンプライアンス 1.2% WMS 0.9% RFID 0.4% 合計 100.0% 戦略ロジスティクスサービスの充実度 グローバル対応力 SCM の経験とアドバイス エンドツーエンド・ソリューションの能力 新興市場への対応 表5 3PL 業者を選ぶ基準 54% 51% 44% 40% 35% 件になりうる。
それに伴ってフォーチュン五〇〇社 に入らない中規模の企業では、グローバルSCM企 業のうち一社に絞ってすべてを委託するケースが増 えている。
売上規模で一〇億から五〇億ドル程度 の会社がこれに相当すると我々は考えている。
ワンストップ・サービスのニーズはあるか? 3PLとグローバルSCM企業の台頭という事 実にもかかわらず、アウトソーシングされるサービ スの多くは単純な業務である。
調査の結果、主な ものとして挙げられるのが国際輸送管理、通関業 務、倉庫保管、(国内)輸送管理などである。
選 択の決め手となるのは、依然としてサービスの価格 と質である。
もちろんこうしたサービスのキャパシ ティは八〇年以来、増加し続けている。
しかしC・ジョン・ラングレーは最近発表したレ ポート「The state of Logistics Outsourcing」の なかで、より戦略的でグローバルな機能に対するニ ーズが高まっていると指摘する。
ラングレーの調査における回答者の半分以上は、 自分たちには戦略的なロジスティクス・サービスが 重要であると答えている(表5)。
なかでも重視さ れている戦略的サービスがITであり、それにはウ ェブをベースとするコミュニケーションのための可 視性、トレーサビリティ、輸送管理などを含む。
グ ローバルな対応、一貫したソリューション、SCM のノウハウなども重要性を増している。
ラングレー は同時に「3PLユーザーは、自分たちの顧客と 直接コンタクトが生じる部分については、アウトソ ーシングに消極的である(注5)」と述べている。
我々が調査したグローバルSCM企業は、それぞ れの得意分野で棲み分けをしている。
それは特定の 地域別であったり、フォーチュン五〇〇社の業種・ 製品別であったり、あるいは特定の中規模企業向 けの包括的なソリューションなどの分野である。
グローバルサービス・ソリューションに関しては、 豊富なパッケージも含むすべてのメニューを提供で きるDHLとUPSが主役である。
同様に多くの ハイテク企業は、各大陸ごとに特定のグローバルS CM企業を起用するようになるだろう。
こうした4PLやリード・ロジスティクス・プロ バイダーは、日々の業務に必要とされるキャパシテ ィをまかなうため、他の3PLを積極的に活用す るようにもなるだろう。
また実際、3PLとの契 約には損益責任をともなうケースも多い。
以上の ことから言えるのは、フォーチュン五〇〇社すべて の要求に応えられる規模を持つ3PLは存在しな いということだ。
3PLが契約を受注する際に問題となっている のは、入札の過程で購買を専門に担当する部署の 発言権が大きくなってきていることである。
大抵 の場合、購買担当者の関心は価格のみに向けられ、 付加価値サービスや他のグローバルSCMプレーヤ ーとの能力の違いなどは正当な評価を得られない ことが多い。
グローバルSCM市場でもっとも成長著しいの が、スペアパーツや付加価値の高い製品の分野であ る。
なかでも中規模の企業がとりわけ重要で、ニ ッチな製品を供給している企業は、低価格よりも ソリューションを必要としている。
付加価値サービ スは進化した包括的ソリューションのなかの一部分 であり、企業は3PLを活用することで競争力を 強化することになるのである。
43 MARCH 2009 注1 Bear Stearns Conference—2005 注2 Comments from the UPS Annual Report—2007 注3 Comments from the DHL Annual Report—2006 注4 Mitch McDonald, “Head of the Class : Interview with Bob Lieb,” DC VELOCITY, October 2008 注5 Capgemini, GIT, SAP and DHL, 2007 Third-Party Logistics : The state of Logistics Outsourcing, p.26 注6 EBITDA=二〇八百万ドル(二〇〇七 年)、売上高EBITDA率=五・二% ※本稿はアームストロング&アソシエイツ社が今年一月に 発表した「Is Contract Logistics a Dog?」と題した英 論文を同社の許可を得て本誌が翻訳したものです。
3PL / 4PL 図5 グローバルSCM 企業の提供するサービスと機能 保管/ クロスドッキング ●4PL /リード・ロジスティクス・プロバイダー ●コールセンター ●混載/積み替え ●コンサルティング/プロセスの見直し ●ED(I 電子データ交換) ●金融サービス ●食品温度管理 ●危険物取り扱い ●受注管理 ●インターネット・サプライチェーン・ビジビリティ ●在庫管理(+ ベンダー主導型) ●配送センター/クロスドッキング ●セキュリティ・プロセス ●業務委託 ●RFID ●貨物保険 ●輸送キャリアとの契約/仲介/運賃支払い ●通関/ ACE(電子通関システム)/ C-TPAT(テロ防止のための税関産業界共同プログ ラム)/ FAST(Free and secure trade、ローリスクの業者に円滑な通関を提供する) ●税金払い戻し ●インコタームズ(貿易条件の解釈に関する国際規則)管理(EXW〔工場渡し〕からDDP 〔仕向地持ち込み渡し関税込み〕まで) ●L / C(信用状)/ B / L(船荷証券) ●NVOCC(非船舶運航業者) ●プロジェクト・ロジスティクス ●プロジェクト管理 ●輸送網立案/最適化 ●保税倉庫 ●ホームデリバリー ●据え付け/撤去 ●JIT /カンバン ●キッティング/ ピッキング/梱包 ●組み立て ●静脈物流 ●小分け ●WMS 輸送管理/フォワーディング
荷主企業 はワンストップ・サービスやグローバル化への対応を本当 に求めているのか。
ロジスティクス業界のリーダーたちが 意見を二分する問題に、3PL市場研究で知られる米アー ムストロング&アソシエイツ社が断を下す。
アセット型 VS ノンアセット型 倉庫業務と3PLに関し、ロジスティクス業界の リーダーたちの考え方は大きく二つに分かれてい る。
フェデックスとエクスペダイターズは倉庫を持 たず、自社で3PL業務を行うこともない。
一方、 UPS、DHL、キューネ+ナーゲルといったグロ ーバルSCM企業はその反対の立場を取る。
否定派であるフェデックスのフレデリック・スミ ス会長兼社長兼CEOは、倉庫を持たないという 方針について二〇〇五年に次のように述べている。
「倉庫業は利益率が低い。
我々は必要に応じて外部 の倉庫業者を利用すれば良い」「我々の顧客はすべ ての業務をプロバイダー一社に集約することを求め てはいない(注1)」──つまり3PLについては 他のプロバイダーを利用されても構わないという考 えを示唆している。
さらにスミスは「我々のサプライチェーン・ビジ ネス(付加価値倉庫事業)のゴールは明確である。
それはフェデックスの輸配送ネットワークを利用し て、顧客に付加価値サービスを提供することであ る。
それが求めるサービスでなければ、当社のサプ ライチェーン・システムを利用しなければよいだけ の話だ。
率直に言って、このセクターで当社が今後 も成長し続けることができるかについては確信が 持てない。
競合他社が向かう方向に追随すべきか、 あるいは新たなビジネスチャンスが生まれてくるの をじっと待つべきなのかは、まだ誰にもわからな い」とも述べている。
一方肯定派は、世界全体を網羅する“輸配送イ ンフラ”と“臨機応変なソリューション”の必要性 を強調する。
UPSの見解はこうだ。
「我々は世界 一七五カ国にわたって三五〇〇万平方メートルの輸 配送スペースを利用し、サプライチェーンを運用し ている。
ヘルスケア、テクノロジー、一般消費財、 小売りといった業界のそれぞれのサプライチェーン に特化したサービス、情報技術システム、輸配送イ ンフラを提供している(注2)」UPSの“臨機応 変なソリューション”には3PL業務も含まれてい る。
DHLはさらにはっきりと述べている。
「統合は 我々の顧客にとって競争力の源泉となる。
サプライ チェーン全体にわたり、あらゆる製品をスタート地 点から最終消費地まで運ぶという、全世界的であ りながらローカルにも適応したワンストップのロジ スティクス・サービスは、エクセルの買収により可 能となった(注3)」(編集部注:DHLの親会社で あるドイツポストは〇五年十二月、当時3PL世界 最大手だったエクセルを五五億ユーロで買収した) UPSやDHL派の言い分によれば、3PLは グローバルSCMに欠くべからざるものである。
グ ローバル・ソリューションに必須であればこそ、3 PLの利益率がどうであれ事業を継続しなければ ならないというわけである。
ヨーロッパ大陸 31% 図1 DHL の地域別売上比率 アジア・ 太平洋 6% アメリカ大陸 26% イギリス・中東・アフリカ 37% 特別レポート 39 MARCH 2009 グローバル・サービスに関しては、多くの研究者 やアナリストもUPSやDHLと同じ立場を取る。
毎年3PLのCEOに調査を行っているロバート・ リーブ教授もその一人だ。
〇八年に行ったインタビ ューの中で、リーブ教授は3PLビジネスの進化に ついて次のように語っている。
「3PLはロケット工学のような複雑なものでは ない。
業界全体を大きな目で見てみれば、何が起 きているかは自ずとわかるはずである。
成長を続 けるためにはグローバル・サービスを提供しなけれ ばならない、というのがその一つだ。
ほんの一〇 年前の話だが、毎年行っている調査研究のために インタビューしたCEOの大半は、米国外に進出す る必要性を認めていなかった。
しかし、ユーザー側 の市場動向から見れば、3PL業者に選択の余地 はないことが徐々に明らかになってきた」 「国内で享受しているサービスに満足している顧 客が今は多くても、いずれは同じサービスを国外で も求められるだろうということは、当事者である 彼らよりむしろ私の方が見えやすかったのかもし れない。
もしそうしなければグローバル・サービス の部分だけではなく、仕事全体をも失いかねない と私は彼らに忠告した。
グローバルに展開するチャ ンスを失うだけでなく、今ある国内の仕事も危う くなるということだ」 「一〇年以上経った今から振り返ると、3PL業 界全体としては、今日のような事態を想定してグ ローバル・サービスへ参入する戦略をうまく立てて きた、と評価する向きもあるかもしれない。
確か にそうしたケースもあるだろう。
だが、他の地域や 国でも同じようなサービスが必要だという要求を大 口顧客から突きつけられたために、やむを得ず対 応せざるをえなかったという方が、より事態を正 確に言い表しているのではないだろうか(注4)」 リーブ教授はグローバリゼーションの必要性を明 言しているが、だからといってそれがそのまま3 PLの必要性を証明することにはならない。
3P Lに関して誰の意見が正しいかを見きわめるには、 次の三つの疑問に答えを出さなければならない。
?3PLは利益を確保できるビジネスなのか? ?グローバルSCM企業であるためには、自社で 3PL業務を引き受ける機能が必要か? ?顧客は本当にワンストップのグローバルSCMを 求めているか? まず一つめの疑問に関して、これまでの常識で は、3PLはフォワーディングなどのノンアセット の輸送管理ビジネスにくらべて利益率が低いと考え られてきた。
ただしその常識は、評価軸として総 売上高に対する粗利益率を用いることを前提とし ている。
フォワーディング事業の財務分析を行う際、こ れまでの会計の慣行では税金立替分と外注先の 輸送業者への支払分を総売上( Turnover=Gross Revenue) から差し引いた粗利益( Gross Profit=Net Revenue)をベースにして各種の指標 が計算される。
これが倉庫事業では、総売上から 営業費(従来の会計では売上原価)を差し引いた 残りが粗利益となる。
通常、輸送の外注費は総売 上の一五%未満であるため、3PLの粗利益は相 対的に小さくなってしまう。
利益率を比較するに は、ある程度GAAP(一般に公正妥当と認めら れる会計原則)に則って比較されるべきである。
具体的にまずDHLのケースを見てみよう。
DH Lはグローバルな存在感を持つ3PL業界のマーケ ット・リーダーである。
売上高をベースにすれば、 DHLエクセルサプライチェーン(DHLの3PL 部門)はDHLグローバルフォワーディング(同フ ォワーディング部門)に比べ、より多くのEBI T(利払い・税引き前当期利益)を稼ぎ出してい る(表1)。
〇八年一月からの九カ月間でも、サプライチェー ンは三億一九〇〇万ドルのオペレーティング・キャ ッシュフローを生み出しているのに対し、グローバ ルフォワーディングとDHLフレイトは、合わせて も一億一六〇〇億ドルである。
しかし、これまで と同じように粗利益率で比較すれば、DHLグロ ーバルフォワーディングの方が有利なセグメントと 売上高 12,233 百万ドル 18,612 百万ドル 粗利益 2,814 百万ドル 1,270 百万ドル 粗利益率 23.0% 6.8% EBIT 386 百万ドル 673 百万ドル 売上高EBIT 率 3.2% 3.6% 粗利益EBIT 率 13.7% 53.0% 売上高 3,198 百万ドル 8,292 百万ドル 4,013 百万ドル 粗利益 600 百万ドル 1,092 百万ドル 3,001百万ドル 粗利益率 18.8% 13.2% 5.2%(注6) EBIT 169 百万ドル 332 百万ドル 87 百万ドル 売上高EBIT 率 5.3% 4.0% 2.2% 粗利益EBIT 率 28.2% 30.4% 2.9% DHL グローバル フォワーディング 表1 DHL の売上・利益比較(2007 年) 表2 キューネ+ナーゲルの売上・利益比較(2007 年) DHL エクセル サプライチェーン 航空 フォワーディング 海上 フォワーディング3PL MARCH 2009 40 いう評価になってしまう。
DHLのもっとも手強い競合相手がキューネ+ナ ーゲルであり、グローバルSCMに対するアプロー チも共通している。
同社が〇五年にフランスの3 PL、ACRロジスティクスを買収した際、クラウ ス・ヘルムスCEOは「我々の持つ強力な陸海空 の機能を活用して、欧州全域をカバーする一貫し たグローバル・ソリューションを提供するのに、A CRロジスティクスは組む相手として理想的なパー トナーである」と述べている。
キューネ+ナーゲルは自らを“グローバル・コン トラクト・ロジスティクスとSCMのリーダー”と 位置付けており、海上フォワーダーとしては世界第 一位、航空フォワーダーとしては同四位であるとし ている。
キューネ+ナーゲルは3PLの中でも、財務内容 を詳しく開示することで知られている。
投資家と 一般社会へ積極的に情報を開示する姿勢は、我々 の分析にも益するところが多い。
表2は粗利益率がフォワーディングビジネスでは 重要な指標であることを示している。
ただし、3 PLの粗利益率の部分には、EBITDA(利払 い・税引き・償却前利益)を売上高で割った数値 が置かれている。
というのもそのまま計算すると 3PLの粗利益率は七四・八%にもなってしまう が、キューネ+ナーゲルの3PL部門の収益性を示 す適切な指標を得るには、営業費の大半を差し引 く必要があるからである。
表2が示すように、粗利益に対するEBIT率 を見た場合は断然フォワーディング部門が優勢だ が、売上高に対するEBIT率で比較をするとそ の差は縮まる。
インテグレーター VS 3PL CEVAロジスティクスも3PL大手の一角を 占める。
国際エクスプレス便大手で親会社だったT NTが、3PLは事業継続をしても利益は見込めな いと判断してTNTロジスティクスを売却した後、 現在の社名となった。
買った側のファンドであるア ポロ・マネジメント( Apollo Management)はそ の後、米国のEGL(Eagle Global Logistics)と いうフォワーダーをも買収して事業を強化した。
CEVAは自動車業界に特化し、3PL事業で 年間四八億ドルを売り上げているが、買収費用の 金利負担で赤字を計上している。
買収された会社 の収益性が落ちるというこのジレンマは、CEV Aに限ったことではない。
なぜなら契約が成立し た後、買収のコスト負担がのしかかってくるからで ある。
グローバルSCMの必要性以外にも、グローバル 市場の規模という現実が3PL肯定派の論拠とな る。
航空フォワーディングの世界市場規模は二六〇 億ドル、海上が四〇〇億ドル、そして3PLは世 界の倉庫市場の中で三五%を占め、二六〇〇億ド ルの市場となっている。
ということは、この市場 の中でさらに3PLが伸びる余地があるというこ とだ。
3PL肯定派と否定派の対立に決着をつけるた め、DHL、キューネ+ナーゲル、CEVA、UP Sといった先行者に追いつき追い越せとばかりに、 パナルピナがSCM/3PL事業を急速に拡大し ているという事実を指摘しておこう。
〇七年の年 次報告書で同社はSCMについてこう述べている 「ロジスティクスの各プロセスを外注化するという 世界的趨勢は、ビジネスがグローバル化してきてい ることの典型的証左であり、この事態はあらゆる 主要な産業において進行している」 我々アームストロング&アソシエイツでは一〇年 以上にわたり、米国の3PLと国際輸送管理(フ ォワーディングおよび輸送管理システム)について 調査を行ってきた。
〇八年の3PL市場規模は売 上高で二八七億ドル、粗利益が二三五億ドル、九五 年からの年平均成長率(CAGR)は一七%を超 える(図2)。
我々の調査は3PL三四社をコア・ サンプル・グループとしており、このグループで市 場全体の六割を占める。
グループの粗利益EBIT率は五・九%で、米 国勢の収益性は、DHLやキューネ+ナーゲルをは じめとする欧州勢に勝る。
〇七年の税引後当期純 利益率は三・六%。
ちなみにDHLの売上高EB 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 予想 09 予想 10 予想 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 (百万ドル) (年) 図2 3PLと国際輸送管理セグメントの粗利益 3PL (アセットベース) 国際輸送管理 (ノンアセットベース) 41 MARCH 2009 IT率は三・六%である。
図3のなかで、ジェイコブソン社はプライベート エクイティファンドのオークヒル・キャピタルパート ナーズが所有し、GENCOサプライチェーン・ソ リューションズとKencoロジスティクス・サービ シズはオーナー企業である。
また、キャタピラー社 は公開企業であるが、ロジスティクス部門だけの数 値は公表していない。
GENCOは北米で二番目の規模の3PL業者 である。
高度な配送サービスを誇るが、高い収益 性を支えているのは業界一といわれる静脈物流で ある。
三二五万平方メートルある倉庫のうち約一 割を静脈物流に充てており、売り上げの四割、E BITの半分以上を静脈物流が占める。
一例を挙 げると、ミルウォーキーではキャピタル・リターン ズ社のオペレーションを行っており、一万七八四〇 平方メートルの倉庫に六〇〇人の従業員を抱える。
ジェイコブソン社のEBITには幅広い梱包サー ビスが貢献しており、この分野をさらに強化する ためウィルパック社を買収した。
ニッチビジネスを 追求することで成長を続けている。
UTiワールドワイドは高い利益率が見込める業 界に特化し、幅広い高付加価値サービスを提供し ている。
グローバルSCM部門も持つが、規模の 点で若干見劣りがする。
なお、買収資金の負担が 3PL部門の利益に影響を与えている。
Kencoは南東部を地盤とする老舗のオーナー 企業であったが、ここ五年で一気に現代化された。
例えばKencoはストライカ ー・メディカル・プロダクツ 社のSCMを丸ごと請け負っ ている。
これはロジスティク スのすべてのプロセスを3P L一社に委託している良い 例である。
ストライカーのよ うな多くの中堅企業にとって は適切な戦略であると言える。
図3の中で売上高EBIT率が高い企業は例外 なくニッチな分野に特化しており、UPSサプライ チェーン・ソリューションズを含むグローバルなフ ォワーダーよりも収益性が高い。
我々アームストロング&アソシエイツは詳細にわ たる研究「Warehousing in North America」にお いて3PLについて包括的な調査を行った。
そし て二七社による四〇〇の事例をもとに、EBIT について次のような数値を得た(図4)。
売上高EBIT率の個々の予想値と実際値は、全 体平均が予想の七・二%から実際には六・八%で あったことを反映している。
中央値は、五%の予 想が四%になった。
調査した3PLのうち五五% の売上高EBIT率は、四・九%以下である。
一 方、三〇%の3PLは一〇%を超える売上高EB IT率をマークしている。
利益を得る可能性の高 いニッチな分野で、いかに地歩を占めるかが3PL の課題である。
収益性を改善する方策としては優良顧客を得る ことが重要であるが、比較的有利な特定の業種と いうものがある。
自動車や食品・飲料といった業 界にくらべ、化学、情報通信、アパレル、ハイテク 産業などは概して賢明な選択であると言えるだろう (表3)。
我々のデータは、国際倉庫協会(IWLA: International Warehouse Logistics Association) の集めたデータとも一致する。
回答のあった三四社 の〇五年の平均は売上高EBIT率は五・三%で、 二・八%から一〇・一%の幅に分布している。
ま たROA(総資産利益率)は十三%、その中の非 上場企業の自己資本利益率は二八・六%となって 11.0 10.0 10.0 9.5 8.5 3.6 2.9 -2.0 12.0 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0 -2.0 (%) (%) 図3 粗利益EBIT率比較(3PL) 図4 売上高EBIT率の予想値と実際値 GENCO ジェイコブソンUTi CAT ロジスティクス Kenco DHL Exel キューネ+ ナーゲル CEVA 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0 <0% 0-4.9% 5-9.9% 10-14.9% 《売上高EBIT率》 15-19.9% 20-24.9% 25or >% 予想値 実際値 化学 情報通信 アパレル ハイテク/コンピュータ ヘルスケア・化粧品 小売/日用雑貨 工業製品(自動車を除く) 建設資材 自動車 食品/飲料 表3 製品/産業別営業利益率 22.5% 20.2% 18.7% 18.2% 15.8% 13.9% 13.9% 12.9% 12.5% 12.4% いる。
3PLはグローバル化すべきか? グローバルSCMには、政府の規制等をクリアし たり、基本的なロジスティクスや付加価値サービス を提供する能力が求められる。
セキュリティ問題 に端を発した政府による規制強化により、可視性 とコミュニケーションを確保するための情報システ ム、インターフェース、インターネットポータル等 がますます求められるようになってきた。
オーダ ー、輸配送、保管などを管理するための、インタ ーネットと相性の良い複雑なITプラットフォーム も同様である。
グローバルSCM企業として市場に参入するため には、莫大なリソースとITプラットフォームの構 築が求められる。
米国では中小のフォワーダーの多 くがもはや輸入業務を行っておらず、大半は通関 業務とニッチな輸出に特化している。
アジアからの輸入はNVOCC(非船舶運航業 者)が担っており、主な業者はエクスペダイターズ、 キューネ+ナーゲル、DHLグローバルフォワーディ ングなどである。
海上コンテナのうち、大手コンテ ナ船社とフォーチュン五〇〇社の間で独自契約が結 ばれるケースも増えている。
ウォルマートとターゲ ットは、自社と子会社も含め年間一〇〇万本を超 えるコンテナの輸送契約を共同で結んでいる。
グローバルSCM企業は大手企業の下請業者と しての役割も果たしている。
例えばDHLは七〇 〇人を擁する「インターナショナル・サービス・セ ンター」という組織を抱え、そこでは「LOG─N ET」と呼ばれるインターネットベースの国際輸送 管理システムを利用して、ユーザーに輸送管理サー ビスを提供してい る。
グローバルカス タマーからの様々 な要求により、従 来のサービス範囲 も変容を迫られる。
例えばドアツード ア・サービスには、 「VMI(ベンダー 主導型在庫管理)」 が求められること が多い。
これまで このサービスは、配 送センターから各 地域の倉庫や販売店に納入する際に行われてきた。
それが昨今では、中国から米国の配送センターお よび販売店への輸送にもVMIが求められる。
こ うしたサプライチェーンでは、短期の保管を伴うク ロスドッキングや積み替えなどが重要なポイントと なる。
DHLでは、海上コンテナと航空貨物の短期の 保管やクロスドッキングは、自社のフォワーディン グ用敷地で行われる。
在庫をコントロールするのは 主に、全米各地にある配送センターである。
配送 センターを経由せず発送地から顧客まで直接運ば れる荷物もあるが、フルコンテナなどは基本的に配 送センターに送られる。
付加価値サービスは最適なロケーションで行われ る。
倉庫会社、運送会社、通関業者など、グロー バルSCM企業のオペレーションにかかわるすべて の業者が、同じインターネット・ソリューションの 傘の下で統合されている。
また、UPS、DHL、 キューネ+ナーゲルといった企業では、すべての拠 点が同じ会社のITと通信プラットフォームを共有 している。
我々の3PLデータベースによれば、最も求めら れているサービスはなによりも新しい3PLサービ スである。
こうしたサービスには、3PLプロバイ ダーと顧客の双方が歩み寄って協力体制を築くこ とが欠かせない。
図5に挙げた付加価値サービス のほとんどはここ三〇年あまりの間に登場し、複 雑化してきた。
プロセス改善への強い要望があれ ばこそ新たなサービスが広がり、同時に既存の付加 価値サービスのレベルをも押し上げるのである。
サプライチェーンの各プロセスが時とともに改善 されていくにつれ、すべてを完備したグローバルS CM企業がシェアの伸ばすと考えるのは理に適って いる。
部分的にしか対応できないことは不利な条 MARCH 2009 42 表4 付加価値サービスの割合 キッティング/ピッキング&パッキング/ラベリング 23.0% ピッキング&パッキング キッティング ラベリング カスタマイズ&サブアンセブリー 16.7% サブアンセブリー カスタマイズ 静脈物流/修理 15.1% 修理 静脈物流 在庫管理/ VMI 13.3% 在庫管理 VMI 特殊包装/再包装 13.1% 特殊包装 再包装 輸配送管理 9.1% 店舗直送 輸配送 輸出入サービス クロスドッキング 5.6% 温度帯管理 1.6% コンプライアンス 1.2% WMS 0.9% RFID 0.4% 合計 100.0% 戦略ロジスティクスサービスの充実度 グローバル対応力 SCM の経験とアドバイス エンドツーエンド・ソリューションの能力 新興市場への対応 表5 3PL 業者を選ぶ基準 54% 51% 44% 40% 35% 件になりうる。
それに伴ってフォーチュン五〇〇社 に入らない中規模の企業では、グローバルSCM企 業のうち一社に絞ってすべてを委託するケースが増 えている。
売上規模で一〇億から五〇億ドル程度 の会社がこれに相当すると我々は考えている。
ワンストップ・サービスのニーズはあるか? 3PLとグローバルSCM企業の台頭という事 実にもかかわらず、アウトソーシングされるサービ スの多くは単純な業務である。
調査の結果、主な ものとして挙げられるのが国際輸送管理、通関業 務、倉庫保管、(国内)輸送管理などである。
選 択の決め手となるのは、依然としてサービスの価格 と質である。
もちろんこうしたサービスのキャパシ ティは八〇年以来、増加し続けている。
しかしC・ジョン・ラングレーは最近発表したレ ポート「The state of Logistics Outsourcing」の なかで、より戦略的でグローバルな機能に対するニ ーズが高まっていると指摘する。
ラングレーの調査における回答者の半分以上は、 自分たちには戦略的なロジスティクス・サービスが 重要であると答えている(表5)。
なかでも重視さ れている戦略的サービスがITであり、それにはウ ェブをベースとするコミュニケーションのための可 視性、トレーサビリティ、輸送管理などを含む。
グ ローバルな対応、一貫したソリューション、SCM のノウハウなども重要性を増している。
ラングレー は同時に「3PLユーザーは、自分たちの顧客と 直接コンタクトが生じる部分については、アウトソ ーシングに消極的である(注5)」と述べている。
我々が調査したグローバルSCM企業は、それぞ れの得意分野で棲み分けをしている。
それは特定の 地域別であったり、フォーチュン五〇〇社の業種・ 製品別であったり、あるいは特定の中規模企業向 けの包括的なソリューションなどの分野である。
グローバルサービス・ソリューションに関しては、 豊富なパッケージも含むすべてのメニューを提供で きるDHLとUPSが主役である。
同様に多くの ハイテク企業は、各大陸ごとに特定のグローバルS CM企業を起用するようになるだろう。
こうした4PLやリード・ロジスティクス・プロ バイダーは、日々の業務に必要とされるキャパシテ ィをまかなうため、他の3PLを積極的に活用す るようにもなるだろう。
また実際、3PLとの契 約には損益責任をともなうケースも多い。
以上の ことから言えるのは、フォーチュン五〇〇社すべて の要求に応えられる規模を持つ3PLは存在しな いということだ。
3PLが契約を受注する際に問題となっている のは、入札の過程で購買を専門に担当する部署の 発言権が大きくなってきていることである。
大抵 の場合、購買担当者の関心は価格のみに向けられ、 付加価値サービスや他のグローバルSCMプレーヤ ーとの能力の違いなどは正当な評価を得られない ことが多い。
グローバルSCM市場でもっとも成長著しいの が、スペアパーツや付加価値の高い製品の分野であ る。
なかでも中規模の企業がとりわけ重要で、ニ ッチな製品を供給している企業は、低価格よりも ソリューションを必要としている。
付加価値サービ スは進化した包括的ソリューションのなかの一部分 であり、企業は3PLを活用することで競争力を 強化することになるのである。
43 MARCH 2009 注1 Bear Stearns Conference—2005 注2 Comments from the UPS Annual Report—2007 注3 Comments from the DHL Annual Report—2006 注4 Mitch McDonald, “Head of the Class : Interview with Bob Lieb,” DC VELOCITY, October 2008 注5 Capgemini, GIT, SAP and DHL, 2007 Third-Party Logistics : The state of Logistics Outsourcing, p.26 注6 EBITDA=二〇八百万ドル(二〇〇七 年)、売上高EBITDA率=五・二% ※本稿はアームストロング&アソシエイツ社が今年一月に 発表した「Is Contract Logistics a Dog?」と題した英 論文を同社の許可を得て本誌が翻訳したものです。
3PL / 4PL 図5 グローバルSCM 企業の提供するサービスと機能 保管/ クロスドッキング ●4PL /リード・ロジスティクス・プロバイダー ●コールセンター ●混載/積み替え ●コンサルティング/プロセスの見直し ●ED(I 電子データ交換) ●金融サービス ●食品温度管理 ●危険物取り扱い ●受注管理 ●インターネット・サプライチェーン・ビジビリティ ●在庫管理(+ ベンダー主導型) ●配送センター/クロスドッキング ●セキュリティ・プロセス ●業務委託 ●RFID ●貨物保険 ●輸送キャリアとの契約/仲介/運賃支払い ●通関/ ACE(電子通関システム)/ C-TPAT(テロ防止のための税関産業界共同プログ ラム)/ FAST(Free and secure trade、ローリスクの業者に円滑な通関を提供する) ●税金払い戻し ●インコタームズ(貿易条件の解釈に関する国際規則)管理(EXW〔工場渡し〕からDDP 〔仕向地持ち込み渡し関税込み〕まで) ●L / C(信用状)/ B / L(船荷証券) ●NVOCC(非船舶運航業者) ●プロジェクト・ロジスティクス ●プロジェクト管理 ●輸送網立案/最適化 ●保税倉庫 ●ホームデリバリー ●据え付け/撤去 ●JIT /カンバン ●キッティング/ ピッキング/梱包 ●組み立て ●静脈物流 ●小分け ●WMS 輸送管理/フォワーディング
