ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2005年10号
メディア批評
?アメリカン竹中〞らが推進する郵政民営化 一〇年来の熱望が叶う米保険業界は万々歳

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

佐高信 経済評論家 27 OCTOBER 2005 「郵政民営化」だけを問題にして小泉自民党 は大勝した。
しかし、私はこの「民営化」に 基本的に疑問をもっている。
どういう「民」 なのかがアイマイだということもあるが、J R西日本のあの悲惨な事故の後に、どうして 安易に民営化すればすべてがうまくいくよう な議論がまかり通るのか。
作家の井上ひさしは『小説現代』九月号の 巻末エッセイ「ふふふ」で、それを実にわか りやすく絵解きし、「また、アメリカですか」 と問うている。
「郵政改革は不必要だ」と思う井上は、それ について次の五項目を挙げる。
一、郵便局員は自分の給料を自分で稼いで いる。
切手やはがきの売上や、郵貯・簡保の 収入で郵政公社の人件費約二兆四〇〇〇億円 を賄っていて、一円の税金も貰っていない。
見上げたものである。
二、郵便貯金には誰でもお金を預けること ができる。
三、簡易保険には職業の別なく誰でも加入 することができる。
四、採算のとれない地方局の赤字を、都会 の郵便局の黒字で支えることができる。
五、とにかく、ポストに投函すればどこへで もかならず届く。
この安心感。
これは日本の貴 重な社会的装置ではないでしょうか。
しかし、小泉自民党が勝って郵政民営化が 実施されたらどうなるか。
?郵便?郵貯?簡保?窓口?持株会社、そ して?承継法人と、会社が六つもふえる。
そ の分、官僚の天下り先がふえるのである。
鳴り物入りの道路公団民営化がスタートす るが、社長はほとんど同公団の理事。
これで は「官から官へ」だろう。
一九九四年の宮澤(喜一)・クリントン会 談で合意されて以来、アメリカは毎年、日本 政府に『年次改革要望書』を出している。
これについて『世界』の九月号に関岡英之 が書いた一文を読んで、井上は驚きのあまり しばらく息が止まったとし、それを引用して いる。
〈‥‥この『要望書』は在日米国大使館のウ ェブサイトで公開されているが、日本でもそ の存在を知る人は少ない。
九五年十一月二十一日付の『要望書』の一 五頁には「郵政省のような政府機関が、民間 保険会社と直接競合する保険業務に携わるこ とを禁止する」と明記されている。
以来、米 国政府は簡保の廃止を要求し続けてきた。
そ の陰には米国保険業界からの執拗な圧力が存 在する。
本年二月九日付の『朝日新聞』のイ ンタビューで、米国生保協会のキーティング 会長は、郵政民営化は「米国の生保業界にと って最も重要な通商問題だ」と明言している。
郵政民営化の背後には一〇年も前から米国 の外圧が存在するという重要な側面が、国民 に説明されていない。
当然である。
日本の為 政者が「郵政民営化は米国保険業界のためだ」 とは口が裂けても言えるはずがない〉 つまり、「郵政民営化」は「郵政米営化」だ ったということである。
それに「待った」を かける反対派は、三四〇兆円に及ぶ日本の郵 貯・簡保資金をアメリカに売り渡してはなら ないと主張するが、その通りではないか。
大体、それを押しつけているアメリカ自身 は郵政国営だし、イギリスも郵貯は国営。
一時、民営化の手本のように騒がれたニュ ージーランドは民営化して外資に乗っ取られ、 いま、あわてて郵貯を国営に戻している。
そ れにどれだけの税金が使われることか。
『リベラルタイム』の一〇月号は「竹中平蔵 の研究」を特集し、小ずるいだけのこの男が いかにアメリカの手先になっているかを、あ ますところなく暴いている。
私は竹中を、日本マクドナルドの未公開株 取得問題に触れて?マック竹中〞と命名した が、もうひとつ?アメリカン竹中〞という綽 名も進呈しよう。
?アメリカン竹中〞らが推進する郵政民営化 一〇年来の熱望が叶う米保険業界は万々歳

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