ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2009年6号
特集
1) 第4部 動き始めた日通の商物一体サービス

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

JUNE 2009  20 顧客の商流に踏み込む  「セットメーカーやサプライヤー、チェーンストアな どから当社の?ロジスティクス・ファイナンス・サー ビス(LFS)〞への引き合いが急増している。
実際 にこの四月、五月の実績は堅調だった。
今期中には 少なくとも二桁の新規案件を受注したい」と、日通 キャピタルの増田貴常務はいう。
 二年前から開始したLFSに手応えを感じている。
LFSとは日本通運グループが提供する物流サービス に、金融サービスを融合させた事業だ。
顧客のキャッ シュフロー改善や在庫圧縮を実現し、さらにはサプラ イチェーン全体を効率化することを目的としている。
経営環境の悪化を背景に、そのLFSの導入を検討 したいという企業が後を断たないという。
 
味藤咾脇通キャピタルの最重要事業の一つだ。
日 通が従来型の総合物流企業からグローバル3PLへ 業態転換を急ぐなか、顧客の商流にまで踏み込むL FSを他の事業者との差別化手段として位置付けて いる。
 具体的にどういったサービスなのか。
いくつか事 例を紹介しよう。
まずは輸入型VMI。
最もスタン ダードなモデルだ。
セットメーカーA社は海外のサプ ライヤーから部品を調達し、日本の生産工場で商品 を製造している。
一部のサプライヤーにはVMIを承 諾してもらい、JITで生産工場に納入させていた が、下請法の関係などで全てのサプライヤーにVMI を飲んでもらうまでには至っていなかった。
A社に は少しでも多くのサプライヤーにVMIを適用し、在 庫を圧縮したいというニーズがあった。
 そこで、日通キャピタルがVMIに参加していない 複数のサプライヤーから部品を買い取り、A社の生産 工場に近い日通の国内倉庫に自社の資産として保管。
A社の生産計画に合わせてJITで納入するという スキームを導入した。
 サプライヤーにとっては販売先がA社から日通キャ ピタルに変わるだけで、販売価格も支払いサイトも従 来通りなのでデメリットは無い。
A社も同様に、取 引先がサプライヤーから日通キャピタルに変更される だけで、実質的にVMIの導入を実現することが可 能となった。
 支払いサイトの調整にも対応する。
この事例では A社から日通キャピタルへの支払いサイトは従来通り だったが、要望があればサイトを伸ばすこともでき る。
その分、A社のキャッシュフローは改善されるこ とになる。
資金繰りの苦しいサプライヤーに対しても、 日通キャピタルを介して支払いサイトを短縮すること ができる。
 日通キャピタルがA社の大半の部品を取り扱うよう になれば、日通倉庫内で生産工場のラインに合わせて 予め部品を仕分けしておくこともできる。
それをJI Tで納入すれば、生産工場での作業は簡素化される。
日通キャピタルでは、これを?マルチVMI〞と呼ん でいる。
 もう一つ事例を紹介しよう。
メーカーB社は中国 に生産拠点を持ち、中国内外のサプライヤーから部品 を調達し、商品を製造している。
基本的には先ほど の事例と逆のパターンだが、VMIは導入していな い。
B社のニーズは在庫圧縮よりもむしろ、サプライ ヤーの取りまとめにあった。
数十社のサプライヤーか らばらばらに送られてくる部品にその都度対応して はコストと手間がかかる。
納品のタイミングを指定し ても、貿易業務に不慣れな中小サプライヤーは十分な 対応ができない。
それをまとめて送ってほしいとい 動き始めた日通の商物一体サービス  日本通運が従来型の総合物流企業からグローバル3PL への業態転換を急いでいる。
顧客の商流にまで踏み込む “ロジスティクス・ファイナンス・サービス”を、そのための 戦略機能の一つとして位置付けている。
金融子会社の日通 キャピタルが先導役となって、手数料の割安な商物一体の サービスを荷主に提供している。
     (石鍋 圭) 第4部 特集1 21  JUNE 2009 う依頼だった。
 日通キャピタルは日本国内の複数のサプライヤーか ら部品を購買し、指定日に届けることでB社の悩み を解決した。
部品は生産拠点に納入するまでは日通 キャピタルの資産になるため、B社の在庫期間の圧 縮にもつながっている。
 まだ正式に成約には至っていないが、全国展開す る量販店との交渉案件もある。
ニーズは前出のB社 と同様、サプライヤーの取りまとめだ。
中国の複数の サプライヤーから日通キャピタルが商品を買って、中 国の倉庫に保管する。
それを一括で日本のセンターに 届ける。
将来的には中国で店舗ごとに仕分けし、各 店のバックヤードに届けるという構想もあるという。
 増田常務は「我々に寄せられる悩みや相談は実に 多岐にわたる。
顧客によってニーズの優先順位も違 う。
物流分野だけでサポートできることには限りがあ るが、顧客の商流にまで踏み込むことで提案できる ソリューションの幅が大きく広がる」と説明する。
手数料では儲けない  これまでも商社や卸などが同様のサービスを展開 してきたが、支払う手数料がネックとなり、なかな か浸透してこなかった。
LFSにも当然日通キャピ タルに支払う手数料がかかるが、提案を受けた顧客 企業は一様にその安さに驚くという。
LFSを安く 提供できるのには、大きく二つの理由がある。
 まずLFSに投下する資金の調達コストが安いこ と。
日通キャピタルはグループの金融窓口となって莫 大な資金をレンダーから調達しているが、日本通運 が格付投資情報センターから ?ダブルAフラット〞と いう高い評価を得ているため、有利なレートで借り ることができる。
その資金の一部をLFSに投下す るため、高い料率を設定しなくても採算が合う。
 二つめは、日通キャピタルが負うリスクは限定的だ ということ。
例えばセットメーカーとサプライヤーの 間に入って部品を仲介する場合、?一定期間内の全数 買い取り〞が条件となる。
売れ残りリスクは決して 負わない。
 もちろん顧客となるセットメーカーが倒産してしま えば元も子もない。
そのため、業務を請け負う際に セットメーカーへの与信判断が必要だ。
しかし日通キ ャピタルにとって与信は専門分野ではない。
結果と して、現在LFSを提供している企業は、信用力の 高い大手企業が中心となっている。
 「我々は商社のように高いリスクを負って手数料で 儲けようとは思っていない。
多額の売買差益を享受 しようとも思わない。
LFSはあくまでも日通グル ープの本業である物流サービスの付加価値。
この観点 に立っているから安い手数料で提供することができ る」と増田常務は説明する。
 
味藤咾楼瞳錣魎覯茲靴討ら実際に運用に移すま でに時間がかかる。
顧客の従来の取引形態を大きく 変えることになるからだ。
物流部門だけでなく、生産 管理、調達、財務担当者などの理解を得た上で、経 営レベルの決済を仰ぐ必要がある。
日通キャピタルと の生産や受注データなどインターフェースのすり合わ せもしなければならない。
サプライヤーに対して契約 形態の変更を説明し、理解を得る必要がある。
 そこまでこぎ着けるには早くても三カ月、通常は 半年ほどかかってしまう。
それでも導入を希望する 声は絶えない。
増田常務は「顧客への提案方法や滑 り出しまでのスピードなど課題はある。
だがそこをク リアすれば、さらなる広がりを見せるはずだ」と自 信を見せている。
日通キャピタルの 増田貴常務取締役 輸入VMI 案件 物流&金流 金流 物流 ベンダー (複数) 輸出ハブ 日通倉庫(海外) 輸出手続き・船積み メーカーの在庫圧縮期間 VMI 倉庫 日通(国内) メーカー 資産ベンダー (複数) 日通キャピタル 日通キャピタル 購買代行・決済 生産計画、受発注コントロール他 メーカー 通関・保管JIT納入

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