ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2009年6号
特集
1) 第5部 船井が仕掛ける“ファイナンス型3PL”

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

JUNE 2009  22 日本初のスキーム  船井総研ロジがフォワーダーの金融ソリューション 展開を支援するビジネス・スキームを開発した。
開発 を主導してきた赤峰誠司常務は「このスキームを導 入したフォワーダーは、ほぼノーリスクで荷主への優 位性を高め、他の物流事業者と差別化を図ることが できる。
日本では初となるスキームだ」と豪語する。
今後、テスト段階を経て本格的な普及に乗り出すと いう。
 開発したスキームを一言で表現すれば、?輸出債権 の買い取り支援〞ということになる。
フォワーダーが 輸出者から商品の売掛債権を買い取り、従来の取引 よりも短いサイトで販売代金を支払う。
資金回収の リスクを回避できるうえ、債権の早期資金化を実現 できるため、輸出者のキャッシュ・フローは改善され ることになる。
 現金化されるタイミングは契約によって異なるが、 商品が通関許可された段階または指定倉庫に入って から債権譲渡の手続きに入り、それから五日後が目 安だ。
輸出者は短縮された支払い日数に伴う金利相 当分と手数料を支払うことになるが、取引に商社を 介在させるよりは安く済むという。
 フォワーダーは、このスキームを輸出者に提供する ことで、本業での顧客拡大を見込める。
そこで売買 される商品の配送や保管といったロジスティクス業務 は、当然そのフォワーダーが請け負うことが条件とな るからだ。
船井総研ロジがフォワーダーに対し、輸出 者への提案ノウハウや事務的な手続き、人材教育な どを全面的にフォローアップする。
輸出者への提案活 動にフォワーダーが慣れるまでは、船井総研ロジのス タッフが同行する方針だ。
 しかし、これだけではフォワーダーが輸出者と輸入 者の間に入ってファクタリング(売掛債権買い取り) を行っているだけで、とても?ノーリスク〞とはいえ ない。
ファクタリングには、輸入者が倒産した場合に 販売代金を回収できず、焦げ付いた債権を所有する といった危険性が伴う。
回避するには輸入者への与 信判断が必要だが、ロジスティクスを本業とするフォ ワーダーにその能力は無い。
 また、輸出者に対しては商品の代金を早期に支払 う必要があるため、財務面でも大きなリスクを背負 うことになる。
船井総研ロジによるフォローアップだ けでは実現しない。
 そこで船井総研ロジは、フランスの大手取引信用 保険会社であるコファスのグループ会社、コファス・ ジャパン・ファイナンス(CJF)と手を結んだ。
C JFはファクタリングを提供している企業であり、こ のスキームではフォワーダーが輸出者から買い取った 売掛債権を買い取る役割を担う。
 フォワーダーによって一度ファクタリングされた債 権をさらに買い取るため、?リファクタリング〞と呼 ぶ。
債権をリファクタリングすることにより、フォワ ーダーは輸入者の倒産や事業悪化による債務不履行 といったリスクを、CJFを使ってヘッジすることが できる。
 一部の例外はある。
例えば製品自体に瑕疵があっ た場合。
この場合は売買契約に基づいて輸入者から 輸出者に返品されるが、債権はCJFからフォワーダ ー、そして売り主である輸出者へと戻っていく。
こ の時、輸出者が健全であれば問題は無いが、倒産な ど特殊な事情で返金不可能になってしまった時はフ ォワーダーがそのリスクを負うことになる。
それでも、 輸入者の倒産および債務不履行という最大のリスク 船井が仕掛ける“ファイナンス型3PL”  中国をはじめとする新興国に販路を拡大したい。
だが 資金回収に不安がある。
そんな荷主の悩みを解消する スキームを船井総研ロジが開発した。
与信リスクをフラ ンスの取引信用保険会社大手が担保し、フォワーダーが 荷主の輸出債権を買い取る。
「ファイナンス型3PL」と名 付けている。
             (石鍋 圭) 第5部 特集1 23  JUNE 2009 からは解放される。
 
達複同超班瑤了島勲部長は「我々にとっては取 引信用保険、ファクタリングを通じて企業の倒産お よび債務不履行のリスクヘッジ並びに売掛債権流動 化手段を提供することこそ本業だ。
世界中に情報ネ ットワークを張り巡らせており、現在約六〇〇〇万 社の企業情報を有している。
この情報を活用・分析 することで買い手企業の与信を適切に判断すること ができる」と説明する。
クレジットの高くない買い 手企業に対しても?与信不可能〞と即断することは ない。
その企業の商流などを鑑みて、独自の判断を 下すという。
 もちろん、CJFにとってもメリットがある。
C JFはソリューションの最終的な利用者となる日本 の荷主企業との間に十分なパイプを持ち合わせてい ない。
一から関係を構築していくより、有力なフォ ワーダーの?バックファイナンス〞として同スキーム に参画する方が事業展開は容易になる。
過去の試行錯誤が礎に  このスキームの当面のメーンターゲットは、日本発 中国向けの輸送貨物になりそうだ。
日本の製造業者 は中国市場への拡販を切望している。
そこで最大の ネックとなるのが買い手である中国企業のクレジッ ト・リスクだ。
だが危険を回避するために商社を使う のは重い。
そういった悩みを抱えた荷主に対し、フ ォワーダーが?輸出債権買い取り〞を提案すれば興 味を持たれる可能性は高いだろう。
 ただし、このスキームにはどんなフォワーダーでも 参入できるわけではない。
債権を輸出者から買い取 る際にCJFから融資を受けるため、フォワーダー自 身にも一定の与信力が必要になる。
 また、国内配送を外部に委託しているような完全 利用運送業者もこのスキームには適さない。
債権の 譲渡手続きが行われるのは、商品に通関許可が下り た段階、または指定倉庫に入ったタイミングだ。
輸出 する港で商品の着荷を自ら確認し、証明書を出せる ことが条件となる。
 船井総研ロジは、日本ではいち早く物流と金融を 融合したサービスの可能性を見出し、?ファイナンス 型3PL〞と銘打ってそのメリットを内外にアナウン スしてきた。
二〇〇七年二月にはオリックスと提携 し、物流金融のスキームを構築した。
オリックスが商 品を買い取って、売り主に代金を先払いする。
配送 や資金の回収においてもオリックスが責任を持つとい うもので、スキーム自体は今回CJFと協働で開発 したモデルに近い。
 先鋭的な取り組みではあったが、これまでのとこ ろ目覚ましい効果は挙げていない。
物流企業の理解 や提案先企業へのパイプといった面で、種々の綻び があった。
だがそこで学んだことも多い。
昨夏から 検討が重ねられてきた今回のスキームも、過去に積 み重ねた経験や失敗が礎となっている。
 「物流事業者が主導する金融サービスへのニーズは 確実にある。
だがそのことに気が付いている人は非 常に少ない。
物流と金融は非常に近しい存在である にもかかわらず、物流は物流業者、金融は金融業者 といった固定概念から抜け出せないでいる。
これを 何とか覆し、市場に新しい波を作っていきたい」(船 井総研ロジ・赤峰常務)  船井の唱えるファイナンス型3PLがコンサルタン トによる?バズワード〞で終わるのか、それとも業界 のスタンダードへと昇華していくのか。
今後の展開に 注目が集まる。
船井総研ロジの赤峰 誠司取締役常務執 行役員 コファス・ジャパン・ ファイナンス営業部の 児島勲部長 フォワーダー フォワーダーを核としたリファクタリングスキーム ?輸出申告 → ?輸出国通関許可 → ?輸入国通関許可 → ?納品 ?指定倉庫・保税倉庫納品 ← ?貨物出荷 (?出荷) (?着荷情報) ?受注 ?出荷指示 ?-2 早期資金化 支援 提携 ?-1 ファイナンス&保険 ?代金期日回収 モノの流れ 情報の流れ お金の流れ ?発注 売主 (輸出者) 買主 (輸入者) コファス・ ジャパン・ ファイナンス 船井総研 ロジグループ 貨物の動き 通関・着荷データ この段階で債権は売主→フォ ワーダー→コファスへと移る

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