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佐高 信
経済評論家
SEPTEMBER 2009 78
七月に出した拙著『田原総一朗とメディ
アの罪』( 講談社文庫) には、この連載の
二〇〇七年七月号から二〇〇九年二月号まで
の二〇回分が収録されている。
それでその田原だが、『CREDIT AGE』な
る雑誌の二〇〇八年二月号で、消費者金融業
界をこう弁護している。
「今回の法改正でグレーゾーン金利が撤廃さ
れ、上限金利が
20
%以下に規制されると、そ
の弊害はいろいろなところに起きてくる。 と
くに事業者への影響は大きいと思います。 つ
まり、事業者の利用者というのは、銀行をは
じめ金利
20
%以下では貸してくれるところが
ない、言い換えるなら『金利
20
%以上でも借
りざるを得ない』というニーズです。
今回は、そこへの貸し出しを禁じてしまっ
たわけです。 そういったニーズへの貸手がいな
くなってしまった。 これは非常に大きな問題
です。 つまり、ニーズがあるのに法律で規制
され、そのニーズへの貸手が空白になってしま
った。 ならばそのニーズのある空白の部分を
誰が埋めることになるのか。 結局、そこには
暴力団、つまりヤミ金融が入り込むことにな
るわけです」
俗耳に入りやすい主張だが、これはやはり、
消費者金融事業者が喜ぶ議論である。 そうで
なければ、田原と共に彼らが執拗に反対する
はずがなかった。
ほとんど報じられなかったが、今年の六月
一六日の参議院財政金融委員会で、共産党の
大門実紀史が慶大教授の中条潮について、こ
う指摘している。
「クレジットエイジという雑誌がございます。
これは日本消費者金融協会、サラ金の団体が
発行する雑誌でございます。 こういうのにし
ょっちゅう出てくる方でございますけれども、
これ幾ら原稿料もらったのかと思います」
つまり中条は田原と同じく、サラ金のツヨ
ーイ味方だということである。 さらに大門は
担当大臣の与謝野馨に尋ねる。 同じ雑誌でこ
んなことを言っている政策研究大学院大学教
授の福井秀夫についてである。
「この方は更にこういうことを言っているの
です。 この(資料の)下の方に傍線引いてあ
りますけれども、この答申を閣議決定させた
というのは、『要するに今回の閣議決定は、政
府として一定の軌道修正だと受け止めていた
だいて結構です』と。 何様なんですか、この
人は。 政府はこんなこと言ってませんよ、だ
れも。 そんなときに、この業界、政府の代表
のような言い方で、規制改革会議の一員にす
ぎないこの人が、こんな勝手なことを言って
いいんですか。 ちょっと与謝野さんに聞きま
すけど、政府は、何か貸金業法の改正、軌道
修正されたんですか」
つまり、オリックス会長の宮内義彦がリー
ダーだった規制改革会議の面々は、小泉純一
郎や竹中平蔵を中心とする新自由主義の旗の
下に群がった輩であり、福井も中条も、そし
て田原も、その間違った「改革」を進めてき
たグループである。 それを反省するどころか、
往生際悪く、まだ、こんなたわけたことを言
っている。 さすがに与謝野もこう答えざるを
えなかった。
「要するに、貸金業法というのは、わが党
内でもさんざん議論がありましたし、国会で
もいろんな議論があった末に関係者が随分苦
労しながら成立させたわけでございます。
これはやはり、最高裁の判決を受けて、徐々
に貸金業法の改正の必要性が認識されてでき
た法律であって、規制改革の一員が、たとえ
学者であろうとも、このような発言をされる
ということは僭越極まりない。 しかも、こ
れが業界の雑誌であるということが余計その
僭越さを際だたせていると私は思っておりま
す」
大門には、同じ雑誌で田原がやはり業界べ
ったりの発言をしていることを与謝野がどう
思うかも尋ねてほしかった。
担当大臣でさえ苦言を呈す業界べったり発言
サラ金雑誌御用達ジャーナリストたちの醜態
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