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OCTOBER 2009 46
中国日系企業の
ロジスティクス実態調査
中国に進出した日系企業の約3割が現地系物流企
業に業務を委託している。 日系物流企業との併用を
合わせると現地系の利用は7割以上にも達している。
富山大学経済学部の李瑞雪研究室がまとめた「中国
日系企業のロジスティクス実態に関するアンケート調
査」で明らかになった。 その調査結果を以下に報告する。
(以下の図表類以外の文章は本誌コメント)
富山大学経済学部の李瑞雪研究室では二〇〇八年
十一月から〇九年一月にかけて、中国大陸に進出し
ている日系企業三三一六社に郵送で質問票を送付し、
四七社から有効回答を得た。 回答企業の概要は図1
〜図6の通り。 回答企業の八五%はメーカーで、中国
国内向け販売比率が五〇%以上の企業が全体の三分
の二を占めている。
調査概要と回答企業
──国内販売重視の独資メーカーが中心
第1部
最新報告
小売業
6%
商社・貿易
9%
製造業
85%
図1 回答企業の業態分布(N=47) 図2 調査企業の設立時期(N=47)
表1 回答企業の業種分布(N=47,複数回答可)
業種 企業数 業種 企業数 業種 企業数
電子機器 8 家電 3 ガラス・土石製品 2
化学関連 7 ゴム製品 3 非鉄金属 1
加工部品 5 金属関連 3 文具 1
輸送機器 4 化粧品 3 建設機器 1
食料品 4 精密機器 2 その他 11
繊維・服装 4 医薬品 2
情報通信 4 日用雑貨 2
‘90 年以前
6%
‘90〜‘95 年
15%
‘96〜‘00 年
25%
‘01 年以後
54%
最新報告
47 OCTOBER 2009
「中国国内で設立した販売拠点の数」は、
四八%の企業が「一カ所のみ」、次いで「二
カ所〜四カ所」の三〇%と比較的少ない。 ま
た販売方式としては、卸売業者を経由しない
直接販売が四一%を占めている。 これは部品
メーカーと組み立てメーカー間をはじめ、現
地の日系企業同士の取引が依然として多いた
めと推測される。
中国内の一般消費者や現地企業に完成品を
広く販売する場合には通常「直接販売と間接
販売の併用」および「間接販売」を検討する
必要が生じてくる。 ただし、その場合でも、
卸売業者の数は「五社未満」とする企業が五
一%、「五社〜九社」とする企業が一九%で
あり、パートナーを絞り込む傾向にあること
がうかがえる。
一方で一〇〇社以上の卸売業者と取引して
いると回答した企業も一四%あった。 与信管
理やコントロールは難しくなるはずだが、内
陸部を含めた中国全土に商品を供給しようと
すれば、現状ではそれだけの数の卸売業者が
必要だということなのだろう。
流通チャネル
──卸売業者数は五社未満に絞り込む
第2部
0 5 10 15 20 25 30 35
≧100
60〜100
30〜60
10〜30
5〜10
1〜5
0.5〜1
0.2〜0.5
0.1〜0.2
0.05〜0.1
≦0.05
5%
9%
14%
18%
14%
27%
5%
7%
0%
2%
0%
(%)0 5 10 15 20 25 30 35
図3 調査企業の資本金(N=44)
≧1,000
500〜1,000
100〜500
50〜100
10〜50
5〜10
1〜5
0.5〜1
≦0.5
4%
5%
9%
18%
31%
13%
16%
2%
(%)0 5 10 15 20 25 30 35
2%
図4 調査企業のおおむねの売上高(N=44)
90〜100
80〜90
70〜80
60〜70
50〜60
40〜50
30〜40
20〜30
10〜20
<10
35%
7%
0%
17%
7%
2%
4%
0%
6%
(%)
(単位:億円) (単位:億円)
22%
図5 売上高に占める中国国内市場向けの販売の割合(N=46) 100% 出資の子会社(複数の
グループ企業による出資をも含
む)
現地系企業との合弁で、日本側
は51% 以上(51% を含む)
の出資率を有する
現地系以外の企業(例えば、台
湾系や欧米系など)との合弁で、
日本側は51%以上(51%を
含む出資率を有する)
現地系との合弁で、日本側は
50%以下(50%を含む)の出
資率を有する
現地系以外の企業(例えば、台
湾系や欧米系)との合弁で、
日本側は50%以下(50%を
含む)の出資率を有する
その他
図6 出資構成の形態 (N=46)
67%
13%
7%
9%
2% 2%
OCTOBER 2009 48
図7 中国国内で設立した販売拠点の数(N=44) 表2 中国における主な販売地域(N=46,複数回答可)
図8 販売方式の採用
(直接販売か間接販売か)(N=46)
1 カ所
のみ
50
40
30
20
10
0
(%)
2〜4
48
5〜9 10〜19 20〜29 30 カ所
以上
30
16
2
0
4
華東地域 13 20% 華北地域 6 9.4%
華南地域 10 16% 沿海地域 5 8%
9 14% 西北地域 4 6%
ほぼ中国全域 9 14% 西南地域 2 3%
東北地域 6 9.4% その他 0 0%
沿海地域および
内陸部の大都市
販売地域 企業数 割合 販売地域 企業数 割合
直接販売
直接販売と 41%
間接販売を
併用する
33%
その他
13%
間接販売
13%
90〜100
80〜90
70〜80
60〜70
50〜60
40〜50
30〜40
20〜30
10〜20
<10
0%
15%
0%
15%
23%
8%
8%
8%
8%
15%
0
(%)
5 10 15 20 25
図9 直接・間接販売併用の企業の直接販売の割合(N=13)
300 社以上
200〜299
120〜199
80〜119
50〜79
20〜49
10〜19
5〜9
5 社未満
9%
0%
5%
0%
5%
5%
5%
19%
0
(%)
10 20 30 40 50 60
52%
図10 起用している卸売企業の数(N=21)
表3 現地卸売企業を起用する理由 (N=39,複数回答可)
割合
現地販売はまだ初期段階にあり、やむを得ず
現地の卸売企業を利用しているが、いずれは
直接チャネルに切り替える方針である
12
11
7
3
2
2
1
1
31%
28%
18%
8%
5%
5%
2.5%
2.5%
卸売企業の既存販路を活用して速やかに
市場にアクセスし販売を一気に拡大するため
代金未回収のリスクを回避するため
卸売企業の情報収集力、市場把握力を
活用するため
合弁相手の既存の卸売企業経由の販路を
引き継いだから
卸売企業の配送機能を活用するため
その他
内陸部や農村部における商圏で
直接チャネルの構築は困難なため
理 由回答社数
最新報告
49 OCTOBER 2009
物流・ロジスティクス管理に関して、すべて現
地スタッフで運営し、「親会社からは人的支援をと
くに受けていない」とする企業(四一%)と、「親
会社からは関連知識の移転をとくに受けていない」
(十一%)とする企業が、合わせて五二%に上っ
ている。
しかし、「社内で物流・ロジスティクス関連の人
材を育成する体制はまだできていない」(四一%)。
専門知識を持った日本人駐在員がいないうえ、現
地の専門人材も確保が困難で、採用してもなかな
か定着しないという課題に多くの企業が悩まされ
ている。
管理組織
──日本の支援なしに物流を管理
第3部
中国日系企業のロジスティクス実態調査
表 5 物流・ロジスティクス部署もしくは物流業務を一括受託している物流子会社・系列下の
3PL の具体的な管轄範囲 (N=47,複数回答可)
表4 企業における物流・ロジスティクス管理部署の位置づけ(N=46)
割合
15
9
7
6
4
2
2
1
0
33%
20%
15%
13%
9%
4%
4%
2%
0%
営業部門の傘下に置かれている
製造部門の傘下に置かれている
その他
経理・会計部門の傘下に置かれている
機能横断的なチーム・部署となっている
理 由回答社数
物流・ロジスティクスの関連業務は各機能部門、各生
産拠点、各営業拠点に分散管理されており、それらを
統括する明確な独立部署は設置していない
同じ企業グループにある物流専門企業、3PL 企業に
物流業務を全面的に委ねているため、社内に物流業務
を担当する部署を設置していない
物流子会社に物流業務を全面的に委ねているため、社
内に物流業務を担当する部署を設置していない
製造部門や営業部門と並ぶ独立した機能部門となって
いる
幹線輸送
二次・末端配送
保管・貯蔵
在庫管理・在庫計画の策定
注文処理
ロジスティクス情報伝達
流通加工
包装
荷役・出荷準備
調達(仕入)物流
24
16
22
13
10
15
4
8
18
12
11.4%
7.7%
10.5%
6.2%
4.8%
7.2%
1.9%
3.8%
8.6%
5.7%
輸出入関連業務
その他
物流業務 回答社数 割合 物流業務 回答社数 割合
10
1
6
3
12
4
3
15
12
1
4.8%
0.4%
2.9%
1.4%
5.8%
1.9%
1.5%
7.2%
5.7%
0.5%
静脈物流
販促品物流
需要(or 出荷量)予測
需給調整
物流コスト管理
物流拠点整備の推進、
拠点網の見直し
ロジスティクス情報システム
整備の推進と見直し
委託先の物流業者の
選定・監督
表6 物流・ロジスティクスに関する人的資源の状況および日本の親会社の支援
(N=47,複数回答可)
人的資源のパターン回答社数 割合
22
6
6
5
5
3
2
2
41%
11%
11%
9%
9%
6%
4%
4%
物流部門はすべて現地スタッフで構成されており、彼達(彼女達)の創意
工夫によって運営されている。 親会社からの人的支援を特に受けていない
物流部門設立当初だけ、日本の親会社から物流スペシャリストが派遣され
ていた。 その後、すべて現地スタッフに委ねている
物流業務の殆どを特定の日系物流専門企業に委託しており、委託先から必要な
情報や知識を得ている。 親会社からは関連知識の移転をとくに受けていない
物流部門の責任者(兼任を含む)は日本の親会社からの派遣社員だが、物
流分野以外(例えば、販売や会計、情報など)の専門家である
常駐の物流専門家はいないが、応援要請に応じて日本の親会社の物流部門から
物流スペシャリストが出張ベースで派遣され、技術指導や課題解決に当たる
中国におけるグループ企業の物流業務は中国統括会社の物流部門・物流子
会社に統合しているため、親会社から物流技術をとくに受けていない
物流部門の責任者は現地スタッフであるが、彼(彼女)は日本の親会社の
物流部門・物流子会社で研修を受けていた
その他
表7 物流・ロジスティクス人材の確保に関する主な問題
(N=39)
問題回答社数 割合
16
8
4
4
4
3
41%
21%
10%
10%
10%
8%
社内で物流・ロジスティクス関連の人
材を育成する体制はまだ出来ていない
その他
物流・ロジスティクスに明るい日本人
駐在員がいない
中国で物流・ロジスティクス関連の専
門人材は不足しているため、現地採用
による人材確保が困難である
物流・ロジスティクスの現地人材を採
用してもなかなか定着しない
物流・ロジスティクス管理業務の担当
者は社内におけるステータスが低く、
スペシャリストになるモチベーション
が低いため、物流・ロジスティクス部
署に定着するより他の部署(販売や製
造)への配置転換を望んでいる
OCTOBER 2009 50
表8 主な受発注手段 (N=47,複数回答可)
受発注手段回答社数 割合
33
32
11
12
9
7
0
70%
68%
23%
26%
19%
15%
0%
FAX
E メール
電話
商談
web サイトの受注専用ページ
EDI・EOS
その他
表10 導入している物流・ロジスティクス関連の
パッケージソフト(N=41 複数回答可)
システムの種類回答社数 割合
13
12
9
9
9
3
3
2
32%
26%
22%
22%
22%
7%
7%
5%
出荷や調達に関するデータベース
ERP
WMS
その他(財務管理、社内独自開発など)
受注処理システム
ATP・CTP(スケジューリングや納期管理)
SCP/APS(需要予測、需給調整など)
TMS(輸配送管理、貨物追跡管理など)
表9 拠点間の主な情報伝達手段
(N=46 複数回答可)
情報伝達手段回答社数 割合
35
32
11
11
6
2
76%
70%
24%
24%
13%
4%
E メール
電話・FAX
伝票、月次・週次報告書
専用のデータ通信回線
web ベースのWAN
その他
表12 情報システムの効果を阻害する要因
(N=14,複数回答可)
要因回答社数 割合
2
2
1
7
2
15%
14%
7%
50%
14%
表11 情報システムの導入によってもたらされた
主な効果 (N=32,複数回答可)
効果回答社数 割合
13
8
7
7
6
6
6
5
5
0
21%
13%
11%
11%
10%
9%
9%
8%
8%
0%
在庫管理の一元化
在庫水準の削減
納品・配送リードタイムの短縮
物流現業におけるエラーの減少
配送リードタイムの一貫性の確保
物流現業の効率化
トータル物流コストの削減
需要予測の精度の向上
その他
情報共有に基づく物流とその他の
諸機能(調達・製造・販売など)と
の円滑な調整
導入した情報システムは社内の業務プロセスや
慣行に不適応なため
社内に、情報システムに精通する人材が居なく
て、システムをまだ使いこなしていないため
そもそも情報システム導入の必要性がなかっ
たため
情報システムの導入は不完全な形となってお
り、部分しか使えないため
その他
図11 パッケージソフトのベンダー(購入先)(N=38)
親会社の傘下にある
日本のIT ベンダー
日系以外の在中国
外資系IT ベンダー
その他
現地系IT ベンダー
在中国日系IT ベンダー
親会社のIT 部門
0%
3%
18%
24%
24%
31%
(%)0 5 10 15 20 25 30 35
「情報システムの効果についての評価」や「物
流・ロジスティクス関連の情報システムの機能充
実具合」の回答結果を見ると、情報システムに課
題を感じている企業の割合は全体の三分の一程度
にとどまっている。 大半は日本の親会社のIT部
門や現地に進出している日系ITベンダーによっ
て、日本と同じレベルの情報システムを導入して
いるようだ。
情報システム
──日本と同じ仕組みを現地にも導入
第4部
最新報告
51 OCTOBER 2009
輸配送で二拠点以上を経由させているケースは一
割程度に過ぎない。 中継拠点を経由する配送と直送
を併用している場合の内訳を見ても直送比率が高い。
また「現在の物流拠点ネットワークに対する評価」で
「満足している(二〇%)」「どちらかといえば満足し
ている(四五%)」という回答が、合わせて六五%を
占めている。 輸送機能に関する課題はかなり解消し
てきているようだ。
一方で倉庫は、「自社保有・自社運営」の施設を
持つ企業が六六%という高い比率になっている。 営
業倉庫を利用している荷主企業は三七%にとどまる。
それだけコストは割高になるはずだが、必要なスペッ
クを満たした営業倉庫や倉庫会社が不足していると
いうことだろう。 拠点の統廃合ニーズも出てきてい
るため、倉庫に関してはアウトソーシング拡大の余地
が大きいものと推測される。
物流ネットワーク
──コスト削減に向け見直しも
第5部
中国日系企業のロジスティクス実態調査
図12 物流・ロジスティクス関連の情報システムの機能充実具合(N=42)
必要最低限の機能も備えず、
ロジスティクス活動に
支障をきたしかねない
非常に充実している
どちらとも言えない
まだ充実していない
大抵の機能を有する
0%
2%
30%
(%)0 5 10 15 20 25 30 35
33%
35%
図13 情報システムの効果についての評価(N=35)
一定の効果が
得られている
限定的な効果しか
得られていない
ほとんど効果が
現れていない
非常に大きな効果が
得られている
効果どころか、かえって
業務上の障害・負担を
もたらした
60%
20%
14%
(%)0 10 20 30 40 50 60 70
6%
0%
図14 商品輸配送で平均的に経由する
中継拠点の数(N=44)
図15 利用している物流施設(倉庫、
物流センター、配送センター、デポなど)
の数(N=41)
図16 全物流施設におけるトータル
平均在庫日数 (N=40)
経由拠点無し
(販売先へ直送)
43%
中継拠点経由型と
直送型を併用
25%
1 回経由
21%
2 回経由 7%
その他 2% 3回以上経由 2%
10 カ所以上 5%
1 カ所
55%
2 カ所
7%
3〜5 カ所
23%
10%
6〜9 カ所
1 週間未満
32%
1〜2 週間
2〜3週間 20%
10%
3〜4 週間
15%
4〜5 週間
10%
5〜2 カ月
7%
5 週間〜2〜3 カ月
3%
3 カ月以上
3%
図17 現在の物流拠点ネットワークに
対する評価(N=40)
大幅に見直す
必要がある
2%
満足している
20%
どちらかといえば
満足している
45%
抜本的な再構築を
する必要がある
3%
若干見直す
必要がある
30%
OCTOBER 2009 52
表13 中継経由と直送を併用する企業の
物量割合
その他
(%)
1 10 90 0
2 20 80 0
3 40 30 30
4 70 30 0
5 70 20 10
6 50 50 0
7 20 80 0
8 70 30 0
9 95 5 0
10 5 95 0
回答企業中継経由
(%)
販売先へ
直送(%)
表14 利用している倉庫の類型 (N=41 複数回答可)
倉庫類型回答社数 割合
27
18
15
1
66%
44%
37%
自社倉庫(自社保有・自社運営)
リース倉庫(賃貸建物・自社運営)
営業倉庫(営業倉庫業者に保管などの現業を委託)
その他
表15 外部の物流施設を選定する際に最も重視する要素(N=30)
要 素回答社数 割合
11
7
4
3
1
1
1
1
1
37%
24%
14%
10%
3%
3%
3%
3%
3%
料金水準
保管や荷役などの現業の能力と品質
保管だけでなく、在庫管理・輸配送・流通加工など
を含む複合的な業務能力
立地の交通利便性
同様な商品を取り扱う経験の有無
拠点ネットワークのカバー範囲、充実度
スピーディかつ正確な情報提供などの対応能力
施設内の保管機器・荷役機器の近代化
その他
表16 外部の物流施設を選定する際に2番目に重視する要素(N=32)
要 素回答社数 割合
8
7
6
4
2
1
2
1
1
25%
22%
19%
13%
6%
3%
6%
3%
3%
料金水準
立地の交通利便性
保管や荷役などの現業の能力と品質
保管だけでなく、在庫管理・輸配送・流通加工など
を含む複合的な業務能力
同様な商品を取り扱う経験の有無
施設内の保管機器・荷役機器の近代化
その他
拠点ネットワークのカバー範囲、充実度
スピーディかつ正確な情報提供などの対応能力
表17 現在の物流拠点ネットワークを見直すなら、どのような方向へ
見直していくべきだと思うか (N=40 複数回答可)
方向性回答社数 割合
14
12
9
6
3
2
35%
30%
23%
15%
8%
5%
集約の方向:拠点網を統廃合し、トータル在庫を圧縮する
近代化の方向:物流機器や情報システムを施設内に取り
入れ、物流拠点としての諸機能を強化し作業効率を高める
複合化の方向:保管や在庫管理以外の機能(例えば、検品、
検針、組付け、補修、受注処理、返品処分、値札の取り付け、
バーコードやIC タグの貼付などなど)を拠点内に取り込む
共同化の方向:同一グループに属する企業同士の物流業
務を統合することによって、倉庫利用効率や輸配送積載率
の改善を目指す。 或いは同業他社との共同物流を推進する
分散の方向:より市場に近づくべく、配送センターを増や
していく
その他
利用している物流専業者が一社という企業は一
六%にとどまり、「委託先はすべて現地系物流企
業(二九%)」「現地系と日系を併用(四四%)」
という企業が合わせて七三%に上っている。 現地
化がかなり進んでいることがうかがえる。
一般に日系荷主企業は進出初期には多少割高
でも安心できる日系物流企業をパートナーに選び、
運営を丸投げする傾向があるとされる。 しかし、
事業規模が拡大し、スタッフの現地化が進み現地
の事情が把握できるようになると、コストや供給
力を重視して段階的に現地系物流企業を使うよう
になる。
しかし今回の調査結果を見る限り、中国日系企
業の売上高物流費比率は日本国内と比べても低く
抑えられている。 コスト削減効果は知れている。
そのため外注委託先の選定に当たっては 「コスト、
料金水準」よりも「企業規模と実力」や「業務品
質」が重視されている。
オペレーション
──コストよりも安定稼働を重視
第6部
最新報告
53 OCTOBER 2009
中国日系企業のロジスティクス実態調査
図18 利用している物流専門事業者
の数(N=44)
図19 直接利用している物流専門
企業の類型 (N=44)
1 社のみ
16%
日系物流企業
11%
委託先はすべて
委託先はす
べて現地系
物流企業
29%
委託先はすべて
日系以外の外資系物流企業
2%
現地系と
日系を併用
44%
現地系と日系以外の
外資系を併用
44%
5%
その他
2社
11%
6〜9 社
9%
3〜5 社
64%
10 社以上
0% 地域別
ルート別
輸送機関別
販売チャネル別
(生産や販売)拠点別
その他
製品群別
物流活動別
31%
25%
19%
13%
6%
6%
0%
0%
(%)0 5 10 15 20 25 30 35
図20 (“ 複数の物流専門業者を使い分ける方針” と答える企業が回答)
複数の物流専門業者の起用について、どのような軸で使い分けるか (N=15)
>30
20〜30
15〜20
10〜15
7〜10
5〜7
3〜5
1〜3
<1
2%
2%
2%
0%
15%
3%
5%
42%
29%
(%)0 10 20 30 40 50
図21 概ねの支払物流費(委託先に支払う分、業務を請け負って
いる物流子会社・系列物流企業も含む)の売上高比 (N=41)
0 10 20 30 40 50 60 70
>30
20〜30
15〜20
10〜15
7〜10
5〜7
3〜5
1〜3
<1
3%
0%
0%
3%
5%
0%
8%
20%
61%
(%)
図22 概ねの自社物流費(支払物流費以外の物流関連コスト)
の売上高比 (N=42)
表18 自前で遂行している物流現業
(N=35 複数回答可)
物流現業回答社数 割合
13
11
9
9
8
7
6
5
2
4
37%
31%
26%
26%
23%
20%
17%
14%
6%
12%
フォワーティング
静脈物流
流通加工
倉庫・物流センターの運営・管理
幹線輸送
調達・仕入れ物流
二次・末端配送
通関
販促品物流
その他
表19 物流企業との契約の主な形態 (N=44)
契約形態回答社数 割合
1
24
2
15
2
2%
55%
5%
34%
5%
契約期間を半年以内としつつ、その間、
契約を更新するか慎重に見極める
契約期間を1年とし、双方に異議が無け
れば自動更新する
契約期間を複数年(2年間以上)とし、
双方に異議が無ければ自動更新する
契約期間を明記せず、いつでも委託先を
換えることができるようにしている
その他
OCTOBER 2009 54
表22 今後の物流業務の遂行に関する基本方針
:外部委託か内部化か(N=40)
基本方針回答社数 割合
16
15
5
3
0
1
40%
38%
13%
12%
0
2.5%
アウトソーシングと自社物流のそれぞれのメ
リットを生かす形で、使い分けする方針
基本的にアウトソーシングする方針だが、特
定の3PL 企業に依存するではなく、複数の
物流専門業者を使い分ける方針
物流部署を強化し、あるいは物流子会社を
設立するなど、なるべく自前で物流業務を
遂行していく方針
優れた現地3PL 企業への業務委託を拡大し
ていくつもり
信頼できる日系3PL 企業に一括委託するつ
もり
その他
図23 対売上高支払物流費比率の比較
3%未満
80
70
60
50
40
30
20
10
0
(%)
3〜7%
48
7%以上
80 78
64
20
11
9
0
27
11
その他
≧100h
96〜100h
72〜96h
48〜72h
36〜48h
24〜36h
12〜24h
<12h
12%
5%
5%
7%
14%
7%
12%
14%
(%)0 5 10 15 20 25
図24 委託先納品リードタイム(受注から納品までの時間、
Order Cycle Time)(N=42)
24%
委託先はすべて
日系物流企業
委託先はすべて
現地系物流企業
委託先は現地系
と日系を併用
図25 委託先納品リードタイムの比較
24h以内
60
50
40
30
20
10
0
(%)
24〜72h 72h 以上商品による
60
37
8
20
33 32
0
26
42
5
17
20
委託先はすべて
日系物流企業
委託先はすべて
現地系物流企業
委託先は現地
系と日系を併用
表21 委託先の物流事業者を選定する際、選定先について
最も重視する要素 (N=43 複数回答可)
要 素回答社数 割合
25
16
15
14
14
11
7
5
5
3
58%
37%
35%
33%
33%
26%
6%
16%
16%
7%
企業規模と実力(例えば、トラック台数・トン数、トラック
の質、物流施設の面積、施設のレベルや質、ライセンス数、
荷役設備、従業員数、年商、収益力など)
業務品質(例えば、納期遵守率、在庫差異、事故率、ミス率、
業界での評判など)
提供できるサービスの地理的広域性・ネットワーク(例え
ば、免許保有と運営能力などの面おいて特定の地域に限
定されず広域的にサービスを提供できるかどうか)
提供できるサービスの範囲(例えば、複合的な物流サー
ビスを提供できるかどうか)
コスト、料金水準
ソリューション提案力、物流企画力
同じ業種の物流を受託する経験の有無
経営者の意欲や意識
情報提供能力、情報システムの構築状況
従業員の職業倫理観やサービス精神
表20 委託先の物流専門事業者の選定を
担当する部門・部署(N=44)
部門・部署回答社数
16
13
7
5
5
0
0
0
4
物流部門
経営陣
営業部門
日本親会社の関係部門
調達部門
特別チーム(物流業務のアウトソーシン
グを推進するための特別チームなど)
各営業拠点
各生産拠点
その他(総務部門など)
最新報告
55 OCTOBER 2009
中国日系企業のロジスティクス実態調査
図29 完成品の平均在庫回転率(N=40)
3 回転以下
/年
19%
1/ 1000以上
30%
1/ 5000
以下
7%
1/ 10000以下
15%
8%
1/ 20000以下
1/ 50000
以下
20%
1/ 100000
以下
20%
3〜5 回転/年
20%
30 回転/年
17%
12%
8〜10 回転/年
12%
11〜15 回転/年
10%
6〜7 回転/年
20〜30 回転/年
5%
16〜20 回転/年
5%
図30 物流現場において、破損、紛失、
誤選、誤配、過不足などの品質問題やミ
スの概ね発生率(ミス・エラー商品の点
数÷取り扱い点数)(N=42)
図27 配送リードタイムの遵守率の比較
100%
80
70
60
50
40
30
20
10
0
(%)
98〜100% 95〜98% 90〜95% 90%以下
40
11
7
40
61
43
20
7 6
16
7
0 0
6
36
0 5 10 15 20 25 30 35
<70
70〜80
80〜85
85〜90
90〜95
95〜98
98〜100
100
0%
5%
0%
10%
9%
14%
31%
(%)
31%
図28 平均注文充足率(納品品目数と数量÷ 受注品目数と数量
×100%、Order Fill)(N=42)
委託先はすべて
日系物流企業
委託先はすべて
現地系物流企業
委託先は現地系
と日系を併用
図31 物流現場において、破損、紛失、誤選、誤配、過不
足などの品質問題やミスの概ね発生率の比
1/1000
以下
1/10000
以下
1/50000
以下
その他
50
40
30
20
10
0
(%)
25
29
33
25
29
25
50
42
33
0
9
0
委託先はすべて
日系物流企業
委託先はすべて
現地系物流企業
委託先は現地
系と日系を併用
0 10 20 30 40 50 60 70
<70
70〜80
80〜85
85〜90
90〜95
95〜98
98〜100
100
2%
0%
3%
7%
15%
10%
51%
12%
(%)
図26 配送リードタイムの遵守率(約束しているリードタイム内
に配送できる概ねの比率、On-Time Delivery) (N=42)
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