ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2009年11号
特集
第2部 コンペをやる理由・やらない理由

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

NOVEMBER 2009  18 て「Yes」と「No」で回答を求める。
もちろん Yesの回答が多ければ採用の確率は高くなる。
運 賃、本船の出港曜日を含めたリードタイムなどと併せ て評価する仕組みだ。
 ただし船社がYesと回答しても、実際に守られ るかどうかはわからない。
このため質問票の項目ご との達成率を各工場と販社が契約の中間期と終了前 に評価している。
結果はBICJが集計し翌年のビッ ドに反映する。
結果は船社にも伝え、中間期の評価 が基準に満たない場合は改善を求める。
 その一方でブラザー側でも業務改善を進めている。
物流業務全般で〇七年から工場で約一五〇項目、昨 年からは販社で約二〇〇項目に及ぶ改善活動を開始 した。
海上輸送では仕向地と仕出地での業務を標準 化し、船社の負担を軽減することで船社のコストと運 賃の低減を図っている。
やる理由 コープこうべ 専門業者の能力を活かす  コープこうべは無店舗事業(協同購入と個人宅配) で長年続けてきた物流・コールセンター業務の自前主 義を転換し、アウトソーシングを進めている。
ただし 「?丸投げ?にはならないよう、業者選定に当たって はRFPを作り込み、提案を競ってもらうコンペ方式 を採用している」と本木時久無店舗事業部・協同購 入ひまわり・業務改革推進チーム課長はいう。
 第一段階として〇二年から〇六年にかけて物流セン ターのアウトソーシングを実施し、低温物流拠点の運 営を菱食、常温物流拠点を国分に委託した。
その後、 電話と商品注文書(OCR)による注文の受注処理、 問い合わせに対する電話対応の委託作業に着手した。
 当時、それらの機能は二六カ所の地域デポに分散し コンペをやる理由・やらない理由  定期的なコンペの開催は、協力物流会社と依存関係に陥 ることを防いでくれる。
その一方、パートナーとの長期安 定的な関係は踏み込んだアウトソーシングを可能にする。
ど ちらが果たして有効なのか。
荷主企業の物流マネージャー にアウトソーシングの算盤勘定を尋ねた。
  (梶原幸絵) 第2 部 やる理由 ブラザー工業 分散管理をグローバルに統合  ブラザー工業は、二〇〇六年から毎年一回定期的 にグループ全体の海上輸送をまとめてグローバルビッ ドを行っている。
各国のグループ会社に分散し、個別 最適に陥っていた船社選定・評価機能を統合した。
 同社の物流は海上輸送が国際輸送の九五%を占め、 年間の物量はおよそ二万二〇〇〇FEUに上る。
こ のうち米州、アジア、日本向けなどの約三六〇航路 の管理を日本のブラザーインターナショナル(BIC J)に集約し、欧州向けを欧州統括会社のブラザーイ ンターナショナルヨーロッパ(BIE)に一元化した。
 その結果「運賃のレートが下がり、個別最適の改善 も見られたため、対象航路を広げながら毎年ビッドを 継続することにした」とBICJの山田一夫ロジス ティクス部部長はいう。
 工場と販社間の貿易条件は、各国の販社側で輸送 運賃などを負担するFOB(本船渡し)だ。
このた め以前は各販社が船社を選定し、出荷元の工場にブッ キング先を指定していた。
しかし各工場ではそれぞれ の販社の要望に合わせて船積み業務を行わなければな らず、大きな負担になっていた。
 そこで〇四年からBICJが一元化の検討を開始 した。
工場と販社の要望をまとめ、グループとしての 輸送要件、船社への要望事項やコスト方針を策定し、 ビッドを行うことにした。
欧州向けも同様にBIEに 集約した。
ルート別に船社が固定されたことで工場側 では船積みの処理が楽になった。
 同社のビッドの特徴は見積書のフォーマットにある。
船社に対する質問票を盛り込み、工場と販社の要望 に対応できるかについて、船社に八〇項目にわたっ 特 集 物流コンペのすべて 19  NOVEMBER 2009 ていた。
これを一カ所のコールセンターに集約して情 報システムの開発とセンターの運用をそれぞれ専門業 者に任せることにした。
RFPと評価基準を〇六年 一〇月から半年かけて大手専門業者の力も借りなが ら練り上げていった。
 コンペの参加社数は情報システムの開発が三社、セ ンターの運用が五社。
それぞれの提案を八項目で評価 し、コストに重み付けをした上で点数化した(図1)。
最終的にシステム開発は東芝、コールセンター運用は NTT西日本に決定した。
 物流業務もコールセンターも、自前の職員で対応す るより責任範囲を明確にした上で専門業者に任せた ほうが有効だという考え方に立っている。
物流ではセ ンターを委託する一方で、地域デポから顧客までの配 送は現在も七割以上を自前の職員が行っている。
顧 客との大事な接点として重視しているからだ。
コール センターでもNTT西日本への委託範囲は電話の受付 まで。
問い合わせに対する対応の判断は自社で行うこ とにしている。
 ここに至るまでの過程では、多くの時間とコストを 費やした。
本木課長は「コールセンターのトータルコ ストは以前と変わらないが、アウトソーシングは業務 の生産性と品質の向上に必要な投資と位置付けてい る。
この点で成功を収めたと考えている」と説明する。
今後はインターネット注文の受注処理などの機能も集 約していくという。
やる理由 ミズノ 長年のパートナーとも緊張感  スポーツ用品メーカーのミズノは、自社内で手掛け てきた物流を段階的にアウトソーシングしてきた。
現 在は東日本地区をカバーする「厚木ディストリビュー ションセンター(ADC、神奈川県)」、西日本地区の 「大阪ディストリビューションセンター(ODC、大阪 市)」の東西二カ所に基幹センターを置いている。
い ずれも運営は住友倉庫に委託している。
 
腺庁叩■錬庁辰箸發縫灰鵐擇蝋圓辰討い覆ぁ
住友 倉庫と長期にわたって緊密なパートナー関係を維持し ている。
住友倉庫との取引を開始したのは今から三 〇年前、一九七七年まで遡る。
当時、ミズノは商品 群ごとに自社倉庫を持ち、そこから小売店に配送し ていた。
それを徐々に住友倉庫に移管してきた。
 小売店の荷受け負担を軽減するため、東大阪市の 住友倉庫の営業倉庫内にDCを開設したのが一九八 四年のこと。
西日本地区の商品の保管・出荷業務を 住友倉庫に委託した。
 東日本地区の物流を再編し二〇〇〇年にADCを 設置したときも、東大阪DCでの実績を踏まえて住 友倉庫を選択した。
ADCの設置はミズノが保有する 土地を物流会社に売却し、物流会社が新センターを建 設して運営するという計画で、物流会社に投資負担 が求められた。
住友倉庫がそれに応えた。
 さらに昨年八月には老朽化した東大阪DCを移転 し、ODCを開設した。
これもやはり住友倉庫が専 用倉庫を建設し、引き続き運営を受託している。
 〇六年に着任し、ODCの開設計画を進めてきた ミズノの後藤好一物流サービス部部長は「ADCの誤 出荷率と欠品率はゼロに近い。
ODCも移転当初の 混乱が収まり、ADCのレベルに近づいてきている」 と住友倉庫のサービスレベルを高く評価している。
現 在、ADC、ODCともに誤出荷率と欠品率は一万 分の一未満。
特にADCは高い精度を維持しているた め、出荷先からはノー検品を許されるほどだという。
 ミズノにとって、住友倉庫の実績と安心感は大き ミズノの後藤好一部長 コープこうべの BICJの山田一夫部長 本木時久課長 運用コスト 図1 コールセンターの運用要求分類ごとの評価観点 レーダーチャートは各社ごとに強みと弱みを把握するために作成した ロケーション 提案書/ プレゼン マネジメント レベル オペレーション レベル 導入アプローチ /推進体制 サービス レベル保障 セキュリティ 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 い。
製品の知識や扱いノウハウも蓄積されている。
そ れでも後藤部長は「サービスレベルの向上とコスト削 減をさらに追求するために、今後はコンペも検討しな ければならないだろう。
我々にとってもリスクはある が、どこかで通らなければならない関門だ」とコンペ の必要性を感じている。
 二〇〇〇年に設置したADCは一〇年契約で来年 更新を迎える。
現在はその交渉の真っ最中だ。
いく ら長年のパートナーとはいえ、依存することは許され ないと後藤部長は覚悟している。
やらない理由 オンキヨー 国際輸送のビッドには物量が必要  「当社の現在の物量では、国際輸送でビッドを行う メリットはあまりない」と語るのはオンキヨーAVカ ンパニーの大塚鉄平営業管理部物流課物流企画担当 課長だ。
 オンキヨーは昨年九月にパソコンメーカーのソー テックを吸収合併したのを機に、国内外の物流統合・ 改革を進めている。
同社は事業分野別のカンパニー制 をしいており、物流管理機能は各カンパニーと関連会 社に分散している。
これを一元化する計画だ。
 その担当者として大塚担当課長は昨年六月、大手 フォワーダーからオンキヨーに転じ、国際物流の改革 に着手した。
今年七月にはマレーシア発日本向けオー ディオ製品の輸入物流を集約した。
従来は現地の倉庫 業務、海上輸送、航空輸送の管理が分散し、同じ業 務を複数の物流会社に委託している状態だった。
すべ て権限を物流課に集約し、協力会社を日本通運をメー ンにして阪急阪神エクスプレスを補完的に使うかたち に改めた(図2)。
集約によってコストは約二〇%低 減した。
ステータス情報もすべて日通から得られるた め、輸送計画の策定と変更が容易になった。
 集約に当たって、コンペやビッドは実施しなかった。
すべての業務を一社で運営できる物流会社であること、 生産拠点に近いペナンとクアラルンプールに拠点を持 つこと、移行時間を短縮するため現状取引している 物流業者であること、などを条件として、大塚担当 課長の業界知識を活かして決定した(図3、4)。
 一方、マレーシアで生産されたオーディオ製品は 世界各地に輸出されている。
特に販売量の多い欧米 向けはAVカンパニー海外営業部が船会社に対して ビッドを行い、年間契約を締結している。
これにつ いても今後は物流課に権限と管理業務を移管する方 向だ。
 大塚担当課長は日本向けでも欧米向けでも今後、 当面はビッドを行う考えはないという。
マレーシア発 日本向けの海上貨物量は約六〇〇TEU、欧米向け は計二〇〇〇TEU程度。
ビッドのメリットが得られ ないと判断している。
船会社と直接取引するにも物 量が少ないため、当面は小回りが利き、複数船社の 航路を組み合わせた輸送も可能なフォワーダーを利用 していくという。
 「いずれ物量が増えれば状況に合わせて検討をして いくことになるだろう。
物量が大きければ毎年ビッド を行うのも有効だ。
ただし協力会社を毎年切り替え るのはリスクが高い。
通関などの要所は業者を変えず、 輸送の部分だけうまく切り替えていくといったやり方 が必要になるだろう」と考えている。
やらない理由 サンアロマー 山九を物流部として位置付ける  ポリプロピレン専業メーカーのサンアロマーは、〇 三年から物流の企画・管理、実輸送・倉庫会社の選 NOVEMBER 2009  20 オンキヨーの 大塚鉄平担当課長 らでぃっしゅぼーやの 木船信義氏 サンアロマーの藤井能成 シニアマネージャー サンアロマーの半田康雄 シニアマネージャー マレーシア 海上輸送 日本通運 三井倉庫 マレーシア 側が決定 工場 物流センター 工場 物流センター 製 品:近鉄エクスプレス、日本通運、阪急阪神エク スプレス─日本側およびマレーシア側が決定 その他:近鉄エクスプレスーマレーシア側が決定 製 品:三菱倉庫─日本側が決定 その他:近鉄エクスプレス─マレーシア側が決定 海上・航空輸送 日本通運─ 日本側が決定 日本側が 決定 メーン:日本通運 補 完:阪急阪神エクスプレス 日 本 航空輸送 図2 マレーシア発日本向け輸入物流を集約した 特 集 物流コンペのすべて 定、安全確保まで含めたすべてを山九にアウトソーシ ングしている。
受発注や物流管理のためのシステム開 発も山九が行った。
販売計画、生産計画などを山九 に開示し、広汎な裁量権を与えている。
 山九はサンアロマーの物流部として機能し、サンア ロマーで物流を担当する社員はわずか二人にすぎない。
「これまで山九さんとは対等でウィン・ウィンの関係 を築いてきた。
この体制を変えるつもりはない」と サンアロマーの半田康雄サプライチェーン本部カスタ マーサービスグループシニアマネージャーは語る。
 山九のサービスの妥当性を検証するため、〇六年に は五年契約の期限切れをにらんで他の物流会社との 比較も行った。
コストと品質のトータルを検証した結 果、山九の競争力を極めて高いと判断し、一年ごと に契約を更新することにした。
 山九へのアウトソーシングの開始当初から今年三 月まで物流を担当してきたサンアロマーの藤井能成 サプライチェーン本部調達統括グループシニアマネー ジャーは「山九さんに任せていなければ当社の物流コ ストはもっと上がっていただろう。
燃油の上昇などの 環境変化も含めてトータルで数億単位の削減効果が出 たと認識している」と振り返る。
 藤井シニアマネージャーからバトンを渡された半田 シニアマネージャーは、これまでの六年間をアウト ソーシングの第一段階、今年からを第二段階と位置付 けている。
「第一段階では物流コストと安全の目標を 達成することができた。
第二段階では物流の視点か ら社内の営業部門、生産部門に改善を働きかけるよ うな提案をもっとしていきたい」という。
 山九とも、設定した目標が単年度では達成不可能 と判断すれば複数年契約も検討する考えだ。
その一 方で山九の競争力の検証も行っていくという。
やらない理由 らでぃっしゅぼーや 配送ドライバーは営業マン  有機野菜や無添加食品を会員向けに宅配するら でぃっしゅぼーやは、コンペやRFPという概念が入 り込む余地のない、緊密な関係を配送業者と築いてい る。
事業本部営業部営業企画課の木船信義氏は「配 送業者とは販売情報や配達情報を毎日交換し、毎週 のようにミーティングを行い、あたかも同じ会社のよ うに一体となって活動している」と語る。
 十一社の物流業者を配送代理店と位置付け、ドラ イバーにはらでぃっしゅぼーやの注文書や食器などの 回収から営業までを委託している。
このため全国五 カ所の物流センターの運営業者は物流担当部署が管理 するが、配送代理店は営業部が担当している。
 代理店に支払う料金は個建てではなく、商品の売 上金額に対するパーセンテージ。
市区町村ごとの平均 客単価に近距離、遠距離など四つの配送距離区分で それぞれ算出した一台当たりの総経費を併せて料率 を設定している。
ドライバーの営業活動を収入に公平 に反映する仕組みが確保されている。
 らでぃっしゅぼーやの会員数は順調に伸びており、 九月には会員数一〇万世帯を突破した。
営業の最前 線を担うドライバーに負うところも大きいという。
 ドライバーの教育には力を入れている。
配送代理店 の互助会「Radicle(ラディクル)の会」を通じて活 発な研修活動を展開してきた。
営業・物流品質の徹 底ばかりではなく、商品の生産者を訪問し、知識を 深めるといった研修を頻繁に行っている。
 これまで代理店の入れ替えは行っていない。
中には 撤退した業者もあるが、ドライバーと担当エリアは他 の配送代理店に引き継がせた。
21  NOVEMBER 2009 製品出荷時の集荷に際して、運送会社各社が配車し易い距 離にあり、かつ、輸入貨物搬入時に支障ない立地が条件 倉庫物流 入出荷・保管作業等の品質 適正な費用請求 国内輸送 集荷・配送の品質 時間管理 適正な費用請求 国際輸送 輸送の品質 情報提供の精度 適正な費用請求 事象対処能力 フレキシブルな対応力 情報提供力 精度とタイミングおよびスピード 事故発生率 運賃 競争力 料金 競争力 輸送 確実性と輸送能力(遅延なき輸送の提供) 接客態度 身だしなみ、言葉使い、立ち居振る舞い、挨拶 提案力 物流ニーズに対して、改善を含む有用な提案ができるか 行動力 特に担当者の行動力 図 3 物流会社の選定基準 図 4 物流業者の管理・評価方法 管理対象項目 国内倉庫国内運送国際物流 評価対象項目 主要製品の大半を海外生産に移管しているため、陸揚港お よび到着国際空港に隣接していること 繁忙期に臨時保管スペースを供給できること 適正料金の提示・適用 環境負荷低減が今後選定基準の優先事項となる 配送を依頼する地域において優位性を有していること 輸送時の事故や遅延がないこと 適正料金の提示・適用 環境面での具体的な選定基準を検討中 立地条件 対応能力 周辺環境 料金面 その他 配送能力 輸送品質 料金面 その他 運賃および輸出入付帯作業費が物流ニーズに対して適正であること 物流発生国・地域に現地法人会社もしくは駐在員事務所を 有しており、当該地での貨物取扱が可能であること 海上および航空輸送を一貫して単独で取扱可能であること

購読案内広告案内