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59 NOVEMBER 2009
佐高 信
経済評論家
『週刊ポスト』の九月一八日号が、竹中平蔵
が人材派遣大手のパソナグループ会長になって
「年俸一億円の独り勝ち」を報じている。 それ
にしても、息子に世襲させた小泉純一郎といい、
「改革」を掲げて、結局は自分の利益に結びつ
ける厚顔コンビには呆れる。
しかし、このコンビをいまだに信奉するメデ
ィアや読者がいるのだから、その愚かさには何
をか言わんやである。
総選挙の投開票日にテレビに出て、したり顔
に解説する竹中に、辛くも当選した自民党の江
藤拓はこう吐き捨てたという。
「われわれへの逆風の理由は、小泉構造改革
で生じた地方の衰退、貧富の格差に対する国民
の反発です。 その選挙戦の真っ只中、こんな再
就職を決めるなんて‥‥。 竹中氏は今は民間人
だから、『やめろ』とはいえないが、開いた口
がふさがりません」
竹中のこの強欲ぶりについては、九月八日付
の『東京新聞』も「こちら特捜部」で「究極
の天下り」と批判し、私もコメントを求められ
たので、こう言った。
後述するように、竹中は日本マクドナルドの
未公開株を、彼に言わせれば「適正な価格」で
購入したが、それを捉えて?マック竹中?とい
う綽名を進呈した私は、今度は?パソナ平蔵?
になったと皮肉り、次のように断罪したのである。
「郵政民営化に影響力を行使した後、かんぽ
の宿の一括譲渡を実現させようとしたオリック
スの宮内義彦会長と同じ。 自分が関わったとこ
ろで自分が利益を得るという構図は、まるで政
商ならぬ学商だ」
明治大学教授の高木勝の指摘も鋭い。
「自分が政治で関わった分野の企業に招かれ
ても、普通は受けない。 しかも特別顧問ならま
だしも、会長という企業経営のトップになると
いうのは大いに疑問。 法律違反ではないとして
も、道義的責任があるはずだ」
「かんぽの宿」の問題で、宮内の肩を持った『朝
日新聞』を私は『朝日?オリックス?新聞』と
呼び、同じ姿勢を竹中擁護で示す『日本経済新
聞』を『日経?竹中?新聞』とヤユしたが、『日
経』や『朝日(経済部)』に支えられて、竹中
はいまだに大きなツラをしていられるのである。
竹中は、これからはハンバーガーが伸びると
かいって、日本マクドナルドの社長、藤田田に
取り入り、「フジタ未来経営研究所」の理事長
に就任。
その縁で未公開株を手に入れた。 さすがに、
小泉内閣の閣僚となるに際して理事長を辞め、
大臣在任中は株取引はしないと言っていたが、
それは当然だろう。
あのリクルート事件では、同じく未公開株(リ
クルート・コスモス)を取得していただけの牛
尾治朗は経済同友会のポストを退いたし、東大
教授の公文俊平は外国に逃れることになった。
読売新聞や毎日新聞の幹部も、それで辞任に追
い込まれたのは、まだ記憶に新しい。
竹中は株取引を勧めていたが、こんなインサ
イダーまがいの手法で株を取得することを推奨
していたわけではあるまい。
それらが問題にならなかったのは、小泉内閣
のバカ人気の故でしかなかった。
竹中は『竹中教授のみんなの経済学』などを
出しているが、実は『自分だけがトクをする無
法経済学』を説いているのである。
この『特権経済学』を、同じようにそれを得
たい我利我利亡者が支持している。 竹中は知っ
たかぶりをする前に、元首相の橋本龍太郎の父
親の龍伍(元厚相)が、つねづね言っていた次
の言葉を頭に叩き込むべきだ。
「国家公務員にせよ、政治家にせよ、株は持
つべきではない。 公務員も、政治家も、一般の
者が手に入れることのできない情報にしょっち
ゅう接する。
その人間が株を持ってはいけない。 もし知っ
ている情報を使わなかったと言いはっても、あ
らぬ誤解を受ける」
竹中センセイ、オワカリデスカ。
究極の天下りで年俸一億円の?パソナ平蔵?
その『特権経済学』者を擁護する日経、朝日
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