ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2009年11号
物流不動産市場レポート
第26回 首都圏・関西圏

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

物流不動産市場レポート NOVEMBER 2009  76 設によって空室消化状況に格差がみられ始め ている。
 大型マルチテナント型物流施設の空室率は、 新規供給のピークを迎えた前年から供給が抑 制されたこともあり、需給バランスの改善が 期待された。
しかし、新規供給物件の空室消 化は必ずしも良好とはいえず、結果的に首都 圏の空室率は高い水準での推移となっている。
 テナントサイドの動向をみると、景気低迷に よる物量の減少により、引き続き動きは鈍い。
まとまった面積帯の引き合いはみられるもの の、求める賃料水準は一段と厳しくなってい る。
また、エリアによっては水面下における テナント誘致競争が激化しており、オーナーサ イドは契約条件に対して柔軟に対応すること により、需要を取り込むケースがみられるよ うになっている。
首都圏 既存施設で改善傾向  二〇〇九年九月期の首都圏の大型マルチテ ナント型物流施設の空室率は、前期(〇九年 六月期)比三・六ポイント上昇し、一九・九% となっている(図1)。
今期は、既存施設でま とまった面積の成約がみられたものの、三棟 がテナント未定のまま竣工を迎えたことや、前 期に竣工した施設の空室消化が進まなかった ことが空室率を押し上げる要因となっている。
 今後は、年内に一棟の新規供給が控えてい るものの、二〇一〇年以降については新規供 給は限定的なため、空室率が大きく悪化する ことは考えにくい。
 竣工年別の空室率をみると、竣工一年以上 の既存施設はまとまった面積の空室消化がみ られたこともあり、前期から改善を示した(図 2)。
既存施設については、時間を要しながら も順調に空室が消化される施設もみられてい る。
一方で、長期的にテナント誘致に苦戦す る施設もみられ、同一エリア内においても施 第26回 首都圏・関西圏 〇九年九月期(七月│九月)の空室率 首都圏は上昇も、既存施設は改善傾向 シービー・リチャードエリス総合研究所 鈴木公二 シニアコンサルタント 図1 首都圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率 03 06 09 12 03 06 09 12 03 06 09 12 03 06 09 12 03 06 09 12 03 06 09 2004 2005 2006 2007 2008 2009 24% 22% 20% 18% 16% 14% 12% 10% 8% 6% 4% 2% 0% 《空室率算出基準(調査棟数:48 棟)》 地域 千葉県・東京都・埼玉県・神奈川県 延床面積 
隠,000坪以上、 竣工 既竣工物件 空室確認方法 ヒアリングによる、 建物形態原則として、開発当時において複数テナント利用を前提として企 画・設計された建物であること。
今期首都圏で調査対象となった 48棟については、上記算出基準により抽出したものであり、必ず しも物流施設ストック全体の需給バランスを示したものではない。
10.1 10.4 5.0 4.6 3.1 11.7 9.5 9.1 7.5 9.6 8.1 5.1 8.4 8.9 7.7 5.3 16.4 18.0 14.5 15.0 13.6 16.3 19.9    77  NOVEMBER 2009 図4 関西圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率 図2 首都圏の竣工年別の空室率図3 首都圏の稼働床面積(指数) 300 280 260 240 220 200 180 160 140 120 100 03 06 09 12 03 06 09 12 03 06 09 12 03 06 09 12 03 06 09 12 03 06 09 2004 2005 2006 2007 2008 2009 24% 22% 20% 18% 16% 14% 12% 10% 8% 6% 4% 2% 0% 09 12 03 06 09 12 03 06 09 12 03 06 09 2006 2007 2008 2009 35% 30% 25% 20% 15% 10% 5% 0% 図5 関西圏の竣工年別の空室率 09 12 03 06 09 12 03 06 09 12 03 06 09 2006 2007 2008 2009 35% 30% 25% 20% 15% 10% 5% 0% 図6 関西圏の稼働床面積(指数) 09 12 03 06 09 12 03 06 09 12 03 06 09 2006 2007 2008 2009 350 300 250 200 150 100 03 06 09 12 03 06 09 12 03 06 09 12 03 06 09 12 03 06 09 12 03 06 09 2004 2005 2006 2007 2008 2009 《空室率算出基準(調査棟数:12棟)》 地域 大阪府、兵庫県 延床面積 
隠,000坪以上 竣工 既竣工物件 空室確認方法 ヒアリングによる、 建物形態原則として、開発当時において複数テナント利用を前提として企 画・設計された建物であること。
今期関西圏で調査対象となった 12棟については上記算出基準により抽出したものであり、必ずし も物流施設ストック全体の需給バランスを示したものではない。
6.4 16.6 15.4 9.4 25.5 26.1 30.6 25.7 21.4 18.3 17.6 空室率(全サンプル) 空室率(竣工1 年以上) 空室率(全サンプル) 空室率(竣工 1 年以上) ※竣工1年以上の施設は、調査時点において竣工後1年以上を経過して いる施設の集計値 ※竣工1年以上の施設は、調査時点において竣工後1年以上を経過して いる施設の集計値 ※各期における稼働床面積の合計を、2004年3月期を100とし指数化 ※各期における稼働床面積の合計を06年9月期を100とし指数化 16.5 21.7 稼働床指数(06 年9 月期=100) 稼稼働床指数 (04 年3 月期=100) 出所:すべてシービー・リチャードエリス総合研究所  マーケット規模を判断する材料として稼働 床面積(指数)の推移をみると、プラスでの 推移となっており、引き続きマーケットの拡大 がみられた(図3)。
今期は、空室が大きく消 化された既存施設もみられたが、同一エリア 内での移転によるものもみられ、結果的に全 体の稼働床面積は小幅な増加にとどまる結果 となっている。
関西圏 空室率四・一ポイント低下  〇九年九月期の関西圏の大型マルチテナン ト型物流施設の空室率は、前期比四・一ポイ ント低下し、一七・六%となっている(図4)。
今期も新規供給がなかったことや、既存施設 の空室消化が比較的進んだことで、空室率は 改善傾向をみせている。
テナントサイドの動向 としては、景気低迷の影響を受け、全般的に 動きは鈍いため需要が顕在化しにくく、賃料 等の契約条件についても求める水準は厳しさ を増している。
 竣工年別の空室率をみると、既存施設でま とまった面積の成約があったため、竣工一年 以上の空室率は低下している(図5)。
全般的 に厳しい市況環境ではあるが、既存施設につ いては時間をかけながらも空室は消化される 傾向をみせている。
 マーケット規模の判断材料として、稼働床 面積(指数)の推移をみると、前期は短期契 約の終了等があり減少を示したが、今期は目 立ったテナントの流出などがみられず、再度 増加をみせマーケットの拡大がみられている (図6)。

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