ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2010年1号
特集
第2部 公的助成金・支援制度活用ガイド アンケート調査 公的支援は役に立ったか

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

●低公害車の導入でCO2排出量の削減や、運行車 両の大型化による車両の燃費向上により、CO 2排出量の大幅な削減を行うことに役立ちました (中小物流) ●効率的な配送を行うことが経費節減のみならず、 環境負荷低減につながることを運送会社とともに 認識を新たにすることができた(倉庫) ●補助金の利用自体は役に立つものであるが、いか に補助金の募集時期に合わせるか、必要設備は何 か、導入可能な時期との兼ね合いなどで荷主との 調整が難しく、使いづらい面がある(大手港湾物 流) ●物流部門の取り組みに対する社内評価が変わった。
顧客からも好印象で営業活動に寄与できた(化学 メーカー) ●モーダルシフトの推進に必要な港湾荷役設備の導 入に役立った(港湾) ●NEDOの対応が余りにも実態とかけ離れており、 認定を依頼した事項を最終的には取り下げた。
役 に立ったとは言えない(化学メーカー) ●実施にいたらなかった為、役に立ったとも立たな かったとも言えません(飲料メーカー) ●補助により当社の投資が抑えられ、幹部の承認を 得ることができた(電機メーカー) Q. 政府支援・補助制度の意義は? ●もし政府支援、補助制度がなかったと仮定すると、 なかなかここまで真剣に新規輸送方式開発に取り 組まなかったと思われる(環境物流) ●環境負荷への投資はコスト増となり、収益を悪化 させるので、補助制度がなければ取り組みが進め づらい(鉄鋼メーカー) ●中小企業においては、設備投資の面で大変苦労 している。
経営面で大変助かっております(一 般運送) ●環境負荷低減への取り組みで発生する経費負担や 事務負担に対する政府支援・補助制度があること で、より高い意識をもって取り組んでいけると思 う(大手倉庫) ●物流部門の環境負荷低減策には高額な投資が伴 い、行政のバックアップが必要(大手化学品) ●企業にとって環境に対する設備投資は大きな負担 であり、支援・補助金は大いに助かる。
また、物 流事業者と荷主の共同申請は両者が業務責任を持 つとともに、環境意識を高める意義は大きい(大 手港湾物流) ●環境負荷低減活動は必ずしもコストが下がる場合 だけではない。
コストアップする場合などは、政 府支援・補助制度があれば活動に加速する(電機 メーカー) ●制度があることでスキーム作成や改善・提案の動 機付けとなる。
また、イニシャルコストの問題で 手が付けられなかった案件も前向きに検討できる (通販物流) ●新規事業を計画推進中だが、特に新規荷主の獲 得が難しい。
貨物量が不安定であり、作業を含め、 輸送量の確保に苦労している。
費用補助を頂き安 定輸送ができれば貨物も増えてくると思う(内航 海運) JANUARY 2010  20 公的支援は役に立ったか 第2部公的助成金・支援制度活用ガイド 役に立たなかった 6% とても役に 立った 44% 役に立った 42% それほど役に 立たなかった 6% Q. 利用した制度は取り組み の推進に役立ちましたか?  グリーン物流パートナーシップ会議および物流総合効 率化法の制度支援を受けた事業所は、2005年度から07 年度の3年間だけでも500事業所以上に上っている。
支 援を受けるコツはあるのか。
苦労した点は何だったか。
支援は本当に役に立ったのか。
各社にアンケート調査を 送付して匿名で意見を求めた。
     (本誌編集部) 特集 Q. 制度利用の認定を受けること が出来た理由、あるいは認定を受 けるために重要と思われる点を挙 げるとすれば? ●荷主とのパートナーシップ(お客様 ならびに協力会社やパートナーを組 む同業他社との連携・意思統一)、荷 主の業務検討にあたり補助金利用を 提案して成約させること。
3PL事 業者は補助金利用の検討にあたり多 様な知識・方法を知っておく必要が ある(3PL) ●理由─他企業に先駆けたシステムを 構築、重要な点─システム構築には 複数の企業が参加しており、全体 を取りまとめるプランニングが重要 (化学メーカー) ●環境負荷数値の測定・削減へのコン セプトが他社とは全く違ったアプロ ーチで提案したため(コンサルティ ング) ●制度の趣旨にぴったりの事業を検討 していた。
また最良のパートナーと 出会えたため。
担当の運輸局、経済 産業局のご協力やコンサルタントの 助言を参考にした(物流子会社) ●自社のみならず業界全体で抱える課 題への解決に先進的な仕組みを持っ て臨んだ計画であった点(食品卸) ●認定要件を満たすため時間と労力を 費やしたこと(特積運送) ●認定前に担当の業務課へ良く内容を 相談すること(低温倉庫) ●「拠点集約(輸送網の集約)」は、投 Q. 一連の手続きの中で苦労した ことは? ●事業開始のタイミングと補助金交付 の認定のタイミングを一致させなけ ればならなかったこと。
認定以降に 契約を実施しなければならなかった ので、意欲を持った会社でもタイミ ングが合わず、事業そのものを諦め た会社もあったのでは(環境物流) ●パートナーシップ企業が六社もあり、 期限等までに文書作成の上に各社の 印をもらうのが遠隔地で大変であっ た(一般運送) ●倉庫施設竣工前に総合効率化計画 認定を受ける必要がある。
多くの顧 客を対象とする営業倉庫の場合、既 存荷主のみでは竣工直後の新規倉 庫施設の営業面積を埋めることが困 難。
倉庫施設全体を対象として総 合効率化計画認定を受けようとする と、営業折衝中の荷主を外しての想 定となり、計画を実施後の乖離が大 きくなる(倉庫大手) ●補助金交付期間と設備投資の発生 および完工(検収)の整合性維持。
年度内に発注、年度内の検収は、生 産設備を含めた補助金制度には合致 しない(化学メーカー) ●定期的な効果検証報告。
年月を経る につれ、事業策定時と各報告時との 物流環境的な前提条件・与件が大き く変わってしまう場合が多い。
導入 効果が表れているのは間違いないの だが、「事業策定時と比較して」の 資額は大きいものの、案件としては 難易度が低いテーマ。
実施後の運用 も、共同輸配送、モーダルシフトに 比べれば、特別な労力も不要(建設 資材メーカー) ●国の補助制度は認定が難しいと思っ ていたが、担当者の親切なアドバイ スで申請する気持ち、やる気になっ た(一般運送) ●輸送量が確保できる見通しが固い、 営業担当の熱意・お客様の熱意、社 会的要請に応える荷主様の姿勢、法 的規制対応への企業内周知、申請書 類作成・報告書類作成等・三位一体 となった担当者の事務処理能力、押 印事務の簡素化(利用運送) ●NEDOへの対応方法を事前に詳細 に確認すること(化学メーカー) ●荷主の方策を相対的に理解し、利便 性を説いて賛同を得て、積極的に推 進する必要がある(建材メーカー) ●荷主から強力な指導があった(物流 子会社) ●他社の事例にない先進的な取り組み であった。
物流全体で事例が水平展 開出来る内容かどうかが大事(電気 メーカー) ●荷主が工場の集約化をしたいとこ ろへ当社の3PLの提案が合致した (一般運送) ●コンセプトがはっきりしており、政 府政策に合った事業であること。
モ ーダルシフトによるCO2削減と静 脈物流を大量輸送することでのリサ イクル化、コスト低減(内航海運) 純粋な成果数値算出に工数を要して いる(食品卸) ●特殊な設備にも関わらず、全て三者 見積もりが必要なこと。
(物流大手) ●市街化調整区域における開発許可。
その自治体の適用第一号であり、自 治体が不慣れで認定までに時間を要 した(建築資材メーカー) ●期日厳守、書類整え、押印、受け 入れ窓口の少なさ、工事発注日とN EDO承認日の整合。
不整合は非承 認になる(利用運送) ●NEDOの対応が担当者によって違 う点。
経済環境に連動していない制 度の対応。
当初の申請の数量がリー マンショックにより達成することが できなかったが、それを認めない姿 勢(化学メーカー) ●国土交通省とNEDOへ提出する書 類が異なるため作成に手間がかかる。
(3PL) ●補助交付申請書作成、確定検査、実 績報告、代表者変更等の資料を作 成するのに、グリーン物流パートナ ーシップ各社の代表者の押印が必要 で、地理的にも負担が大きくまた、 中小企業と大企業との協同で提出し たので、毎回押印を頂くのに苦労し た(電気メーカー) ●荷主の物流情報開示に対して、理解 を得づらい場合がある(港湾) ●制度が単年度単位であり、投資案件 にはなじまない。
中小企業は銀行借 入で投資を行う制度利用では補助金 が活用できない(内航海運) 21  JANUARY 2010 JANUARY 2010  22 Q. 今後、行政にはどのような支援・補助制 度を期待しますか? ●政府、県、市等、それぞれに制度を設けているケ ースがあるが、趣旨が同じであれば統一制度にす る方が効果があると考える(3PL) ●化石燃料の価格の安定に対する制度の導入と低公 害車導入へのさらなる補助制度の拡大。
モーダル シフトに対しての鉄道・フェリー輸送の整備を期 待します(特積) ●?募集時期の制約をなくすこと(ほとんどの一次 募集が四月初旬、各補助金が同じ時期に募集がか かることが多い)※例:グリーン物流パートナー シップと営業倉庫・トラックターミナルの設備導 入の募集。
?期間の制約を緩和すること(補助 金募集〜決定後翌年一月までに終了させなけれ ばならないのは厳しい)。
?汎用的な補助金の設 定(開始・終了時期の自由化:荷主の業務改善 ニーズに合わせた補助金の利用)。
?単なる設備 増強にも使用可能な補助金の設定(現状、パート ナーシップは全くの新規であることが必要、営業 倉庫・トラックターミナルの設備導入は完全な置 き換え《従来のものは破棄》であることが必要)。
?物流総合効率化法の利用は自社倉庫(ただし SPCは不可)でなければならないが、賃借倉庫 への適用範囲拡大(3PL事業者にとって賃借倉 庫のニーズは高く、またノンアセット型3PLも 増えているのが現状)(3PL) ●今回、協同申請して倉庫業の当社は税制上の優遇 措置を受けられたが、協同申請者の運送業者二者 については優遇措置が特に設けられていなかった。
協同申請者にも何らかのメリットがあるような支 援・補助制度を期待します(倉庫大手) ●単独(一社)でのCO2削減補助、新技術導入補 助の拡大(食品メーカー) ●規制強化は必須。
その上で補助金制度を充実させ なければ実質的な成果を上げることは困難(コン サルティング) ●事業推進者への経費面の支援・援助のみならず、 特定企業単独では実現困難なインフラ構築に、こ れまで以上の協力を仰ぎたい(食品卸) ●大企業だけでなく中小企業も受けやすい制度や手 続きを望む。
また、初期のみの支援・補助ではな く、買い替えや修繕など継続して運用するために 必要な投資への枠の拡大を望む(一般運送) ●冷凍コンテナのメンテナンス費用補助、大型コンテ ナ荷役用トップリフターへのセンサー導入経費補 助、エアサスペンション方式貨車の拡大導入補助、 鉄道輸送のウイークポイントである輸送障害時の 緊急代行輸送システム構築に伴う経費負担等、鉄 道事業者の行う環境負荷低減事業への国庫負担 (利用運送) ●事後の申請が認められるようになれば、申請件数、 利用も拡がると考える(倉庫大手) ●モーダルシフトの推進に対する補助金等のインセ ンティブ。
トラックから鉄道にモーダルシフトする 場合において、コスト的に厳しい場合がある。
ト ラックと比較して鉄道コストが同等になるような 支援策を期待する(3PL) ●現在の制度では、単年度の設備投資が主体である が、複数年度にわたる投資等についても、支援し ていただけると助かります(港湾) ●四五 ft コンテナの輸送を可能に。
鉄道輸送のバリ エーション(四〇 ft 等可能に)。
港までの輸送を 可能に。
共同物流への支援(建設機械メーカー) ●許認可の規制緩和拡大。
実用化に向けた補助制度 の確認(例えば、実用費用の五〇%補助化── 軌道に乗るまでの間)(内航海運) ●静脈物流に関係する廃棄法上や港湾関係の手続き の簡素化、規制緩和(コンサルタント) その他 13% 政府広報 24% 一般紙・誌 による報道 4% インターネットでの検索 12% コンサルタント等 専門家のアドバイス 6% 業界紙・誌 による報道 業界団体による 15% 情報提供 25% 知人からの口コミ 1% その他 10% とどまっている 4% 一部実用化している 10% 実用化を検討している 8% 実用化したものの、 現在は運用を 停止している 2% 実証実験レベルに 実用化し 定着している 66% Q. 認定を受けた事業はその後定着していますか? Q. 利用した制度のことを、何で知りましたか? 特集 23  JANUARY 2010 ●制度として設けられたものは、活用することで制 度の目的に貢献できる(3PL) ●今後も利用していきたい。
ただし、NEDOとの 関連では、ペーパー類を簡素化すれば、更に一層 制度利用が促進されるのではと思慮します(環境 物流) ●更に環境負荷低減に向けた取り組みが社会的に望 まれている中で、是非積極的に利用していきたい (農協) ●環境負荷低減を考えて倉庫施設設備を実施するこ とが今後必要になってくるので、各種支援・補助 制度を活用して、できる限り経費負担を少なくし て倉庫施設整備を図りたい(大手倉庫) ●申請から実施まで期間的な制限があり、社内の取 り組みとのタイミングが難しく利用しがたい(物 流子会社) ●物流CO2削減を実施したいが、費用負担が大き いので、今後も支援補助制度利用して推進してい きたい(電機子会社) ●当組合事業において活用できるメニューがあれば 検討する(港湾) ●行政・業界の方向性や顧客ニーズにより判断して いきたい(コンサルティング) Q. その他意見があればご自由に ●企業努力に見合った制度が良い。
自助努力のない ところへの支援・補助制度は業界の体力を弱める だけとなるのではないか(3PL) ●支援補助制度の手続き等、簡素化が必要。
効率 の良い運用方法で成果が上がるやり方を必要とす る(家具メーカー) ●申請〜承認までの期限をできるだけ短くしてほし い(鉄鋼メーカー) ●申請に関する書類の簡素化と、提出書類枚数と種 類の削減をお願いします(特積) ●景気変動など外的要因による物流減少にともない 効果的な量の不足となり、補助金申請当時の計画 を達成できなくなる事象が発生している。
そのた め、弊社関係でも荷主側との調整の上、補助金 認定もしくは申請の取り下げが実際に起きている。
補助金支給が一〇〇かゼロかではなく、効果量に 応じた金額に減額したり、効果確認期間延長など 柔軟な制度にしていただきたい(3PL) ●建物のうち、一部が港湾運送事業の施設となって いたため、この部分について倉庫業としての総合 効率化計画認定が受けられなかった。
港湾運送事 業では特定荷主の貨物だけを取り扱うわけではな く、倉庫業の建物の一部を使用しているだけの取 扱では物量が少なくCO2削減割合が低いものし かできず、認定が受けられなかった。
倉庫業、港 湾運送事業の両方をまとめ上げた形で総合効率 化計画認定を受けることは困難なのでしょうか? (倉庫大手) ●今後、導入する設備は増エネとならないよう「ス クラップ・アンド・ビルド」が原則となっているが、 現有設備のスクラップ化は困難(化学メーカー) ●いわゆるお役所仕事でなく、官民が一体となれる プロジェクトなど、現場目線でお願いしたい(飲 料メーカー) ●政府が掲げた目標を企業に義務化するのであれば、 支援・補助制度など、国のバックアップ体制も今 以上に充実すべき(一般運送) ●NEDO絡みのものは、申請段階と事業実施段 階と、時期の縛りが二度あり、制約が大きく使い づらい(建材メーカー) ●各種の補助、支援制度がありますが、仕分け作業 ではありませんが、取捨選択が必要でしょう(一 般運送) ●申請書類の簡素化、承認までの所要日数短縮、期 限を区切らない申請事業の受付(利用運送) ●鉄道モーダルシフト普及の鍵として、「三一 ft コン テナ」の活用がある。
トラック輸送と同様な荷扱 いが可能であることが魅力だが、現状は私有コン テナしか無く、往復輸送が原則となっている。
五 tコンテナのようにワンウェイ運行を可能にして ほしい(3PL) ●申請等の審査は厳しいものですが、その後のフォ ローが甘いような気がします(物流子会社) ●補助制度は大企業が専門社員で申請しているが、 中小企業は申請書の記入方法等がよく理解できな くて、申請のチャンスを失うことになっているの で、指導していただけるアドバイザーを増やす必 要がある(電気メーカー) ●補助金制度が企業に浸透しない(一般運送) ●環境負荷低減への取り組みは最大限必要とは思わ れますが、法的規制が入ってくると、現場にお いては、仕事の幅が狭まれたり、経営負担が加 わってきます。
皆で守らないといけない地球です。
多くの人が環境負荷低減へ取り組みやすいように、 規制にしても支援にしても配慮をお願いしたいと ころです(設備販売) ●検討以外の手続き等の負担を軽減していただくと 補助制度を利用しやすい(コンサルタント) 利用する つもりはない 14% 積極的に利用していきたい 86% Q. 政府の支援制度を今後も利 用しますか?

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