2010年2月号
米3PL研究
米3PL研究
第2回 景気変動の影響と対応策
JANUARY 2010 68
景気変動の影響と対応策
本稿は大手コンサルタントのキャップジェミ
ニ・コンサルティングが毎年行っている3P
Lに関する調査報告「the 2009 Fourteenth
Annual Third-Party Logistics study」のほぼ
全文を、同社の許可を得て本誌が翻訳したも
のである。
北米で運送会社三〇〇〇社が倒産。
一万 本以上の海上コンテナが放置。
増える工場閉 鎖。
貸し渋りと高金利。
破綻の瀬戸際に追い つめられるサプライヤー。
消費者は財布のひ もを締め、いっそう価格にシビアに。
少しは 明るい兆しも垣間見えるとはいえ、いまだ不 安定要素が遍在している。
不況ほどサプライチェーンの脆弱さを浮き 彫りにするものはない。
弱気の見通し、需要 変動に対する柔軟性の欠如、キャッシュフロ ー不足などは、サプライチェーンのオペレーシ ョンに深刻な影響を与える要因の代表例だ。
荷主は運送業者への締めつけ強化から直接 の競合先との共同配送にいたるまで、あらゆ る方法を用いての危機対応を余儀なくされて いる。
流れに身をまかせて嵐の過ぎ去るのを 待つ荷主がいる一方、サプライチェーンに柔 軟性と弾力性(レジリエンス)を導入する好 機ととらえる荷主もいる。
願わくは景気回復 の暁に競合他社のシェアを奪って以前より強 固な地位を、というわけである。
「勝ち組と負け組、優勝劣敗がはっきりす るだろう」オーストラリア・ロジスティクス・ カウンシル(ALC)のハル・モリスCEO はそう断言する。
連載二回目となる今回の主題は景気変動の ダイナミクスを解明することである。
もっとも 難しい局面とは? 企業の生き残り戦略は? 3PLは顧客に対してなにができるのか? サプライチェーンの課題 不況下のサプライチェーン運営でもっとも 難しいのは需要予測であり、回答者の七一% がそれに同意している。
たとえば、消費者の 多くは商品への思い入れが少しでも低下する と、割安なプライベートブランド品へあっさり 乗り換えてしまう。
しかし魅力的な商品レポ ートが登場するなどの予測し難い要因により、 そのベクトルがまったく逆向きになることも ある。
他には燃料価格の不安定性、サプライチェ ーンにおける過剰在庫、為替レートの変動、 サプライヤーの破綻リスクなどがある。
関税 や労働賃金の規制など政府による介入も、サ プライチェーン運営の足枷となる。
大手3P Lパナルピナのモニカ・ライバーCEOは次の ように言う。
「物量と燃料価格が激しく乱高 下する非常に不安定なロジスティクス市場に あって、パナルピナのノンアセット型のビジネ スモデルはとても有効である。
なぜならそれ により我々はこうした事態に柔軟に対応でき るからだ」 また、景気後退下で3PLがもっとも困難 世界同時不況に直面し、荷主はどのような対策を打っ ているのか。
それによってアウトソーシングの方針はど う変わるのか。
3PLはどう対応すべきか。
グローバル 企業に対する広範なアンケート調査から、現在の景気変 動が3PL市場に与えている影響を分析する。
第2回 69 JANUARY 2010 を感じていることは、需要予測の難しさ(七 一%)とサプライヤーの破綻リスク(四五%) である。
「3PLは在庫回転率が課金システ ムのベースとなっているため、不況の影響が 深刻だ」──3PLのプリズム・チーム・サ ービスで営業開発ディレクターを務めるジェレ ミー・ヴァン・プフェレンはそう述べる。
進むべき方向は必ずしも明らかになっては いない。
ある企業では固定費の変動費化を目 論んでバージ(小型内航用輸送船)を売却し、 売却先からその都度船をチャーターする体制 に切り替えた。
ところがその新たな持ち主の経営が悪化し た。
しかもバージには数多くの担保権が設定 されていたため、その持ち主は適当な業者に 売り渡すこともできなかった。
結局のところ、 その荷主はトラックと鉄道にシフトせざるを えなくなったのである。
荷主企業の不況対策 この不況を乗り切るため、どの企業もあら ゆる対策を模索している。
ある回答者は次の ようにいう。
「なにもしないという選択肢な どありえない。
事態を認識して対応するのが 早ければ早いほど、そこから抜け出すのも早 くなる」 図2は各種の不況対策と、その対策を講じ る上で3PLを活用するかどうかを尋ねた結 果である。
■オペレーション・コストの削減 荷主の不況対策は千差万別だが、共通する ことが一つある。
それはキャッシュが何より大 事だという認識である。
対策の中でもっとも 多く、八二%がオペレーション・コストの削 減を不況への対応策として挙げている。
社内 で発生する費用を減らす場合、大抵は解雇・ 在庫削減・SKU(在庫保管単位)の合理化 といった手法がとられる。
ただしこうした対策は、それがあたえる影 響を充分に認識した上で行われなければならな い。
同業者間で商品を融通し合うことは、知 られてきてはいるがまだ本格化 していないコスト削減策の一つ である。
セメント大手のホルシ ム(US)でロジスティクスとサ プライチェーン部門を率いるセバ スチャン・セイファースは、同 業界では同業者間の商品の融通 が、炭素排出量とコストを削減 するための一般的な慣行になっ ているとしている。
■需要予測と在庫管理の改善 在庫の不足や過剰という事態 を回避するため、荷主は需要予 測と在庫管理の改善に力を入れ 図1 不況下のサプライチェーン運営上難しいこと 71 47 46 46 45 30 23 19 11 4 需要予測の難しさ 燃料価格の不安定性 サプライチェーン上の 過剰在庫 為替相場の 不安定性 サプライヤーの 破綻リスク 物価(燃料以外)の 不安定性 改善を行うための 資金確保 企業規模縮小による サプライチェーン・スキルの劣化 労働賃金の不安定性 その他 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 図2 荷主による不況対策とどの対策に3PL を活用するか オペレーション・コストの削減 需要予測と在庫管理の改善 サプライヤーとの契約見直し サプライチェーン・ ネットワークの再編 オーダー・トゥ・キャッシュ (受注から入金まで)のサイクル短縮 新市場の開拓/新製品の投入 固定費の変動費化 製品カタログの合理化 コアコンピタンスへの再編成 製造委託など プライス・ヘッジングの実施 何もしない その他 この対策を実施している3PL の活用を増やす 顧客サービスレベルの 引き下げ 82 39 77 14 66 61 48 60 56 56 42 59 42 39 38 29 40 24 8 9 9 5 1 15 20 8 17 24 0% 20% 40% 60% 80% 100% FEBRUARY 2010 70 始めている(七七%)。
事前に準備や対策を 講じたり景気回復の予兆をとらえるためには、 需要予測に力を入れることが最善の方法であ る。
■サプライヤーとの契約見直し 三番目に多いのはサプライヤーとの契約見 直しと、3PLの数を絞り込むことである。
ある企業は二〇〇社を超えるサプライヤーを 一同に集め、今後は進んで値引きに応じる先 とだけ付き合いを継続すると言い渡した。
担当者は次のように述べる。
「我々はサプラ イヤーの数を絞って低価格を引き出した。
一 方で残ったサプライヤーは、より多くの物量 と売り上げを確保した。
そうやってわが社は 二ケタ台のコスト削減を成し遂げた」 別のケースでは「我々の経験では、ただ単 にお願いをした場合に得られた値引きは五% だった。
ところが『RFP(提案依頼書)』を 送ったところ、仕事量が減るのを恐れてのこ とか、二〇%もの値引きとなった」という声 もある。
しかし長い目で見ると、景気が回復してキ ャパシティに余裕がなくなり、3PLが荷主 に対して有利な立場になった場合、そうした 戦略は裏目に出ると予想される。
たとえば玩具大手のレゴ・システム(LE GO)では早い時期から3PLにアウトソーシ ングしてきたが、同社のグローバル・ディス トリビューション・ロジスティクスの責任者 は「3PLとはしのぎを削るのではなく、お クウェル・オートメーションにおける在庫削 減は、まず在庫データベースの分析から始ま った。
その結果、二万四〇〇〇あるパーツの うちの六〇〇〇で売り上げの八割以上を占め ていることが判明した。
そこでその中からさ らに五〇〇〇パーツを選び、バイヤーの目を 引くようおすすめ品として前面に打ち出した。
「このデータを顧客やアカウントマネージャ ーに公表した結果、当該品の発注量が増えて リードタイムも短くなった」と、サプライチェ ーン/顧客サービス担当のジュースト・リー ムスラグは述べる。
「これらのパーツに焦点を 当てることにより、部分的には在庫金額を三 〇%下げることができた」という。
■固定費の変動費化 前述のバージ売却のケースでは奏功しなか ったが、固定費の変動費化を挙げる荷主は四 二%に上る。
ロジスティクス機能の3PLへ のアウトソーシングや、新しい技術を導入す る際のSaaSやペイ・パー・ユース(従量 制)モデル活用などがその例である。
3PL の利用を増やすと答えた割合がもっとも多か ったのはこの項目である(五九%)。
変動費化のもう一つの方法としては、荷主 自身の3PL化がある。
景気後退を受け、余 分なキャパシティを最小化させるべく、自社 保有車両の外部への貸し出しや他企業商品の 保管、3PLに預けていた商品の自社配送セ ンターへの取り込みなど、固定費の有効活用 に乗り出した米国の小売業の例もある。
互いに協力しあうことが不可欠であると思い 知らされた」と語っている。
■新市場の開拓/新製品の投入 グローバル展開をする上で、荷主の多くは 3PLの力に期待している。
通常3PLは 地域の事情に精通し、グローバル取引につい ての専門知識を持ち、コンプライアンスその 他の機能も備えている。
新市場の開拓と新製 品の投入については、荷主が3PLの利用を 増やすと答えた割合が二番目に多かった(五 六%)。
■ネットワークの再編成 サプライチェーン・ネットワークの再編(六 一%)とは、倉庫の統廃合、リバースロジス ティクスの活用、輸送時間短縮と確実性向上 を目的とした近隣地域での調達などを指す。
投資効率改善を目的としてサプライチェーン を再構築することは、3PL利用の増加理由 として三番目に多い。
現状のオペレーションを批判的に点検し無 駄を排除するのに、今回の世界的不況はよい 機会である。
また、サプライチェーンを最大 需要に合わせるのではなく平均値に合わせて 設計し、需要の振幅は3PLその他のプロバ イダーとの協力関係によって吸収してリスク を軽減すべきだという意見もあった。
■製品カタログの合理化 在庫とサプライチェーン・コストを削減す るため、四二%の荷主が製品カタログの合理 化を実施している。
電子部品メーカーのロッ 71 FEBRUARY 2010 ■創造性の発揮 この不況を奇貨として自分たちのサプライ チェーンを見直す動きもある。
生花の輸出を 営むウェッセル・エクスポートは、南アフリ カから消費地まで生花をリーファーコンテナ (定温コンテナ)で運ぶためのフィージビリテ ィスタディを行っている。
「現在、どの花が その方法で運搬可能かを探っている。
これは 我々に意識革命を迫るものだ」と同社のキー ズ・ギシェラーは語る。
■3PLとの関係改善 3PLをもっと頼りになるパートナーとし て位置付ける。
たとえば、3PLは顧客の在 庫価値を見直すことやネットワークの再構築 などに協力することができる。
図3にあるように、3PL側の不況対策で いちばん多いのはオペレーション・コストの削 減で(八九%)、それに続くのが新市場の開 拓と新製品の投入(五九%)、サプライヤーと の契約見直し(五八%)である。
3PLの役割 こうした対策を実行するのに、荷主はあき らかに3PLを不可欠の要素と考えている。
図 2でみたように、固定費を変動費化するのに 六〇%以上が3PLを活用すると答えている。
荷主が3PLの活用を見込んでいる対策と しては他に、新市場の開拓と新製品の投入 (五六%)、サプライチェーン・ネットワーク の再構築(四八%)、製造委託やさまざまなビ ジネスプロセスのアウトソーシング(四〇%) などがある。
前出ALCのハル・モリスは荷主に対し、 サプライチェーンの無駄なアセットを無くすた めだけではなく、リスクをシェアしたりフレ キシビリティを増やすためにも、3PLの活 用をもっと増やすべきだと説いている。
図2に挙げられた対策の中に、3PL利用 を積極的に減らすことにつながる要因は認め られない。
大半の対策について、荷主は3P L利用に変化はないと回答している。
荷主は今回の不況を、3PLとの関係を 見直して改めるべき部分は改める好機ととら えている。
物流関連のシステム構築を手がけ その他、不況対策として次のようなものが 挙げられる。
■コントロールの強化 3PL調査において毎年確認されているの は、企業が自分たちのサプライチェーンをも っと自由にコントロールしたがっているとい うことである。
この不況下にあってはなおさ らだ。
荷主と3PLの双方がサプライチェー ンで起こっている事態を把握できるよう、3 PL側が追跡ツールやイベント・マネジメン トなど、サプライチェーンにおける「見える 化」技術を駆使することを荷主側は望んでい る。
そうすることで荷主は事前に顧客に通知 することができるようになるのである。
■コンティンジェンシープラン (緊急時対応計画/危機管理計画)の作成 サプライチェーンにおける不測の事態だけ でなく、為替相場や燃料価格の乱高下などを 含む戦略的に重要なできごとに対するコンテ ィンジェンシープランを、保険会社並みに整 える必要性がある。
■水平統合 荷主、特に小売りの分野はますます共同で 配送や保管を行うようになっている。
彼らは 道路の上で勝負をしているわけではなく、店 頭の棚が戦場だからだ。
ただし、競合同士の 物流共同化は既に3PLの日常的な仕事にな っていると感じている向きもあれば、荷物の 積み降ろしスペースさえ競争相手とは共有し ないのが当然だとする考えもある。
図3 3PL 側の不況対策 89 59 58 45 39 0% 20% 40% 60% 80% 100% オペレーション・ コストの削減 新市場の開拓/ 新製品の投入 サプライヤーとの 契約見直し オーダー・トゥ・キャッシュ ・サイクルの短縮 固定費の変動変化 FEBRUARY 2010 72 と言っている。
●目標達成時の3PLに対する報奨も含む、 サプライチェーンの最適化目標に関する双務 的な契約。
●納期に基づいたフレキシブルなサービスメニ ュー。
ある荷主は、3PLが可能な限り最も 安いコストで輸送手段を調達できるよう納期 に幅を持たせるよりも、サーチャージなしで 納期を指定したいとの意見を表明した。
「よ くあるのは平均的納期をベースにしたサービ スメニューである。
我々が本当に求めている のは、意思決定プロセスを自分自身でコント ロールすることだ」 ● 「事前に改善提案をしてくれること」。
あ る荷主はそう言う。
「時折3PLがホコリをか ればマネジメントを根本から変えなければな らないが、3PLであればそんなことをする 必要はない」 荷主は効率性をもう一段アップすることに 貢献してくれる3PLを求めている。
現在の パートナーがその役に立たなければ、彼らは すぐに別の3PLに乗り換えるだろう。
それ を実行もしくは検討中の荷主の割合は二六% に上る。
ある荷主はこう言う。
「当社は3PL側が マネジメントレベルを我々に合わせてくれるこ とを望んでいる。
3PLは各国別に組織され ているが、世界的に製品を供給している当社 には向かない。
必要なのは国際的に展開する 荷主に対する、国境を越えた多彩なサービス だ。
これはつまり組織、オペレーション、プ ロジェクトマネジメントなどに対する強い決定 権をもつアカウントマネジメントを3PLが確 立することを意味する。
3PLと荷主の組織 系統は似たようなものであるべきだ」 その他、不況下で3PLに期待することは 以下の通りだ。
●直接の競合先と同じ店舗に納入するのに倉 庫やトラックなどを共有するといった、複数 の荷主による同じ3PLサービスの共有。
あ る3PLは「大口顧客の中にはますます協力 的になってきたところがある。
たとえば車両 などのリソースをシェアし、我々のコストベー ス引き下げに一緒になって取り組んでくれる」 るデルカン・コーポレーションのアナリストで、 「Annual State of Logistics Report」の著者 であるロザリン・ウィルソンは次のように述べ ている。
「全般的な傾向として、比較的規模 の大きな企業は利用する3PLの数を厳選し、 その上で3PLとのパートナーシップを強化し ようとしている」。
レゴ・システムは二〇〇四年に経営危機に 陥ったが、再建途上で3PLに資金援助を行 っている。
こうした意欲的な試みの一環とし て、この玩具メーカーは製造と物流をアウト ソーシングすることを決断した。
製品デザインの変更や製造委託した在庫の 増加で保有パレット数が増加すると、パート ナーの3PLは余剰キャパシティを有効利用 するフレキシビリティを発揮した。
さらにはコ ストや車両の台数を減らすことにも貢献した。
合理化された分をレゴと3PLのあいだでシ ェアする契約も、好結果をもたらす一因とな った。
フォスターズ・ワインエステートは3PL を、需要変動にもっとフレキシブルに対応す るためのルートの一つとしてとらえている。
同 社のフルフィルメント・オペレーション担当の スージー・ウラモトは次のように語る。
「3PLのアセットを利用して固定費を削り、 フレキシビリティを確保している。
製品のフ ルフィルメントの方法について大きな方針変 更をする場合、3PLにそれをやってもらっ た方がはるかに簡単だ。
我々自身がやるとす 図4 不況下でサービスレベル向上や3PL プロバイダーの 破綻リスクの緩和を実現するための対策 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 3PLへの 支払い条件の見直し 委託3PLの変更 3PLの機能を 自社に取り込む 3PLプロバイダーに対する リスク緩和対策はない 3PLへの出資 その他 54 26 24 20 16 8 73 FEBRUARY 2010 よく勉強することだ」 需要予測の難しさ、燃料コストと為替相場 の不安定、過剰在庫などは、この困難な時期 に荷主が直面している課題の一部に過ぎない。
見識のあるサプライチェーン・オペレーター は、現下の経済危機を二つの視点からとらえ ている。
一つはコスト削減や契約見直しなど、 この嵐を切り抜けるための当面の対策である。
そして、もう一つはもっと長期的な視点に 立って、いまサプライチェーンが受けている 試練から学び取ったものを、将来の危機に耐 えうる能力の開発に生かすということである。
その戦略とはたとえばネットワークの再編成 であり、取引先や競合相手さえも巻き込む革 新的なコラボレーションなどだ。
当面の対策と長期的なアプローチのどちら にも、3PLの果たす役割があることはまち がいない。
固定費の変動費化、新市場の開拓 と新製品の投入、投資効果改善を目的とした サプライチェーン・ネットワークの再構築な どの局面で、荷主は3PLの活躍を期待して いる。
まずは生き残ることが最優先ではある。
し かし現状を冷静に受けとめ、従来サプライチ ェーンに関する常識とされてきたものを、も ういちど再検討する創造的なアプローチを実 行する好機ととらえることが重要である。
そ こにはビジネスの目的を達成するのに、3P Lの果たす役割は何なのかということも含ま れるであろう。
えることはないと答えた荷主の割合は四二% と最も多かった。
また三〇%は3PLのこと を、この嵐を耐え抜くための多様なスキルと サービスを備えたパートナーとして評価してい る。
一方、この経済状況を3PL離れを招く原 因になるとしている荷主も二一%いる。
ある 企業はこの不況で輸送管理を集約することに し、取引先3PLの頭数を減らした。
そこで 浮いた資金をTMS(輸送管理システム)の 改善に回し、ERPとの統合を進めた。
面白いことに3PL側の見方は違う。
3P Lの三分の二が不況で荷主は3PLサービス の利用を増やすとしているのに対し、同じ考 えの荷主は三〇%に過ぎない。
前述したよう に3PL活用に影響はないと答えた荷主は四 二%であるが、同じように考えている3PL は一〇%である。
荷主は景気が悪化するにつれ、中小のプレ イヤーからロジスティクス業界で名の通った大 手に引き寄せられる傾向があると、3PLの 何社かは指摘する。
しかしそれが裏目に出る こともあるだろう。
こういう声もある。
「とても小さな規模の 3PLを使っていた会社が、中小を利用して いるのはリスキーだという理由でもっと大き な所に切り替えた例を知っている。
しかしや がてその小さな企業が大きな方を買収し、結 果その会社は元の3PLの鞘に収まることに なった。
将来あわてないようにマーケットを ぶっている在庫を指摘してくれる──それは この特定の商品があまり売れていないという ことを示している。
顧客にとってそうした3 PLからの報告はありがたいものだ。
しかし ベストプラクティスや知見を共有することは、 まだ充分行われていないようだ」 3PL側の努力で実現できるものとしては、 リスクを薄めるための複数顧客でのアセット共 有や、空きスペースを他社の荷物で埋めるこ となどがある。
あるいは在庫担保融資のよう な金融サービスを提供したり、プロセス、コ ミュニケーション、見える化、インターフェイ スなどの基本的な機能を向上させることも可 能だ。
ネットワークモデリングや最適化ツール なども、顧客サービス向上に役立つだろう。
不況下では3PLが役に立つとはいいなが ら、景気変動が3PLの必要性に影響をあた ©2009 C. John Langley, Jr., Ph.D., and Capgemini U.S. LLC. All rights reserved. 図5 現在の不況が3PL の必要性に どう影響するのか? 影響はない 42% 必要性が低下する 21% 必要性が増える 30% わからない 7%
北米で運送会社三〇〇〇社が倒産。
一万 本以上の海上コンテナが放置。
増える工場閉 鎖。
貸し渋りと高金利。
破綻の瀬戸際に追い つめられるサプライヤー。
消費者は財布のひ もを締め、いっそう価格にシビアに。
少しは 明るい兆しも垣間見えるとはいえ、いまだ不 安定要素が遍在している。
不況ほどサプライチェーンの脆弱さを浮き 彫りにするものはない。
弱気の見通し、需要 変動に対する柔軟性の欠如、キャッシュフロ ー不足などは、サプライチェーンのオペレーシ ョンに深刻な影響を与える要因の代表例だ。
荷主は運送業者への締めつけ強化から直接 の競合先との共同配送にいたるまで、あらゆ る方法を用いての危機対応を余儀なくされて いる。
流れに身をまかせて嵐の過ぎ去るのを 待つ荷主がいる一方、サプライチェーンに柔 軟性と弾力性(レジリエンス)を導入する好 機ととらえる荷主もいる。
願わくは景気回復 の暁に競合他社のシェアを奪って以前より強 固な地位を、というわけである。
「勝ち組と負け組、優勝劣敗がはっきりす るだろう」オーストラリア・ロジスティクス・ カウンシル(ALC)のハル・モリスCEO はそう断言する。
連載二回目となる今回の主題は景気変動の ダイナミクスを解明することである。
もっとも 難しい局面とは? 企業の生き残り戦略は? 3PLは顧客に対してなにができるのか? サプライチェーンの課題 不況下のサプライチェーン運営でもっとも 難しいのは需要予測であり、回答者の七一% がそれに同意している。
たとえば、消費者の 多くは商品への思い入れが少しでも低下する と、割安なプライベートブランド品へあっさり 乗り換えてしまう。
しかし魅力的な商品レポ ートが登場するなどの予測し難い要因により、 そのベクトルがまったく逆向きになることも ある。
他には燃料価格の不安定性、サプライチェ ーンにおける過剰在庫、為替レートの変動、 サプライヤーの破綻リスクなどがある。
関税 や労働賃金の規制など政府による介入も、サ プライチェーン運営の足枷となる。
大手3P Lパナルピナのモニカ・ライバーCEOは次の ように言う。
「物量と燃料価格が激しく乱高 下する非常に不安定なロジスティクス市場に あって、パナルピナのノンアセット型のビジネ スモデルはとても有効である。
なぜならそれ により我々はこうした事態に柔軟に対応でき るからだ」 また、景気後退下で3PLがもっとも困難 世界同時不況に直面し、荷主はどのような対策を打っ ているのか。
それによってアウトソーシングの方針はど う変わるのか。
3PLはどう対応すべきか。
グローバル 企業に対する広範なアンケート調査から、現在の景気変 動が3PL市場に与えている影響を分析する。
第2回 69 JANUARY 2010 を感じていることは、需要予測の難しさ(七 一%)とサプライヤーの破綻リスク(四五%) である。
「3PLは在庫回転率が課金システ ムのベースとなっているため、不況の影響が 深刻だ」──3PLのプリズム・チーム・サ ービスで営業開発ディレクターを務めるジェレ ミー・ヴァン・プフェレンはそう述べる。
進むべき方向は必ずしも明らかになっては いない。
ある企業では固定費の変動費化を目 論んでバージ(小型内航用輸送船)を売却し、 売却先からその都度船をチャーターする体制 に切り替えた。
ところがその新たな持ち主の経営が悪化し た。
しかもバージには数多くの担保権が設定 されていたため、その持ち主は適当な業者に 売り渡すこともできなかった。
結局のところ、 その荷主はトラックと鉄道にシフトせざるを えなくなったのである。
荷主企業の不況対策 この不況を乗り切るため、どの企業もあら ゆる対策を模索している。
ある回答者は次の ようにいう。
「なにもしないという選択肢な どありえない。
事態を認識して対応するのが 早ければ早いほど、そこから抜け出すのも早 くなる」 図2は各種の不況対策と、その対策を講じ る上で3PLを活用するかどうかを尋ねた結 果である。
■オペレーション・コストの削減 荷主の不況対策は千差万別だが、共通する ことが一つある。
それはキャッシュが何より大 事だという認識である。
対策の中でもっとも 多く、八二%がオペレーション・コストの削 減を不況への対応策として挙げている。
社内 で発生する費用を減らす場合、大抵は解雇・ 在庫削減・SKU(在庫保管単位)の合理化 といった手法がとられる。
ただしこうした対策は、それがあたえる影 響を充分に認識した上で行われなければならな い。
同業者間で商品を融通し合うことは、知 られてきてはいるがまだ本格化 していないコスト削減策の一つ である。
セメント大手のホルシ ム(US)でロジスティクスとサ プライチェーン部門を率いるセバ スチャン・セイファースは、同 業界では同業者間の商品の融通 が、炭素排出量とコストを削減 するための一般的な慣行になっ ているとしている。
■需要予測と在庫管理の改善 在庫の不足や過剰という事態 を回避するため、荷主は需要予 測と在庫管理の改善に力を入れ 図1 不況下のサプライチェーン運営上難しいこと 71 47 46 46 45 30 23 19 11 4 需要予測の難しさ 燃料価格の不安定性 サプライチェーン上の 過剰在庫 為替相場の 不安定性 サプライヤーの 破綻リスク 物価(燃料以外)の 不安定性 改善を行うための 資金確保 企業規模縮小による サプライチェーン・スキルの劣化 労働賃金の不安定性 その他 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 図2 荷主による不況対策とどの対策に3PL を活用するか オペレーション・コストの削減 需要予測と在庫管理の改善 サプライヤーとの契約見直し サプライチェーン・ ネットワークの再編 オーダー・トゥ・キャッシュ (受注から入金まで)のサイクル短縮 新市場の開拓/新製品の投入 固定費の変動費化 製品カタログの合理化 コアコンピタンスへの再編成 製造委託など プライス・ヘッジングの実施 何もしない その他 この対策を実施している3PL の活用を増やす 顧客サービスレベルの 引き下げ 82 39 77 14 66 61 48 60 56 56 42 59 42 39 38 29 40 24 8 9 9 5 1 15 20 8 17 24 0% 20% 40% 60% 80% 100% FEBRUARY 2010 70 始めている(七七%)。
事前に準備や対策を 講じたり景気回復の予兆をとらえるためには、 需要予測に力を入れることが最善の方法であ る。
■サプライヤーとの契約見直し 三番目に多いのはサプライヤーとの契約見 直しと、3PLの数を絞り込むことである。
ある企業は二〇〇社を超えるサプライヤーを 一同に集め、今後は進んで値引きに応じる先 とだけ付き合いを継続すると言い渡した。
担当者は次のように述べる。
「我々はサプラ イヤーの数を絞って低価格を引き出した。
一 方で残ったサプライヤーは、より多くの物量 と売り上げを確保した。
そうやってわが社は 二ケタ台のコスト削減を成し遂げた」 別のケースでは「我々の経験では、ただ単 にお願いをした場合に得られた値引きは五% だった。
ところが『RFP(提案依頼書)』を 送ったところ、仕事量が減るのを恐れてのこ とか、二〇%もの値引きとなった」という声 もある。
しかし長い目で見ると、景気が回復してキ ャパシティに余裕がなくなり、3PLが荷主 に対して有利な立場になった場合、そうした 戦略は裏目に出ると予想される。
たとえば玩具大手のレゴ・システム(LE GO)では早い時期から3PLにアウトソーシ ングしてきたが、同社のグローバル・ディス トリビューション・ロジスティクスの責任者 は「3PLとはしのぎを削るのではなく、お クウェル・オートメーションにおける在庫削 減は、まず在庫データベースの分析から始ま った。
その結果、二万四〇〇〇あるパーツの うちの六〇〇〇で売り上げの八割以上を占め ていることが判明した。
そこでその中からさ らに五〇〇〇パーツを選び、バイヤーの目を 引くようおすすめ品として前面に打ち出した。
「このデータを顧客やアカウントマネージャ ーに公表した結果、当該品の発注量が増えて リードタイムも短くなった」と、サプライチェ ーン/顧客サービス担当のジュースト・リー ムスラグは述べる。
「これらのパーツに焦点を 当てることにより、部分的には在庫金額を三 〇%下げることができた」という。
■固定費の変動費化 前述のバージ売却のケースでは奏功しなか ったが、固定費の変動費化を挙げる荷主は四 二%に上る。
ロジスティクス機能の3PLへ のアウトソーシングや、新しい技術を導入す る際のSaaSやペイ・パー・ユース(従量 制)モデル活用などがその例である。
3PL の利用を増やすと答えた割合がもっとも多か ったのはこの項目である(五九%)。
変動費化のもう一つの方法としては、荷主 自身の3PL化がある。
景気後退を受け、余 分なキャパシティを最小化させるべく、自社 保有車両の外部への貸し出しや他企業商品の 保管、3PLに預けていた商品の自社配送セ ンターへの取り込みなど、固定費の有効活用 に乗り出した米国の小売業の例もある。
互いに協力しあうことが不可欠であると思い 知らされた」と語っている。
■新市場の開拓/新製品の投入 グローバル展開をする上で、荷主の多くは 3PLの力に期待している。
通常3PLは 地域の事情に精通し、グローバル取引につい ての専門知識を持ち、コンプライアンスその 他の機能も備えている。
新市場の開拓と新製 品の投入については、荷主が3PLの利用を 増やすと答えた割合が二番目に多かった(五 六%)。
■ネットワークの再編成 サプライチェーン・ネットワークの再編(六 一%)とは、倉庫の統廃合、リバースロジス ティクスの活用、輸送時間短縮と確実性向上 を目的とした近隣地域での調達などを指す。
投資効率改善を目的としてサプライチェーン を再構築することは、3PL利用の増加理由 として三番目に多い。
現状のオペレーションを批判的に点検し無 駄を排除するのに、今回の世界的不況はよい 機会である。
また、サプライチェーンを最大 需要に合わせるのではなく平均値に合わせて 設計し、需要の振幅は3PLその他のプロバ イダーとの協力関係によって吸収してリスク を軽減すべきだという意見もあった。
■製品カタログの合理化 在庫とサプライチェーン・コストを削減す るため、四二%の荷主が製品カタログの合理 化を実施している。
電子部品メーカーのロッ 71 FEBRUARY 2010 ■創造性の発揮 この不況を奇貨として自分たちのサプライ チェーンを見直す動きもある。
生花の輸出を 営むウェッセル・エクスポートは、南アフリ カから消費地まで生花をリーファーコンテナ (定温コンテナ)で運ぶためのフィージビリテ ィスタディを行っている。
「現在、どの花が その方法で運搬可能かを探っている。
これは 我々に意識革命を迫るものだ」と同社のキー ズ・ギシェラーは語る。
■3PLとの関係改善 3PLをもっと頼りになるパートナーとし て位置付ける。
たとえば、3PLは顧客の在 庫価値を見直すことやネットワークの再構築 などに協力することができる。
図3にあるように、3PL側の不況対策で いちばん多いのはオペレーション・コストの削 減で(八九%)、それに続くのが新市場の開 拓と新製品の投入(五九%)、サプライヤーと の契約見直し(五八%)である。
3PLの役割 こうした対策を実行するのに、荷主はあき らかに3PLを不可欠の要素と考えている。
図 2でみたように、固定費を変動費化するのに 六〇%以上が3PLを活用すると答えている。
荷主が3PLの活用を見込んでいる対策と しては他に、新市場の開拓と新製品の投入 (五六%)、サプライチェーン・ネットワーク の再構築(四八%)、製造委託やさまざまなビ ジネスプロセスのアウトソーシング(四〇%) などがある。
前出ALCのハル・モリスは荷主に対し、 サプライチェーンの無駄なアセットを無くすた めだけではなく、リスクをシェアしたりフレ キシビリティを増やすためにも、3PLの活 用をもっと増やすべきだと説いている。
図2に挙げられた対策の中に、3PL利用 を積極的に減らすことにつながる要因は認め られない。
大半の対策について、荷主は3P L利用に変化はないと回答している。
荷主は今回の不況を、3PLとの関係を 見直して改めるべき部分は改める好機ととら えている。
物流関連のシステム構築を手がけ その他、不況対策として次のようなものが 挙げられる。
■コントロールの強化 3PL調査において毎年確認されているの は、企業が自分たちのサプライチェーンをも っと自由にコントロールしたがっているとい うことである。
この不況下にあってはなおさ らだ。
荷主と3PLの双方がサプライチェー ンで起こっている事態を把握できるよう、3 PL側が追跡ツールやイベント・マネジメン トなど、サプライチェーンにおける「見える 化」技術を駆使することを荷主側は望んでい る。
そうすることで荷主は事前に顧客に通知 することができるようになるのである。
■コンティンジェンシープラン (緊急時対応計画/危機管理計画)の作成 サプライチェーンにおける不測の事態だけ でなく、為替相場や燃料価格の乱高下などを 含む戦略的に重要なできごとに対するコンテ ィンジェンシープランを、保険会社並みに整 える必要性がある。
■水平統合 荷主、特に小売りの分野はますます共同で 配送や保管を行うようになっている。
彼らは 道路の上で勝負をしているわけではなく、店 頭の棚が戦場だからだ。
ただし、競合同士の 物流共同化は既に3PLの日常的な仕事にな っていると感じている向きもあれば、荷物の 積み降ろしスペースさえ競争相手とは共有し ないのが当然だとする考えもある。
図3 3PL 側の不況対策 89 59 58 45 39 0% 20% 40% 60% 80% 100% オペレーション・ コストの削減 新市場の開拓/ 新製品の投入 サプライヤーとの 契約見直し オーダー・トゥ・キャッシュ ・サイクルの短縮 固定費の変動変化 FEBRUARY 2010 72 と言っている。
●目標達成時の3PLに対する報奨も含む、 サプライチェーンの最適化目標に関する双務 的な契約。
●納期に基づいたフレキシブルなサービスメニ ュー。
ある荷主は、3PLが可能な限り最も 安いコストで輸送手段を調達できるよう納期 に幅を持たせるよりも、サーチャージなしで 納期を指定したいとの意見を表明した。
「よ くあるのは平均的納期をベースにしたサービ スメニューである。
我々が本当に求めている のは、意思決定プロセスを自分自身でコント ロールすることだ」 ● 「事前に改善提案をしてくれること」。
あ る荷主はそう言う。
「時折3PLがホコリをか ればマネジメントを根本から変えなければな らないが、3PLであればそんなことをする 必要はない」 荷主は効率性をもう一段アップすることに 貢献してくれる3PLを求めている。
現在の パートナーがその役に立たなければ、彼らは すぐに別の3PLに乗り換えるだろう。
それ を実行もしくは検討中の荷主の割合は二六% に上る。
ある荷主はこう言う。
「当社は3PL側が マネジメントレベルを我々に合わせてくれるこ とを望んでいる。
3PLは各国別に組織され ているが、世界的に製品を供給している当社 には向かない。
必要なのは国際的に展開する 荷主に対する、国境を越えた多彩なサービス だ。
これはつまり組織、オペレーション、プ ロジェクトマネジメントなどに対する強い決定 権をもつアカウントマネジメントを3PLが確 立することを意味する。
3PLと荷主の組織 系統は似たようなものであるべきだ」 その他、不況下で3PLに期待することは 以下の通りだ。
●直接の競合先と同じ店舗に納入するのに倉 庫やトラックなどを共有するといった、複数 の荷主による同じ3PLサービスの共有。
あ る3PLは「大口顧客の中にはますます協力 的になってきたところがある。
たとえば車両 などのリソースをシェアし、我々のコストベー ス引き下げに一緒になって取り組んでくれる」 るデルカン・コーポレーションのアナリストで、 「Annual State of Logistics Report」の著者 であるロザリン・ウィルソンは次のように述べ ている。
「全般的な傾向として、比較的規模 の大きな企業は利用する3PLの数を厳選し、 その上で3PLとのパートナーシップを強化し ようとしている」。
レゴ・システムは二〇〇四年に経営危機に 陥ったが、再建途上で3PLに資金援助を行 っている。
こうした意欲的な試みの一環とし て、この玩具メーカーは製造と物流をアウト ソーシングすることを決断した。
製品デザインの変更や製造委託した在庫の 増加で保有パレット数が増加すると、パート ナーの3PLは余剰キャパシティを有効利用 するフレキシビリティを発揮した。
さらにはコ ストや車両の台数を減らすことにも貢献した。
合理化された分をレゴと3PLのあいだでシ ェアする契約も、好結果をもたらす一因とな った。
フォスターズ・ワインエステートは3PL を、需要変動にもっとフレキシブルに対応す るためのルートの一つとしてとらえている。
同 社のフルフィルメント・オペレーション担当の スージー・ウラモトは次のように語る。
「3PLのアセットを利用して固定費を削り、 フレキシビリティを確保している。
製品のフ ルフィルメントの方法について大きな方針変 更をする場合、3PLにそれをやってもらっ た方がはるかに簡単だ。
我々自身がやるとす 図4 不況下でサービスレベル向上や3PL プロバイダーの 破綻リスクの緩和を実現するための対策 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 3PLへの 支払い条件の見直し 委託3PLの変更 3PLの機能を 自社に取り込む 3PLプロバイダーに対する リスク緩和対策はない 3PLへの出資 その他 54 26 24 20 16 8 73 FEBRUARY 2010 よく勉強することだ」 需要予測の難しさ、燃料コストと為替相場 の不安定、過剰在庫などは、この困難な時期 に荷主が直面している課題の一部に過ぎない。
見識のあるサプライチェーン・オペレーター は、現下の経済危機を二つの視点からとらえ ている。
一つはコスト削減や契約見直しなど、 この嵐を切り抜けるための当面の対策である。
そして、もう一つはもっと長期的な視点に 立って、いまサプライチェーンが受けている 試練から学び取ったものを、将来の危機に耐 えうる能力の開発に生かすということである。
その戦略とはたとえばネットワークの再編成 であり、取引先や競合相手さえも巻き込む革 新的なコラボレーションなどだ。
当面の対策と長期的なアプローチのどちら にも、3PLの果たす役割があることはまち がいない。
固定費の変動費化、新市場の開拓 と新製品の投入、投資効果改善を目的とした サプライチェーン・ネットワークの再構築な どの局面で、荷主は3PLの活躍を期待して いる。
まずは生き残ることが最優先ではある。
し かし現状を冷静に受けとめ、従来サプライチ ェーンに関する常識とされてきたものを、も ういちど再検討する創造的なアプローチを実 行する好機ととらえることが重要である。
そ こにはビジネスの目的を達成するのに、3P Lの果たす役割は何なのかということも含ま れるであろう。
えることはないと答えた荷主の割合は四二% と最も多かった。
また三〇%は3PLのこと を、この嵐を耐え抜くための多様なスキルと サービスを備えたパートナーとして評価してい る。
一方、この経済状況を3PL離れを招く原 因になるとしている荷主も二一%いる。
ある 企業はこの不況で輸送管理を集約することに し、取引先3PLの頭数を減らした。
そこで 浮いた資金をTMS(輸送管理システム)の 改善に回し、ERPとの統合を進めた。
面白いことに3PL側の見方は違う。
3P Lの三分の二が不況で荷主は3PLサービス の利用を増やすとしているのに対し、同じ考 えの荷主は三〇%に過ぎない。
前述したよう に3PL活用に影響はないと答えた荷主は四 二%であるが、同じように考えている3PL は一〇%である。
荷主は景気が悪化するにつれ、中小のプレ イヤーからロジスティクス業界で名の通った大 手に引き寄せられる傾向があると、3PLの 何社かは指摘する。
しかしそれが裏目に出る こともあるだろう。
こういう声もある。
「とても小さな規模の 3PLを使っていた会社が、中小を利用して いるのはリスキーだという理由でもっと大き な所に切り替えた例を知っている。
しかしや がてその小さな企業が大きな方を買収し、結 果その会社は元の3PLの鞘に収まることに なった。
将来あわてないようにマーケットを ぶっている在庫を指摘してくれる──それは この特定の商品があまり売れていないという ことを示している。
顧客にとってそうした3 PLからの報告はありがたいものだ。
しかし ベストプラクティスや知見を共有することは、 まだ充分行われていないようだ」 3PL側の努力で実現できるものとしては、 リスクを薄めるための複数顧客でのアセット共 有や、空きスペースを他社の荷物で埋めるこ となどがある。
あるいは在庫担保融資のよう な金融サービスを提供したり、プロセス、コ ミュニケーション、見える化、インターフェイ スなどの基本的な機能を向上させることも可 能だ。
ネットワークモデリングや最適化ツール なども、顧客サービス向上に役立つだろう。
不況下では3PLが役に立つとはいいなが ら、景気変動が3PLの必要性に影響をあた ©2009 C. John Langley, Jr., Ph.D., and Capgemini U.S. LLC. All rights reserved. 図5 現在の不況が3PL の必要性に どう影響するのか? 影響はない 42% 必要性が低下する 21% 必要性が増える 30% わからない 7%
