ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2010年3号
ケース
カルチュア・コンビニエンス・クラブ

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

MARCH 2010  36 ビジネスモデル カルチュア・コンビニエンス・クラブ ネット宅配レンタルの会員が80万人突破 「業界最速」謳う物流サービスで差別化  住宅メーカーの積水ハウスは業界で初めて、新築 施工現場で発生する廃棄物のゼロエミッションを達 成した。
現場で分別を行い、集荷拠点を経由して 自社のリサイクル施設に回収する仕組みを作ること で、廃棄物の発生量を大幅に削減した。
さらに部 材の設計段階から発生抑制を図るため、回収時に ICタグで廃棄物情報を収集するシステムの構築を めざしている。
DVDの普及が可能にしたビジネス  書籍販売とレンタルの「TSUTAYA」 (以下、ツタヤ)を全国展開するカルチュア・ コンビニエンス・クラブ(CCC)のネット宅 配レンタル事業「TSUTAYA 
庁稗咤 AS」(以下、ディスカス)が急成長している。
 利用者がインターネットでDVDやCDの レンタルを予約すると、早ければ翌日に自宅 の郵便受けに届く。
返却は専用の返信用封筒 に入れて郵便ポストに投函するだけで手続き が完了する。
 主流の月極め定額プランの場合、延滞料金 はかからず、DVD一枚当たりのレンタル料 金は店舗で借りるより割安だ。
ツタヤの場合、 店舗で借りると、地域によって違いはあるも のの一週間(七泊八日)で四〇〇円前後かか る。
これが宅配レンタルだと、月に八枚まで 借りられる「定額レンタル八」の月額利用料 が一九五八円(一枚あたり約二四五円)、四 枚の「定額レンタル四」でも九八〇円(同二 四五円)に設定されている。
 業界大手のテレビCMの大量放映による認 知度の向上と、競争による利用料金の下落で、 ここ二、三年で急速に利用者数が増えた。
C CCグループが二〇〇二年一〇月に業界に先 駆けて宅配レンタル事業をスタートしてから 会員数が一〇万人に達するまでに三年余りか かった。
それが〇九年の一年間だけで三〇万 人近く増加。
すでに八〇万人を突破し、一〇 年三月末に八七万人を目標にしている。
 家庭用DVDプレイヤーの普及が、このビ ジネスの前提になっている。
ディスカスの定 額プランで一度に借りられる二枚のDVDを 専用封筒に入れた重さは五〇グラム弱。
返却 する際は定形郵便として、全国どこからでも 九〇円で郵送できる。
 一世代前のビデオテープであれば、一本で 二〇〇グラムを超え、しかも厚さが一センチ 以上あった。
これを日本国内で送付しようと したら、定形外郵便として二四〇円(一本を 単独で送る場合の現在の料金)程度を支払う か、宅配便を使わなければならなかった。
宅配方式のレンタル事業が急拡大している。
DVD やCDのレンタルをインターネットで予約すると、メ ール便で自宅に届く。
返却は返信用封筒に入れ郵便ポストに投函するだけ。
大手数社がしのぎを 削る市場で、カルチュア・コンビニエンス・クラブ (CCC)は物流サービスで差別化し業界トップを快 走している。
03年04年05年06年07年08年09年 (万人) ネットレンタル事業の会員数の推移 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 2006年3月 音楽CDの 取り扱いを開始 2009年10月 会員数が80万人 を突破 2004年10月 「TSUTAYA DISCAS」 としてリニューアルオープン 2008年11月 宅配コミックレンタル を開始 2007年7月 「まとめてスポットレンタル」 を開始 2004年8月 物流の東西2拠点 体制が確立 37  MARCH 2010  記録メディアの小型化が、従来と比べると 格段に低価格で、簡便な宅配レンタル事業を 可能にした。
ヤマト運輸や佐川急便など民間 宅配事業者によるメール便ビジネスへの積極 的な参入も、事業者の選択肢を増やすことに つながった。
 
達達奪哀襦璽廚他社に先駆けてこのビジ ネスを手掛けられたのは、ツタヤの店舗事業 で培った「PPT(ペイ・パー・トランザク ション)」という特有のノウハウがあったから だ。
PPTとは、映像メーカーとレンタル店 がレンタル回数に応じて収益を分配する方式 で、以前から映画配給会社と映画館の間で成 立していた方式をレンタルビジネスに応用して 構築された。
 
丕丕圓成立する以前のレンタルビデオ業 界では、映像メーカーが販売しているビデオ を一本一万円以上かけてレンタル事業者が買 い取り、会員に貸し出していた。
この方式 だとレンタル事業者の仕入れリスクが大きく、 幅広い品揃えも難しい。
レンタル業界の成長 そのものが抑制されかねないと考えたCCC は、一九八九年に関連会社のレントラックジ ャパンを発足。
この会社が中心になってメー カーと協議を重ね、PPTの枠組みを構築し、 ツタヤだけでなく他のレンタル店にも商品を 貸与するようになった。
 こうした経緯から、CCCが新たに宅配レ ンタル事業をスタートするときには、仕入れ の優位性などを見越してレントラックの事業 部門の一つとして発足させた。
その後、〇四 年にツタヤオンラインのディスカス事業部門と いう位置づけにリニューアルし、さらに昨年 四月のグループ再編によってCCCの事業部 門の一つとなり、現在に至っている。
差別化が難しい定型スキーム  
達達辰梁霰曠譽鵐織觧業には海外の先行 事例がある。
同社が事業化を検討していた当 時、米国ではネットフリックスという会社が、 九九年にスタートした月決め定額制のDVD レンタル事業で急成長していた。
 レンタル事業の将来の本命と目されるオン ライン配信は、通信インフラの制約や、映像 メーカーの許諾の壁があって、すぐには普及 しそうにない。
その点、宅配レンタルであれ ば既存のPPTの枠組みを流用して日本でも 事業化できるとCCCは考えた。
 当時のCCCには、「サービスを使いたくて も近所にツタヤの店舗がない」という声が頻 繁に届くようになっていた。
現在、CCCで ネット事業の物流戦略を担当している首藤智 弘商物流構造改革ロジスティクスユニットD ISCAS担当リーダーは、「まずはツタヤ を使っていないお客様に、ネットでわれわれ のサービスを活用してもらおうと考えた」と、 事業化を決めた狙いを説明する。
 米ネットフリックスの日本版をつくること を念頭に、システム開発と物流インフラの整 備に着手した。
ツタヤで使う段ボール箱など を保管していた大阪の倉庫の一角に小さな配 送拠点を構え、ここに専用の在庫を確保。
〇 二年一〇月に事業を開始した。
当初は物流現 場の管理から実務までレントラックの関係者 がこなす手作りの体制だった。
 すぐに競合企業が現れ、価格やサービスレ ベルをめぐる競争が勃発した。
当時はまだD VDの普及期で事業規模は小さかったが、ネ ットを使うこのビジネスには、利用者の要望 がカスタマーセンターにダイレクトに寄せられ る。
そうした情報を生かしながら事業モデル を進化させていった。
 品揃えと郵便ポストへの返却というスタイ ルがほぼ定型化している宅配レンタル事業で、 ライバルと差別化するのは簡単ではない。
ネ ット世代の移り気な利用者を惹きつけるには、 サイトの使い勝手の良さなど、すべてのサー ビスにおいてスピード感が求められる。
具体 的には「価格」、「配送スピード」、「注文引当 率」の三点で優位性を確保しなければならな い。
このいずれにおいてもカギは物流戦略に あった。
カルチュア・コンビニエン ス・クラブの商物流構造改 革ロジスティクスユニットで DISCASを担当している首藤 智弘リーダー MARCH 2010  38  「注文引当率」というのは宅配レンタル事 業ならでは指標だ。
ネットで予約を受けても、 物流拠点に商品の在庫がなければ要望には応 えられない。
このため会員は事前に希望する DVDなどの優先順位を、当該商品の在庫状 況なども見ながら「予約リスト」で表明する。
予約リストに載った商品のうち実際に在庫の あるものが、希望順位の高い順に発送される というサービスが主流になっている。
 利用者が観たい商品を実際に出荷できる確 率を、ここでは「注文引当率」と表現してい る。
この率が 低ければ顧客 は不満を持つ。
あくまで内部 的な管理指標 だが、各社 が提供してい るサービスの レベルは、ネ ット上にたく さんある宅配 レンタル比較 サイトやブロ グなどを通じ てすぐに消費 者に知れ渡り、 判断基準の一 つになる。
 「配送スピ った。
調べてみると、たしかに予約したとき には可能性が高かったはずのタイトルが、実 際の出荷時には在庫切れになっていた。
 原因は、返却のために要する郵便の配送リ ードタイムにあった。
借りていた商品を午前 中にポストに投函すると、西日本であればた いてい翌日に大阪の物流拠点に到着する。
し かし、これが首都圏以北からの発送となると、 大半が翌々日の到着になってしまう。
出荷作 業が一日遅れることで在庫状況が変わり、東 日本の会員に不利が生じていた。
 この配送リードタイムの違いは、現在の日 本郵便の「お届け日数の検索」というサイト でも確認できる。
東京二三区内や神奈川以西 のエリアであれば午前中に投函すれば、翌日 に大阪市内に届く。
ところが、それ以外の都 内や千葉、埼玉、およびそれ以東から発送す ると翌々日の着荷となってしまう。
 返却時の配送リードタイムを全国一律にす るには東西二カ所に物流拠点を設けるしかな かった。
そのためCCCは東日本と西日本を それぞれ独立エリアとして管理して、公平な サービスレベルを担保することにした。
東日本拠点の運営を学研ロジに外注  新たに東日本の物流拠点を設置するにあた り、複数の物流業者を対象とするコンペを実 施した。
それ以前は、物流現場から情報が漏 洩することに対する危惧もあって、アウトソ ーシングには必ずしも積極的ではなかった。
ード」を高めるには、単に予約を受けてから 届けるまでのリードタイムが早いだけでは意 味をなさない。
この事業では、貸出中の商品 が利用者から返却されて、はじめて新しい商 品を発送するというルールが一般的だ。
この ため利用者がポストに投函した商品の返却手 続きを、いかに迅速に行えるかで、次の商品 を届けるまでのトータルリードタイムが変わっ てくる。
 もちろんサービスレベルの高度化は、在庫 量を増やすことでも実現できる。
実際、デ ィスカスはPPTの強みを生かして、最新の 人気タイトルは三〇〇〇枚前後もの在庫を用 意している。
それでも人気が一時期に集中す る商品への希望にすべて対応するのは無理だ。
多すぎる在庫は、必要な倉庫スペースやピッ キングの手間を膨らませ、かえって競争力を 弱めることにつながってしまう。
 
達達辰六業の開始から約二年後の〇四年 八月に、物流拠点の東西二カ所体制に踏み切 っている。
当時の会員数はまだ五万人程度だ った。
その段階で東西の拠点にそれぞれフル ラインの在庫を持てば当然、コストアップに つながる。
それを覚悟で拠点を分散させたの は、物流サービスで差別化できるという勝算 があったからだ。
 直接のきっかけは、やはり利用者の声だっ た。
事業をスタートして一年ほどした頃、東 日本エリアに住む会員からの「観たい映画が 届かない」というクレームが目立つようにな TSUTAYA DISCAS の仕組み ネットで予約自宅に配送ポストへ返却 郵便 POST 〒 39  MARCH 2010 くの面で評価できた。
データ管理に対する意 識も高かった。
 実は学研ロジの営業担当者は、ディスカス の会員数がまだ一万人にも達していなかった 〇三年の夏頃から、この事業の将来性を確信 してCCCへのアプローチを繰り返していた。
その当事者で、今もこの案件を担当している 学研ロジスティクス・営業本部営業部の吉池 隆副部長は、コンペに勝つためCCCに対し て二つの強みをアピールした。
 「われわれは出版に関する多品種小ロットの 物流業務を六〇年以上手掛けている。
細かい 作業を得意としており、業務上の特性が今回 の仕事に合っている。
そしてもう一つ、当社 の『所沢総合センター』では学研グループの 仕事のために常に三〇〇人ほどの人員が働い ている。
同じ敷地内でこの案件を手掛ければ、 突発的な業務や物量の波動にも人海戦術で対 応できる」  学研ロジはノンアセットを基本とする物流 事業を展開している。
「所沢総合センター」 (埼玉県入間郡三芳町)も中堅特積会社の岡 山県貨物運送の施設をほぼ丸ごと賃借したも のだ。
従来は学研グループ専用に利用してい た拠点だったが、その一角にディスカスの東 日本の拠点を誘致した。
 この仕事を受託することに対し、学研ロジ の社内では多くの議論があったという。
ノン アセットの3PL事業者というスタンスを強 く意識していた当時の同社は、保管や配送を 包括的に請け負うことをめざして活動してい た。
現にCCCに対しても、当初は配送業務 まで含めた受託を提案していた。
 しかし、この案件でCCCがアウトソーシ ングしたかったのは、あくまでも庫内作業だ け。
これで受託事業が成り立つのかと心配す る声が社内には少なくなかった。
だが吉池副 部長は、「この事業は絶対に伸びる。
長期的 に見てほしい」と上司を説得した。
最終的に 同社の社内も、新規分野におけるCCCの実 績などを評価してゴーサインを出した。
低コストとスピードを両立する現場  この学研ロジの判断は正しかったようだ。
スタート時には五〇〇平方メートルを用意し ておけば十分と考えていた業務スペースは、 早くも一年後に手狭になり、段階的に占有面 積を拡大。
その結果、今や一八〇〇平方メー トルまで膨らんでいる。
 現在、同センターで保管しているDVDは 約二〇〇万枚に上り、西日本の拠点で扱って いる約一五〇万枚を大幅に上回っている。
ツ タヤの最大規模の店舗でも在庫量は十二万枚 程度というから、その数の多さがうかがえる。
店舗のようにタイトルごとのケースを必要と せず、DVDだけをビニールのソフトケース で保管しているからこそ可能な枚数だ。
在庫 量は今も増えつづけている。
 事業の成長に伴って、当初は一〇〇〇件程 度だった一日あたりの発送量も数万件に増え  それに加えて「はじめに大阪でやったとき は、自分たちでゼロから仕組みを構築するこ とで固定費や変動費などのコストを明らかに したいという狙いもあった。
そのうえで良い 条件の提案があれば、外部に委託すればいい と考えていた」と首藤リーダー。
 このため東日本の拠点を新設するときに は、自社で運営することも視野に入れながら 物流事業者の提案を検討した。
ここで外部委 託の対象とした業務の領域は、物流拠点の現 場運営に限定されていた。
利用者に配送する ための宅配事業者との契約はCCCが直接結 び、センターを運営する物流業者の出番はな い。
アウトソーサーとして受託する企業にと っては、かなり厳しい条件だった。
 数カ月にわたったパートナー選びの結果、 教育関連書籍の出版事業などを手掛ける学研 グループの物流会社、学研ロジスティクスへ の委託を決めた。
学研ロジの提案は、埼玉県 にある既存の物件を使うことによるコスト競争 力の高さ、利用スペースの将来の拡張性、通 販や出版事業の物流受託で培った実績など多 学研ロジスティクス・営業本 部営業部の吉池隆副部長 た。
一〇人程度だった庫内作業者の数は、ピ ーク時には約二〇〇人を数えるまでになった。
学研ロジにとってこの案件は、すでに学研グ ループ以外では主要荷主の一社に数えられる までに成長した。
 ディスカスの東日本の物流拠点における一 日の作業スケジュールは次のようになってい る。
発送数と同様に毎日数万件が返却されて くるDVDは、日本郵便の川越西支店の私書 箱に留め置かれる。
これを学研ロジが傭車し ているトラックで毎日集荷する。
日本郵便の カゴ車一台に専用封筒入りのDVDを約七〇 〇〇枚積めるため、現状の物量であれば四ト ン車一台だけで運ぶことが可能だ。
 このトラックが七時過ぎに三芳の物流拠点 に到着する。
これを学研ロジの早番の作業者 が荷受けし、カゴ車のままフォークリフトで作 業場に運搬。
専用のレターオープナーで数万 通の封筒を猛スピードで開封し、返却されて きたDVDを中から取り出していく。
 八時三〇分頃から続々と作業者が出勤して くる。
彼らは返却された商品の内容に間違い がないかどうかをまず目視でチェックし、必 要に応じてクリーニングを施す。
続いて作業 端末の設置されたエリアで、DVDケースの バーコードをスキャニングして、管理システム への返品入力を行う。
 この際にフリーロケーションの棚のどこに戻 すのかの指示もシステムから出される。
棚入 れ作業は十二時頃までかかるが、この作業の 機械化で作業人員を三割近く削減  こうした作業手順の大筋はすべて、事業を 立ち上げてからCCCの関係者が構築したも のだ。
すべての運用を支えている情報システ ムも、オペレーションに関するものまで含め てCCCが独自に開発・管理している。
 前掲の自動封入機もオリジナルだ。
ピッ キングしたDVDの束を機械にセットすると、 自動で封入や出荷検品をこなす。
「まだプロト タイプ」とは言いながらも、すでに昨年春か ら西日本の物流拠点に二台、昨年一〇月には 東日本の拠点に四台を導入した。
 これによって物流拠点で働く作業者を東西 とも二、三割減らすことができた。
東日本で 終了に先立って十一時までに、その日のすべ ての返品入力を完了する。
 返品処理を終えると、ピッキング作業に入 る。
システムが印字する名刺サイズのピッキ ングリストの束を一人で一〇〇〜二〇〇枚ほ ど持った作業者が、棚から人手でDVDをピ ッキングしていく。
 ピッキングしたDVDは、自動封入機にセ ットするための専用ケースにまとめて収納す る。
自動封入機については後ほど説明するが、 この機械で専用封筒にDVDを封入すると同 時に、出荷検品、宛名ラベルの発行、封筒へ の貼付といった作業を施す。
 自動封入機から出てくる段階で、封筒は おおまかに方面別に分けられている。
それを 手作業で日本郵便の指定する方面別に仕分け、 カゴ車に積み分けていく。
最後にこのカゴ車 を、一七時三〇分に出発する日本郵便のトラ ックに積み込めば出荷作業が完了する。
 すべての作業スケジュールは、一七時三〇 分の集荷トラックの出発に合わせて組まれて いる。
ここから逆算すると、返品された商品 のシステムへの入力を午前十一時までに完了 しなければ、その日の朝に返ってきた商品を 同日中に再び出荷することができない。
 つまり返品される商品を借りたいと予約し ていた会員への発送が、それだけ遅れてしま うことになる。
朝戻ってくる数万枚の商品を、 その日のうちに再出荷する一連の作業が「注 文引当率」を高める決め手になっている。
MARCH 2010  40 DVDの在庫量は約200 万枚 稼働率に応じた管理を実施 ピッキングはすべて人手で 棚の幅を縮めて効率を確保 現場改善によってコスト競争力を高めている 挙に作業量を減らすることにも成功した。
出 荷時に利用者に発送している告知メールとヒ モ付けて使うために不可欠の貨物追跡の機能 も提供されるようになった。
 このように、全体の作業フローの整理や自 動化の工夫などは基本的にCCCが担当して おり、学研ロジはひたすら現場レベルの改善 に取り組んでいる。
標準作業の教育などによ って作業者の生産性を高め、棚のデザインや 高さを工夫することによるスペース効率の拡 充などが学研ロジの主な役割だ。
成長余地が大きい宅配レンタル事業  東日本のアウトソーシングが満足のゆく成 果につながったことから、CCCは西日本の 拠点についてもアウトソーシングに移行した。
それまで作業者の派遣だけを任せていた会社 と新たに業務委託契約を交わした。
 最近では東西の現場レベルでの情報交換も 盛んになってきた。
学研ロジの吉池副部長は、 「今後はネット書店のアマゾンの現場のように、 作業者一人あたりの生産性を把握できるよう にしてさらなる効率化を図っていきたい」と 意気込んでいる。
 近年はCCCグループの物流の管理体制そ のものも変化している。
CCCは〇六年四月 に、仕入れと物流を担う関連会社としてMP Dという会社を発足させている。
取次大手の 日本出版販売との合弁会社で、持株比率は日 販五一%、CCC四九%だ。
昨年にはCC Cのロジスティクス部門から店舗物流を担当 している人員を切り離してMPDに統合、グ ループの物流管理を一元化しつつある。
 ディスカスの物流については、まだ成長期 で見直すべき点が多いことから従来通りCC Cの中で管轄している。
しかし、首藤リーダ ーをはじめとするロジスティクス担当者の役割 は徐々に戦略的な仕事にシフトしており、今 後は組織体制が変化する可能性もある。
 物流拠点を分割した〇四年から、ディスカ ス事業は単年度黒字に転じている。
業績は 非公表だが、その後も順調に利益幅を拡大 しているという。
「業界最速・翌日配送率九 七%」をうたう物流サービスが事業を拡大す るうえで大きな武器になっている。
 しかし店舗事業に比べれば、ディスカスの 事業規模はまだはるかに小さい。
仮に八〇万 人の会員が全員、月に六枚(主流となってい る定額プランの平均枚数)のDVDを借りた としても、この事業でレンタルされる総数は 一年間で六〇〇〇万枚に満たない。
これはC CCグループが〇八年度に貸し出したDVD の総数六億枚の一割程度でしかない。
 先行市場のアメリカを見ると、ネットフリ ックスの〇九年度の売上高は一六・七億ドル (約一五〇〇億円)で前期比二二%増を記録 した。
会員数も一二二七万人と前年より三 一%も増えている。
これを見る限り、宅配レ ンタル事業が成長する余地はまだ大きそうだ。
(フリージャーナリスト・岡山宏之) は「ピーク時に二〇〇人程度いた人員が一二 〇〜一三〇人に減った」(学研ロジの吉池副部 長)という。
機械の開発・導入に費やした投 資は遠からず回収できる見込みだ。
 〇八年には宅配のための配送業者を見直し た。
それまで宅配事業大手のメール便を活用 していたのだが、これを日本郵便に切り換え た。
首藤リーダーは、「良くも悪くも郵便ポス トを使う点はこのビジネスのアキレス腱。
そう であるならばいっそ日本郵便と組んでしまお うと考えた」と振り返る。
 日本郵政公社の民営化というタイミングが 重なったこともあって、日本郵便からは様々 な好条件を引き出すことができた。
配送単価 を低減できたのはもちろん、従来は返信用封 筒に貼っていた切手を料金後納制に変えて一 41  MARCH 2010 2009 年10 月に オリジナルの自動 封入機を導入 東日本センターで は作業者を2割以 上削減した

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