ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2005年1号
特集
ヤマト運輸の決断 宅急便――路線便市場まで呑み込む

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

ヤマト運輸 JANUARY 2005 14宅急便 ――路線便市場まで呑み込むヤマト運輸が商業貨物輸送を本格的に解禁する。
新たにボックスチャーター便を発売。
宅急便を開始した1976年を機に封印していた市場に改めて参入する。
既存の特別積み合わせトラック運送業者は影響を避けられない。
路線便市場が宅配便に呑み込まれる。
(大矢昌浩)六〇〇kgサイズの宅急便二〇〇四年十一月 ヤマト運輸は法人向けの新サ ビスとして合計六〇〇キログラムまでの荷物をロ ルボ クスパレ ト カゴ車 に載せて翌日配送する ボ クスチ タ 便 を発売した 出荷時に専用カバ を付けてボ クスを封印し 納品先までヤマトが一貫輸送する 配送時間帯は二時間単位で指定できる 低温輸送にも対応する いわば六〇〇キロサイズの宅急便だ 七六年に宅急便をスタ トさせて以来 ヤマトは一個二五キログラム以上の商業荷物を事実上 切り捨ててきた 実際 当初の約五年をかけて それまで手掛けていた路線便 現在の特別積み合わせ便 や貸し切りなどの法人向けサ ビスのほとんどを整理した 今でもサ ビスメニ には路線便として ヤマト便 を掲載しているが 実勢価格は相場よりも割高で ヤマト側から荷主に対し売り込みをかけることもしてこなか た 消費者物流と比較すれば商業貨物の扱いは簡単だ 発地も着地も限られている そこに市場があることも分か ていた しかし 一番難しいCtoCが完全にできるようになるまでは手を出さないようにしてきた 商業貨物は一軒当たりのボリ ムも大きい それに慣れてしまうと 一個ずつ荷物を集めるということが疎かになるからだ と山崎篤社長はいう ボ クスチ タ 便の発売によ て 同社は二八年ぶりにBtoBの中ロ ト輸送を本格的に解禁したことになる ここにきて封印を解いたのは 宅急便の全国インフラが完成し 宅配市場の淘汰もほぼ終了したと見ているからだ も とも新たに参入する路線便市場は ここ数年低迷が続いている 国土交通省の調査によると 貨物輸送の一件当たりの重量は年々小口化が進んでおり 今や全体の八割が五〇〇キログラム以下の貨物にな ている 図1 これによ て本来であれば 貸し切り輸送から路線便へのシフトが進むはずだ しかし 既存の路線便業者は流れを掴めていない 二〇〇四年一〇月に中堅路線業者の近鉄物流を買収したハマキ ウレ クスの大須賀正孝社長は 小口化によ て路線便に対するニ ズは確実に高ま ている ところが既存の路線業者のサ ビス品質は荷主が満足するレベルにない 物流の小口化は今後ますます進んでいく 近鉄物流に当社の品質管理ノウハウを移植することで荷主のニ ズに応えていく という 同じ市場に ヤマトは宅急便のインフラと商品開発力で切り込む 既存の路線業者は全国網を完成させていない 西濃や福通などの準大手クラスでもネ トワ クには穴がある 最大手の日本通運でさえ 協力会社の地区通運が担当するエリアと自社配送エリアを継ぎ合わせてネ トワ クを構成している そのため自社単独ではサ ビスを完結できない 他の路線業者のトラ クに荷物を積みかえる連絡輸送が発生する その分 スピ ドと品質に制約を受ける 貨物追跡や納品サ ビスも連絡輸送の相手先次第にな てしまう それに対して全国インフラを擁しているヤマトは 一貫輸送のスピ ドと精度の高い納品サ ビス そしてロ ルボ クスを活用したユニ ト輸送による品質で差別化しようとしている 企業間取引の決済サ ビスを本格化これと並行して二〇〇五年四月から始まるヤマトの中期経営計画には 企業間取引を対象とした決済サ ビスが目玉として盛り込まれる予定だ これまでも第3部 15 JANUARY 2005特 集   決断 ヤマト運輸運輸 ヤマト運輸の 決断 同社は集金と決済を代行する コレクトサ ビス を手掛けてきたが その対象は通販会社などのBtoC取引で発生する代金引換に限られていた 買掛けを月末に締めて一定のサイトで支払う通常のBtoB取引には対応していなか た 代引とは異なり 立て替えの発生する企業間取引の決済には 与信の管理が必要になる そのためサ ビスの開始に先立ち 二〇〇四年十一月には割賦債権の買い取りと代金回収を行う信販会社のフ インクレジ トの買収を決定した 投資金額は約五八億円を予定している これに合わせて二〇〇五年一月には子会社のヤマトコレクトサ ビスをヤマトフ イナンシ ルに社名変更する予定だ 同社は売上高約二一〇億円に対し 六〇億円近くの経常利益を叩き出す超高収益企業 そのサ ビス対象を従来のBtoCから ケタ違いに規模の大きなBtoBに拡げることで 決済サ ビスは今後 グル プ全体の収益を支えるドル箱になることが期待されている ライバルの佐川急便も決済サ ビスには意欲的だ クレジ トカ ドやデビ トカ ドの活用では ヤマトをむしろ先行した 消費者物流を土台とするヤマトと違 て 佐川はもともとBtoBの小口配送をドメインとしている それだけ法人向けの決済や路線便市場にも敏感だ ヤマトの動きを指をくわえて黙 て見ているわけはない 具体的な事業計画も既にツメの段階に入 ている模様だ 宅配市場の勝ち組による物流と決済を統合した法人向けサ ビスは 既存の路線便のマ ケ トを大きく揺さぶる 宅配便は行政区分上 路線便の一つとして位置付けられている 二五キログラム以下の路線便に 宅配便 というラベルを後から付け加えた格好だ それが今や路線便市場全体を呑み込むまでの存在に成長を遂げた ヤマト・佐川だけではなく ハマキ ウレ クスや 老舗路線業者の九州産交運輸を産業再生機構から買い受けたオリ クス傘下のフ トワ クエクスプレス さらにはキユ ソ 流通システムやキリン物流など大手メ カ の物流子会社も 自らの強みを活かした新しい切り口で路線便市場への参入を図 ている 市場の顔ぶれは大きく変わろうとしている 勝ち組の落とし穴ヤマトを始めとした新興勢力の攻勢に既存の路線業者は防戦一方だ 郵政公社がコンビニや民間物流企業との提携によ て仕掛けているヤマト包囲網も当面 収益に影を落とすほどのダメ ジにはなり得ない ヤマトにと ての死角はむしろ内部にある 社内には宅急便の強烈な成功体験が染みついている メ ル便の配送ネ トワ クを社員だけで構築するという決断や 国際市場に背を向ける姿勢にもその影響が見て取れる 環境は変わる 宅急便で成功した戦略が現在も通用するとは限らない 実際 官を相手にケンカを仕掛けることで世論を見方につけるという これまでの勝ちパタ ンが今回は裏目に出ている UPSとの資本提携解消もコラボレ シ ンを受け付けないヤマトの自前主義が一因にな ている 完璧なビジネスモデルを追い求めるあまり 視野が狭まれば足元をすくわれる 国際インテグレ タ は虎視眈々と日本の国内市場参入の隙をうかが ている 稀代の経営者 小倉昌男元会長が経営の第一線を退いて既に久しい 宅急便を完成させたクロネコヤマトには新しいビジ ンと戦略が求められている 平成6年10月 平成7年10月 平成8年10月 平成9年10月 平成10年10月 平成11年10月 平成12年10月 平成13年10月 平成14年10月 平成15年10月 図2 宅急便VS路線便(1カ月調査)  図1 流動ロット分布の推移 
沓芦 
僑芦 
毅芦 
苅芦 
械芦 
横芦 
隠芦 
亜。
寛 
害 
臆 
渦 
亜。
隠坑牽鞠 調査  1990年 調査  1995年 調査  2000年 調査 

63  2。
43  2。
13  1。
73 流動ロット (トン/件) 
隠娃亜。
坑亜。
牽亜。
沓亜。
僑亜。
毅亜。
苅亜。
械亜。
横亜。
隠亜。
亜  福鵝法。

1トン以下 

1〜0。
5トン 

5〜1トン 
吋肇鶲幣紂 淵肇鵝法 文帖法‖霰枴惴朕堯]線便個数 宅配便トン数 路線便トン数 国土交通省「特別積合せトラック調査報告書」を元に作成  国土交通省「第7回全国貨物紙流動調査」より 
各間調査 単位:千件、トン/件、% 

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