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35 MARCH 2010
ヤマト運輸は一月二七日、約三〇〇
億円を投じて宅急便サービスを提供す
るための情報システムを刷新すると発
表した。 同社では一九七〇年代から情
報システムの構築・刷新を繰り返して
きたが、その目的は社内業務の効率化
にあった。 二〇〇五年には顧客視点に
発想を転換した第六世代のシステムを
導入したが、今回発表した第七世代で
はさらに顧客満足の向上をはかり、シ
ェア拡大につなげていく考えだ。
新たな展開の第一弾として、二月か
ら「宅急便受取指定サービス」を開始
した。 荷物の受け手に宅急便の到着予
定日時や商品名、送り主などをEメー
ルで事前に知らせ、都合が悪ければ希
望の日時や場所、受取方法に変更する
ことができる。 不在伝票が届けられた
後に希望日時を指定するサービスは以
前からあったが、荷物が届く前に設定
できるという点で大きく異なる。
ヤマト運輸の木川眞社長は「以前か
ら『家族ではなく、わたし個人に届け
て欲しい』、『荷物が届くことを親に知
られたくなかった』という声が非常に
多かった。 ?宅配?ではなく、?個配?
に対応していくことが今後の顧客拡大
には不可欠」と語っている。
個配の課題は本人確認にある。 そ
のため、同サービスの利用者はヤマト
運輸の無料会員「クロネコメンバーズ」
に登録していることが条件となる。 メ
ンバーズ会員の了解を得た上で個人情
報をデジタル化し、会員証を本人確認
書類として活用する。
受取指定以外にも新サービスを打ち
出している。 宅配ドライバーが持つポー
タブル端末を刷新したことで、電子マ
ネーでの軒先決済が可能になった。 現
在は「nanako」「Edy」「WA
ON」が利用できる。 さらに、地域に
よっては新端末にネットスーパー機能
もつける。 買い物が不便な地域に暮ら
す人に、ドライバーの持つ端末から商
品を注文できるサービスを提供するこ
とで新規顧客を開拓する狙いだ。 新端
末は今年七月までに全国で導入してい
く。 「これらのサービスは手始めに過ぎ
ない。 今後も新システムを基盤とした
新たなサービスをどんどん打ち出して
いくつもりだ」と木川社長は意気込み
を語った。 (石鍋)
ヤマト運輸が宅急便の情報システムを刷新
?宅配?から?個配?への転換をはかる
上)新端末では電子マ
ネー決済やネットスー
パーへの注文が可能に
なった
下)意気込みを語る木
川社長
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