ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2010年6号
特別レポート
イー・ロジットクラブ通信 第4回 美術出版サービスセンター自動倉庫で省スペースかつ効率管理

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

JUNE 2010  56 イー・ロジットクラブ通信 保管面積を二分の一に圧縮  図工・美術用教材を企画・販売する美術 出版サービスセンターは東京都練馬区に「美 術出版ロジスティクスセンター」を構えてい る。
同社の扱う商品約一万八〇〇〇アイテ ムのうち約一万一〇〇〇アイテムをここに保 管し、全国の代理店や画材販売店などに出 荷している。
 一日当たりの平均出荷アイテム数は約 三〇〇〇。
納品先件数は五〇〇件。
一カ月 当たりの伝票行数は仕入れ・出荷含めて約 五万行を処理している。
しかし、その建物は 建設面積一四三〇平方メートルの二階建てで、 スペックと比較すると意外なほどコンパクト に収まっている。
 同センターに移転する前までは、埼玉県所 沢市に現状の約二倍の保管スペースを有する 拠点を構えていた。
アイテムの増加によって、 旧センターが手狭になったことから新センタ ーの建設による保管能力の拡大を計画した。
 しかし、単純に保管スペースを増やすだけ では、その後もアイテム数の増加と共に拠点 規模を拡大しなければならなくなる。
入出庫 やピッキングなどの作業が煩雑になる恐れも あった。
アイテム数が多く、しかも多種多様 な荷姿の商品を取り扱うという厳しい物流条 件に対応し、その効率化を進めるためには、 スペースの有効活用が重要だと判断した。
 そこで新センターには二種類の自動倉庫を 導入することにした。
一つはバケットで商品 を保管し、高速の入出庫装置を備えた「ロ ータリーラック」だ。
一段一四六列×一九段 で二七七四のロケーションを管理する。
これ を二基導入した。
もう一つはパレットで保管 する荷物を六段×四八列で二八八パレットで 保管する「パレットスタッカー」だ。
 センターで取り扱う商品の約七割を、これ らの自動倉庫に格納して保管している。
そ の結果、旧センター時代と比べて現在はアイ テム数が一・三倍に増えているにもかかわら ず、使用スペースを約半分に抑えることがで きている。
 自動倉庫に保管しない残りの三割は、出 荷ロットの大きな季節商品、あるいはロータ リーラックのバケットに収まらない長尺物や  図工・美術用教材を企画・販売する美術出版サービスセンターでは 小物から長尺物、大型商品まで、荷姿のバラバラな約一万八〇〇〇 アイテムを取り扱っている。
しかし、その物流センターは意外にコン パクトだ。
ロータリーラック型の自動倉庫を活用して、省スペースか つ効率的な管理を実現している。
美術出版サービスセンター 自動倉庫で省スペースかつ効率管理 2 種類の自動倉庫を導入してスペース効率を高めた 《第4回》 57  JUNE 2010 大物商品で、これらは平置場や通常のラック で保管している。
このほか大量出荷商品や極 端な少頻度受注商品は、仕入先メーカーから 納品先に直送している。
 同センターで取り扱っている商品の中には、 食品の賞味期限と同様の使用期限が設けられ ているものがある。
その代表的な商品が絵の 具で、使用期限を過ぎると品質が劣化してし まう。
たとえ使用期限内であっても、製造ロ ットの古い商品を後から納品すれば顧客の不 信を招いてしまうため、先入れ先出しを徹底 する必要がある。
 保管状態やハンドリングに配慮が必要な商 品もある。
ロータリーラックは高さが八メー トルを超える。
その上層段と下層段では室温 に五度から一〇度もの違いが出る。
紙粘土な ど温度の上昇によって乾燥が進む商品は下層 段で保管しなくてはならない。
また割れモノ などはクレーン搬送をできるだけ少なくして 振動によるダメージを抑える必要がある。
そ のためこうした商品は、商品マスターで保管 条件を設定して、全一九段のうちの下の二段 に格納するようにしている。
 このように商品特性や受注数量によって保 管エリアが異なるので、一つのオーダーでさ まざまな商品を出荷する場合には、ピッキン グ後に荷合わせ作業を行う必要がある。
その ため出荷リストには、アイテムごとに「ロー タリーラック」、「パレットスタッカー」、「平 置場」、「荷合わせ場」の四つのエリアのチェ ック項目を設けている。
 商品の受注情報(出荷データ)は、毎朝 九時三〇分にセンターに入ってくる。
それ以 後も三〇分おきにバッチで追加の出荷データ が入る。
午前中に出荷準備を済ませた商品は 梱包せずに、ピッキング場でストップさせて おく。
午後に入り同じ納品先から追加オーダ ーを受けた場合には、追加分をピッキングし て二枚のピッキングリストを貼り合わせて同 梱する。
 同センターの出荷精度(ミス率)は現在、〇・ 〇一%だ。
自動倉庫をはじめとした自動化シ ステムを導入すればオペレーションの問題が すべて解決できるというわけではない。
シス テムの性能をフルに発揮させるには、システ ムの特性を踏まえた作業手順の構築が必要で、 そのための作業改善を重ねてきた。
 たとえばピッキング時の出荷個数の読み方 には、個々の作業者のクセが出る。
頻繁にミ スが発生している作業者には、数量の数え方 を変えさせるなどの細やかな指導を行ってい る。
また梱包作業には専任者を配置し、割 れ物や液体等に破損があれば確実に識別でき る仕組みをとっている。
 このような物流品質向上の取り組みは、い ずれも現場作業者の自発的な提案から生まれ たものだという。
図工・美術用教材という商 材に対する現場作業者の知識および取扱ノウ ハウの蓄積こそ、同センターの大きな特長だ といえるだろう。
六月の物流施設見学会  物流コンサルティングと通販物流のイー・ロ ジットが主催する研究会「イー・ロジットクラ ブ」では先進物流センターの見学会を定期的に 行っている。
次の訪問先は以下の通り。
●大阪 六月十一日(金)  枚岡合金工具  トヨタ生産方式を応用した?カイゼン?に挑 戦し続ける中小企業の現場を訪問。
整理、整 頓、清掃の「3S」を維持していく秘訣、人 材の育て方を、実際に見て、聞いて学ぶ。
●東京 六月二五日(金)  東京ユニオン物流「ターミナルX」  住宅資材共配のクロスドッキング作業をメー ンにする二四時間稼働の複合型ターミナル。
北 は山形、西は四国からその日に配送する分だけ の当日オーダーの商品が深夜到着する。
一日三 回転の配送を目指している。
 この現場見学会はイー・ロジットクラブの会 員向けプログラムだが、参加人数に余裕のある 場合は非会員でも有料で参加を受け付ける。
 また同クラブへの入会を検討する企業を対象 に、無料セミナーおよび無料説明会も随時行っ ている。
参加者には角井亮一イー・ロジット代 表の?最新セミナーテキスト(定価三〇〇〇円) と、?最新セミナー講演CD(定価一万円)が プレゼントされる。
イー・ロジットクラブ活動報告 ■問い合わせ先電話番号 東京:〇三─五八二五─一七二〇 担当/清水 大阪:〇六─四三〇八─八九七七 担当/宮野 ■URL: http://www.e-logit.com/seminar/ elogitclub.php

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