ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2010年7号
特集
第3部 ベストプラクティスの現場に学ぶ【ゲ オ】50万品目の処理にソーターの運用を工夫

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

JULY 2010  26 店舗間の中古商品在庫を平準化  ゲーム、CD、DVDの販売・レンタル事業を 柱とするゲオは、現在、全国に約一〇〇〇店舗の 「ゲオショップ」を展開している。
店舗で取り扱う 商品の物流・販促・購買機能は、ゲオの一〇〇% 子会社であるゲオサプライが担っている。
 物流拠点は北海道から九州まで全国に一五拠点 を設けている。
それぞれの拠点ごとに、レンタル商 品、中古商品、新譜商品、通販商品、加工拠点な ど、取り扱う商材や機能を明確に切り分けている。
 その一つ、愛知県の岩倉流通センターは、ゲオ における中古商品の中枢物流拠点だ。
延べ床面積 は約二九〇〇坪で、北海道と九州を除く約六〇〇 店舗をカバーしている。
中古商品はソフト、ハード の種類が多く、さらにその周辺機器なども取り扱 うため、取り扱いアイテム数は五〇万を超える。
 中古商品は一般のエンドユーザーからの下取りが メーンだ。
下取りは各店舗で行う。
各店舗の在庫 状況にはどうしても偏りが生じてしまう。
それを 解消してゲオ全体で最適な販売活動を行えるように することが岩倉流通センターの主な役割となる。
 ゲオサプライの安藤秀司商品流通部次長は「購 買部が六〇〇店すべての中古商品の在庫状況を把 握し、余剰となっている商品があれば、センター まで送るように指示を出す。
各店舗から送られて きた商品をセンタ ー内で組み合わせ て梱包し、その商 品が不足している 店舗に発送してい く。
センターから 見れば、六〇〇店舗が入荷元であり、同じ六〇〇 店舗が出荷先になる」と説明する。
 岩倉流通センターの入荷から出荷までのフローを みていこう。
センターから店舗への商品回収指示 は、週に一度。
各店舗はその指示に従い、センタ ーへ荷物を送る。
発送にはJPエクスプレス(JP EX)を利用している。
JPEXが愛知県・小牧 市の営業所に各店舗からの荷物を集約し、岩倉流 通センターに一括して納品する。
 センターに納品された段ボールには、発送した店 舗側によって「ソフト全般」「本体・周辺機器」と いった中身の表記がされている。
その区分ごとに 荷物をまとめる。
その後、荷物を開梱し、ハンデ ィターミナルで商品一つ一つに貼られたバーコード を読み込み、入荷検品を行う。
 次に、ソーターを使って一次仕分けを行う。
ソー ターの間口は八六と限られている。
一つ一つの商品 コード別に仕分けようとすれば、ソーターを何度も 回さなければならず、時間がかかってしまう。
そ こで一次仕分けでは、まず商品群ごとに大別する。
 次に、一定のコード毎に仕分けられた商品を、作 業スタッフの手でアイテム別に分ける。
センター内 の広いスペースに机を並べ、その上にバケットを敷 き詰め、一つ一つの商品別に整理・整列する。
 その後、コード別に整理された商品を再びソータ ーに流し、今度は出荷先の店舗別に仕分ける。
そ の際、ソーターを出荷モードに切り替える。
ソータ ーの間口には、それぞれ該当する店舗コードと、仕 分けられてくる残りの商品数がデジタル表示され る。
商品が落ちてくる度に、その数がカウントダウ ンされていく。
 間口の下には段ボールがセットされている。
作業 50万品目の処理にソーターの運用を工夫  取扱アイテム数が50万にも上る。
ソーターの能力を どんなに上げても、到底処理しきれない。
仕分けのプ ロセスを3段階に分解し、マシンと人手を組み合わせ て独自の作業フローを構築した。
この7月から、さら にその仕組みを深化させる。
      (石鍋 圭) ゲオサプライの安藤秀司 商品流通部次長 取扱アイテム数 50万 注文ロット バラ100 % 1日当たり平均処理行数 7万5000行 1日当たり平均総労働時間 1080時間 1人1時間当たり平均処理行数 69.4行 設備 自動仕分け機、ハンディ端末、WMS(自社開発) 管理手法 日別業務管理、現場スタッフの報奨制度、 ABC/ ABM 【ゲ オ】 第 3部 ベストプラクティスの現場に学ぶ 27  JULY 2010 スタッフは落ちてきた商品を順次、段ボールに詰め 込み、残りの商品数がゼロになったら出荷検品に 回し、梱包する。
梱包された荷物は出荷発送を請 け負っているヤマト運輸、福山通運に引き渡され、 各店舗へと届けられていく。
 ここまでが岩倉流通センターの一連の物流フロー だが、この七月から、この工程を刷新する。
安藤 次長は「センター内の物流フローを短縮化する。
コ スト削減、品質向上だけでなく、店頭での販売機 会の増加にまで繋げたい」という。
 従来は、購買部から回収の指示を受けて、店舗 側が商品を発送するのは毎週木曜日だった。
翌日 の金曜日に商品がセンターに届く。
それを処理して センターから再び発送するのは翌週の火曜日。
店 頭に到着するのは、早くて翌日の水曜日というこ とになる。
 店頭から店頭までのリードタイムは丸々一週間。
物流センターに入荷してから出荷するまでの日数 だけでも、五日間かかっている。
最も商品が売れ る週末に、センター内で多くの在庫を抱えてしまっ ている状態だった。
 安藤次長は「本来であれば、週末の店頭の売れ 行きを確認した上で回収指示を出し、次の週末ま でには物流業務を全て終えて、店頭に分配できて いる状態が望ましい。
しかし、センター内の物流 フローに時間がかかり、これまではそれができな かった。
センターでのフローを三日に短縮すること ができれば、それが可能になる。
七月からの取り 組みでそれを目指す」という。
 従来の物流フローでボトルネックになっていたの は、一次仕分けで大別された商品を、バケットに一 つ一つ商品別に並べ、整列させる工程だった。
一 四〇人ほどのパートスタッフによる人海戦術でこな しているが、それでも多くの時間を要してしまう。
人による目視作業なので、ミスも発生する。
ここ に改善の余地があると判断した。
一次仕分けをハンディ端末に変更  実は、この作業を行うことなく、センター内の 物流フローを三日で終わらせる取り組みが、岩倉 流通センターの一部、約一〇〇店舗を対象として 既に行われている。
そのフローでは、入荷検品ま では従来と変わらないが、一次仕分けはソーターで はなく、ハンディターミナルを使って行っている。
 出荷先となる一〇〇店舗を、一〇店舗ずつの一 〇グループに分け、グループごとの箱を用意する。
作業スタッフはバーコードを読み込んで、その商品 を該当するグループの箱に仕分けていく。
この作業 を一五人ほどの作業スタッフが行っている。
 二次仕分けでは、それぞれの作業スタッフが仕 分けた同じグループ同士の荷物を合わせ、今度は店 舗別に同じ要領で商品を小分けしていく。
その後、 荷揃え・梱包を経て出荷していく。
 一次仕分けと二次仕分けの間にあった整列作業 を無くすことで、センター内の作業を従来の仕組み に比べて二日ほど短縮した。
この方法だと、火曜 日にセンターに到着した荷物を、その週の木曜日中 には全て出荷し、金曜日には店頭に届けることが できる。
ハンディを使った作業なので、作業ミス率 も極めて低いという。
 この物流フローを岩倉流通センター全体に拡大す る。
これまで整列作業に従事していたパートスタッ フの大半は、ハンディターミナルを使った作業に移 行することになる。
その結果、物流フローを短縮 できるだけでなく、人件費も二割から三割ほど削 減できる見込みだという。
 しかし、これまでとは違い六〇〇店舗全てをカ バーするので、若干のカスタマイズも必要となる。
例えば、現状は一次仕分けも二次仕分けもハンディ で行っているが、物量が圧倒的に増えるので、店 舗別に分ける二次仕分けにはハンディに加えてソー ターも用いる。
その使い方にも工夫を加える。
 安藤次長は「例えば、ソーターの最大能力をフル に使い切ることが常にベストとは限らない。
八六間 口を全て利用するのではなく、四〇間口を二回に分 けて商品を流した方が、作業員のいる時間内に、早 く終わるケースもある。
ハンディなども含め、マテ ハンの使い方の詳細や要件は最終的な調整している 段階だが、慎重な検討が必要になる」と語る。
ソーター仕分け ソーター間口。
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