ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2010年9号
特集
Interview 「勝てるコスト構造を作り上げた」NTTロジスコ 中川雅行 社長

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

SEPTEMBER 2010  42 「勝てるコスト構造を作り上げた」  売上高を現在の倍以上の1000億円に拡大するという目標を 掲げている。
従来の延長線上に将来はないことを社内に通告 し、仕事のやり方から発想法まで抜本的に改めた。
グループ のICT事業で培ったアウトソーシングのノウハウを物流事業に 移植することで差別化を図り、新規案件を獲得している。
通信事業のノウハウを物流に ──
裡圍團蹈献好海メーンとしてきたNTTの通信 資材や通信機器、電話帳の荷量は年々減少していま す。
光提供エリアも全国に拡大し、NTTグループの インフラ投資も既に一段落しています。
 「その通りです。
何もしなければ、当社はじり貧に なってしまうことが明らかでした。
そのために我々 はベースカーゴが減っていくことを前提にして、これ まで事業構造改革と一般営業の強化を進めてきまし た。
社員数はピーク時に比べて三割程度は絞りまし た。
外販比率も約三割まで拡大しました」 ──物流子会社はグループにコスト貢献することだけ が役割で、自分の売上規模や利益を追求する必要は ないと割り切るケースも増えています。
 「当社の場合はそうではありません。
新しいビジネ スモデルを構築し、新しい需要を創造することで、自 立した会社になることが期待されています。
しかし、 長い間当社は親会社やグループ会社から受けた依頼を 処理しているだけで良かった時代が続いていました から、意識改革が必要でした」 ──売上高一〇〇〇億円という長期目標を掲げたの も、そのための仕掛けですか。
 「“大ボラ”と言われるかも知れませんが、やはり 一〇〇〇億円レベルの規模がないと大手荷主からは 相手にされない、コンペの土俵にさえ上がれないと いうことがあります。
また達成不可能な数字だとも 思っていません。
年間一〇億円レベルの案件を毎年 二〇件ペースで受託ができれば数年で目標に届く。
た だし、当社がそれを実現するには、営業のやり方に 始まりインフラのあり方、人材の育成方法など、す べてについてその発想から変えていかなくてはなり ません」 ──具体的には従来と比べて何がどのように違って くるのでしょうか。
 「例えばアセット戦略です。
今年十一月には千葉で 延べ床八〇〇〇坪の新センターが稼働しますが、こ れは自社物件で、しかも事前に荷主の決まっていな い先行投資でした。
周辺に賃貸倉庫をいくつか借り ていたので、空いたままなら新センターに集約する ぐらいのつもりだったのですが、今年二月には新し い荷主が決まりました。
このセンターの稼働後には、 すぐに二つ目の自社センターを着工する予定です。
し かし、それも集約で一杯になってしまうので、現在 は三つ目のセンターを検討しています。
同規模のセ ンターが当面、五つくらいは必要だと考えています。
新規営業の成果がそれだけあがってきている」 ──借庫ではダメなのですか。
 「必要のあるたびに借庫するというかたちでは結局、 アセットを持った3PLや倉庫会社に太刀打ちできな い。
コンペの参加条件に、センターが自社物件であ ることを挙げる荷主も増えています。
運営を開始し て以降も、借庫がバラバラに点在している状態では管 理に制約が出てしまう。
各荷主の物量の増減に対応 するのも難しくなる。
背伸びをし過ぎてはいけませ んが、石橋を叩いてばかりもいられません」 ──営業スタイルも変わりましたか。
 「ICT、通信事業におけるアウトソーシングビジ ネスをヒントにしています。
サービス品質を荷主に保 障して、それが守れなかった場合には当社がペナル ティをお支払いするという『サービス・レベル・アグ リーメント(SLA)』の導入もその一つです。
通信 事業では六、七年前から普及していますが、物流業 界でSLAを前面に押し出して営業しているところ NTTロジスコ 中川雅行 社長 Interview 43  SEPTEMBER 2010 は今のところあまりないはずです」  「私は当社に異動になるまで、NTTグループで長 年、通信事業のソリューション営業を担当しました。
そこからロジスコの営業本部長に転じて、すぐに荷主 さんを片っ端から回ったところ、荷主企業の経営者 には既存の物流部門に不満を持っている方が大変に 多いことを知りました。
同時に、通信事業と物流事 業は非常に似ていることに気付きました。
どちらも ネットワークを扱うアウトソーシング事業であり、安 定稼働が絶対条件で、そのうえで顧客は常にコスト ダウンとサービス品質の向上を求めている」  「それが分かって、通信事業のノウハウを物流事業 に活かすことができる、それによって他の大手3PL と差別化しようと考えたんです。
その一貫でNTT コミュニケーションズや日本情報通信と組んで『サー ス(SaaS=Software As A Service)』型の物流 情報システムの提案も開始しました。
月五万円〜一 〇万円程度の月極料金で当社のWMSをWeb経由 でご利用いただくというものです」  「『Lomio』という医療機器業界向けのSaa S型物流システムについて、昨年十一月にデモ版を 発表しましたが、今年一月には第一号の荷主さんに ご契約いただいた。
医療関係の会社で、コンペ案件 だったのですが、Lomioが受託の決め手になりま した。
『Web LMS(SaaS型物流管理システ ム)』も同様に第一号の荷主さんにご契約いただきま したが、北海道の金物卸さんです。
IT企業にWM Sの見積もりをとったら、一億五〇〇〇万円と言わ れて驚いていたところに、当社がWeb LMSを提 案して評価いただいた。
結局、物流のオペレーション まで含めて当社に委託してもらえることになりまし た。
この八月から運用を開始しています」 負けたコンペを徹底分析 ──現場の運営コストに課題はありませんか。
一般 に物流子会社は管理費が割高だと言われています。
 「最近のコンペでは、コストで負けることはまずな くなりましたね。
その前の一年ぐらいをかけて、失 注したコンペの情報をできる限りかき集めて、なぜ ウチが負けたのか徹底的に分析したんです。
人件費 なのか、梱包費なのか、運送費なのか、倉庫費なの か。
人件費が高いのであれば、それは人件費の水準 そのものに問題があるのか、それとも効率や仕事の 仕方の問題なのか。
マテハンに問題があるのなら、そ れは使用方法なのか、それとも調達方法なのか。
ま たシステム料金はどう設定すれば良いのか。
一つひと つ検証していくことで色々なことが見えてきた。
調 達先も全面的に見直しました。
その結果、調達先の 数が従来と比べて五倍くらいに増えた。
そうやって コスト構造を変えたことで今では、どの分野をとっ ても高いと言われることはなくなりました。
適正な マージンを乗せた料金を出しても勝負できる構造にな りました」 ──リーマンショックの影響は?  「やはりありました。
物量が半分になった荷主さ ん、それ以上に減った荷主さんもいました。
そのた め当社の売り上げも下がった。
しかし利益は維持で きました。
コスト構造を変えたことで物量の減少に も何とか耐えられた。
売上規模としては今期二〇一 一年三月期が底になると見ています。
グループ向けの 物量の減り方がようやく鈍ってきた。
これまでは外 販を獲ってもそれ以上にグループ向けが減っていた。
それが来年度から逆転すると見ています。
五年後を メドに目標の一〇〇〇億円を目指していきます」 NTTロジスコ  1991年、NTTに物流部が発足。
同年、100 %子 会社としてNTT-PD企画を設立。
94年、NTTロジス コに社名を変更、NTT物流部から人員および資産を 継承。
2010年3月期の売上高は約380億円。
営業利 益は約19億円。
グループ従業員数約2400人(うち 正社員400人)。
外販比率は約30 %。
2000年に庫 内オペレーションを担うNTTロジスコサービス、01 年にWMSの維持・管理をメーンとするNTTロジスコ インフォメーションサービスを設立している。
会社概要 なかがわ・まさゆき 1973年、日本電信電話公社入 社。
松江支店長等を経て99年のNTT再編でNTTコミュ ニケーションズ・ソリューション事業部第二営業部長に就 任。
同社取締役チャネル営業本部長等を経て2006年6 月、NTTロジスコ代表取締役常務取締役営業本部長に就 任。
08年、同社代表取締役社長に就任、現在に至る。
PROFILE SaaS 型Web 物流管理システム(WebLMS)の構成 SaaS 型物流管理システム WebLMSアプリケーション NTT Com Bizホスティングベーシック NTT Com BizCITY for SaaS Provider NTTロジスコ物流情報ネットワーク (VPN) NTTロジスコ物流センター 荷 主 インターネット 荷主ネットワーク (VPN / NGN) 特 集 3PL市場 2010

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