ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2010年11号
メディア批評
断罪すべきは小沢一郎よりもむしろ竹中平蔵日本経済をダメにした張本人の?逃税?疑惑

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

佐高 信 経済評論家 NOVEMBER 2010  70  竹中平蔵は日本振興銀行元会長の木村剛を 尋常ならざる形でバックアップした責任を問わ れて、卑怯にも逃げまわっている。
 「その件についてはコメントしない」と各メ ディアに言っているらしいが、メディアはなぜ、 小沢一郎を断罪するくらいの勢いで竹中に迫 らないのか?  私は小沢よりも竹中を証人喚問すべきだと 思う。
小泉純一郎と共に日本経済をメチャメ チャにした張本人だからである。
 高杉良の実名小説『新・青年社長』上下(角 川書店)を読んでいて、竹中が、介護を喰い 物にしたコムスンの折口雅博を持ち上げてい たことも思い出した。
 折口はディスコなどで急成長したグッドウィ ル・グループのトップ。
大体、臆面もなく?グ ッドウィル(善意)?を社名に掲げるところか らして怪しいが、『週刊文春』の二〇〇七年 六月二一日号によれば、元首相の安倍晋三と 共に竹中はこれを礼賛したという。
 『週刊ダイヤモンド』で折口と対談した竹中 は、「浮き沈みの激しいディスコを一〇年持た せるというのは、たいへんなことだ」と軽く 褒めてから、折口が規制を突破する新規参入 を介護ビジネスで果たしている、と「手放し の評価」を下した。
 「きっと氏は、ものごとを戦略的に考え、プ ランを立て、かつそれを瞬時に行うことので きる、稀有な人なのだろう」  これが竹中が対談を終えての折口評である。
 他にも、持ち上げて知らんぷりした例は多 いと思うが、この折口から木村まで、竹中が 下した「評価」のまちがいをメディアはもっ と検証すべきなのではないか。
 竹中については「?逃税?疑惑」というも のがあった。
それで私は大臣となった竹中に 辞職を勧告した。
口火を切ったのは『週刊ポ スト』の二〇〇一年一月一七日・二四日合併 号である。
見出しは「竹中大臣は住民税を払 っていない? 八年で四回の『米国移住』『住 民票の移動』は節税対策か」。
 これによれば竹中は周囲に、  「知ってる? 『一月一日』に日本にいなけ れば住民税は請求されない。
つまり、払わな くていいんだ。
だから毎年暮れに住民票を海 外に移動し、年を越してから戻ってくれば効 果的かつ合法的な節税になるよ」  と語り、それを次のように実行していたという。
 ハーバード大准教授時代の一九八九年七月 に住民票を米国に移し、翌九〇年四月、慶 大助教授になるや東京都港区に転居。
以後、 九六年に教授に昇格するまで毎年のように日 米間で住民票を小刻みに移動した。
 この件は、高杉良が『文藝春秋』で、私も 『サンデー毎日』で糾弾したが、竹中はなぜか、 高杉や私は訴えず、『週刊ポスト』と『フライ デー』を名誉毀損で訴えた。
 二〇〇二年八月一六日号の『フライデー』 の見出しは、「デヴィ夫人より悪質な税金逃れ」。
同誌はそこで、二〇〇一年十一月十三日の衆 議院予算委員会で、民主党の上田清司議員が、  「アメリカで住民票が必要なことはありまし たか」  と問いかけたのに、竹中が、  「アメリカには住民票というものはございま せん」  と答え、上田に、  「結局、いちいち移す必要はないということ じゃないですか」  と決めつけられたと報じている。
 これについての税法学の権威の日大名誉教 授、北野弘久のコメントを引いておこう。
 「竹中氏の場合は、故意に住民基本台帳の 記録を抹消していた疑いがある。
時効の問題 を別とすれば、刑事犯として訴追を検討すべ き事案といえます」  こんな竹中を重用した小泉はもちろん、盛 んに登場させたメディアの責任も忘れてはい けないものだろう。
断罪すべきは小沢一郎よりもむしろ竹中平蔵 日本経済をダメにした張本人の?逃税?疑惑

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