2010年12月号
SOLE

二〇一〇年度活動計画事業価値向上へロジスティクス再構築

79  DECEMBER 2010  SOLE日本支部は一〇月一日、 事務局の防衛大学校情報工学科宝崎 研究室内に資料閲覧室を開設した。
三二年にわたる活動記録、文献資 料を整理し、閲覧を可能とした。
ま た、同月八日の総会では二〇一〇年 度(一〇年一〇月〜一一年九月)の 活動計画も決定した。
これを機会に SOLE日本支部の活動の経緯と今 後の活動計画の枠組みを紹介する。
(SOLE日本支部 傳田晴久、曽 我部旭弘) 日本支部三二年の歩み ──システム開発・運用の改善へ科 学的アプローチ  SOLE日本支部は、米国国防 総省(DoD)と防衛産業関係者 で一九六〇年代前半に設立されたロ ジスティクス学会(SOLE: The International Society of Logistics) の東京支部である。
JMA日本能 率協会の中島精一専務理事と米国の B・S・ブランチャード博士の両氏 を中心に設立準備が進められ、七八 年に発足した。
事務局はJMA(七八 〜八〇年)、JIPM日本プラントメ ンテナンス協会(八一〜八五年)、J MAC日本能率協会コンサルティン グ(八六〜二〇〇五年)、防衛大学 校(〇六年〜)と変遷している。
 本年一〇月一日に資料閲覧室が設 置された意義は大きい。
七〇年代の SOLEの主たるテーマは、航空シ ステムなど大規模システムの開発か ら運用整備に、システムライフサイク ルマネジメント(エンジニアリングと コスト評価)にあった。
 DoDを中心に取りまとめられた 基準・標準類は「MIL(Military Standard)」規格として活用されて きたが、それらは現在「2 0 0 3  D A G(Defense Acquisition Guidebook)」として公開され、種々 な分野で活かされており、システム 開発・運用の変革・改善の科学的ア プローチのガイドとなっている。
 SOLE日本支部は設立以来、? 米国本部と協力して、日本産業界 に対するロジスティクス思想の啓蒙、 ?日本産業界へのロジスティクス技 術の普及、?会員メンバーと共にロ ジスティクス技術の研究、に努めて いる。
 そのために月例でロジスティクス フォーラムおよびRAMS研究会(調 査研究会)を開催し、種々のテーマ を扱ってきた。
また、毎年本部主催 のカンファレンスに参加し、米国の 種々の企業・機関との交流、見学、 学習を重ねてきた。
メーン・テーマ ──最前線の変化に俊敏に対応する ロジスティクス  世界的な不況下にある今こそ、ロ ジスティクスの力が問われている。
ロジスティクスは戦闘であれ、防衛 であれ、ビジネスであれ、およそ人 間の全ての目論見を支援する活動で あるが、世の中の動き、変化は激し く、従来のシステムによって追随し ていくのは容易ではない。
ロジスティ クスの改革が必要となる。
 ロジスティクス改革の焦点は、人、 物、金、エネルギー、情報の流れの 効率化・改革である。
効率化と改革 の起点は可視化、測定、モニタリン グである。
このため、昨年度の日本 支部の各種活動のテーマは「ビジビ リティ・テクノロジー」としていた。
なお、過去数年間のテーマは次の通 り。
■〇六年度:システム・メンテナン ス・テクノロジー ■〇七年度:ロジスティクス・・・補 給と整備の原点に戻って ■〇八年度:グローバル・ロジスティ クス・チェーン・マネジメント ■〇九年度:ロジスティクスに於ける 「ビジビリティ・テクノロジー」の 追求  これらに続く二〇一〇年度の研究 テーマは、昨年度の成果を踏襲し、 「ロジスティクスシステムの再構築」 の観点を加味して進めたい。
すなわ ち、すばやい変化を見せる第一線に 対してロジスティクスを如何に俊敏 に対応させていくか、ということで ある。
 物流・ロジスティクス活動はあら ゆる産業に存在し、物的流通、ビジ ネス・ロジスティクス、ミリタリー・ ロジスティクスなど種々な呼称で呼 ばれてきた。
しかしどのように呼称 されようとも、ロジスティクスの本 質は対象とする事業(営み)・仕事 の価値を高めるための科学的アプロー SOLE 日本支部フォーラムの報告 The International Society of Logistics 二〇一〇年度活動計画 事業価値向上へロジスティクス再構築 DECEMBER 2010  80 チにある。
 事業(営み)は、「顧客×自社(自 己)×協力者」の連鎖・ネットワー クで構成されるので、我々は関係 者(ステークホルダー)の機能、働 き、業務、仕事(ワーク)を洗い出 し、各々の仕事との関連・結びつき を含めて構成しながら、仕事の達成 する質的レベルを相対的に向上させ、 その事業価値を高めてゆかねばなら ない。
いわゆるワーク・システムの 設計・改善を総合的に展開すること である。
それは顧客の立場で自ら仕 事を協力者と共に磨くことでもある。
これは (事業価値向上)=(有効なプロダク ト)×(効率的なプロセス)×(組織 能力養成) で表現することができる。
 顧客に提供するプロダクト(製品・ サービス)の内容と、プロダクトを効 率的に提供する仕組みをセットで常 にリニューアルし、実践するための 組織能力を向上させ、継続的に実践 することが事業価値向上につながる。
事業を磨く方法論を確立 ──価値向上のためのシステム設計・ 改善の実践ガイド リファレンスモデルの 活用 調査研究事業モデル 衣料SPA ロジスティクスをベースとした事業・仕事の磨き方 「事業価値向上のためのシステム設計改善ガイド作り」 A.ロジスティクス基盤技術   LE&M、ライフサイクルM B. 保全業務革新・システム改善  (業種別RAMS 活動)  原子力保全業務革新  航空機RAMS C.プロダクト・プロセス革新   (消費財・生産財SCM) D.システムモデル   (リファレンスモデルベンチマーク) プロダクトタイプ    加工組立    装置プロセス    流通    イベント (1)対象課題・事業・業務 *B. 原子力保全業務革新(イベントタイプ) *B. 航空機RAMS 活動(イベントタイプ) *C. 建設機械事業モデル(加工組立タイプ)   グローバル供給・保全体制と部品製造モデル *C.SPAとチェーンストア経営   チェーンストアの歴史とSPA(製造小売) *A.DAGの解釈付け ●ライフサイクルM概要(全体マイルストーン) ●プロダクトを実現、実践するプロセスとしてDAG をベースとする 事業・仕事を磨く(価値創出と実現) プロダクト・プロセス設計(ライフサイクル) (3)事業価値向上のための知識・技術 知恵などの集約・編集・整備 (?)状況認識 (対象・課題設定) (?)戦略化 (解決シナリオ) (?)設計・構築 (ワークシステム設計) (?)運用・保全 価値創出ナレッジD / B システム設計/運用ナレッジD / B 事業の創出 製品・商品*顧客創出 事業の実現 ワークシステム設計改善・評価× (規格・標準類) ISO、JIS 業界規格・分野規格  (共通工学) 生産工学・保全工学 経済性工学 OR他 (分野別工学) 原子力・化学 機械 他 (コンセプト・分析・設計技法)  JIT、TQC、TQM CM(情報共有)  SE(システム工学) LCM(ライ フサイクルM) CE(コンカレントE) WD、PM(マーケティング)(ファイ ナンス)*国際会計基準 WD ワークデザイン    ワークシステム設計 PM プロダクトマネジメント システムモデルの 記述、整備 (4) 参照事業モデル 原子力SNPM他 *APQCリファレンスモデルから業 務・KPI一覧作成 *DAG 解釈付け DAGマイルストーン 4章 システム工学 5章 ライフサイクルロジスティ   クス (2) 81  DECEMBER 2010 ●SPA(製造小売業)とチェーン ストア経営(一月、七月) D.システムモデル ●APQC(米国生産性品質セン ター)リファレンス・モデル(五月) 現場見学、米国派遣 ●海上自衛隊第三術科学校(二月) ●E社物流センター(六月) 活かせるように「事業価値を創出 する知識・知恵」と「システム構 築を実践する知識・知恵」を活用 できるように編集していく。
(4) システム・モデルとして参照モデ ル、モデル記述などシステムの表 現方法を会得できるようにする。
一〇年度フォーラム・研究会 ──メーン・テーマの下に四つの柱 を設定      毎月月例フォーラム・研究会を開 催し、以下のテーマを扱う。
A.ロジスティクス基盤技術整備 ●国際会計基準(十二月) ●DAGの解釈付けとして全体ガイ ドの理解(十一月)、四章システム 工学(七月)、五章ライフサイクル ロジスティクス(四月)解釈付け 報告 B.保全革新、システム改善 ●アセット・マネジメント規格「P AS55」(一月) ●航空機RAMS活動(五月) ●原子力保全革新業務の標準(四月) C.プロダクト・プロセス革新 ●プロダクト四タイプの特徴(十二月) 部では今年度から事業価値向上のた めのロジスティクスシステム再構築の 方法論の確立に挑戦したい。
 事業(営み)価値向上を継続的に 実現するには、?対象とする事業の 改善・改革のシナリオ作成・実践、 ?事業ライフサイクル・マネジメント の理解・展開、?事業価値創出と実 現のための知識・知恵の活用、?シ ステムの理解・記述、が準備されて いることが望ましい。
 SOLE日本支部が取り組むワー ク・システム設計実践ガイドは、事 業・仕事を磨くために広く利用(活 用)されるものになっていく(隗よ り始める)ことを目指す。
具体的な 活動としては、 (1) 対象事業タイプを加工組立、装置 プロセス、流通、イベントの四タ イプと仮設し、各々の事業タイプ の整え方、話題発見、解決のポイ ントを記述していく。
(2) DAGの解釈付けを行いながら、 状況認識、課題解決の戦略化、仕 組みの構築と運用、全般について のマネジメント体系を整理する。
(3) システムは人工的に創造・構築・ 実践するものなので、各々の分 野・領域で培われた知識・知恵を  我々は現代マネジメントの基礎と して、計量化、数値化、可視化を追 求してきた。
そのために、モニタリ ング、スコアカード、AIDC(自 動認識技術)、RFID(無線識別) などの技術を開発してきたが、これ らは現状を捉え、実態を明らかにす ること(可視化)であった。
 ただし可視化は最終的な目標では なく、重要なことは、可視化して「ど うするのか?」ということである。
微細な、僅かな第一線の変化(市場、 顧客の要求、脅威︰︰)を捉え(ビ ジビリティ)、次の展開を予測し、そ れに即応できる(アベイラビリティ) 新しいロジスティクスシステムを構築 すべきなのである。
●変化を捉えるシステム作り ●迅速な供給システム(調達、生産、 供給) ●市場へのアプローチ(開発のスピー ドアップ) ●修理維持管理の能力向上 ●パフォーマンスモニタリングとフィー ドバック  もちろん今までそうした取り組み が皆無だったわけではないが、その 方法は試行錯誤的であり、取り組む 人の個人の能力に依存している状態 だった。
このため、SOLE日本支 次回フォーラムのお知らせ 次回フォーラムは12月15日(水)イー ソーコ総研の花房陵主席コンサルタント による講演「国際会計基準と物流・ロ ジスティクス」を予定している。
この フォーラムは年間計画に基づいて運営し ているが、単月のみの参加も可能。
1 回の参加費は6,000円。
ご希望の方は 事務局( sole-j-offi ce@cpost.plala. or.jp)までお問い合わせください。
※SOLE︵The International Society of Logistics︶は一九六〇年代に設立されたロ ジスティクス団体。
米国に本部を置き、会 員は五一カ国・三〇〇〇〜三五〇〇人に 及ぶ。
日本支部では毎月﹁フォーラム﹂を 開催し、講演、研究発表、現場見学など を通じてロジスティクス・マネジメントに 関する活発な意見交換、議論を行っている。

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