ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2011年2号
特集
注目企業 トップが語る強さの秘訣 第22位日本ヴォパック──世界最大の化学品保管網を武器に佐藤克實 社長

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

FEBRUARY 2011  30 日本ヴォパック ──世界最大の化学品保管網を武器に  石油化学品のタンクターミナルの運営で世界最大手の蘭ロ イヤルヴォパックと日本通運、化学品専門商社の合弁会社。
外資系化学品メーカーを主な顧客としている。
2008年に同 業他社から既存施設を買収して日本の事業基盤を拡充し、 売上規模を伸ばした。
三一カ国で八〇のターミナルを運営 ──通常、化学品メーカーは自社専用のタンクターミ ナル施設を所有しているはずです。
アウトソーシング のニーズというのは?  「もちろん大手メーカーは自社の専用施設も持って いますが、それですべてをまかないきれるわけでは ありません。
製品が変わるたびに新しくタンクを作 るわけにもいかないし、工場間で原料を融通し合う 際の一時保管などにも、われわれのようなサードパー ティが必要とされます」 ──何が競争条件になるのでしょうか。
 「当社の一番の売りは安全と品質管理です。
化 学業界の世界的な団体であるC D I( Chemical Distribution Institute)が一九九七年から実施して いるターミナルの安全・品質評価システムの『CD I─
圈戮髻国内の同業他社に先駆けて〇四年に取 得しました。
その上で、ロイヤルヴォパック・グルー プではCDI─
圓茲蠅發気蕕妨靴靴て伴の安全・品 質基準を設けています。
『THA(Terminal Health Assessment)』と呼びますが、これも当社は高得点 を挙げています」 ──安全や品質には、どこも力を入れているでしょ うから、それほど差は付かないのでは?  「どんな基準を持ち、それをいかに徹底してオペ レーションをしているか。
リスクを抑えるためにどの ような管理体制をとっているか。
そうした点は、お 客さまが業者を判断する上で実際に大きなウェートを 占めています」  「化学品の取り扱いには非常に高度な技術力が要求 されます。
例えばあるタンクでエチレングリコールを 保管した後、別の化学物質を入れるときに、タンク が綺麗な状態になっていなければ化学反応が起きて しまい、貨物が汚染されてしまう。
それで有毒ガス が発生することもある。
作業員の事故を防止するこ とも重要です。
そこからどんな大事故につながって もおかしくないというリスクがある」 ──二〇〇八年十二月期、〇九年十二月期と売り上 げが伸びています。
それまでも業績は安定していま したが、事業規模としては横ばいでした。
 「〇八年に三井物産エネルギー物流から、名古屋と 門司の事業所を買収しました。
名古屋にはぶ厚い産 業基盤があり、門司は中国、韓国へのゲートウェー です。
この二カ所を抑えることによって、既存の川 崎、横浜、神戸と合わせた五事業所で全国の主要な 産業集積地を網羅できるようになり、業容が拡大し ました」 ──タンクターミナルの業界でもM&Aや再編が進ん でいるのですか。
 「一般物流ほど大きな動きはありません。
タンク ターミナル業界は倉庫業の一つではありますが、市場 規模は小さく、業界団体に加盟している会社数も二 七社に過ぎません。
荷主の顔触れもだいだい決まっ ている。
ターミナルの建設には莫大な投資が必要で新 規の建設も許認可を取得するのが容易ではない」  「日常のオペレーションも一般貨物とはまったく違 います。
絶えず設備のメンテナンスが必要で、利益が 出ても投資に回し続けなければならない。
何よりも、 危険品を扱っているだけに細心の注意を払い、非常 に厳重な品質・安全管理体制が強いられます。
その 部分を疎かにして事故でも起これば長年苦労して積 み上げてきた信頼を失うことになるばかりか、お客 さまに多大な迷惑をかけることになる。
誰にでもで きる仕事ではありません」 佐藤克實 社長 注目企業 トップが語る強さの秘訣 第22位 31  FEBRUARY 2011 特 集 物流企業番付《平成 23 年版》 ──この分野で外資系企業というのは珍しい。
 「日本では恐らく当社だけです。
当社はオランダの ロイヤルヴォパックと日本通運がそれぞれ四〇%、化 学品専門商社の長瀬産業が二〇%を出資する合弁会 社で、主に外資系メーカーを顧客としています」  「ロイヤルヴォパックは液体化学品とガス、オイル の保管に特化しており、タンクターミナルのオペレー ターとしては世界最大手です。
現在、世界三一カ国 で八〇のターミナルを運営し、貯蔵能力は計二八七 〇万立方メートルに上っています。
全世界のどこへ いっても同じ水準の高度なサービスを提供できるのが グループの大きな特徴の一つです」 ──佐藤社長は日通の出身です。
日通グループとの 関係は。
 「日通はケミカル関係の荷主も多く抱えており、日 通と当社とで一貫サービスを提供することができる。
日通のお客さまから引き合いがきて仕事をいただく ことも少なくありません。
また日本では日本の品質 基準と日本ならではのサービスが要求されます。
現場 で作業をするのも日本人です。
現場とのコミュニケー ションを密にとって社員のやる気を高め、品質や安全 を維持するために、外資系でありながら私のような 日本人が当社の社長職を務めているんです。
これは 他の海外の現地法人も同じでヴォパックグループとし て現地化を進めています」 産業構造の変化に対応 ──海外への生産移転の影響はタンクターミナル業界 でも同様なのでしょうか。
 「じわじわと影響を受けつつあり、大きな危惧を覚 えています。
また、当社はケミカルのほかに石油も 取り扱っています。
売り上げのおよそ二割を占めて いますが、国内の人口減、自動車販売の減少、オー ル電化住宅の普及などによって石油製品の市場も縮 小傾向にある」 ──それにしては業績がいい。
 「リーマンショックの影響も受けています。
これま でのところ安定して見えるのはタンクターミナル業界 がサプライチェーンの川上に位置しており、景気の波 を受けるまでに一年程度のタイムラグが生じるためで す。
実際、一〇年十二月期の業績は対前年比で横ば いです。
今期一一年十二月期はさらにきつい年にな ると覚悟しています。
施設の稼働率が若干落ちつつ あります。
来期以降は化学業界も持ち直す見通しで すが、日本の産業構造の変化に対して何も手を打た なければ、今の売上水準を保つことはできません」 ──どんな手を?  「輸入品の取り扱いに注力しています。
海外に工場 を移転したメーカーでも、高付加価値品については 海外で生産した半製品を日本に輸入し、国内で最終 製品に仕上げている。
このためサードパーティによる 輸入品の保管ニーズは今後も拡大すると見ています。
そこで我々は海外でヴォパックと付き合いがあり、グ ループの品質に理解のある日本メーカーさんの輸入 品を取り込んでいく。
逆に国内のお客さま、日本の メーカーには海外のヴォパックを使っていただく。
グ ローバルネットワークを使って荷主をサポートしてい きます」  「最近ではタンクの貨物をドラムに充填して小分け するニーズも増えており、こうしたところにも積極的 に取り組んでいきます。
ターミナル内に危険品の保管 倉庫を増設するなど、日通とも協力して荷主のニー ズを見極めながら投資を行い、事業構造の変化に対 応していきます」 ヴォパック傘下入りで力をつける  1966年に設立。
同年に神戸事業所、69年横浜事業所、 73年に川崎事業所を開設し、99年、液体化学製品の作業 専門会社、日本ケミカル荷役を子会社化し、保管と荷役が 一体化したサービス体制を確立した。
08年には三井物産エ ネルギー物流から名古屋、門司の事業所を買収している。
 設立時は米物流関連企業のGATXコーポレーションと日 本通運、化学品専門商社の長瀬産業の共同出資で日本ガテッ クスとして発足したが、2001年にGATXに代わってロイヤ ルヴォパックが資本参加したため、日本ヴォパックに社名 を変更。
世界最大のタンクターミナル・オペレーターである ヴォパックのグループ会社となることで、グローバルメーカー に対する営業基盤を強化した。
本誌解説 05/12 06/12 07/12 08/12 09/12(月期) 4500 4000 3500 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 単位:百万円 過去5 年間の単体売上高の推移

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