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地元に大きな経済効果をもたらす面も持ってい
る。 一昔前の工場誘致に代わって、SCが?ま
ちおこし〞のカギになっているケースは多い。
いずれにせよ巨大SCの台頭は、既存の流通
や物流に甚大な影響を与える。 今回は、近年の
日本で急速に増えるSCの実態と、この分野に
おけるプレーヤーの顔ぶれ、さらに日本の流通
に対する影響などを考察する。
日本ショッピングセンター協会によると、S
Cの定義は、売場面積一五〇〇平方メートル以
上で、テナント数一〇店以上、そして核となる
店舗の売場面積が全体の八〇%未満となってい
る。 売場面積だけを見れば既存の大型店の多く
が含まれるが、テナントが一〇店以上というと
巨大SCの開発とその影響
全国の郊外で巨大ショッピングセンター(S
C)の稼働が相次いでいる。 広大な売場面積と
多数の専門店、アミューズメント施設などを備
えた巨大SCは、既存の商業施設にはない魅力
を持つ。 数千台の車を収容できる駐車場を備え
ていることも、市街地の商業施設には真似ので
きない特徴だ。
高い集客力を持つこうした郊外型SCは、中
心市街地や既存の中小商店に深刻な影響をおよ
ぼす。 このため最近ではSC開発を規制する地
方自治体も出てきた。 政府による規制も検討さ
れている。 ただ一方でSCは、雇用を創出し、
ころがポイントだ。 二〇〇四年十二月現在、
SCの総数は全国に二六六
〇施設ある。 二〇〇四年に
は計六二施設が新たに開設
されたが、閉鎖・休業も十
三あたっため、純増は四九
だった。
近年の開設数の推移を見
ると、二〇〇〇年を境に大
きく状況が変わっているこ
とがわかる。 この年、大規
模小売店舗法が廃止され、
環境基準を物差しにした大
第15回
台頭するショッピングセンター究極の大型商業施設であるショッピングセンター(SC)の開発が相
次いで進められている。 SCは市街地の商店街などに甚大な影響を及ぼ
し、物流と人流を一変させる。 法的に規制しようとする動きも出てきた。
今後の流通の方向性を見極めるうえで注視する必要がある。
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規模小売店舗立地法(大店立地法)が施行さ
れた。
新法が施行された二〇〇〇年には、それが大
型店の出店にどのように影響するのかを見極め
る空気が支配的で、SCの開設数もそれまでの
年間平均開設数だった一〇〇から大きく落ち込
んだ。 その後も二〇〇一年に三八、二〇〇二年
は五〇、二〇〇三年は四七、そして二〇〇四年
には六二と、いまだに九〇年代のペースには戻
っていない。
ただし、ここ数年の特徴として、SCの巨大
化が加速していることも考慮する必要がある。
これは二〇〇三年から顕著になった傾向で、こ
の年は売場面積三万平方メートルを超えるSC
が二十一新設され、他にも札幌JRタワーや、
東京六本木ヒルズ、大阪なんばパークなどの開
設がSCの大規模化を後押しした。
続く二〇〇四年にはさらなる巨大化が進展し、売場面積五万平方メートルを超すSCが合計十
一を数えた。 一方で、この年は中規模SCの数
も増え、規模の二極化が進んだ。 ショッピング
センターの開発が、郊外だけでなく、都市部に
波及してきたことがその背景にある。 都市の物
件は郊外に較べて小さいため、二〇〇四年の新
設物件に限っていえば、平均売場面積は前年を
下回った(
図2)。
巨大SCの開発ではイオングループ企業(イ
オン、イオンモール、ダイヤモンドシティ、ロ
ック開発など)の実績が突出している。 二〇〇
三年に新設された三万平方メートル超のSCの
うち四割以上はイオンの関係企業によるものだ
った。 二〇〇四年に新設された五万平方メート
ル超の施設のうち六割以上もそうだ。 イオンは
一貫して郊外SCに積極的で、施設巨大化の流
れは同グループの戦略の結果でもある。
テナントと駐車場が集客力を左右
小売業界におけるSCの存在感は年々増して
いる。 商業統計の小売業売上総額に占めるシェ
アは一貫して上昇しており、二〇〇四年には一
九・八%になった。 これとは対照的に、百貨店
のシェアは低下傾向にあり二〇〇四年には六%
台となっている。
商業施設として、SCと百貨店は真っ向から
競合している。 さらに両者はチェーンストア
(総合量販店・スーパーマーケット)とも客を
奪い合う関係にある。 この三つの業態の売上伸
長率を比較してみると、SCの売上伸長率が最
も高い(
次ページ図3)。
SCの多くには、核店舗としてジャスコのよ
うな総合量販店が入っている。 単独で出店して
いる総合量販店が苦しむ中で、SCに入居した
総合量販店は売り上げを伸ばしているところが
少なくない。 これは、専門店を中心とするテナ
ントとの相乗効果が発揮されているためで、ジ
ャスコの場合は明らかに専門店ゾーンの集客力
の恩恵を受けている。
SCが成長するためには、多様な専門店や飲
食店、アミューズメント施設、サービス分野に
おける新しい企業の成長が不可欠だ。 そうした
テナントの数は一般的なSCで一〇〇店前後。
なかには二〇〇店にも上る施設もある。 多彩なテナントを揃えることは、SCの集客力を決め
る重要な要因の一つだ。
地場の小売業を育成するという立場から、テ
ナントの三分の一程度に地元の店舗を入れてい
るSCもある。 他にコミュニティセンターとし
ての位置づけをアピールするため、市役所の出
張所や銀行などの機能を付加する傾向もある。
時間を消費する場所としての機能を強化しよう
としている施設もあって、最近では必須設備の
一つになりつつある複数のスクリーンを持った
映画館などが、その典型といえる。
このような多種多様なテナントと並んで、S
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小さい順に、NSC(ネイバフッドSC)、C
SC(コミュニティSC)、RSC(リージョ
ナルSC)、SRSC(スーパーリージョナルSC)の四つに分けられる(
図4)。
規模別に四分類されるSCの中で、いま一番
話題になっているのはリージョナルSCだ。 標
準的なリージョナルSCの売上高は二〇〇億円
台で、大型だと三〜四〇〇億円に達する。 これ
より一回り小規模のコミュニティSCは、現状
では多テナント型の大型量販店がこれに該当し
ている。
最も小規模のネイバフッドSCは、日常生活
をサポートすることを狙って、スーパーマーケ
ットを中心にドラッグストア、ホームセンター、
衣料専門店などで構成されていることが多く、
すでに郊外では一般化している。 人口の減少や
高齢化社会は地方ではすでに現実化している。
こうした社会を支える快適なスモール・コミュ
ニケーションを担うこともネイバフッドSCの
役割の一つだ。
このようなSCを、施設の構造的な特徴から
呼び分ける場合もある。 施設全体が一つの建物
になっているものをクローズドモールと呼び、
これに対して、同一敷地内に個々のテナントが
店舗を建てるものをオープンモール(屋根がな
いという意味)と呼んでいる。 SCはしばしば
ショッピングモールとも呼ばれるが、これはテ
ナントゾーンが回廊状になっているところから
きている。
アメリカの一般的なショッピングモールでは、
Cの集客力を高めるうえで重視されているのが、
巨大な駐車スペースの確保だ。 一般の大型SC
では二五〇〇台前後を用意しているところが多
く、最大では五〇〇〇台規模の施設もある。
売場面積や構造によるSCの分類
SCはいくつかのタイプに分類できる。 まず
基本となるのは売場面積による分類だ。 規模の
専門店を配したモールの両端に、百貨店と総合
量販店の大型店を核店舗(アンカー)として配
置することが多い。 これを二核モールという。
核店舗は集客のマグネットのような機能を発揮
し、大型SCの中には三核以上のものもある。
もっとも日本では、百貨店の郊外SCへの出
店は現在のところまだ二カ所しかない。 いわば、
まだテスト段階にある。 しかし最近では、三越
がイオンと組んで郊外SCに百貨店を展開する
方針を打ち出している。 同様の動きが加速して
いけば、商業施設間の集客力競争は新たな段階
に進むことになるはずだ。
商業施設の規模や内容は、これまで以上に急
速に多様化している。 結果として「市街地
vs
郊外」といった地域間や、「SC
vs
市街地の商
店街」、「SC
vs
地方百貨店」など商業施設間
の競争が激化の一途をたどっている。 こうした情勢を受けて、SCの出店を法的に
規制しようとする動きも出てきた。 だがSCを
一概に敵対的なものと位置づけるのは地域にと
っても得策ではあるまい。 その存在意義をきち
んと評価したうえで、全体の都市計画のなかで、
公共施設などと一体化していく可能性なども含
めながら、関連施設の再配置を検討していくべ
きだろう。
SC開発の担い手
多様な要素を含むSCの開発は主にディベロ
ッパーが手掛けている。 ただし、商業施設を専
門に手がける商業ディベロッパーの歴史は日本
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ではまだ浅い。
三菱地所や三井不動産といった不動産会社は
長い歴史を持っているが、こうした企業の主な
事業はオフィスビルの賃貸などで、まずは所有
不動産の管理あり
きという姿勢で事
業を営んできた。
施設の付加価値を
高めていくといっ
たソフト面への関
心は薄かった。
過去にダイエー
やイオン、イトー
ヨーカ堂などの総
合量販店は、こう
いう業界環境のな
かで出店を続けて
きた。 とくにイオ
ンは、アメリカの
ような自動車社会
が日本にも必ずや
ってくると考え、
将来は郊外型SC
が営業の主役にな
ると見越して、最
も早い時期にこの
分野に着手した。
日本における商業
施設の発展は、百
貨店のあとは、こ
れらの総合量販店の努力によるところが大きい。
頼るべき不動産会社が見当たらないなかで、
総合量販店は自らディベロッパーにならざるを
得なかった。 この状況は基本的に現在でも変わっていない。 このため大手総合量販店の多くは、
小売業の顔と同時にディベロッパーの顔を持っ
ている。 スーパーマーケットやホームセンター、
ドラッグストアなどが自らディベロッパーにな
るケースも多い。
商業ディベロッパーの成長
とは言え、最近二〇年くらいの間に、商業施
設を手掛ける商業ディベロッパーも徐々に育っ
てきてはいる。 三菱地所や三井不動産なども商
業施設部門を拡大しており、昔ながらの不動産
会社からソフトを持ったディベロッパーへと変
質してきている。 しかし、そうした企業の多く
は、市街地及び周辺地区の商業施設を手がけて
いるケースが多い。
商業ディベロッパーは、開発・運営する商業
施設の立地によって「郊外グループ」と「市街
地および周辺地区グループ」の二つに大きく分
類できる(
次ページ図5)。
「郊外グループ」に分類されるディベロッパ
ーは、市街地および周辺地域グループに比べる
と数が少ない。 郊外で大規模SCの開発を手掛
けようとすれば、物件開発からリーシング(テ
ナント募集および管理)に至るまで商業ディベ
ロッパーとしてのノウハウの蓄積が欠かせず、
新規参入が簡単ではないためだ。
郊外グループには、イオンやイトーヨーカ堂、
そしてリージョナルチェーンのイズミ(広島)
のような総合量販店が含まれる。 近隣型SCの
ディベロッパーとしては、ヨークベニマルや、
ヤオコーなどのスーパーマーケットも少なくな
い。 ほかにプレミアム・アウトレットモールを
運営するチェルシージャパンのような外資ディ
ベロッパーもいる。
専業の商業ディベロッパーとしては、イオン
モールやダイヤモンドシティ(イオンと三菱商
事の合弁会社)などイオン系の企業が目立つ。
運営施設数はイオンモールが二〇、ダイヤモン
ドシティが一六。 いずれも大型SCを手がけて
いるため、年間三施設くらいの開設が無理のな
い新設ペースとなっている。
イトーヨーカ堂はこれまで、専門店数の少な
い?箱型〞と呼ばれる大型店を主に出店してき
たこともあって、ディベロッパー事業との関わりは薄かった。 しかし最近、三井物産との合弁
でモール・エスシー開発という商業ディベロッ
パーの設立を発表している。 新会社は東京、大
阪、名古屋の三大都市圏を中心にSCを開発し
ていくという。
「市街地および周辺地域グループ」に属する
ディベロッパーとしては、三井不動産、三菱商
事、森ビルなどの大手不動産会社に加えて、三
井不動産の子会社のららぽーと、高島屋の子会
社の東神開発、ルミネほかJR駅ビル会社、東
急商業開発、パルコなどがある。 パルコのよう
にソフトを売り物とするディベロッパーを除く
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う好循環が生まれ、次の商業施設の開発につな
がっていく。 こうした構図は、郊外大型SCに
ついても同様だ。 見直される専門店の出店戦略
SCの増加は、専門店の出店機会も増大させ
る。 このことが専門店の立地・出店戦略に大き
な影響を与えている。 最近では、過去には単独
で出店していたのに、SCへの出店を増やすよ
うになっている専門店が少なくない。 家具・ホ
ームファッションのニトリや、宝飾店のツツミ
はその代表格だ。 衣料専門店のしまむらや、ベ
ビー・子供用品の西松屋チェーンもSCへの出
店を増やしている。
各種の専門店がSCへの出店を積極化してい
る背景には、以前とは出店条件が変わって、専
門店がSCに出店しやすくなっていることがあ
る。 これまでは保証金と敷金が必要だった上に、
契約期間も長かった。 それがここにきて保証金
は敷金に一本化され、しかも低額化している。
契約期間も都市型では二〜三年、郊外型では五
年程度と短くなってきた。 出店しやすく、退店
しやすい契約条件に変わったことが専門店をS
Cに引きつけている。
こうした出店条件の変化は、不振店の入れ換
えの日常化にもつながっており、SCの活性化
を後押ししている。 また、新しい専門店の成長
を促す効果もある。 郊外大型SCの集客力が高
まっていることに対する、ワールド、オンワー
ド樫山、サンエーインターナショナル、ファイ
と、まだ所有している土地を活用するケースが
多い。 それでも全体としてディベロッパーは、
ソフト色の強い企業へと変わりつつある。 よう
やく日本でも専門度の高い商業ディベロッパー
が育ってきた。
最近、都心の大規模開発や、大型オフィスビ
ルの建設にともなって、新しい商業施設も増え
ている。 東京地区で耳目を集めた商業施設をあ
げてみると、丸ビル(三菱地所)、カレッタ汐
留(電通)、日本橋コレド(三井不動産)など
がある。 三菱地所は丸ビルの建て替えに合わせ
て、丸の内エリア一帯のショッピングゾーン化
を進行中だ。
都心や市街地の商業施設開発が活発化してい
る背景には、REIT(不動産投資信託)や不
動産ファンドなどによる資金の流入がある。 ブ
ランド化した街やビルがテナントを呼び込み、
商業ディベロッパーの家賃収入を拡大する。 そ
して、そのことが投資利回りを押し上げるとい
ブフォックスなどの大手アパレルのSC向けブ
ランドショップ開発の貢献は大きい。
オンワードの二〇〇五年二月期のSC向け売
上は全売上高の約一五%で、すでに百貨店に次
いで構成比が高い。 ワールドも十三%だった。
アパレル企業によるSC向けブランドの開発は、
これまでの郊外SCの中心客層がヤングファミ
リー中心だったのを、働く女性や男性をも引き
寄せる原動力となっている。
過去には、百貨店に比べて感性的に低いとみ
なされていた郊外SCだったが、アパレルメー
カーなどのブランド力を得て高感度の客層も取
り込み始めている。 他方、このことは百貨店売
場との同質化という新しい問題を生みだした。
いま百貨店は、アパレル企業に対して、百貨店
向けと、SC向けブランドを明確に分けること
を求めている。 百貨店にとっては、郊外型の大規模SCも、
都市型商業施設の増加も、新たな競合要因であ
り脅威だ。 これまで百貨店は一等地に立地して
いることが最大の強みだったのが、新しい商業
施設の増加によって優位性は消え去りつつある。
将来的にSCとどう付き合っていくのか、百貨
店は意識改革を迫られている。
郊外大型SCを規制する動き
強力な集客力を持つ郊外型SCが、市街地の
小売店に与える影響は大きい。 以前から議論さ
れてきたことだが、多かれ少なかれ地方都市は
郊外大型SCの影響のすさまじさを経験してい
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るはずだ。 このことはSC開発が、依然として
郊外中心であることと無縁ではない。 (図6)。
郊外大型SCの開設によって、歴史のある中
心市街地の商店街でシャッターを下ろした店は
多い。 極端な表現をすれば、有力な郊外SCが
できた地方都市では、土日祭日になると郊外に
人が流れて、中心街からは潮が引いたようにい
なくなってしまう。 だからこそ、従来は市街地
に出店していた専門店の中からも、SC重視に
出店戦略を改めるところが出てきた。
この状況を受けて政府は、来年の通常国会で、
小売業の出店が関係する通称「まちづくり三
法」の見直しを行う予定だ。 まちづくり三法と
は、?大規模小売店舗立地法、?中心市街地
活性化法、?改正都市計画法――の三つだ。
これを見直す狙いは、中心市街地の空洞化を
防ぎ、コンパクトで
にぎわいのある「ま
ちづくり」をするた
めとなっている。 そ
のために、?郊外で
の開発規制、?中心
市街地への都市機能
の集約を行うという。
SCの郊外への移
動状況を見ると、八
〇年代までは、まだ
中心市街地および周
辺地区の方が多かっ
た。 それが九〇年代
に逆転した。 郊外シフトが始まると、以後はど
んどん加速した。
もっとも中心市街地が空洞化した根本的な要
因がSCにあるわけではない。 地方百貨店を含む中心市街地の商業施設の魅力がなくなったか
ら消費者にそっぽを向かれた。 商店経営者の知
恵不足、やる気、後継者問題などの結果、消費
者の支持を失ったことが問題の本質だ。
郊外SCが市街地空洞化の元凶だというので
あれば、市街地に大型商業施設を出店しやすい
環境を整備するのが先だろう。 市中心部の空洞
化対策を、市中心部の商店の保護と絡めている
と感じさせるところに、まちづくり三法見直し
の不純さがある。 一見すると「郊外vs
中心市
街地」の対立という構図になっているが、実は
「大型商業施設
vs
中小商店」という対立の解決
策として法律が見直される恐れがある。 成り行
きを注視する必要があるだろう。
二〇〇六年から人口が減っていく人口減少社
会は、高齢化社会の進展をも意味しており、中
心部および周辺地域居住者の住みやすいまちづ
くりを必要としている。 コンパクトで賑わいの
あるまちづくりのためには総合的な都市計画が
欠かせないが、これは郊外SCを敵視すること
には直結しない。 中心市街地を活性化するうえ
でSCを上手く活用する道もある。 いずれにせ
よ、SCは大きなカギを握っている。
政府の動きに呼応するように、地方自治体の
動きも活発化している。 福島県は今年五月、売
場面積六〇〇〇平方メートル以上の大型店につ
いて、計画の段階で届け出を求める条例を可決
した。 この条例は二〇〇六年一〇月に施行され
るが、チェーンストア協会は新たな出店規制と
して反発している。 また熊本県でも、二〇〇五
年十二月から、売場面積一万平方メートル以上
の郊外店について同様の規制を行う予定だ。
こうした規制によって郊外SCの開発が難し
くなってくると、大型物件の開発は当面、工場
の跡地開発にシフトせざるを得なくなるはずだ。
すでにビール工場や、JTの工場跡地などを利
用したSCが存在しているが、これらは比較的、
都市の中心部に近い。
郊外立地の大型SCの開設ラッシュはまだ続
きそうだ。 しかし、SC開発全体の流れとして
は、中心市街地と周辺を含めた都市型へと向か
う気配が出てきた。
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