2011年2月号
メディア批評
メディア批評
捜査される側に立つことができないメディア?鈴木事件?と小沢叩きに通底する報道の欠陥
佐高 信
経済評論家
FEBRUARY 2011 84
一月七日付の『東京スポーツ』に、栃木県
さくら市にある喜
き つれがわ
連川社会復帰センターで受
刑生活を送る鈴木宗男からの「年賀状」が載
っている。
その中で鈴木は、どこの国にも権 力闘争があり、政治犯はいるとして、次のよ うに覚悟を披瀝する。
「南アフリカのマンデラ大統領は二七年間、 ナイジェリアのオバサンジョ大統領は長年に わたって、囚われの身でした。
中国の小平 は三回も逮捕・拘束されております。
皆、死 線を命がけで生き、復活しました。
私はこの 一年をマンデラ大統領らの百分の一、いや千 分の一、いや万分の一の経験をしながら将来 に備えたいと心しております」 この鈴木が収監される前の昨年十二月二日、 ホテルニューオータニで開かれた?壮行会? に私も参加した。
鳩山由紀夫に森喜朗と二人も首相経験者 が激励に駆けつけるという異例の会だったが、 会場を驚かせたのは、鈴木の盟友の佐藤優 が読み上げた一通の手紙である。
多くの記者 たちが出ていたにもかかわらず、これを取り 上げたのは、私の知る限り、『サンデー毎日』 だけだった。
同誌の十二月一九日号で、佐藤は「こん な手紙が届きました」と語り始め、「最高検 は自ら作ったストーリーを押し付けようとし ている」とか、「取り調べの全面可視化が必要」 などと、その内容を明らかにした後、差出人 が元大阪地検特捜部長大坪弘道および同副 部長の佐賀元明であると読み上げた。
二人とも、郵便不正事件をでっちあげて 厚労省の元局長、村木厚子を逮捕し、証拠 改竄の罪に問われている元主任検事の前田恒 彦の事件にからんで、犯人隠避罪で起訴され、 懲戒免職となって獄中にある。
まさにその当人たちが、佐藤に学んで検察 と闘うと訴えている。
これほどマンガ的なこ ともないだろう。
しかし、このことを取り上 げた大手メディアはなかった。
記者が鈍感に なっているのである。
佐藤は両元検事について、 「監獄は(自己)改革の学校。
調べる側が 調べられる側になり、身に染みて分かること があるということでしょう」 と語っているが、記者たちも収監されなけ れば、シャープさを取り戻せないということ だろうか。
ジャーナリストの山田厚俊による『サンデ ー毎日』の記事には、収監前の鈴木の、次の ような憤りの弁も載っている。
「改めて?鈴木事件?は何だったのか。
決 定は甘んじて受けるが、私は無実。
賄賂は一 円ももらっていない。
収監されている間も弘 中惇一郎弁護士らが真相究明のために闘って くれる」 鈴木を逮捕するよう煽ったのも鈍感な記者 たちだった。
前記の『東京スポーツ』によれば、 収監直前に鈴木のところに親友の松山千春か ら電話が入り、こう言われたという。
「ムネオさん、胸を張って正々堂々と行っ てください。
みんな信じていますから。
ムネ オさんのいない間、ちゃんと新党大地、後援 会は守ります。
何かあったら何でもしますか ら言ってください。
同じ足寄なんですから最 後まで一緒です。
体にだけは気をつけて‥‥」 あるいは、そうした関係を求めないという ことかもしれないが、菅直人には「最後まで 一緒」と言ってくれる友人はいない。
菅自身 もそう言ったことはないだろう。
鈴木の逮捕は国策捜査と言われたように、 大きく騒がれた事件では捕まえることができ なかったのであり、とにかく捕まえて罪をつ くるというメンツ優先の捜査が行われた。
小沢一郎に対して菅は同じことをやりたい のかもしれない。
いずれにせよ、菅は国策捜 査をする側であり、される身になったことは ない。
それが菅の欠陥であり、小沢叩きを続 けるメディアの欠陥と相応する。
捜査される側に立つことができないメディア ?鈴木事件?と小沢叩きに通底する報道の欠陥
その中で鈴木は、どこの国にも権 力闘争があり、政治犯はいるとして、次のよ うに覚悟を披瀝する。
「南アフリカのマンデラ大統領は二七年間、 ナイジェリアのオバサンジョ大統領は長年に わたって、囚われの身でした。
中国の小平 は三回も逮捕・拘束されております。
皆、死 線を命がけで生き、復活しました。
私はこの 一年をマンデラ大統領らの百分の一、いや千 分の一、いや万分の一の経験をしながら将来 に備えたいと心しております」 この鈴木が収監される前の昨年十二月二日、 ホテルニューオータニで開かれた?壮行会? に私も参加した。
鳩山由紀夫に森喜朗と二人も首相経験者 が激励に駆けつけるという異例の会だったが、 会場を驚かせたのは、鈴木の盟友の佐藤優 が読み上げた一通の手紙である。
多くの記者 たちが出ていたにもかかわらず、これを取り 上げたのは、私の知る限り、『サンデー毎日』 だけだった。
同誌の十二月一九日号で、佐藤は「こん な手紙が届きました」と語り始め、「最高検 は自ら作ったストーリーを押し付けようとし ている」とか、「取り調べの全面可視化が必要」 などと、その内容を明らかにした後、差出人 が元大阪地検特捜部長大坪弘道および同副 部長の佐賀元明であると読み上げた。
二人とも、郵便不正事件をでっちあげて 厚労省の元局長、村木厚子を逮捕し、証拠 改竄の罪に問われている元主任検事の前田恒 彦の事件にからんで、犯人隠避罪で起訴され、 懲戒免職となって獄中にある。
まさにその当人たちが、佐藤に学んで検察 と闘うと訴えている。
これほどマンガ的なこ ともないだろう。
しかし、このことを取り上 げた大手メディアはなかった。
記者が鈍感に なっているのである。
佐藤は両元検事について、 「監獄は(自己)改革の学校。
調べる側が 調べられる側になり、身に染みて分かること があるということでしょう」 と語っているが、記者たちも収監されなけ れば、シャープさを取り戻せないということ だろうか。
ジャーナリストの山田厚俊による『サンデ ー毎日』の記事には、収監前の鈴木の、次の ような憤りの弁も載っている。
「改めて?鈴木事件?は何だったのか。
決 定は甘んじて受けるが、私は無実。
賄賂は一 円ももらっていない。
収監されている間も弘 中惇一郎弁護士らが真相究明のために闘って くれる」 鈴木を逮捕するよう煽ったのも鈍感な記者 たちだった。
前記の『東京スポーツ』によれば、 収監直前に鈴木のところに親友の松山千春か ら電話が入り、こう言われたという。
「ムネオさん、胸を張って正々堂々と行っ てください。
みんな信じていますから。
ムネ オさんのいない間、ちゃんと新党大地、後援 会は守ります。
何かあったら何でもしますか ら言ってください。
同じ足寄なんですから最 後まで一緒です。
体にだけは気をつけて‥‥」 あるいは、そうした関係を求めないという ことかもしれないが、菅直人には「最後まで 一緒」と言ってくれる友人はいない。
菅自身 もそう言ったことはないだろう。
鈴木の逮捕は国策捜査と言われたように、 大きく騒がれた事件では捕まえることができ なかったのであり、とにかく捕まえて罪をつ くるというメンツ優先の捜査が行われた。
小沢一郎に対して菅は同じことをやりたい のかもしれない。
いずれにせよ、菅は国策捜 査をする側であり、される身になったことは ない。
それが菅の欠陥であり、小沢叩きを続 けるメディアの欠陥と相応する。
捜査される側に立つことができないメディア ?鈴木事件?と小沢叩きに通底する報道の欠陥
