2011年7月号
特集

第2部 発起人15社トップのコミットメント

 まず各ワーキンググ ループ(WG)の方々が 一生懸命、一歩ずつ議論 を進め、今回のような成 果を発表されたことに敬 意を表したいと思います。
 日本経済や我々流通 業界を取り巻く環境は大変厳しい状況にあります。
そ のような中で製配販が連携し、あらゆる取引に点在 するムリ・ムダを無くし、効率や生産性を追求して いくならば、必ずや日本経済の発展、最終的には国 民、消費者生活の向上に寄与するものと思っていま す。
また今回の東日本大震災に関しても製配販が連 携をとり、共に復興に当たることが重要なことは改め て言うまでもありません。
 協調して生産性を効率化するということには、各社 の色々な事情もあり、大変難しい面もあるかと思いま す。
取引先との相互の信頼をベースとした自由競争 が失われてもいけません。
 しかし、グローバル化の進展、国際競争の激化、生 産性の低下、日本経済の停滞などを考え合わせれば、 やはり日本の流通業界全体の連携によって、流通業 界をより一歩高めるという意識で我々は動かなければ ならないと思います。
 本日このようにフォーラムを開けたことは、偏に経 済産業省の熱意とご指導のおかげだと感謝していま す。
今回の取り組みの目的の達成には非常に大きな 行動が必要となるため、今後とも経済産業省のご指 導を得ながら皆で力を合わせて頑張っていきたいと思 います。
大きな目標設定も必要ですが、すぐ手の届 く小さな事柄からも皆で力を合わせて、一つひとつ成 果を出していきたいと思っています。
 昨年春頃、経産省から お声がけをいただき、製 配販三層が真に協働し て全体最適視点でサプ ライチェーン全体のムダ をなくし、流通の効率化、 高度化を図り、国民生活 への一層の貢献につなげていくという趣旨に賛同し、 準備会合に参画しました。
 その後、議論を経て作成されたビジョンに合意し、 具体的に三つに絞り込まれたそれぞれのテーマの全て のWGに当社も積極的に参画しています。
本日の正 式な協議会の設立以降、より多くの参画企業の皆様 と改めて活動方針に合意し、議論から具体的な実行 に向けて確実に取り組みを進めていきたいと願い、ま た期待しています。
 そういった意味においても、当面の課題として掲 げた三つのテーマにおいて確実に実行に結びつく成果 をあげることがまずは肝要かと思っています。
例えば テーマの一つである返品削減についても、WGの発表 にあったとおり、業界のコンセンサスが十分といえな い中で、個々に行き過ぎではないかと思われる事態が 生まれているというのも事実です。
これらについて合 理的なコンセンサスを築いていくには、まさに製配販 三層がそれぞれの立場を理解し合い、真に連携協議 することが求められると思います。
そのことは、単に ムダの排除や効率化にとどまらず、広く環境資源問 題の解決にも繋がる大切なテーマだと思います。
 その他のテーマの取り組みについても、これまで 個々に連携しながらも、もう一つ乗り越えられなかっ た壁を乗り越えるための貴重で有効な機会として我々 も取り組んでいきたいと思っています。
日本の流通をもう一歩高みに確実に実行に結びつく成果を イトーヨーカ堂 亀井淳 社長兼COO 味の素 小原利郎 常務  それぞれに得意先や取 引先、それに競争する同 業他社がいる中で、情報 交換をして本音で話し合 う機会を作ったというこ とだけでも、非常に大き な意義があると思ってい ます。
 それを前提として、今感じていることを率直に話す とすれば、通常の取引の延長線上で連携に向けた議論 をしても、やはり限界があると認識しています。
キー になるのは、問題意識を本当に共有できるかというこ とと、目的をどこに置くかということです。
 実際に実行するには、経営レベルの間でまずは信頼 関係を持つこと、そして失敗してもいいので、事例を いくつか作っていくことが必要です。
その事例を、で きる限り今回のような場で紹介していく。
その積み重 ねが重要だと思っています。
 そこで得られたものが当たり前になり、やがて標準 になっていく。
その先には新しい競争の基軸が見えて くる。
そして、それが消費者の利益になっていくのな ら素晴らしい。
 返品削減WGの中で、おそらく初めてだと思いま すが、定量的な返品額やその処理にかかる経費の紹 介がありました。
その主な要因も今回明らかになりま した。
これを避けて議論しても問題の解決にはならな いので、まずはここを徹底して手掛けていきたい。
 配送最適化については、それこそ一社では限界があ ります。
製配販の中で、お互いの課題を明らかにし、 それぞれの強いところ、弱いところを意見交換する中 で、戦略を模索していくことが良い結果につながるだ ろうと思います。
事例を積み重ね知見を共有する あらた 鈴木洋一 副社長 17  JULY 2011 特集 発起人15社トップのコミットメント JULY 2011  18  第一回の会合だったと 思いますが、流通科学 大学の石原先生から日 本の重厚長大のサプライ チェーンは情報共有がで きているが、消費財流通 は疑心暗鬼で、皆改善の インセンティブが欠如しているというご指摘をいただ きました。
その通りだと思います。
 古い話になりますが、当社は〇六年から毎日POS データを取引先に開示しています。
現在四〇〇社以上 に毎日ご覧いただいていますが、開示に当たっては社 内で大変な反対がありました。
貴重な情報を開示する のはいかがなものかと。
しかし、開始から五年経った 現在、結果としてマイナスはまったくありません。
む しろプラスばかりです。
 暴論かも知れませんが、小売業が持っている情報そ れ自体は大して重要ではなく、むしろそれをいかに活 用し、実行するのかということが大事なのだと思いま す。
従って、製配販の協力というのはトップが腹をく くりさえすれば間違いなくできることだと思います。
 今回の取り組みで当社は配送最適化のWGに参加 していますが、発表にもあった過少ロット、過剰頻度 の問題についてはまったくその通りで、引き続き協力 させていただきたいと思っています。
また、三つのテー マの中で、今回のアウトプットという意味では流通B MSが、導入宣言書の採択ということで少し先行して いると感じます。
他の二つについても、ぜひ成果をで きるだけ早期にあげていくように当社としても最大限 協力するので、事務局にも是非よろしくお願いしたい と思います。
まずはトップが腹を括る ライフコーポレーション 岩崎高治 社長兼COO  P&Gでは、世界的 には一九八〇年代後半 に、得意先ごとに効率化 の取り組みを始めていま す。
ウォルマートとP& Gの戦略的同盟は有名 にもなりました。
 九〇年代以降は、ECRやGCIといった業界全 体の効率化や共通インフラの構築を目指した取り組み にも積極的に参加してきました。
現在もグローバルレ ベルでさまざまな取り組みがなされています。
 日本では九〇年代後半に、公正で透明性のある環 境で切磋琢磨し、製配販の効率化を図るため、販促 金制度、オープンプライス、オープンなロジスティッ ク・メニューといった取引制度を勇気をもって導入し ました。
予測通り、当初は多くの逆風が吹きました。
我々が普通だと思っていたものが日本の商慣習には合 わず、なぜP&Gだけそういうことをするんだという 声もいただきました。
 しかし、このオープンな取引制度が結果として多く のムダを排除し、その資源を販促や製品のイノベー ションに投入できたという経緯があります。
非常にタ フなワークでしたが、いま思うと一〇数年前にそう いったアプローチを実行して良かったと思っています。
 ただ、現状がベスト・オブ・ベストかと問われると、 そうではありません。
当社の仕組みそのものにもまだ まだ改善点があるし、またスケールも足りません。
皆 さんと力を合わせ、業界全体で取り組むことによって スケールを出すことで効率化にも拍車がかかると考え ています。
まだ残る大きな課題を皆さんと共に一つひ とつつぶしていければと思っています。
オープンな取引制度を業界全体に プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン 桐山一憲 社長  かれこれ四〇年近く 流通をやっておりますが、 特に返品については頭が 痛く、解決策のない状態 が現在まで続いています。
部分最適、対症療法で減 らすことはできるのです が、残念ながら根本治療には至っていません。
原因を つきつめていくと、やはりどうしても取引制度にぶつ かってしまいます。
 日本の場合、建値制度の取引が主流ですが、これ に限界がきているように思います。
アメリカの流通を 調べると、そこには明確なオープン取引、メニュープ ライスがあります。
同じルールを誰にでも等しく適用 しているということであり、ムダを省くという観点か らは重要なことだと私は考えています。
 我々にとって一番頭が痛いのは、「見積もりを持って こい」と言われることです。
これは一つには、日本の 取引形態の中では、見積もりにプロセスが反映されて いないためです。
配送は何回なのか、返品はあるのか 無いのか、店舗での手伝いはあるのか、といったことが 全く反映されないため、価格の出し方が非常に難しい。
 価格制度、取引制度そのものの抜本的な見直しが 行われない限り、ムダを無くして流通コストを低くす るという目標の実現には、なかなか辿り着けないので はないのかと思います。
日本とアメリカのトータル流 通コストを現状で比較すると、残念ながら我々の生産 性は低いと言わざるを得ません。
経済合理性に基づい た取引制度が日本にはまだ少ないためです。
公正取引 とはなんぞやという定義もまだ明確に提示されていな い気がします。
そうしたところが整備されると、日本 の流通はまた変化を遂げると思っています。
メーカーの建値制はもはや限界 Paltac 山岸十郎 特別顧問 特集 19  JULY 2011  製配販の協働による サプライチェーン全体の 効率化、合理化について は、もちろん今までも考 えられてきましたし、ま た、そのことを進めるこ とに反対する方はいない と思います。
しかし、これまでは「総論賛成・各論 進まず」というような状況が続いていました。
 現在の取引慣行の中には、確かにあまり合理的で ないものもたくさんあると思います。
しかし、長い期 間におよぶ取引の中で、互いの合意の基に進めてきた 結果でもあるので、具体的に変革するということにな ると、相互の利害がぶつかったり、互いの経営の問題 にまで波及することもあり、なかなか思い切ったこと ができなかったというのが今までの経緯だと思います。
 しかし、今はもうそんなことは言っていられない状 況にまできているのも確かです。
そんな中で、今回の 集まりや議論は、今までとは違うと感じています。
準 備会に参加している皆様のお話を聞いても熱意が伝 わってきます。
なにより、製配販が一堂に会してお互 いに率直にものを言い合うということに大きな意義が あったと思います。
これが実現したことで、成果は必 ず出てくると思えるし、また、その成果をしっかりと 作っていくことが私たちの役割だと認識しています。
 日本の生活者は豊かな物資水準に習熟をしており、 要求水準が非常に高い。
小売業だけでその高い要求 水準に応えることはもちろんできません。
メーカーだ けでも、卸だけでもできません。
製配販が、ある意味 での運命共同体的な取り組みをしっかりしていくこ とによって生活者のより豊かで、より楽しい生活を実 現していくことが流通全体の役割だと思います。
 製配販がすべて協力 するということは素晴 らしいことであるけれど、 難しいのは公平な分配 ということです。
私はい つもフェアの原則という ことを考えておりますが、 やはり多くを渡したものに厚く報いるということが原 則であるとするならば、この効率化の効果をこの後ど のように分け合うかということについてのコンセンサ ス作りが極めて大事だろうと思っております。
 こうした前提に立って今回の震災で起きた現象を 見てみると、私どもは差別化を図る中で、最も効率 的な物流体系を作り、最も優れたセンターを作ってき ました。
ところがこれが意外に脆弱だった。
効率的な 自動倉庫が、あの震災では使えなくなった。
ライフラ インを本当に守るためには、もっとマニュアルな物流 システムを組み込まないと対応しきれない。
そうした 現実と直面しております。
 さらには、これからのことを考えた場合、今はロジ スティクスの面で充実した取引慣行がありますが、こ れからは需要をどう喚起するかということが大事に なってくるのではないでしょうか。
今回の震災をきっ かけに、生活者のライフスタイルに大きな変化が起 こってくるのは明らかです。
 こうしたことをもっと深く、それぞれの立場で議 論し合う。
また新しい流れをいかにつかんでいくかが、 今後は非常に大事なのではないかと思っています。
私 どもの事業は食品中心ですが、食品だけでなく、あ るいは衣料品、また化粧品なども含め、そういったこ とが話し合えれば、もっともっと違った展開が生まれ るのではないかと考えています。
 今回の製配販の連携 に向けた取り組みでは、 われわれは流通B M S 導入推進ワーキンググ ループに参加させていた だいております。
 W Gの中では各社の 取り組み姿勢や対象範囲、考え方などの違いにより、 様々な論議があったと聞いています。
また運営準備委 員会にも参加させていただき、各参加企業のお声を 聞く機会も何度かありました。
 しかし、各社にはそれぞれ特有の事情があるにせよ、 今回は小異を捨てて大同につくことができた。
標準化 を進めるということで合意することができました。
発 起人一五社がすべて賛同し導入宣言を作るという大 きな一歩を踏み出したことは、非常に有意義なことだ と思っております。
 イオンリテールの例をとりますと、二〇〇五年に流 通BMSを立ち上げてから、その標準策定と普及を 進めております。
導入推進についてはグループの機能 子会社、イオンアイビスが担当しています。
導入して いる取引先数は、昨年度では約一〇〇社だったもの が、現状(一一年五月時点)では二六〇社ほどに拡 大しております。
今後とも拡大に向けて積極的にグ ループを挙げて取り組んでまいります。
本日ご参加さ れている企業で流通BMSの導入がまだの方がおら れたら、是非この機会に検討をお願いいたします。
 最後に、日本の消費者の安全、安心を守ること、 よりよい暮らしの実現に貢献するという観点からは、 製配販の協調が必要であると同時に、より公正な競 争環境が活性化されることも重要であると考えてお ります。
今回の集まりは今までとは違う成果の公平な分配で合意を小異を捨てて大同につく ヤオコー 川野幸夫 会長菱食 中野勘治 社長イオンリテール 家坂有朋 専務 JULY 2011  20  正直言いますと、昨年 五月の準備会合の時点 では、製配販の三者が本 音でどこまで議論し、一 つのかたちを作っていけ るのかということに、私 は少なからず不安を抱い ておりました。
しかし今日、協議会のビジョンを拝見 して、非常に消費者本位の立派なものであることに 感銘を受けました。
様々な議論を経てこういうかたち、 こういう言葉になったということは、そのプロセス自 体に大きな意味があったということだと思います。
 思い起こすと今から二〇数年前、アメリカからE CRが発信されて、カテゴリーマネジメントがきちっ となされて、ファクトベースでビジネスがどんどん合 理化されていきました。
それが日本にいつ来るのかと 思っていたら、日本を飛び越えてアジアに行ってし まった。
しかしそれがある意味、かたちを変えたもの が今回の製配販の協働だと思います。
 当時とは当然、日本の消費者、流通、卸、そして メーカーも大きく変わり、グローバル化の進んだ中でこ ういったことが必要だということを各企業のトップの 方が感じている。
時代を経て、製配販が協働する機が 熟している。
今はそういう時期ではないかと思います。
 日本は一つ一つの技術、ノウハウは素晴らしいも のを持っている。
しかしそれをどう伝えていくかとい う点では、今までは努力が足りなかった。
そこをちゃ んとみて取り組んでいく。
それがグローバル化した環 境においての競争力を上げるということにもなる。
透 明化、標準化が製配販の中できちっと作られていけば、 単にものの流れだけではなくて、情報の流れも変わっ ていくのだろうと思います。
 今回の大震災ではわれ われの店舗も一部被災し ましたが、各メーカーさ ん、卸さんに多大なご協 力をいただいて商品を確 保することができ、ライ フラインとしての役割を 果たせたと思っております。
ただし震災の中では、多 少ムダがあることによって早く復旧できたという部分 もあったということを感じております。
 他の方からのお話もあったように、自動倉庫を取り 入れることによって効率化を図れたものの、震災後、被 災した物流センターでは商品を一切取り出せないとい うことがあったため、商品が関西の方から送られてき たということもかなりあったというのが実態です。
今 回のような取り組みによってムダをなくすということ は非常にいいことだと思いますし、日本の中でものが どのように動いていかなければならないかということ は、今後、検討していかなければならないことです。
 しかし、その取り組みによって、川上にダムを作っ てしまったがために、川下の生態系が狂った、川下 にものが行かなくなるということがあってはなりませ ん。
つまりお客さまにものを届けるということ、もの をお売りするということがおかしくなってはいけませ ん。
やはり多少ムダがあることによって余裕というも のが生まれると私は認識しているので、そのムダな部 分のうち、どこまでがムダでどこまでが必要なのかと いうことを皆様と話し合えればと思います。
 そうした中で、日本という国がさらなる飛躍をで きるようなかたちを期待し皆様と取り組んでいきたい。
われわれもこの協議会に前向きに取り組んでいきなが ら、皆様のご協力をいただければと思います。
 四月に社長に就任し ましたので、今日初めて ワーキンググループの取 り組み等を拝見いたしま したが、業界の垣根、ある いは製配販の垣根を超え た取り組みによって、ず いぶん検討がなされたことに非常に興奮いたしました。
 今日本は大変な試練に向かっていると考えています。
もちろん今回の震災もその大きな一つですが、長い目 で見ても、少子高齢化の進行、あるいはもはや内需 は拡大しないということが明らかになっています。
そ してグローバル化が進む中で、日本という国を飛び出 して垣根を越えていくということが、今後の成長には 不可欠になっています。
そのためには原資が要る。
そ れを得るには、これまで日本の中だけで競争してきた、 日本の中だけで考えてきた、そこで培われた商習慣を、 抜本的に見直すということが大きいと考えていました。
 協議会は、いいチャンスだと思っています。
製配販 でかかっているコストをもう一度見直し、抜本的な原 価を含めた価格の見直しに繋げていく。
メーカーであ れば浮いたコストを製品の開発、研究などに投入する。
それによってお客さまにいい商品を安価で販売し、お 客さまの利益を生んでいく。
お客さまにとって何が一 番いいのかということを第一に考えてこれまでの商慣 習を見直していくことが必要だと思います。
 そうしたことをやるには、現場の人たちだけではな かなか難しい。
今こそ経営トップがこれまでの慣習な どの壁を越えて話し合いを進める必要があります。
そ れは次の世代にこの日本を受け継いでもらうためには 至極当然のことであるとも思っています。
私どももで きる限りのご協力をさせていただきます。
ECRの機は熟した不要なムダと必要な余裕の区別を顧客視点で商慣行の見直しへ 花王 尾元規 社長マツモトキヨシ 松本清雄 社長資生堂 末川久幸 社長 特集 21  JULY 2011  現在日本という国が大 変な時代に入っているの はご承知の通りです。
製 配販の将来あるべき姿 とは何かを考えることは、 消費の中心となる生産年 齢人口が徐々に減り、ま た、高齢化が進む中で、日本経済をどのように立て直 していけばいいのかを考えることでもあると思います。
 ここはやはり有効需要を作って雇用を増やすという 取り組みが必要ではないでしょうか。
製配販が協力 してムダをなくしていくうえでも、適正な市場の安定、 市場の正常化を図っていく必要があります。
それが生 産年齢人口に付加価値を与え、有効需要を作るとい うことになるのではないかと思います。
 この市場の安定を官主導でいくか、業界の主導でい くか、または個別企業の倫理観でいくかという問題は ありますが、いずれにしても、国民生活をこれから全 体的に向上していくためには、何としても付加価値を 国内に取り戻す必要があります。
そのために需給の調 整機能を確立し、その中で各社の利益をとっていく。
 今まではSCMというと、どちらかといえばローコ スト化のためのものという考え方がありました。
しか し、今度の震災でもわかった通り、SCMとは原材料、 資材をしっかりと調達して、いつでもどのような事態 でも生産ができるということだろうと思います。
そし てそれを支える中間流通、SCMというよりは、“サ プライチェーン・コンソリデート機能”とでも呼ぶべ きものが、われわれ卸の仕事になります。
製配販三 層の協議会において全体のムダをなくすということは、 まさにわれわれがやらなければならない仕事ですので、 大いに協力してまいりたいと思っております。
 コンビニにとって、製 配販の連携は基本的な 技術モデルです。
私ども はコンビニこそがSCM ビジネスだと考えており、 SCMを効率化し、効果 的に行うことがビジネス の成功と発展に結びつくということを既に経験してき ました。
製配販でSCMをより一層極めていくことは、 結局自分たちに戻ってくると考えています。
 例えば弁当作りにおいてわれわれは原料の調達から メニューの開発、そしてロジスティクスまで、自身で すべてを行っている。
メーカー機能と卸機能をわれわ れは差配しています。
その一方で、メーカーさん、卸 さんからの仕入れ商品もある。
そこでもメーカーさん、 卸さんとより一層協力することによって、私たちの利 益率は向上する。
 効率化のためにやらなければいけないことが私たち にはまだまだたくさんあります。
例えば毎年、多くの 飲料が発売されますが、あれだけの種類が本当に必要 なのか。
また、ITを活用し、今後は例えばCRM (顧客管理)などに取り組む必要もあります。
お客さ まのデータをより詳しく分析し、メーカーさんと商品 の開発に活用していく。
これによってムダのない商品 作りをする。
その結果として私たちはより利益の高い 商品をいただく。
こうしたことで、私たちはより進化 していくことができる。
 私自身はコンビニエンスストアは世界一の小売り フォーマットであると考えております。
今回はそれを より一層極めていくためのいいチャンスをいただきま した。
この機会を、私たちのモデルをよりレベルアッ プする一助としていきたいと思っております。
 ビール業界では一九九 〇年代に消費の停滞が始 まり、そのために過度な 競争に入った結果、市場 が混乱するとともに、製 配販いずれも疲弊すると いう状況に陥りました。
 二〇〇〇年代に入ってその反省を踏まえ、製配販 の三層でお互いにメリットのある取引ができないかと、 新取引制度の導入、あるいはコストオン方式への転換 をやってきたという経緯があります。
そうしなければ 日本は世界に取り残される。
そんな危機感を持ってお りました。
このため、製配販の連携に向けた今回の取 り組みにも、積極的にトライすべきだと準備会では申 し上げました。
 今回、私どもは三つのWGのすべてに参加させてい ただきました。
テーマごとにさまざまな課題があるこ とを皆様も認識されたと思います。
しかしながら、解 決に向けた具体的な提案もいくつか出てきております。
この一年間で大きなプログレスがあったと思っており ます。
やはり部分最適でそれぞれの企業が取り組むよ りも、将来を見据えて製配販が協働することが非常に 有効だという認識を今日、ご出席の皆さんと共有でき たのではないかと思っております。
 東日本大震災では私どもも大きな被害を受けました。
資材不足あるいは物流の混乱もあり、商品供給に大 きな影響が出ております。
われわれは今回の経験から 効率性、利便性一辺倒だけではなくて、リスクに強い 柔構造の事業に変えていく必要があると思っています。
しかしこれも一企業ではなく、原材料を含めたサプラ イチェーン全体でリスクに強い仕組みを作る必要があ ると思います。
国内に付加価値を取り戻すコンビニはSCMビジネスだ放置すれば日本は取り残される 国分 國分勘兵衛 会長兼社長ローソン 新浪剛史 社長兼CEO キリンビール 松沢幸一 社長

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