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佐高 信
経済評論家
JULY 2011 68
私は固有名詞を挙げて批判する。 そうしな
いと、厚顔無恥な人間たちには通じないと思
うからだ。 それで今度『原発文化人
50
人斬り』
(毎日新聞社)を出した。 文化人だけでなく
政治家等も加えて五〇人としたのだが、原発
についての超A級戦犯の中曽根康弘をはじめ、
特にひどいのは次の一〇人である。 中曽根以
外の人間の表題と名前を掲げる。
●中曽根系文化人、梅原猛
●有害御用学者、斑目春樹
●タイコ持ち芸人、ビートたけし
●耐用年数の切れた蛍光灯、吉本隆明
●故郷の福島を売った原発族、渡部恒三
●半体制の原発コンサルタント、大前研一
●原発反対つぶしの協力者、堺屋太一
●原発礼賛の宣伝芸者、弘兼憲史
●原発必要論だけは変わらない、与謝野馨
●福島の惨事をよそに祝宴に興じた無神経作
家、幸田真音
「TVタックル」のたけしを筆頭に、「行列
のできる法律相談所」の北村晴男、住田裕子
の両弁護士等、いま、テレビに出ているのは
原発安全PRの片棒をかついできた人間ばか
りと言っても言い過ぎではない。 逆に、『F
RIDAY』の六月一七日号で、俳優の山本
太郎が告白しているように、原発反対の抗議
活動に参加した人間は、決まっていたドラマ
の役を降ろされたりしているのである。
「日本政府に対して、僕はがっかりしてい
ます。 見殺しのような状態にされている子供
がたくさんいるわけですから。 子供の放射線
量の基準が二〇ミリシーベルトまで引き上げ
られるなんて。 今何とかしないと、取り返し
のつかないことになってしまうという危機感
があるんです」
被災地に行ってみたら、雨に濡れても気に
しない親もいるが、子供たちのほうが敏感で、
「本当に大丈夫なのか」
と話し合ったりしているという。
メディアへの働きかけは震災後に、むしろ
強まっている。
たとえば『週刊アサヒ芸能』の五月一九日
号に「誓って本誌はもらっておりません(笑)」
という見出しの記事が載っている。 電力会社
の「マスコミ封じ」の仰天手口を暴露したも
ので、「震災後、週刊誌に八〇〇〇万円払った」
との証言もある。 冒頭は、ある全国紙社会部
記者のこんな述懐。
「東電の批判記事は、なかなか正面から書
けませんね。 そもそも、記者の半分以上が
震災前からの東電関係の接待攻勢で骨抜きに
され、東電の御用記者になってしまっている。
また、批判的な記事でもトーンによってはせ
っかく記者が書いても上からストップがかか
ります。 理由は、『ふだんから億単位の広告
料金や、今回の数千万というおわび広告料金
を考慮しろ』ということです。 現場の記者か
らすると、まったく残念な話ですが‥‥」
もちろん、新聞だけではない。 テレビも同
様で、ある関係者がこう語る。
「まず東電バッシング一辺倒の番組は放送で
きません。 すでに『おわびCM』を流すことで、
数千万円が入ってきてますし、そもそも以前
からのおつきあいがありますから。 社内に『東
電批判は控えよう』という雰囲気がガッチリ
出来上がっています。 実際には直接的な圧力
をかけてこなくても、局の幹部が勝手に『自
主規制』をかけてしまうのが現状です」
東電をはじめとした電力会社のCMは主に
報道番組に入っている。 提供番組を含めて、
事故などが起こった時、何らかの?配慮?が
なされるのは予想できるだろう。 さらに巧妙に、
会社名を出さなくてもいいから、スポンサー
料を出すので、「原発推進派のこの学者を使
ってほしい」とか、「原発のある地域の祭り
の様子をニュース番組で扱ってほしい」と言
ってくることもある。 しかも、その料金が数
千万単位と破格なのだという。 そんな会社に
メディアはまた負けようとしている。
カネの力を前に「自主規制」する各メディア
震災後もマスコミに流れ続ける東電マネー
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