ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2011年10号
メディア批評
「がんにさせる賞」だと皮肉られる朝日新聞放射能を過小評価する?専門もバカ?を顕彰

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

佐高 信 経済評論家 OCTOBER 2011  64  とくに『朝日新聞』がおかしい。
 「ひと」欄でニセ医者を取り上げて恥をかい たのに続いて、九月一日付の同欄では「朝日 がん大賞を受ける」山下俊一(福島県立医科 大副学長)を顕彰してしまった。
 九月五日付の『日刊ゲンダイ』によれば、 山下は放射能による健康被害を過小評価する 発言を繰り返し、ジャーナリストの明石昇二 郎と広瀬隆から東京地検に告発されている。
 山下は日本甲状腺学会の理事長らしいが、 次のような発言をしているのだから、?専門 バカ?ならぬ?専門もバカ?の典型だ。
 「放射能の影響は実はニコニコ笑っている人 には来ません。
クヨクヨしている人に来ます」  「福島県の子どもたちは幸せですね。
これ からガイガーカウンターを一人一人持って、毎 日測って、科学に強くなる」  まさにアホかだろう。
これでは「がん大賞」 ではなく、「がんにさせる賞」だろうと『朝 日新聞』も皮肉られている。
 ただ、朝日新聞出版発行の『週刊朝日』は 別のようで、九月九日号の同誌で広瀬隆が固 有名詞を挙げて「原発文化人」を糾弾している。
まず最初に、福島出身の西田敏行の、  「我慢強い人が多い福島ですけど、今度だ けは、ね。
東京電力や原発を進めてきた政治 家たちに怒りの声を張り上げたい」  という発言を紹介し、これまで広瀬は、原 発学習会でCMに登場した人間たちのスライ ドを見せてきた、と続ける。
 「魂を売った人間たち。
関西電力・NUM O(原子力発電環境整備機構)のCMに岡江 久美子。
九州電力のCMに映画監督・大林宣 彦、田中星児。
オール電化のCMに森高千里。
通産省のCMに雛形あきこ。
東北電力のCM に伊東四朗、児玉清。
関西電力のCMに高橋 英樹。
四国電力のCMに玉木宏。
中部電力の CMに岡田奈々、小西博之」  あまりものを考えないこれらのタレントは ?どじょう首相?が持ち上げた相田みつをが好 きそうな人が多い。
相田が好きな人と私はつ きあいたくはない。
簡単にだまされるような 人で、だまされるほど自分は「いい人」だと 錯覚している人ばかりだからである。
そんな 人は上に「どうでも」がつく「いい人」だと 私は揶揄しておきたい。
 広瀬に「早く出してほしい」と言われて、 私は『原発文化人50人斬り』(毎日新聞社) を刊行した。
 そこには詳しく書かなかったが、広瀬は立 花隆も追及する。
「日本のインテリジェンスそ のものが断末魔の状態にあることを実証した」 例として挙げるのである。
 立花は『週刊文春』の四月七日号でこう語 ったという。
 「原子力の世界ではずいぶん前から安全性 の高い小型原発の開発を目指す人たちがいま した。
‥‥小型で絶対安全な原発を作り『各 家庭に一台ずつホーム原発を』が理想だとい う人たちがいた。
‥‥福島原発では東芝製の 発電機が使われているので、東芝も批判の的 になっていますが、彼らが開発している次世 代型の小型原発は『絶対安全』の評価を得て、 実用化も近いといわれています」  「絶対安全」の神話が崩れてなお、こんな 世迷い言をいう立花に呆れて、広瀬は次のセ リフを投げつける。
 「これが?知の巨人?だって? こういう のを?愚の骨頂?と言うんだぜ」  私は連日テレビに出て原発の危険性をしゃ べっている中部大学教授とやらの武田邦彦の 軽薄な顔を見ると、吐き気をもよおす。
 武田はこれまで、原発推進の側にいた人な のである。
副島隆彦との『原発事故、放射能、 ケンカ対談』(幻冬舎)では、東京電力から カネをもらったことがあると認めている。
そ れなのに、あまりにイケシャアシャアとして いるではないか。
流れが変わればまた変わる ことをあの軽薄さが表明している。
「がんにさせる賞」だと皮肉られる朝日新聞 放射能を過小評価する?専門もバカ?を顕彰

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