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《中部》自動車物流の減少で大崩れ
東日本大震災やタイの洪水といった災害により、中部産業の中核を
占める自動車業界は大ダメージを被った。 これに伴い、部品メーカー
などを荷主に持つ運送会社の運賃は下落の一途をたどっている。 足
下では徐々に生産台数は回復しつつあるものの「遅れていた生産を
取り戻しているだけ。 長期的なトレンドではない」という悲観論も聞
こえてくる。 電機関連や食品・日雑といった分野でもダンピングによ
る値崩れが続いている。
●主にトヨタ関連の化学品を輸送・保管している。 ト
ヨタは数年前からRRCI(良品・廉価・コスト・
イノベーション)というスローガンを掲げ、サプラ
イヤーを巻き込んでのコスト削減を実行しているが、
当然、物流にもそのしわ寄せが来ている。 特に昨
年は震災やタイの洪水の影響で業績が悪化したの
で、運賃への圧力も強まった。 生産台数は徐々に
回復しているが、当社のような物流企業が実感で
きるほどの回復にはまだほど遠い。 今後も中京地
区でのプラス要因はなかなか見当たらないので、他
エリアへの進出なども視野に入れている。 自動車
以外の部分では震災による特需もあった。 例えば
食品用フィルムは東北で多く生産されているが、被
災した製造拠点を中京地区に移転する動きも見ら
れ、それに関連する輸送や保管の仕事が増えた。
(愛知・化学品物流)
●当社は食品メーンだが、毎月のように荷主から値
下げ要求が来ている。 昨年は特にダンピングによる
値崩れが激しかった。 東京まで四トン車で五・五
万円、大阪まで四万円をもらっていた時代もあっ
たが、今ではそこから一万円近く値引かないと受
注できなくなっている。 一〇トン車や一五トン車も
同じ傾向だ。 行政は値崩れの原因となっている不
当な運送業者の取り締まりを強化していると言う
が、なかなか実感できない。 自社車両の比率を落
としてなんとか凌いでいる。 ピーク時には四〇台
を超えていた車両台数も、今ではその半分にまで
減っている。 (愛知・一般運送)
●主に建築資材と自動車関連部品を運んでいるが、建
築資材の運賃はこの一年で少し上がっている。 言
い方は良くないが、東北の震災で需要が膨らんだ。
現在、中京地区から東北までの片道運賃は四トン
APRIL 2012 26
特別積合せ貨物の荷動き(中部運輸局) 宅配貨物の荷動き(中部運輸局)
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
8
6
4
2
0
-2
-4
-6
-8
(千トン) (%)
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10
月
11
月
12
月
1月
2月
3月
平成22 年度
輸送トン数
平成23 年度
輸送トン数
平成22 年度
前年同月比
平成23 年度
前年同月比
35000
30000
25000
20000
15000
10000
5000
0
20
15
10
5
0
-5
-10
(千個) (%)
4月5月
6月
7月
8月
9月
10
月
11
月
12
月
1月
2月
3月
平成22 年度
取扱個数
平成23 年度
取扱個数
平成23 年度
前年同月比平成22 年度
前年同月比
市場の声
解 説
4 ブロック別運送市場レポート
車で七・五万円、一〇トン車で九・二万円、一五
トン車で一〇万円と、以前よりも二〜三割は増え
ている。 震災から一年が経った今でも、東北方面
への輸送依頼は増加し続けている。 業績にも非常
にプラスだ。 ただ、東北からの帰り荷には期待が
できない。 一方の自動車関連は今ひとつ。 運賃も
輸送量も落ち込んでいる。 自動車各社は国内での
生産増強も発表しているが、その多くは九州など
別のエリア。 お膝元の中部地区は減るばかりだ。
(愛知・一般運送)
●マグロの全国輸送など、超低温物流を得意として
いる。 運賃自体はほとんど変わっていないが、や
や減少傾向にある。 やはりデフレが原因だろう。 低
温物流市場はハードへの設備投資が必要なため、一
般貨物に比べれば新規参入が少なく、運賃の値崩
れは起こりにくい。 ただ、その中でもダンピングは
ある。 なかには低温設備が十分でないのに、荷主
に安い料金を提案する業者も存在する。
(静岡・低温物流)
●当社の運賃水準は名古屋─東京で七万円、名古屋
─大阪で三〜三・五万円。 大型車はそれぞれ二割
増し程度だ。 当社は工業関連の荷物を取り扱って
いるが、運賃は減少傾向。 震災以降、リスク分散
のために中部の在庫量を増やしたり、中部での増
産を実施した荷主もいたが、一時的な動きに留まっ
てしまった。 (愛知・利用運送)
●いずれも往復だが、四トン車で名古屋─東京の運
賃が七・五万円、名古屋─大阪が五万円というの
が当社の水準。 昨年は震災の影響もあって建築資
材関係の荷動きは良かったが、全体としては低位
横ばい。 今年も運賃が上がっていくことはないだろ
う。 燃油高やアルコールチェックの義務化など、コ
ストアップ要因ばかりが増えている。
(愛知・一般運送)
27 APRIL 2012
景況感一覧
宅配貨物 宅配以外 一般貨物
10 年
1〜3月
10 年
4〜6月
10 年
7〜9月
10 年
10〜12月
11 年
1〜3月
11 年
4〜6月
11 年
7〜9月
11 年
10〜12月
12 年
1〜3月(見通し)
特積貨物雇用関連総合計
出所)全日本トラック協会
判断指標
矢印
… -100 … -60 … -20 … +20 … +60 … +100 …
岐阜
静岡
愛知
三重
福井
計
特積
事業者数
一般
事業者数
17(-1)
6(±0)
18(-1)
2(±0)
2(±0)
45(-2)
847(-21)
1653(±0)
2796(-5)
960(+16)
477(+3)
6733(-7)
平均年齢 労働者数(十人)
(歳)
平均勤続
年数(年) 平均現金給与額(千円) 平均年間賞与その他
特別給与額(千円)
1213
4622
8161
1660
865
(78.8%)
(127.9%)
(94.4%)
(81.3%)
(97.9%)
46.9(-2.1)
45.8(+0.9)
45.7(+4.2)
45.3(-0.7)
48.1(+0.9)
11.7(±0)
11.9(+0.8)
12.4(+1.6)
15.8(+2.3)
11.7(+0.3)
290.0
315.0
316.0
323.5
302.9
(100.0%)
(102.0%)
(90.9%)
(98.7%)
(98.6%)
599.8
492.9
518.4
812.3
399.2
(148.2%)
(84.0%)
(70.4%)
(134.5%)
(124.9%)
平成22 年4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
平成23 年1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
97.3
94.0
107.9
102.5
92.7
108.1
99.2
105.4
99.8
88.3
105.6
102.0
93.4
96.5
114.1
103.3
96.3
105.7
101.4
98.9
99.5
107.1
109.6
107.3
108.3
108.1
105.5
100.1
103.4
102.6
96.6
101.3
96.5
92.6
92.8
96.1
95.0
99.4
99.1
103.5
97.7
97.6
前月比
(%)
前年同月比
(%)
一般貨物の荷動き営業用貨物車両台数の推移
130,602
130,506
130,369
130,215
130,122
130,007
129,843
129,772
129,714
129,694
129,670
129,603
129,377
129,186
129,018
129,073
129,088
129,343
129,243
129,414
7,589
7,582
7,576
7,568
7,576
7,547
7,558
7,591
7,618
7,608
7,615
7,602
7,618
7,600
7,603
7,611
7,579
7,579
7,599
7,630
21,357
21,354
21,341
21,350
21,355
21,402
21,406
21,398
21,467
21,470
21,479
21,473
21,473
21,554
21,516
21,520
21,513
21,520
21,538
21,545
普通貨物小型
四輪貨物被けん引車
出所)国土交通省
運送事業社数〈2011 年3月時点〉運輸・郵便業の賃金水準〈2011 年6月時点〉
(括弧内は対前年増減) (括弧内は対前年増減もしくは比率)
※男性一般労働者出所)厚生労働省
出所)国土交通省
特集
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