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《九州》リスク分散先の有力候補に
九州における生産増強や在庫の積み増し、新拠点の開設を検討す
る企業が増えている。 震災後にリスク分散の重要性が高まってからは、
その傾向にさらに拍車が掛かっている。 この流れに九州の運送業界
は大きな期待を寄せている。 運賃相場は横ばいが続いているが、荷
物が増えることによる売上拡大や単価上昇の算盤を弾いている。 他
のエリアと比べて見通しが明るいことから、関東や中部圏から進出し
てくる物流企業も増え始めている。
●福岡から東京まで一〇トン車で一八万円、四トン車
で十三万円、大阪まで一〇トン車で一〇万円、四
トン車で七万円というのがおおよその相場だ。 運賃
はこの一、二年は変わっていない。 震災直後は東
北への輸送を優先したため、車両が不足しがちに
なった。 福岡から東北までは普通中一日だが、道
路の渋滞や破損で震災当時は中二日かかっていた。
一度行ってしまうと帰ってくるのに一週間くらい
かかる。 協力会社の要請を得ながらなんとか乗り
切っていた。 (福岡・総合物流)
●アジアから船便で運ばれてきた商品を九州全域の
客先まで届けているが、昨年後半から輸入貨物が
減ってきている。 運賃も下落傾向だ。 当社の場合、
大型トラクターを一日貸切で出して三万五〇〇〇
〜四万円程度だったが、この一年で一割くらい水
準が落ちている。 この先も上がっていく見込みは
薄い。 荷主からの値下げ要求も増しているが、ダ
ンピングに巻き込まれれば待っているのは無間地獄。
もしどうしても値段を落とすならサービスレベルも
一緒に見直すなど、単純なコスト高にならないよう
に工夫している。 (福岡・一般運送)
●鹿児島は農産物の物流が盛んだが、震災以降は運
賃が少し下落している。 商品自体の価格が下がって
いるため、運賃にもそのしわ寄せが来ている。 地
元で製造される高級焼酎なども例外では無い。 電子
部品なども輸送量が激減している。 その反面、新
規参入は相変わらず多いので、運賃単価も落ちて
いる。 (鹿児島・食品物流)
●佐賀から東京まで一〇トン車で十三・五万円、四
トン車で十一万円というのが当社の運賃だが、震
災直後から二カ月ほどはそれぞれ三万円くらい上
がっていた。 この数年、佐賀や福岡、熊本などで
APRIL 2012 34
特別積合せ貨物の荷動き(九州運輸局) 長距離フェリーのトラック航送台数(九州運輸局)
250
200
150
100
50
0
12
10
8
6
4
2
0
-2
-4
-6
-8
(千トン) (%)
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10
月
11
月
12
月
1月
2月
3月
平成22 年度
輸送トン数
平成23 年度
輸送トン数
平成23 年度
前年同月比
70000
60000
50000
40000
30000
20000
10000
0
10
8
6
4
2
0
-2
-4
-6
(台) (%)
4月5月
6月
7月
8月
9月
10
月
11
月
12
月
1月
2月
3月
平成22 年度
トラック航送台数
平成23 年度
トラック航送台数
平成23 年度
前年同月比
平成22 年度
前年同月比
平成22 年度
前年同月比
市場の声
解 説
4 ブロック別運送市場レポート
は工業製品に関連する物流が増えている。 自動車
や家電メーカーによる九州での増産や新拠点の開設
が相次いでいるためだ。 震災の影響で、九州への
リスク分散を考え始めている荷主も増えている。 運
賃は横ばい状態が続いているが、この流れが続け
ば上昇していくことも考えられる。
(佐賀・路線事業者)
●コストアップ要因が多すぎる。 数年前までは利益を
取れていたような仕事でも利益が出なくなってい
る。 コスト削減や輸送効率の改善で凌ぐしか無い
が、そういったことはほぼやりつくしている。
(大分・一般運送)
●ある荷主は、被災した東北工場の代替生産をする
ということで、九州工場の生産能力を増強した上
でフル稼働させた。 それに伴って物流も増えた。 今
後も在庫を積み増していく方針だというから、そ
こに期待したい。 (福岡・倉庫)
●衣料品の輸出入業務も行っている。 門司港や下関
港に入ってきた輸入貨物を全国各地に翌日納品す
るのが強みだが、最近その荷物が減っている。 荷
主が関西や関東の港に直接入れ、そこから陸送す
る方法に切り替えているのが原因だ。 リードタイム
は伸びることになるが、コスト削減のために目を
瞑っている。 この流れは今後も続きそうだ。 当社
にとっては非常にマイナスだ。 (福岡・一般配送)
●当社の場合、燃料費が二〜三円上がっただけでも
年間で数百万円のコストアップになる。 軽油価格の
推移を見ながら、春頃からサーチャージ導入の要請
を荷主にするつもりだ。 ただ、一社だけで先行し
て交渉をすると契約を切られて終わってしまう。 周
りの業者が交渉したのを見てスタートしたいが、そ
れは他社も同じ。 結局チキンレースのような様相に
なってしまい、交渉自体できないという状況にな
るのを危惧している。 (佐賀・一般運送)
35 APRIL 2012
平成22 年4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
平成23 年1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
97.6
93.5
100.2
102.7
96.8
103.3
97.6
103.0
106.1
87.5
97.6
111.7
95.1
93.9
106.0
102.7
102.3
102.5
100.1
102.6
109.1
104.9
104.4
100.0
101.0
101.8
103.6
96.1
104.9
100.8
101.8
97.4
100.0
101.6
100.9
109.0
104.0
105.8
102.7
101.0
102.7
103.0
前月比
(%)
前年同月比
(%)
一般貨物の荷動き営業用貨物車両台数の推移
82,701
82,654
82,690
82,592
82,572
82,528
82,407
82,443
82,491
82,382
82,401
82,201
82,045
81,945
81,831
81,789
81,740
81,747
81,782
81,725
5,238
5,265
5,257
5,297
5,299
5,293
5,328
5,334
5,330
5,337
5,329
5,280
5,296
5,290
5,283
5,281
5,304
5,305
5,314
5,297
16,585
16,569
16,560
16,554
16,529
16,607
16,606
16,600
16,605
16,628
16,670
16,663
16,655
16,656
16,704
16,723
16,733
16,756
16,791
16,815
普通貨物小型
四輪貨物被けん引車
出所)国土交通省
景況感一覧
宅配貨物 宅配以外 一般貨物
10 年
1〜3月
10 年
4〜6月
10 年
7〜9月
10 年
10〜12月
11 年
1〜3月
11 年
4〜6月
11 年
7〜9月
11 年
10〜12月
12 年
1〜3月(見通し)
特積貨物雇用関連総合計
出所)全日本トラック協会
判断指標
矢印
… -100 … -60 … -20 … +20 … +60 … +100 …
福岡
佐賀
長崎
熊本
大分
宮崎
鹿児島
計
特積
事業者数
一般
事業者数
15(+1)
1(±0)
1(-1)
6(-1)
1(±0)
2(-1)
3(±0)
29(-2)
2046(+69)
433(-3)
520(+5)
803(+4)
484(+12)
444(+11)
1012(-3)
5742(+95)
平均年齢 労働者数(十人)
(歳)
平均勤続
年数(年) 平均現金給与額(千円) 平均年間賞与その他
特別給与額(千円)
8096
897
1151
1587
987
586
1554
(112.0%)
(93.8%)
(71.1%)
(83.7%)
(109.8%)
(59.5%)
(120.8%)
45.3(+0.6)
48.7(±0)
49.5(+1.8)
47.8(+1.9)
49.3(+1.4)
48.5(+1.8)
47.4(-1.8)
12.1(+0.5)
12.5(+0.5)
12.0(+0.8)
10.3(+0.2)
9.8(-1.5)
13.2(+3.0)
10.5(-1.7)
292.0
256.3
238.2
251.3
235.3
265.8
270.3
(100.3%)
(99.5%)
(104.5%)
(96.4%)
(90.8%)
(100.4%)
(111.2%)
673.5
263.7
357.8
256.3
399.5
390.0
351.1
(109.8%)
(93.6%)
(114.5%)
(90.8%)
(103.0%)
(130.8%)
(151.0%)
運送事業社数〈2011年3月時点〉運輸・郵便業の賃金水準〈2011 年6月時点〉
(括弧内は対前年増減) (括弧内は対前年増減もしくは比率)
※男性一般労働者出所)厚生労働省
出所)国土交通省
特集
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