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AUGUST 2012 82
不動産業界の盟主、三井不動産と
三菱地所が物流施設開発に本腰を入
れている。 両社ともに大型物件の建
設に着手したほか、開発の専任部署
も四月にそろって新設した。 これま
で物流施設市場の成長をけん引して
きた外資系や新興不動産などとの競
争が激しくなりそうだ。
三菱地所は七月、米系投資顧問会
社のラサールインベストメントマネー
ジメントと組み、神奈川県相模原市
で地上五階建てのマルチテナント型
物流施設「ロジポート相模原(仮称)」
の建設を開始。 完成は二〇一三年八
月の予定で、延べ床面積は東京ドー
ム四・五個分の約二一万平方メート
ルと国内最大級になる見通しだ。 一
二年度に開通予定の圏央道新インタ
ーチェンジに近い地の利や、高い耐震
スティールウェッジ・ソフトウェア
(米カリフォルニア州、グレン・マーゴ
リスCEO)は七月十二日、東京都内
で会見を開き、アジア太平洋地域の統
合本部となる日本法人のスティールウ
ェッジ株式会社を都内に開設したと発
表した。
マーゴリス氏は会見で「ここ数年の
IT技術の飛躍的な進化、特にクラウ
ドの普及に伴って、日本を始めとする
アジア企業にS&OPが受け入れられ
る土壌は整った」とし、今後日本を拠
点にアジア太平洋地域で積極的に営業
展開していく考えを表明した。 主なタ
ーゲットは年商五〇〇〇億円以上のグ
ローバル製造業だという。
同氏は米Supply Chain Insights社
の調査を引用しながら「自社のサプライ
チェーンにとって俊敏性が必須だと認
識している企業は九割に上るのに、実
際に我が社は俊敏性に優れていると答
えた企業は三割に満たない」とし、俊
敏性の向上が多くの企業にとって課題
となっている現状を指摘。 その対策と
しては、S&OPを導入して、企業横
断の連携や、需要と供給の一括管理、
売上・利益・数量計画の分析速度を向
上することが一番だと訴えた。
同社によると、クラウド型S&OP
は、従来の非クラウド型システムに比
べて導入期間が約四五%短縮できるほ
性などをアピールしていく方針だ。
三菱地所にとっては、二月に三井
物産と共同で東京都江東区に開設し
た「ナカノ商会辰巳センター」に次
いで二番目の案件。 三菱地所の伊藤
裕慶専務執行役員は「今年度中にあ
と二物件ぐらいは用地を取得したい」
と事業拡大に意気込みを見せる。
一方、三井不動産は三月、GLプ
ロパティーズと組んで、千葉県市川
市に地上五階建てのマルチテナント型
物流施設を建設する計画を発表。 完
成は一三年九月の予定で、東京都心
への交通アクセスの良さや災害対策を
売り物にしたい考えだ。
三井不、三菱地所はこれまで、オ
フィスビルやマンション、商業施設が
事業の中核だった。 しかし、インタ
ーネット通販の隆盛で大型物流施設
のニーズが高まっていることや、安定
的なリターンを期待できる投資対象と
して注目されていることなどを踏ま
え、「参入するのに好機」(三菱地所
関係者)と判断した。
近年、工場や倉庫の跡地など企業
の保有する不動産(CRE)の有効
活用が叫ばれている。 両社はいずれ
も、オフィスビルや郊外型商業施設の
開発を通じて培った用地取得や不動
産の維持・管理などのノウハウを活用
し、需要の獲得を狙う構えだ。 (藤原)
か、ユーザー数増加への対応、個々の
ビジネスに合わせた形でのカスタマイズ
も容易で、サポートコストも抑えられ
るのが特徴だとしている。
日本法人の代表取締役には、日本
におけるサプライチェーン管理の第一
人者で、これまでいくつもの有力SC
M/ERP企業の上級経営幹部職を歴
任してきた津村謙一氏が就任した。 津
村氏は「日本企業の強みはものづくり
だが、良いものを作れば売れるという
時代ではなくなった。 消費者のニーズ
を先取りし、市場で必要とされている
製品を作り出すには、素早い経営判断
でPDCAのサイクルをきちんと回し
ていかなければならない。 S&OPが
その助けになる」と語った。 (渡邉)
不動産盟主二社、物流施設に本腰
三菱地所が国内最大級の案件着手
クラウドベースS&OPのプロバイダー
米スティールウェッジが日本法人開設
「ロジポート相模原(仮称)」の完成予想図
会見するグレン・マーゴリスCEO(左)と日本法人
の津村謙一代表(右)
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