ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2012年9号
ケース
OKIデータ 3PL 3PLを導入し国内拠点を消費地に集約足繁く現場に通い業務の丸投げを回避

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

SEPTEMBER 2012  62 欧米に続き日本でも物流網を再編  
錬烹匹離廛螢鵐拭嫉匆饉劼任△襭錬烹疋 ータは、二〇一〇年に国内物流の改革を本格 化した。
その約二年前から社内で進めていた 「ロジスティクス・プロジェクト」では、情報 システムの整備とこれに連動したKPIによ る物流管理、グローバル物流ネットワークの 最適化などに取り組んでいた。
 こうした基盤整備に続いて、〇九年から世 界各地で域内物流の見直しに着手した。
ま ずは同社の主力市場である欧州と米国で改革 を進めた。
これにメドをつけた〇九年末から、 日本国内を対象とする再編に踏み切った。
 現在、OKIデータは世界一二〇カ国余り で販売を展開しており、海外販売比率は八割 を超える。
生産活動も九〇年代から段階的に 海外移転を進め、現状では約九割の製品をタ イと中国で生産している。
 タイと中国の工場が稼働してからも、福島 工場では国内市場向けの大型高機能カラープ リンターの生産などを手掛けていた。
これを 〇七年に中国工場に移管したことから、生産 活動の中心は完全に海外に移った。
 しかし、それ以降も国内物流の動線は福島 工場を中心としていた。
国内で販売する製品 を海外から輸入し、京浜港から福島の物流拠 点に移送。
ここで保管し出荷する。
トナーな どの消耗品も、輸入してから群馬県藤岡市の 物流拠点を経由して出荷していた。
 福島工場内と藤岡市の物流拠点はいずれも 自前の施設だった。
またロジスティクス・プ ロジェクトの限られた担当者を、まずは主力 の欧米市場向けに割く必要もあった。
そうし た事情から、国内物流の問題点を自覚しなが らも先送りになっていた。
 この懸案に、ようやく〇九年末に着手し た。
3PLの導入と物流拠点の首都圏近郊へ の移管という二点を軸に、見直し作業を進め た。
OKIデータの情報・物流企画室グロー バル・ロジスティクス部の高松静部長は、こ のときの狙いを次のように説明する。
 「われわれやグループ会社だけで物流を管理 するのは、やはり限界がある。
3PLの持つ ノウハウを活かして、一緒に物流管理を高度 化していくことが一番の目的だった。
当時の 国内の顧客は八割方が関東圏に集中していた。
海外で生産する製品をいったん福島と群馬に 入れてから出荷するのではなく、首都圏の倉 庫で扱えば輸送コストの削減やリードタイムの 短縮を実現できると考えた」  倉庫管理システム(WMS)も問題を抱え ていた。
当時のシステムはOKIグループの  サプライチェーン改革の一環として2010年に国 内物流網を見直した。
海外で生産した製品を自社 倉庫2カ所などに保管して全国に出荷する体制を改 め、消費地近隣の物流センター1カ所に集約する ことで、横持ち輸送費の削減などを実現した。
物 流パートナーはコンペで山九を選んだ。
3PL OKIデータ 3PLを導入し国内拠点を消費地に集約 足繁く現場に通い業務の丸投げを回避 OKIデータの情報・物流企画 室グローバル・ロジスティク ス部の高松静部長 63  SEPTEMBER 2012 物流会社、OKIロジスティクス(現OKI プロサーブ)が外部からパッケージを購入し、 カスタマイズしたものだった。
〇九年の時点 で開発から七、八年が経過しており、ピーク 時の処理能力などが課題になっていた。
 しかも「それなりに保守費用がかかるう え、システムの融通性もなかった」(高松部長)。
その点でもOKIデータは3PLに期待した。
3PLの持つWMSを利用することで運用コ ストを削減しながら、より使い勝手のいい仕 組みを実現できるはずという読みだった。
コンペで一〇社から山九を選択  〇九年の十二月上旬に3PLパートナーの 候補企業、一〇社に声を掛けて物流コンペを スタートさせた。
顔ぶれは小口配送に強い総 合物流業者や有力3PL企業、電機・事務 機器メーカー系の物流子会社、さらには国際 物流業者や倉庫業者など多岐にわたった。
 まずはOKIデータの物流管理の現状や課 題をまとめた「RFI(情報提供依頼書)」 を配付。
OKIデータの業務のために必要な 設備やノウハウの有無などを尋ねた。
これに 対して寄せられた情報などから一〇社を評価 し、一次コンペに進む企業七社を選んだ。
 この作業と並行して、一次コンペのための 「RFQ(見積依頼書)」を作成した。
これ を一〇年一月末に七社に配付して、今度は見 積金額まで入った提案書を作成してもらった。
この一次コンペではOKIデータの担当者を 対象とするプレゼンテーションも実施した。
 各社の提案を公平に評価するため、事前 に評価手法を定めておいた。
倉庫のロケーシ ョンや配送コスト、荷役のフレキシビリティ、 改善提案力、情報システムといった評価項目 をそれぞれ採点し、3PL事業者としての総 合力や得手不得手を判断する。
倉庫のロケー ションは現地に足を運んで確認した。
 一次コンペの結果、圧倒的に高い評価を得 たのが、山九と某3PL企業の二社だった。
三月末にこの二社による最終選考会を実施し た。
OKIデータの経営陣がズラリと居並ぶ なかで、候補企業の経営者にも参加してもら って最終プレゼンを実施した。
 このプレゼンが終わると、すぐにその会議 室でOKIデータの十数人の出席者による採 決を行った。
参加していた役員とロジスティ クス・プロジェクトの担当者たちが、挙手に よる多数決を実施した。
 見事なまでに対照的な結果が出た。
現場で 物流管理を実行する立場にある事務局側の参 加者は皆、山九を推した。
他方、基本的に最 中核拠点を川崎に集約したことで福島・群馬への横持ちが激減した 中国 工場 タイ 工場 海外 協力 工場 京浜港・成田空港 部品 本体 消耗品 コンテナ トラック 福島工場 山九(川崎) 1 便/日 1 便/日 生産ライン 保守部品 国内向け 製品倉庫 輸出製品倉庫 MLS(藤岡) 生産ライン 倉庫 物流 在庫 ストックポイント 通過地点 OPS支所 国内顧客大口顧客京浜港・ 成田空港 約4カ月間の物流コンペで山九を3PLパートナーに決定 2009 年12月1月2月3月2010年 第2週 第3週 第4週 1Q以降 回答評価RFQ 業者選定 RFQ 1次回答 RFQ 2次回答 評価 業者選定 契約・ 移管準備 山九に決定OKIデータと協業していく姿勢が強い、共に成長できる可能 性が高いと思われる山九を3PLパートナーとして選定。
業者からの回答 (RFI) 業者への説明 RFQ準備 (〜1/ 22 ) RFQ説明 SEPTEMBER 2012  64 終プレゼンだけを聞いた役員は揃って、もう 一社を推した。
双方の出席者が同数だったこ とから意見は完全に二分されてしまった。
 「たぶんトップは、合理的な会議の進め方と かプレゼンの明確性などを見て判断したのだ と思う。
実際、そうした点ではもう一社が勝 っていた。
しかし、現場を預かるわれわれと しては、コンペ中のやりとりを通じて山九さ んからは担当者の人柄の良さとか誠意を感じ ていた。
意見を言い合いながら一緒にやって いくのであれば、こちらのほうが当社に合っ ていると思った」と高松部長は述懐する。
 数値化した二社の評価点はほぼ同等だった。
提案してきた物流拠点はいずれも東扇島(川 崎市)の物件。
山九は新設の自社物件のた め将来の業務拡張の余地では優位性を感じた が、コストなどを含めれば大きな差はなかっ た。
情報システムについても、双方とも自社 開発のWMSを子会社などがカスタマイズす る体制で、融通もききそうだった。
 あえて相違点を挙げるなら、改善活動に対 する考え方には違いを感じたという。
山九の 場合は、あくまでもOKIデータと一緒に改 が参加して作業を進めた。
OKIデータの情 報・物流企画室グローバル・ロジスティクス 部の冨士田茂之担当課長は、「システムにつ いては山九さんに非常に支えてもらった。
お かげで当社の負担は軽かった」と振り返る。
 こうした準備期間を経て、一〇年一〇月か ら実務の移管作業を製品カテゴリーごとに進 めた。
まず一〇月の三連休を使ってトナーな どの消耗品を群馬県から移行。
翌十一月には 国内ベンダーから調達して海外工場に送り込 む有償部品の管理を移した。
さらに一一年一 月になると、プリンター本体と保守部品の管 理も移管。
福島工場が東日本大震災で大きな 被害を受ける約二カ月前のことだった。
 こうして国内の物流改革は、計画通りにほ ぼ完了した。
しかし、コスト改善の成果はい まだに不透明な部分がある。
OKIデータの タイ工場は洪水で大きな被害を受けた。
これ と大震災の影響で一一年度は物流上もイレギ ュラーの出費が多く、前年と同条件で比較す るのが簡単ではない。
ようやくタイ工場が元 通りになりつつある現段階では、まだそこま で手が回っていないというのが実状だ。
 それでも手応えはある。
倉庫の利用料につ いては、自社物件から山九の物件に移ったこ とで新たなコスト負担が発生している。
その 一方で京浜港から陸送する輸送費などが大幅 に低減されたことで、トータルでは年間コス トを「一億円弱ぐらいは減らせたと思う」と 高松部長。
西日本に届ける輸送リードタイム 善を進めるというスタンスだった。
これに対 してもう一社は、自分たちが3PLとして培 ってきたノウハウを投入することで改善を主 導的に進めようとしているかに見えた。
現場 の管理者が両社の「企業文化の違い」を肌で 感じていたことが採決にあらわれていた。
 多数決の結果を受けて、事務局を務めて いたプロジェクトの担当者は一瞬、困惑した。
しかし、結論はすぐに出た。
拍子抜けするほ どあっさりと役員たちが折れたのだ。
現場の 意見がまとまっているのなら、それを尊重す るというのが経営陣の立場だった。
 こうして一〇年三月末に、3PLパートナ ーとして山九を迎え入れることが決まった。
コストの変動費化が課題  パートナーの選定を終えたOKIデータは、 さっそく新体制に向けた作業をスタートした。
契約内容の詳細を詰める一方で、情報システ ムの整備や、物流拠点を移管するための具体 的な計画の策定作業などを進めていった。
 システムについては、従来と同様のインタ ーフェースを3PL事業者が用意することが 業務委託の条件になっていた。
それまで使っ ていたWMSは、OKIデータが経営管理に 活用しているSAPのシステムと密接に連携 していた。
山九のWMSも、同じようにカス タマイズしてもらう必要があった。
 
錬烹疋如璽燭らは担当者が二人、山九か らは営業、現業、情報部門から多数の担当者 OKIデータの情報・物流企画 室グローバル・ロジスティク ス部の冨士田茂之担当課長 65  SEPTEMBER 2012  「一〇年間こうした業務に携わっているが、 OKIデータさんほど管理部門が物流現場に 目配りしている事例を知らない。
倉庫管理や 配送管理にしても、決して丸投げすることな く、週に一度は必ず現場に足を運んで状況を チェックしている。
われわれと一緒に前進し ていこうとする意識が非常に高い」  しかし、懸念も残されている。
OKIデー タは近年、ロジスティクス関連組織の大幅な 見直しを繰り返してきた。
同社は〇八年四月、 生産本部に「SCMセンタ」を設立。
ロジス ティクス・プロジェクトと並行して、需給管 理の高度化を目的とする「サプライチェーン・ プロセス」と呼ぶ取り組みを開始した。
 
咤達優札鵐燭砲蓮⊆卞發ら需給管理に関 連する人材と機能を集約し、ピーク時には約 八〇人が所属。
ロジスティクス部もSCMセ ンタの傘下で物流改革にあたっていた。
とこ ろが一二年一月、経営方針の変更によりSC Mセンタは解散となった。
需給管理機能は改 めて営業部門に移管された。
 現在の「情報・物流企画室」は、営業と生 産が策定した計画を、オペレーション部門と して遂行する役割に特化している。
需給調整 からは一歩離れた立場に置かれ、海外工場か ら物流拠点に送り込まれる製品の在庫水準な どを左右できる権限は持っていない。
 
錬烹疋如璽燭隼涯紊隆靄楫戚鵑脇鵝三貉 年までの三年間となっている。
この契約を前 向きなかたちで更新するためにも、目に見え る成果を残したいところだ。
しかし現在、タ イ工場では生産活動を大車輪で展開している。
在庫水準の適正化より、当面は生産の遅れを 取り戻すことを優先している。
この状態で3 PLへの支払いを変動費化すれば、一時的に コストが増加してしまう恐れすらある。
 幸いSCMセンタ時代に整備した物流KP Iや管理プロセスは、今も社内に引き継がれ ている。
こうしたツールなどを有効活用して コスト削減の効果を可視化すると同時に、変 動費化など管理の高度化にも答えを出してい くことが関係者に求められている。
(フリージャーナリスト・岡山宏之) も半日から一日短縮できた。
 当面の課題は、山九への支払いを変動費化 することだ。
OKIデータは現在、山九の首 都圏DCの二階で七区画、計一万平方メート ル弱を専用スペースとして使っている。
現状 では七区画分の利用料金と人件費などを合算 して、物量の波動とは無関係に固定料金に近 いかたちで支払いが発生している。
 これを台数ベースなどに改め、物量の繁閑 に応じた支払いにしていくことをOKIデー タは望んでいる。
「すでに山九さんとも基本 的には合意済みだ。
できれば今年度中に変動 費化したい」と高松部長は期待している。
組織改正でSCM部門を解散  今回、国内の物流改革をほぼ計画通りに進 められた理由の一つとして、社内に物流ノウ ハウの蓄積があったことが挙げられる。
OK Iデータは〇九年一〇月に、同社向けの物流 管理を担当していたOKIロジスティクスの 社員約一〇人をロジスティクス部に取り込ん でいる。
高松部長もその一人だ。
 「グループ企業とはいえ外部に物流管理を委 託したままでは、改革は進められなかったと 思う」と冨士田担当課長は明かす。
 同様のことを3PLパートナーも感じてい る。
山九の3PL部門で首都圏エリア首都圏 DC支店の物流グループを率い、OKIデー タの現場管理も統括する立場にある有地貴史 グループマネージャーは、こう指摘する。
ラックなどは旧施設から流用 ハンディ端末でピッキング 自動化機器はほとんど未使用 必要に応じて梱包作業を実施 約半年かけて東扇島(川崎市)の山九の拠点(首都圏DC)に業務を移管

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