ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2012年9号
物流指標を読む
第45回 “ゴトコン” 積載上限の緩和は可能か 鉄道貨物協会「12フィートコンテナの増トンの可能性と課題の検討」

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

  物流指標を読む 第1 回 SEPTEMBER 2012  98 “ゴトコン” 積載上限の緩和は可能か 第45 ●12フィートコンテナの積載量は最大5トン ●荷主は効率性の観点から上限緩和を要望 さとう のぶひろ 1964年 ●安全面を重視するJR貨物は慎重姿勢 生まれ。
早稲田大学大学院修 了。
89年に日通総合研究所 入社。
現在、経済研究部担当 部長。
「経済と貨物輸送量の見 通し」、「日通総研短観」など を担当。
貨物輸送の将来展望 に関する著書、講演多数。
多少の運賃上昇は許容  
複匆瀛が保有しているコンテナのうち最も多 いものが十二フィートコンテナ、通称?ゴトコン? と呼ばれているタイプである。
ゴトコンと呼ばれ ているのは、言うまでもなく、最大積載量が五ト ンだからだ。
JR貨物では、貨物運送約款におい て十二フィートコンテナにおける最大積載量を五ト ンと定めている(注1)。
 以前は十二フィートコンテナに五トン超の重量の 貨物を積載するケースもあったそうで、JR貨物 は事あるごとに、最大積載量五トンの遵守を要請 してきた。
さらに、昨年、貨物列車の走行の安全 性を確保する目的もあって、今まで以上に強く要 請したと聞いている。
 
複匆瀛の十二フィートコンテナの最大積載量 は、そもそもなぜ五トンなのか。
諸説があるよう だが、鉄道貨物協会の「平成二三年度本部委員 会報告書」(平成二四年五月)に掲載されている 「十二フィートコンテナの増トンの可能性と課題の 検討」によると、「十二フィートコンテナにおける 最大積載量が五トンと定められたのは、昭和四〇 年代に遡る。
国鉄がコンテナを開発するに当たり、 統計等を分析した結果、当時の商慣習においてロ ットの主流であった三〜五トンがベストと判断した。
そこで、当初、三トン積みで試験を行ったが、効 率が悪いため五トン積みとすることにしたと言わ れている。
また、当時、コンテナ四個積みで運行 するため、ワム型貨車の積載量(一五トン)など も参考にされたとも言われている」とのことだ。
 ところで、同報告書によると、重量物を出荷 する一部の荷主企業等からは、輸送効率の向上な どのため、十二フィートコンテナの積載重量規制 の緩和(すなわち、積載重量を五トン超とするこ と=増トン)を求める声も聞かれるという。
 利用運送事業者、コンテナ供給事業者、荷主 企業に対するヒアリング調査結果をみると、次の ような意見が挙げられている。
●冷蔵コンテナは、主に野菜類が積載されており、 作柄により若干の誤差があることから、積載ト ン数の増加のニーズは非常に強い。
●ドライアイスメーカーより、ドライアイスは輸送 中に気化して重量が落ちるため、ドライアイス 一トン入りのフレコンバッグを六袋積載したいと いう要請があった。
●積載量の上限が五トンでは、パレット七枚分し か積めない。
そこで、パレット一枚分のスペー スには、バラで手積みしており、積卸時間がか かる上、荷物事故も起きやすい。
もう一パレッ ト分積めると、上記の問題点が解消できる。
●コンテナ一個当たりの積載効率が向上すること で、積込作業場の生産性向上と輸送品質の向上 が見込まれる。
現在、一個当たりの積載量が五 トンのため、貨物によっては積載数を調整する 必要がある。
その結果、単位当たりの物流コス トが増加するほか、空きスペースにエアバッグな どの荷ズレ対策が必要であり、現場での積込作 業時間の増加、積込作業場の生産性の低下、輸 送品質の悪化などのデメリットが発生する。
●環境問題への対応もあって、大型トラック一台 分の貨物を十二フィートコンテナ二個に振り分け てきた。
しかし、トラックの最大積載量が増加 鉄道貨物協会「12フィートコンテナの増トンの可能性と課題の検討」 99  SEPTEMBER 2012 ば容認できる。
●積載量を五トンから六トンに引き上げた場合、運 賃を単純比例で一・二倍(=五分の六倍)にす るのではなく、逓減するような方法を考えるべ きである。
たとえば、五・五トンまでは五トン と同一とし、それ以上の場合は多めに運賃をい ただくといった方法が考えられる。
 以上のように、運賃が上昇したとしても(その 上昇率次第ではあるが)、積載量が増加するのであ れば是非利用したいという意見が散見される。
た とえば、現在、積載重量規制の関係で一パレット の分の空間が生じている荷主企業などは、養生や 積替え等の手間やコストを勘案するならば、運賃 が上昇しても十分にメリットがあると考えている。
物理的には五トン超でも積載可能  さて、実際のところ、十二フィートコンテナに 五トン超の貨物を積載することは可能なのだろう か。
報告書に従い、法律や約款など制度上の制約 や物理的な制約について表にまとめてみた。
 総括すると、物理的には五トン超の貨物を十二 フィートコンテナに積載することは可能なようだ。
標準的な十二フィートコンテナの自重は一・八トン 程度で、これに五トンの貨物を積載した場合の総 重量は六・八トンとなる。
貨車の積載能力、フォ ークリフトの能力、コンテナ専用車量(単車)の 最大積載量については六・八トンを上回っており、 この結果、物理的には五トン超の貨物を十二フィ ートコンテナに積載することは可能である。
 しかし冒頭で述べたとおり、約款上、JR貨物 は十二フィートコンテナに五トン超の貨物を積載す ることができない。
JR貨物が十二フィートコン テナに五トン超の貨物を積載するためには、約款 を変更する必要があり、そのためには、国土交通 省令「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」 の第十章・第一節における「車両の積載制限等」 の条文に従い、十二フィートコンテナに五トン超の 貨物を積載した場合における運転の安全性が立証 されることが必要条件となる。
 今のところJR貨物は十二フィートコンテナの増 トンに対しては慎重な姿勢を崩していないようだ。
関越道における高速バスの事故以降、改めて安全 規制強化の必要性が求められるようになっている なかで、JR貨物としても安全規制の緩和には二 の足を踏まざるを得ないであろう。
 しかし、他輸送モードとの競争を考えると、増 トンに対する荷主企業等のニーズは無視できまい。
約款に十二フィートコンテナの最大積載量が五トン と定められてからすでに約四〇年が経過した。
そ の間、輸送技術等は格段に向上しており、素人目 には、増トンは物理的に十分に可能であるように 見える。
JR貨物が約款の変更を行うかどうかに ついては、筆者がとやかく申し上げる話ではない。
ただし、仮に増トンが実現され、かつ五トン超分の 貨物に対する付加的な運賃を収受できるのであれ ば、JR貨物の収入の増加に寄与する可能性もあ るのではないだろうか。
する一方、コンテナの積載量は増加しないため、 近年、コンテナへの振り分けがしにくくなって いる。
出荷管理の面からも、輸送コストの面か らも積載量の増加を望む。
 さて、増トンを求める荷主企業のなかには、「運 賃は現状のままで」というところもある。
その一 方で、特筆すべきことは、「運賃が多少高くなっ ても、増トンするメリットは十分にある」という 意見もみられることだ。
●安全面や品質が担保されるのであれば、多少単 価が上がっても許容できる。
●運賃水準が積載量の増加率と同率で上昇したの では意味がない。
ただし数%程度の上昇であれ (注1)JR貨物「貨物運送約款」の第三十四条の3項に、「コ ンテナに積み込む運送品の重量は、別冊「貨物表」に定める最 大積載量等を超えないものとします」とあり、「貨物表」に定め る十二フィートコンテナの最大積載重量は四・八トンないし五・ 〇トンとなっている。
(注2)国土交通省令「鉄道に関する技術上の基準を定める省 令」の第十章(運転)・第一節(積載制限等)・第九十二条(車 両の積載制限等) コンテナ供給事業者における制約 線区別の積載能力 貨車の積載能力 荷役機器の能力 法律上の制約 車両・免許等に関する制約 法律・社内 約款等上 の制約JR貨物 「貨物運送約款」 コンテナの強度基準はコンテナの種別により異なるが、強 度試験をクリアするため、一般にアナウンスしている積載量 以上の量の貨物を積載できるような強度に製作している。
集配車両の使用に関して、いわゆる道路三法に規制さ れる。
単車の場合、総重量20トンまでの車両はあらゆる 道路を自由走行できる。
JR貨物保有の12フィートコンテナ用フォークリフトの最大 荷役可能荷重は8トン(荷重中心が1,250mmである場 合の最大荷重)となっている。
従来の主力であったコキ50000形式(荷重:37.0トン) は徐々に減少しており、より積載能力の高いコキ100系 (荷重:40.5トンが中心)が増加している。
JR貨物保有機関車のけん引能力は1,300トンとされてい るが、電力、線路・橋梁の強度、勾配、トンネルの高さ、 待避線等の関係により線区によって積載能力が異なる。
12フィートコンテナにおける最大積載量を5トンと定めて いる。
「車両には、当該車両の最大積載量を超えて物を積載し 国土交通省令 てはならない」との規定がある。
(注2) 12 フィートコンテナの増トンにかかる制約の整理 鉄道事業者における制約利用運送事業者に おける制約 車両総重量25トンの単車における貨物の最大積載量 は約15.6トン(コンテナ1個当たり7.8トン)で、この重 量を超える場合、単車は利用できず、トレーラの利用と なる。
単車をトレーラに変更した場合、ドライバーは大型 の牽引免許を保有していなければならない。

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