ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2012年10号
特集
第4部 新ステージの投資戦略

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OCTOBER 2012  30  国内最大手がいよいよ動き出した。
これま で開発実績のなかったGLプロパティーズは 今年に入り、立て続けに二つの物流施設開発 に着手している。
年内にはさらに二件の開発 もスタートする予定だ。
計四つの物流施設は いずれも大型マルチテナントで、その合計延 床面積は四〇万?におよぶ。
帖佐義之常務は 「水面下ではさらに別のプロジェクトも複数進 行している。
遠からず、いくつかの案件は発 表できるだろう」と明かす。
 
韮魅廛蹈僖謄ーズはシンガポール政府投 資公社(GIC)傘下で、シンガポール証券 取引所に上場するグローバル・ロジスティッ ク・プロパティーズ(GLP)の日本法人だ。
二〇〇九年にプロロジスが保有する日本の物 流施設の大半を引き継ぐかたちで誕生してい る。
その経緯から国内での資産運用規模は 発足当初から首位の座にあったが、取り決め により二年の間は新規開発に着手することが できなかった。
その期限が昨年初頭に切れた ことを受けて、 開発用地の取 得を開始。
今 年に入りプロ ジェクトが顕 在化しはじめ た格好だ。
 開発第一号 案件となった のは今年四月 に着工した「G LP三郷?」。
延床面積九万四〇〇〇?のマルチテナント型 施設だ。
続く六月には岡山県総社市で「GL P総社」を着工。
延床面積七万九〇〇〇?の マルチテナント型で、既に三九%の面積が成 約している。
 今秋からは三井不動産と共同で「市川塩浜 プロジェクト(仮称)」を進める予定だ。
五 万三〇〇〇?の敷地に、延床面積十二万一 〇〇〇?のマルチテナント型物流施設を建て る。
GLプロパティーズの持つ物流施設の開 発・運営ノウハウと、三井不動産のブランド 力を融合することで、より価値の高い物流施 設をマーケットに供給することが狙いだ。
 さらに十一月には「GLP厚木」の開発を スタートする。
「神奈川県内陸工業団地」に取 得した開発用地に、一〇万九〇〇〇?のマル チテナント型物流施設を建設する。
既に大手 物流企業との間で約三万?(全体の三五%) の賃貸借契約を交わしている。
 帖佐常務は「今後もマルチテナント型、BT S型ともに積極的に開発を手がけていく。
土 地の価格は上昇局面にあるが、我々にはビジ ネスを有利に進めるだけの資金力も情報力も 備わっている」と語る。
 開発投資のフレームワークも整っている。
G LPは昨年九月、カナダの公的年金運用機関 であるカナダ・ペンション・プラン・インベ ストメント・ボード(CPPIB)と合弁で 「ジャパン・ディベロップメント・ファンド」を 設立した。
日本の先進的な物流施設の開発・ 運用を目的としており、三年をメドにそれぞ れが二億五〇〇〇万米ドル、計五億米ドル (約三九〇億円)を投資する。
LTV(負債 比率)は五〇%を目標としている。
 同ファンドは長期投資を前提とするオープ ンエンド型で、先記した「GLP三郷?」「G LP総社」「GLP厚木」も組み込まれてい る。
今後の開発案件も、同ファンドを通すこ とが軸になると見られる。
 開発のみならず、大型のアクイジションも 実現している。
GLPは昨年末、中国政府系 の中国投資(CIC)と折半投資して立ち上 げたジョイントベンチャーを通じ、日本の一 五の物流施設をラサール インベストメント マ ネージメントから取得した。
取得価格は総額 で一二二六億円。
一五施設の総延床面積は 七七万?で、その九〇%が東京、大阪など大 都市圏に位置する。
取得時の稼働率は九八・ 三%、リース契約の平均残存期間は五・六年。
 この取得によってGLプロパティーズの国 内における物流施設は八四棟、総延床面積三 六〇万?、資産規模約六六〇〇億円にまで 膨らんだ。
「事業基盤がより強固になったこ とで、より充実した顧客サービスを提供でき る」(帖佐常務)という。
 
韮味个了餠眥潅のオプションは豊富だが、 なかでもJリート市場への上場が絶えず囁か れている。
物流不動産業界には早ければ年内 にも上場し、過去最高水準となる一〇〇〇〜 一五〇〇億円規模の資金を市場から調達する のではとの見方もある。
帖佐常務は「具体的 な時期や数字は一切公表していないが、上場 の可能性自体は否定しない」と語る。
  (石鍋 圭) GLプロパティーズ ──動き出した国内最大手 来年2月完成予定の「GLP総社」 新ステージの投資戦略 新ステージの投資戦略 31  OCTOBER 2012  「日本市場で毎年四〇〇〜五〇〇億円をコ ンスタントに投資し、四〇〜五〇万?のス ペースを継続的に供給していく。
首都圏や近 畿圏ではマルチテナント型の大型施設を、そ の他の地方エリアではBTS型を中心に開発 を進めていく。
一方で?非戦略?と判断した 既存施設は売却し、資産の入れ替えも行う」 とプロロジスの山田御酒社長は言う。
 この一年はまさに開発ラッシュだ。
まず昨 年五月、宮城県でみやぎ生協の専用施設「プ ロロジスパーク富谷?」(以降、物件名は「プ ロロジスパーク」を省略)が竣工した。
さら に七月には埼玉県に「川島」が完成。
延床面 積約一六万六〇〇〇?のマルチテナント型施 設で、日立物流コラボネクストなどが入居し ている。
稼働率は現在約九五%にまで上がっ ている。
 今年一月にはDNPロジスティクスの専用 施設「高槻」が完成。
DNPロジは従来の二 カ所の拠点を同物流施設に集約した格好だ。
続く二月にはパナソニックロジスティクスの専 用施設「鳥栖4」、五月には「大阪4」が誕 生している。
「大阪4」は敷地面積約五万四 〇〇〇?、延床面積約一二万七〇〇〇?のマ ルチテナント型施設で、ソフトバンク・フレー ムワークスが入居している。
 七月には日立物流の専用センター「鳥栖2」 が完成。
日立物流の九州メディカル物流セン ターとしての機能を持ち、ここで久光製薬や 沢井製薬の物流を受託している。
八月にはマ ルチテナント型の「座間2」が竣工。
ファッ ション通販のマガシーク、ローソン、ハマキョ ウレックスの三社の入居が決定している。
稼 働率は既に六〇%を達成している。
隣接する 「座間1」と一体的に開発されており、合計 の延床面積は二五万五〇〇〇?に及ぶ。
 今後完成する開発案件も控えている。
今年 五月に着工した「習志野4」はファッション 通販大手のスタートトゥデイの専用施設だ。
完 成予定は来年八月。
延床面積一〇万八五〇〇 ?を誇り、各階にトラックが乗り入れられる ランプウェイを備えるなど、仕様は完全にマ ルチテナント型だ。
プロロジスも当初は複数テ ナントの入居を前提としていたが、スタート 社の強い要望により一社専用となった。
 今年十一月には楽天専用の「川西」の開発 に着手する。
延床面積は約七万八〇〇〇?で、 完成予定は来年十一月。
 同じく今年十一月に工具通販のMonot aRO専用施設「尼崎3」を手がける。
竣工 予定は来年九月。
さらに来春には「川島2」 の開発をスタートする。
延床面積約四万五〇 〇〇?のマル チテナント型 で、二〇一四 年春の完成を 目指す。
昨年 七月に完成し、 既にフル稼働 に近い「川 島」と隣接し た土地に建設 されることか ら、「川島2」 への引き合いも強いものになりそうだ。
 積極的な展開を見せるプロロジスだが、そ れ以前の環境は厳しかった。
〇八年に発生し たリーマンショックの影響で深刻な資金難に 陥ると、米国本社は負債を削減するため新規 開発を停止し、グローバルレベルでの資産売 却に踏み切った。
日本も例外ではなく、それ まで市場のパイオニアとして築いてきた大半 の物流施設を、シンガポール政府系のGIC に売却することを余儀なくされた。
 負債の削減が進むと、株式市場、金融市場 からの信用が徐々に戻ってきた。
さらに昨年 六月、物流不動産でプロロジスに次ぐ世界二 位のAMBプロパティコーポレーションとの経 営統合を果たしたことで、成長路線への回帰 は決定的になった。
財務基盤は強化され、新 規開発にも本腰を入れ始めた。
 昨年はグローバル全体で約一五億ドルを新 規開発に投資したと見られるが、半分の七億 五〇〇〇万ドルはアジアに投下されている。
そ のほとんどが、日本での開発に充当されてい る。
また将来はグローバルで年間二五億ドル の新規開発を手がける方針を固めている。
ア ジアには全体の三五%にあたる八億七五〇〇 万ドルを投資する予定だが、そこでも日本で の開発が中心になるという。
 山田社長は「統合によって財務基盤がより 強固になったことで、資金調達には様々なオ プションがある。
現在、日本ファンドの組成 に向けて準備を進めているほか、Jリート市 場への上場も一つの可能性としてあり得る」 と言う。
           (石鍋 圭) プロロジス ──年間400〜500億円ペースで投資 「プロロジスパーク大阪4」には多くの引き合いが OCTOBER 2012  32  ラサール インベストメント マネージメント (以下「LIM」)は昨年末、二〇〇四年に組 成した「ジャパン・ロジスティクス・ファン ド?」に組み込まれている物件のうち、二物 件を除く一五物件をGLPおよびCIC(中 国投資)に売却する契約を締結し、今年二月 に決済が完了した。
売却価格は一二二六億円。
これは二〇一一年における国内最大の不動産 取引だ。
 
味稗佑涼翕莵雄CEOは「当初の投資戦 略に沿って売却を進めた。
投資家の期待に応 えられるリターンを実現することができた」 と振り返る。
 
味稗佑論こ最大規模の不動産サービスグ ループであるジョーンズ ラング ラサール グ ループ傘下の不動産投資顧問会社で、世界規 模で私募、公募の不動産投資活動をしている。
主要顧客は世界の公的年金基金や企業年金 基金、政府関連、個人投資家などで、総運用 資産残高は約四七〇億ドル(一二年三月末現 在)にのぼる。
本社をシカゴに置き、日本法 人は〇一年に設立している。
 
味稗佑療蟷饌仂櫃魯哀蹇璽丱襪任魯フィ ス、商業施設、住宅がメインで、物流施設 への投資は二五%程度に留まる。
これに対し、 日本での活動では物流施設への投資比率が五 〇%を超えている。
「ジャパン・ロジスティク ス・ファンド?」に続いて〇七年には「ファ ンド?」を組成し、現在も運用している。
他 にも複数の私募ファンドを抱えており、「ファ ンド?」の物件を売却した現在でも、国内で 合計一五〇〇〜一六〇〇億円規模の物流施 設を運用していると見られる。
さらに水面下 では、「ファンド?」の組成も準備している 模様だ。
日本で物流不動産に注力する理由を、 中嶋CEOはこう説明する。
 「日本では投資対象となるような先進的な 物流施設が圧倒的に不足していて、今でも全 体の倉庫面積の二〜三%に過ぎない。
他のア セットクラスに比べて、拡大余地が非常に大 きい。
我々はここに魅力を感じて、物流施設 への投資を重ねてきた。
この方針は今後も変 わらない。
昨年末に大きなポートフォリオを 売却したが、引き続き日本の物流施設には積 極的に投資していく。
時期などは定めないが、 いつでも一〇〇〇〜一五〇〇億円程度の資 金を投資する準備がある」  この言葉通り、LIMの投資活動は活発 だ。
この一年だけを振り返っても、昨年九月 に着工したマルチテナント型物流施設「ロジ ポート北柏」が今年一〇月に竣工する予定の ほか、今年五月にはBTS型の「厚木物流セ ンター」の開発にも着手している。
これら新 規開発案件に加えて、複数のアクイジション (既存物件の取得)も実現している。
 さらに、今年七月には「ロジポート相模原」 を着工。
今年から物流不動産市場に新規参入 した三菱地所との共同開発によるもので、敷 地面積九万四〇〇〇?、延床面積二一万? を誇る、日本最大級のマルチテナント型物流 施設だ。
来年八月の竣工を目指している。
 共同開発はLIM側から三菱地所に提案し た。
豊富な開発実績を持つLIMが他社と組 む理由はどこにあるのか。
中嶋CEOは言う。
 「今まで日本ではパートナーとなる企業が限 られていたので自らが開発主体となっていた が、これはLIMのグローバル活動の中では 例外的な動きだ。
他のマーケットでは有力ディ ベロッパーと組み、LIMは本来の強みであ る?マネー・マネージメント?に集中してい る。
今回、日本を代表するディベロッパーの 三菱地所が参入するということで、ぜひ組み たいと共同開発を提案した。
競合が増えると いう見方もあるが、LIMとしては有力なプ レーヤーが増えることは、物流不動産市場の 透明性の向上にも繋がるので大歓迎。
五年後 には、日本でもディベロッパーと組むスキーム がメインになっている可能性もある」  ロジポート相模原は類を見ない広大なス ペース供給のため、リーシングを懸念する声 もある。
しかし、着工の段階で既に大手3P L企業との間で二万三五〇〇?(全体の約一 三%)の賃貸契約の締結を予定している。
拠 点集約やBCP(事業継続計画)を目的とし た引き合いも多数あるという。
通常、マルチ テナント型の大型物流施設は、竣工後一年〜 一年半をかけてリースアップを目指すが、中 嶋CEOは「それよりも早く実現できるかも しれない」と自信を覗かせる。
 (石鍋 圭) ラサール インベストメント マネージメント ──アセット大量売却後も投資継続 新ステージの投資戦略 中嶋康雄代表取締役兼 CEO 新ステージの投資戦略 33  OCTOBER 2012  大手住宅メーカーの大和ハウス工業は、物 流不動産マーケットでも主要プレーヤーとし て年々存在感を増している。
二〇〇二年に 物流施設事業「Dプロジェクト」を立ち上げ、 顧客の企業や地主に対し、物流施設の開発・ 運営などを提供するソリューションサービスを 展開。
これまでに全国で手がけてきた物件は 敷地面積で計約九〇万坪に上る。
 〇七年以降、私募ファンド「DHファンド」 を五本組成し、自社で開発した物件のうち約 一二〇〇億円を組み入れている。
さらに、投 資の出口戦略の一環として、同じく自社開発 した物流施設や商業施設などを対象とする新 たなリートの上場に向け、準備中だ。
 
張廛蹈献Дトは、物流施設を開発して顧 客に売却したり、大和ハウスが土地と建物を 所有して貸し出す形を取ったりと、多様なス キームを採用。
さらに、あらかじめ施設開発 の受託を見込んで用地を仕入れるという独自 の手法を駆使しているのが大きな特徴だ。
事 前にニーズを想定し、土地を先行して確保し ておくことで、顧客から相談があれば即座に 対応できる体制を維持する狙いだ。
 ただし、マーケットの回復、三井不動産や 三菱地所の新規参入などの影響で、用地の取 得競争は激しさを増している。
Dプロジェクト を担当する浦川竜哉・上席執行役員東京支社 建築事業部長は「土地の仕入れは熾烈になっ てきている。
生産拠点の海外移転等で今まで 出なかったエリアで広大な土地が出てきたり することはあるが、全体的には供給量が不足 しており、ここ半年ぐらい(価格上昇の)動 きが激しい」と解説する。
 そうした状況の下、同社が切り札としてい るのが、狭小地や幹線道路から離れている場 所のような、他の開発業者が手を付けづらい 土地を物流施設用地に仕上げられるだけの提 案力だ。
例えば、極端に地形が悪い場合は周 辺の土地も購入して成形し価値を高める、と いった具合だ。
 浦川氏は「一手間かけることで素早く、廉 価に土地を仕入れたり、借りたりできる。
住 宅などの建築を手掛けてきた経験から、建設 地の近隣対策や、土地の権利が複雑に絡ん でいるといった問題は苦にならない」と語り、 用地取得の独自手法を今後も発揮していく姿 勢を示す。
 資産規模は現在の一六〇〇億円程度から、 一三年度には三〇〇〇億円程度まで拡大する 見込みだ。
また、昨年十一月に公表した同社 の第三次中期経営計画は、物流施設の売上高 (受注金額ベース)を、一〇年度の五三六億 円から一三年度は五六〇億円まで高める方針 を打ち出しており、高機能施設の受注拡大な どに努める構えだ。
 
張廛蹈献Дトで開発する物件は従来、B TS型が基本だったが、事業拡大に向け、マ ルチテナント型にも本腰を入れていく方向に 修正した。
既に東京など五カ所で開発計画を 進めている。
保有資産におけるBTSとマル チテナントの割合を七対三か、八対二ぐらい にしていく構想という。
 浦川上席執行役員はこれまでマルチテナン ト型に力を注いでこなかった理由について、 「そもそも、テナントが付かないまま施設を 作って入居を待つという企業風土がなかった」 と明かす。
しかし、関東では他社が一一年以 降に開発している物件の七割程度がマルチテ ナント型で、稼働率が九〇%以上となってい る現状に接し、「我々はそうした需要を捨て てきているのではないかと感じ、マルチテナ ント型に対応していく必要があると社内で理 解してもらった」という。
 リーシング力の強化が求められるが、浦川 氏は「物流を手がけて長いので、顧客との関 係は構築できている」と集客に自信を見せる。
 同社が参画した海外の工業団地建設事業 と、日本国内の物流施設の建設・運営を連 携することも検討している。
工業団地に入っ た日系企業が日本向けに製品や部品を出荷す る際、大和ハウスの物流施設を提供すること で、顧客企業のグローバルなサプライチェーン 強化を支援する狙いだ。
成長が続くアジアへ の進出企業のニーズを着実に捉え、大和ハウ スにとっても新たな成長の一助にしたいとの 思惑がある。
浦川氏は「ベトナムやタイ、イ ンドネシアあたりが今後の課題だ」と意気込 む。
             (藤原秀行) 大和ハウス工業 ──来年度には資産規模を3000億円に 浦川竜哉・上席執行役員 東京支社建築事業部長 OCTOBER 2012  34  今年四月に物流施設事業部を設立。
物流 不動産市場への本格参入を果たした。
その第 一号案件として、アジア最大手のGLプロパ ティーズと組み、千葉県市川市で開発に着手 した。
投資額は開示していないが、延床面積 は約十二万一〇〇〇?に上るマルチテナント 型の大型施設だ。
年内にもさらに複数の案件 を公表する見通しで、毎年四〜五件のペース で開発を推進していきたい意向だ。
 三井不動産では現在、二〇一二〜一七年度 を対象とする中長期経営計画「イノベーショ ン二〇一七」に合わせて、開発規模や事業予 算などを盛り込んだ物流施設の事業計画を固 めている作業中。
事業のアクセルを踏み込も うと、着々と準備を進めている。
 事業展開のメーンは需要が最も多い首都圏 だが、関西や地方圏でも柔軟に対応する構 え。
マルチテナント、BTSの両方を視野に 入れて開発を進める。
物流施設事業部の池田 孝根・事業グループ統括は「〇二年からの十 年間は市場の創生期だった。
成長期を迎えた マーケットをさらに拡大できるよう尽力した い」と意欲を燃やす。
 このタイミングで同社が市場に参入した理 由の一つは、企業の海外移転などに伴う国内 の事業所や工場跡地の有効活用、売却につい て、相談が増えていることだ。
「工業専用地 域」や「工業地域」で用途が制限されている 場合、ショッピングセンターや集合住宅、オ フィスビルなど既存の枠組みによる開発が困 難だった。
CRE(企業不動産)有効活用策 の一環として、新たに顧客に対して物流施設 開発も提案することができれば、同社にとっ て新たなビジネスチャンスが広がる、との思 惑がある。
 物流不動産マーケットにおいて現時点では 最後発組だが、池田氏ら担当者にあせりは感 じられない。
これまでに開発してきたオフィ スビルのテナント約三〇〇〇社、商業施設の テナント約二〇〇〇社という膨大な顧客リス トの存在が、その自信を裏付けている。
リス トの中には物流施設の有力テナントが多数含 まれている。
マーケットに出る前の多様な用 地情報も数多く寄せられる。
こうした既存顧 客とのパイプを活用することで、用地の取得 などで優位に立てると見ている。
 用地が払底している最激戦地の一角にまと まった土地を確保し、有力プレーヤーのGL Pと開発パートナーを組むことにも成功、ま ずは順調な滑り出しを見せた。
三井不動産は、 共同プロジェクトを通じてGLPの持つ開発 やリーシングのノウハウを学ぶことができると 大いに期待しており、第一号案件を成功させ て経験を積み、物流事業での飛躍を目指す。
 今後は、案件に応じて自己勘定での土地取 得やプロジェクトファイナンスを検討、基本 的に自社単独で開発を進めていく方針だ。
完 成した物件は、グループの三井不動産投資顧 問が組成している私募リートへの供給のほか、 自社での継続保有や外部への売却など、多様 な選択肢を想定している。
 第一号案件を公表し、専任の組織を立ち上 げたことで、さまざまな効果が生まれている。
「三井不動産も(物流施設用の)土地を買う んだなと認識され、土地の持ち込み情報が増 えている。
CRE関連以外にも、外部の仲 介会社からのものも含めると足下では相当数 の物件情報が我々のもとに寄せられている」 (池田氏)という。
 商業施設などと物流施設を組み合わせた大 規模開発も視野に入れている。
実際、埼玉県 のJR新三郷駅に隣接する貨物列車の操車場 跡地で〇七年以降進めてきた大がかりな再開 発では、ショッピングセンター「ららぽーと」 やIKEA、コストコの大型店舗、戸建て住 宅などの建設に加え、複数の物流施設も誘致 した。
そうした独自の街作りのノウハウも活 かし、今後は物流施設までまとめて自社で開 発できると意気込んでいる。
 池田氏は「総合ディベロッパーとして幅広 いメニューを用意することで、企業のニーズ にワンストップで応えることができる。
これ は先行している物流専業のディベロッパーに はない強みだ。
(物流の分野でも)三井のファ ンをたくさん増やしていきたい」とアピール する。
当面は国内の事業基盤確立が優先され るが、将来は海外展開を検討したいと考えて いる。
        (藤原秀行) 三井不動産 ──年間4〜5件を新規開発 新ステージの投資戦略 池田孝根・物流施設事業部 事業グループ統括 新ステージの投資戦略 35  OCTOBER 2012  四月、都市開発事業部の下に、専任組織 「物流開発室」を設置した。
三〜五年後を見 据えた中期的な事業計画を策定し、開発に本 腰を入れる。
同室の岩本洋介室長は「オフィ スビルのマーケットはかなり成熟しており、住 宅も今後は成熟化していく。
次のアセットク ラスとして有望なのは物流」と指摘。
「我々 は慎重なところがあるが、いったん動き出せ ば長期的視点で物事を考える会社だ。
それが 我々の強みでもある」と、事業拡大へ決意を 示す。
 物流不動産マーケットの拡大に伴い、二〇 〇六年ごろから事業参入の研究を続け、〇九 年に初の案件として、三井物産と協力し、東 京湾に面する東京・辰巳で延床面積約三万一 五〇〇?の物流施設の開発計画をスタート。
今年二月に完成した。
ナカノ商会のマスター リースで稼働し、幸先良いスタートを切った。
 第二弾は、神奈川県相模原市の工場跡地 に白羽の矢を立てた。
ラサールインベストメン トマネージメントと連携し、延床面積が東京 ドーム四個半に相当する約二一万?に上る、 国内最大級のマルチテナント型物流施設「ロ ジポート相模原」を開発する計画に着手した。
事業費は開示していないが、総額で二〇〇億 円超とみられている。
一三年八月の完成を見 込む。
 本格参入に際し、三井物産やラサールを パートナーに選んだのは、これまでにオフィ スビル開発を共同で実施するなど、不動産分 野で縁があったためだ。
岩本室長は「賃料を どう見るかといった点はやはり彼らに一日の 長がある。
非常に勉強になった」と解説。
ノ ウハウを蓄積して自社単独の開発に乗り出す ことにも意欲的だ。
BTS、マルチテナント をバランス良く開発していく方針という。
メ インのターゲットは首都圏だが、全国の支店 網を通じて情報を収集し、優良な案件があれ ば地方でも開発に乗り出す構えだ。
 オフィスビルや商業施設の開発を通じ、国 内の有力企業と多数結びついている。
営業 担当者は常日頃から各社に、入居している建 物に不具合がないかどうか、といった点に加 え、不動産に関するニーズも細かく聞いてい る。
こうして地道な努力を通じて培ってきた 顧客との強いつながり、信頼感を武器にしよ うと注力している。
 八月にはセイノーホールディングスと、CR E戦略の策定・推進に向けたパートナーシッ プ契約を結んだ。
三菱UFJモルガン・スタ ンレー証券なども参加し、四月に立ち上げら れたセイノーの「不動産開発部」と協力して、 保有不動産情報のデータベース化、遊休地の 有効活用などを進めていく構想だ。
岩本氏率 いる物流開発室もタッチし、戦略を練り上げ ている最中だ。
 物流企業は倉庫や配送センターなど豊富な アセットを抱えながら、必ずしも自社だけで は有効利用できていないケースが多く見受け られる。
そうした企業のCRE戦略を支援 し、再開発などを請け負うことを目指してい る。
セイノーとのパートナーシップは、その 一環だ。
 新たに物流施設の開発に本腰を入れている のは、顧客に提案できる開発メニューを広げ ることで、物流会社のCREに深く関与し、 ビジネスチャンスを捉えたい、との思惑もあ る。
岩本氏は「例えば一層、二層しかない 旧型のトラックターミナルを多層階に建て替 え、価値を最大限にするということもあり得 る。
物流施設などの集約も、どういった方針 に基づいて進めていくかを考える上でお手伝 いができる」と解説する。
 セイノーのように、まさに二人三脚のよ うな形で全面的にバックアップしていく体制 を取ることもあれば、個別のアセットごとに、 細かく相談に乗るケースもあるという。
企業 側の要望を踏まえ、臨機応変に対応していく 方針だ。
 グループでアウトレットモールを全国展開 していることなどもあり、商業施設などと物 流施設を組み合わせた独自の大規模開発も視 野に入っている。
開発した物流施設は、グ ループの三菱地所投資顧問が運営している私 募ファンドへの供給や、自社での保有を検討 していく。
私募リートや物流に特化した上場 リートの組成も選択肢に含まれるという。
(藤原秀行) 三菱地所 ──物流企業のCRE支援を推進 岩本洋介・物流開発室長 OCTOBER 2012  36  オリックス不動産は三月、埼玉県と愛知県 で同時期に計四件の大型物流施設開発に乗り 出す計画を発表した。
延床面積はトータルで 約一八万?。
いずれもマルチテナントを想定 した仕様とする。
完成は二〇一三年四〜五月 を予定しており、同社の斉藤裕久物流投資事 業部長は「引き合いは本当に強い」と手応え を感じている。
 オリックスグループは〇一年に物流不動産 事業へ参入、日本勢の中では先駆的に取り組 んできた。
リーマンショックで主要プレーヤー が投資に急ブレーキを掛けた時期も、需要は 堅調との判断から開発を継続。
実績は三二件、 投資額で約一九〇〇億円に上る。
 施設開発はかつてBTS型が基本だった が、現在はマルチテナント型が主流だ。
斉藤 部長は「顧客が求めるボリュームゾーンは三 五〇〇〜五〇〇〇坪あたり。
施設内をその程 度の坪数で分割可能にしておいたほうが、物 件としての競争力は出る」と、マルチテナン ト型に力を注ぐ狙いを解説する。
 斉藤氏の言葉通り、新しい大型物流施設で は定番とも言える各階へのランプウェイ構造 を必ずしもすべての物件で採用せず、複数の テナントが分割して入居しやすいレイアウト にするとともに、建設コストを抑えて魅力あ る賃料水準を実現するなど、画一的な設計を 避け、案件ごとに仕様を柔軟に変更している。
 リーマンショック前は、ほぼすべての物件 で、竣工時にはテナントが確定していた。
し かし、リーマンショック以降、施設を先行投 資し、立ち上げ当初はテナントが付いていな いことが普通になっているという。
リーシン グが運営の成否の鍵を握るため、仲介会社と 緊密に連携はするが、任せっきりにはせず自 社が主体性を持って集客に努めている。
 オリックス不動産の大きな強みが、国内の約 五〇〇の3PL事業者とコネクションを持っ ている点だ。
さらに、そのうちの約二五〇社 とは緊密な関係を維持しているという。
 物流投資事業部の担当者が顧客企業と普 段からコミュニケーションを取り、物流施設の 需要を細かく把握して、要望に添ったプラン を提案するという王道の取り組みを徹底。
努 力が奏功し、リーマンショック後の二年半程度 の間に、手掛けた九物件で三〇万?超のリー シングに成功した。
 昨年十一月には、埼玉県坂戸市の物流セン ターを取得。
元々は工場だったものを倉庫に 改装した異色の物件だが、建物のスペックや立 地の良さなどに着目し、投資を決めた。
リー シング力も発揮し、大手の物流企業から長期 の契約を獲得、優良アセットへと生まれ変わ らせることができた。
 斉藤部長は「いい物件は当然オークション となるが、そこに入っていくのではなく、数 は多くはないだろうが、ニッチなところを発 想の転換で手掛けることは今後も続ける」と、 既存倉庫への投資にも関心を示している。
 用地に関しては、首都圏の湾岸地域など人 気のある場所では、リーマンショック前の水 準に近づくようなカーブで地価が上がってい るという。
顧客からの情報を基に、好案件を 迅速に仕入れていくという基本を徹底、なる べく相対取引に持ち込むことで、土地の高値 づかみを回避しようと努めている。
 昨年にはオリックス不動産投資顧問と三井 物産リアルティ・マネジメントが共同で、物流 施設に特化した私募ファンドを組成、運用を 開始した。
今後も私募ファンドを活用し、国 内、海外双方のマネーを集めたい考えだ。
 さらに、従来は自己資金で物件開発を進め、 ファンドやリートなどに売却してきたが、今 後はジョイントベンチャーを組み、用地仕入 れの段階で投資家の資金をより活用できるス キームの構築を目指す。
「投資家と議論しな がら枠組みを作るため、物件開発のペースが スローダウンする可能性はあるが、開発自体 は継続して進めていく」(斉藤氏)という。
 物流不動産業界では、三井不動産、三菱地 所の本格参入がトピックだ。
斉藤部長は「土 地購入のパワーが強い。
キャッシュをお持ち だということに加え、情報力、アクションの 速さはたいしたものだ。
両社の参入で、物流 不動産の認知度が高まるのは業界にとっても プラス」と高く評価。
同時に、「競争は激しく なるだろうが、物流で負けるとは思っていな い」と、先行して取り組んできたプレーヤー としての自信ものぞかせている。
(藤原秀行) オリックス不動産 ──柔軟設計のマルチ型施設を展開 新ステージの投資戦略 斉藤裕久物流投資事業 部長 新ステージの投資戦略 37  OCTOBER 2012  「ランドポート」のブランドなどで現在、首 都圏一六カ所・延べ約二〇万坪の施設を展開 している。
二〇〇八年二月から〇九年六月に かけて、大規模マルチテナント型施設を五棟 竣工。
二〇一〇年一〇月には、同社が業界に 先駆けて立ち上げた私募リートに一〇〇億円 分の物流施設を組み入れた。
 しかし、大型物件の新規開発や取得はこの ところ鳴りを潜めている。
同社の山田譲二資 産投資部長は「一万坪程度の?シングルテナ ント型?を中心に複数の新規開発案件を検討 中だ。
大型マルチテナントにも状況に応じて 対応するが、当面は外資系ディベロッパーの 大型施設よりも一回り小さな規模で、しっか りテナントを確保して安定した収益を上げて いきたい」と言う。
 二〇一一年十一月、野村不動産グループ傘 下の資産運用会社三社が合併し、国内最大級 の不動産投資運用会社「野村不動産投資顧 問」として再スタートを切った。
 リートを運用する野村不動産投信を存続会 社として、私募ファンドの野村不動産インベ スト・マネジメント、機関投資家向けの投資 一任業務を手がける旧・野村不動産投資顧問 を吸収合併し、社名を変更した。
これまでは 取得機能、運用機能などが三社にそれぞれ分 散していたが、統合によってノウハウを集約 し、運用力の強化を図った。
 新会社の運用資産残高は一兆円を超える。
そのうち物流資産の比重は約一割。
将来はこ れを二割から三割まで引き上げて、オフィス、 レジデンス、商業施設と並ぶラインナップの一 つに育てる計画だ。
 しかし当面、無理をするつもりはない。
「物 流用地の高騰が行き過ぎてしまった場合には、 一時的に開発を見送ることも選択肢だ。
オ フィスや住宅、商業施設など別のアセットク ラスでその分を補えばいい。
そうした調整が できるのが、多様なアセットを組み合わせた 当社のような?総合型?の強みの一つ」と山 田部長は解説する。
 物流施設の投資対象エリアは首都圏と大阪 に絞っている。
このうち首都圏の倉庫需給は 今のところタイトで、同社でも約二〇万坪の 施設がほぼ一〇〇%稼働している。
しかし、 来年は約三〇万坪が新規に市場に供給される 見通し。
これは過去一〇年間の平均供給量の およそ倍で、その影響によってしばらく需給 は緩むと見ている。
その一方、土地価格は高 騰する傾向にあり、チャンスは必ずしも多い とは言えない。
 大阪も現状では空室率が非常に低くなって いる。
しかし、これはリーマンショック後に 新規供給が完全にストップしたことが主因で、 需要が大幅に伸びているわけではない。
それ に対して今後は沿岸部を中心に相当量の新規 供給が予定されている。
 そこで同社では比較的供給の薄い大阪の内 陸部を検討中だが、「住宅や商業施設と競合 してしまい、今のところ首都圏よりも土地取 得のハードルが高いという感触」(山田氏)だ という。
 現在は、条件の良い大型の土地を先に仕入 れて後からテナントを集めるという手法から は一歩引いて、資産規模は小さくても安定 収入を約束できる案件にターゲットを定めて いる。
それだけに有力テナントとの結びつき がカギになる。
物流施設に関しては、オフィ スや住宅などとは違って野村不動産投資顧問 のアセットマネージャーがリーシングを始めと するプロパティマネジメントまでカバーしてお り、ニーズは十分把握できている。
現在、通 販や集約ニーズを中心に「テナント需要はス トックがある」(山田氏)という。
また、同 社の物件にオフィスや店舗を構えているテナ ントが新規ブランドを立ち上げる際に、物流 の新規提案をするなど、商業部門から物流部 門へとつながる商談もある。
 土地取得に関しては「慎重に見極める」と 山田氏。
単に最初のテナントを確保するだけ でなく、契約期間終了後にテナントが入れ替 えとなる可能性も見越して、需要が厚い土 地を取得する方針だからだ。
ハードルは高い が、そのために野村不動産の法人営業部や サブリースの野村不動産アーバンネットなど グループ内企業と情報を共有し、遊休地の所 有者に対しては一体になって営業を行うなど、 グループのネットワークを生かした仕組みで攻 めていく方針だ。
       (渡邉一樹) 野村不動産投資顧問 ──中規模BTS中心に安定運用目指す 山田譲二資産投資部長  公共シィー・アール・イー(KCRE)は 現在、倉庫を又貸しするサブリース、および 倉庫オーナーとプロパティマネジメント契約を 結んで運用を任されている施設計約一四〇〇 棟を管理している。
延床面積にして約五五万 坪。
三年後をメドにこれを一〇〇万坪まで拡 大する計画だ。
 リーシング力を活かして新規開発も開始し た。
「KCRE草加物流センター」(仮称・埼 玉県草加市)と「KCRE八潮物流センター」 (仮称・埼玉県八潮市)を今年相次いで着工 した。
今後は年間三棟程度のペースで開発を 続けていく方針だ。
延床三〇〇〇坪から一万 五〇〇〇坪の中規模施設が対象だ。
一万坪を 超える施設についてはワンフロア五〇〇〇坪 程度の多層階にする。
 公共建物グループの物流不動産関連事業 会社として二〇〇九年十二月に発足。
一〇年 八月にコマーシャル・アールイー(旧・幸洋 コーポレーション)の物流不動産事業を継承 し、さらに一一年七月に神奈川県の天幸総建 と合併した。
コマーシャル・アールイーと天 幸総建はいずれも倉庫サブリースの大手。
二 社を吸収したことで、ニッチ市場ながら圧倒 的シェアを握った。
 サブリースの対象は三〇〇坪〜六〇〇坪の スペースが中心になる。
大型施設の増加によっ て、中小規模の倉庫には空きが目立っている と言われるが、今のところ同社が運用してい るスペースの稼働率は全体で九七%近くに達 しているという。
 
烹達劭鼎竜技鈎藹┥鑢海蓮嶌は延床が二 万坪を超えるような大型マルチテナントばかり に投資家の注目が集まっているが、一万坪を 超えるスペースとなるとテナントは限られる。
実際に一番ニーズがあるのは延床三〇〇〇坪 〜六〇〇〇坪クラス。
当社はそのボリューム ゾーンで勝負する」と言う。
 マルチテナント型に特徴的なランプウェイ や一度に何台もの車両を横付けできるバース も、必要としないテナントにとってはコスト 高の要因になる。
人気エリアのまとまった土 地は地価も高く、賃料に反映される。
比較的 安価な土地に、コストを抑えたスペースを用 意すればニーズはあるという読みだ。
 そのため、「この場所ならいけると判断で きれば、すぐに土地を押さえる。
テナントを 探している間に土地は逃げてしまう。
リスク はあるが、そのやり方を親会社も認めてくれ ている。
立地が良くて一定のスペックを備え ていれば、リーシングに困る心配はない」と 亀山常務は自信を持っている。
 現在建設中の二棟も完全な先行投資だ。
「草 加」は外環道三郷西ICから約三キロの草加 八潮工業団地内に立地し、地上四階建て、延 べ床面積約九一〇〇坪で、一三年四月の竣工 を予定している。
「八潮」も同じ工業団地内 にあり、アクセスは首都高三郷線ICから約 四キロ。
四階建て、延床面積約五七〇〇坪で 一三年一〇月竣工の予定だ。
 どちらも一棟貸しを目指しており、現在テ ナントを募集しているが、引き合いは十分だ という。
同社は約二〇人のリーシング部隊を 抱え、首都圏エリアの賃貸マーケットを常に 把握している。
そのネットワークが開発事業 でも武器になる。
 開発を終えてテナントの決まった物件は基 本的に外部に売却する。
亀山常務は「当社は 完全な独立系。
物流不動産ディベロッパーで 先行投資ができて、しかもリートや財閥など の色がまったくついてない会社は恐らく他に はない。
当社がリスクを負って、ノーリスク の物件を売却するのだから投資家には重宝さ れる。
実際、投資家から新規開発の要請を強 く受けている」と明かす。
 ファンドや私募リートを自ら組成すること も検討している。
「今の環境なら物件さえ用 意できれば組成自体は難しくない。
今回の二 物件をコアに、あと数件を加えればいい。
実 績を重ねることで、マルチ型だけが全てでは ないことを投資家に啓蒙していく」と亀山常 務は力説する。
 前身の一つ、コマーシャル・アールイーは リーマンショック後の一〇年五月に民事再生 手続きの申立てに至っている。
しかし、その 主因は投資アパートの販売や賃貸ショップ経 営などの失敗であって、物流不動産事業自体 は問題なく回っていたという。
そのことをK CREで証明する考えだ。
   (渡邉一樹) 公共シィー・アール・イー ──サブリースから開発に領域拡大 新ステージの投資戦略 亀山忠秀常務取締役 CSO・CIO OCTOBER 2012  38 新ステージの投資戦略 39  OCTOBER 2012  シンガポール政府系の大手不動産開発会社 メープルツリーの日本法人、メープルツリー・ インベストメンツ・ジャパン(MIJ)は今年 三月、グッドマンジャパン(旧日本レップ)か ら東京や埼玉、愛知などの七物件を計一七五 億円で購入した。
物件はすべてシンガポール 市場に上場しているリート「メープルツリー・ ロジスティクス・トラスト」(MLT)に組み 入れた。
 この取引によって、MIJがMLT向けに 運用する日本の物流不動産の資産規模は二二 物件、八〇〇億円強に達した。
これらは全て 既存の施設を購入したもので、他にMIJは 新規開発物件を三拠点、運用している。
運用 資産総額は合わせて一二〇〇億円程度に上る 模様で、今後二、三年でこれを二〇〇〇億円 規模にまで拡大する計画だ。
 同社の運用資産には首都圏のほか、京都や 広島、北海道など、地方都市の物流施設も 含まれている。
MIJのテレンス・ヘン社長 は「当社は経済規模でトップ一五位程度まで の都道府県を投資対象エリアと位置付けてい る。
他のプレーヤーはせいぜい上位七都道府 県、多くても十ぐらいまでだろう」と言う。
 サイズ的にも大規模施設ばかりでなく、一 〇〇〇〜四〇〇〇坪程度の中型物件までカ バーしている。
同社でロジスティクスチームを 率いる島津祐子アクティングゼネラルマネー ジャーは「地方ではAクラスの物件ではなく ても、Bプラスぐらいで、コスト面、設備面 で使い勝手のいい施設のほうがむしろ好まれ る」と解説する。
 地方都市であっても食品や医薬品、流通な どの生活関連の物流施設には今後も一定の需 要がある。
エリア内での在庫集約も進んでい る。
しかし、3PLや荷主が自分で地方に物 流資産を抱えるのはリスクが大きく、また賃 貸物件は限られている。
地方展開の背景に は、そうしたニーズにも前向きに応えること で、有力テナントとの結びつきを強めていく との戦略がある。
 日本の投資で培ったパイプを海外事業にも 活かしている。
日本の施設を利用するテナント に、海外の施設を仲介している。
逆のパター ンもあるという。
メープルツリーグループは 日本のみならず、アジアの主要七カ国で物流 不動産事業を展開している。
その強力なネッ トワークを活かして日本企業のアジア展開を 支援することで、需要を幅広く取り込もうと 日々汗をかいている。
 資金面ではこれまで親会社のリートを後ろ 盾としてきたが、二〇一〇年にメープルツリー が九〇%、伊藤忠商事が一〇%を出資する ファンドを組成した。
今後は私募ファンドや 新たなリートの組成を通して広く投資家の資 金を呼び込む方針だ。
 それでも長期保有で安定的な賃貸収入を得 るという基本方針は変わらない。
そのために 必要なアセット・マネジメント、プロパティ・ マネジメント、そしてリーシングまでの全ての 機能を、「日本でも自分たち自身で手掛けて いきたい」とヘン社長は言う。
 〇七年に日本市場に参入してからこれま では業務提携を結んだ伊藤忠のアドバイスを 受けて物件の購入を進めてきた。
しかし、経 験を重ねることで日本市場への理解は深まり、 ノウハウの蓄積も進んだ。
伊藤忠との協力関 係は今後も継続するが、他のディベロッパー ともオープンに付き合っていくというのが基 本スタンスだ。
 既にグッドマンから購入した七物件を始め、 伊藤忠を経由せず独自のルートで取得した物 件が過半を占めるようにもなっている。
今後 は二〇〇〇年代の中頃に組成したファンドが 運用期間を終え、物件が市場に放出されるこ とが見込まれる。
ヘン社長もそうした物件に 関心を示しており、条件の合うものを慎重に 選んで資産に組み入れていく考えだ。
 これまで同社の物件はBTS型を基本とし てきたが、マルチテナント型の開発も視野に 入っている。
ヘン社長はマルチテナント型に ついて「意図的にやらなかったわけではなく、 たまたま適当な物件がなかっただけ。
いいも のがあればやってみたい」と関心を示す。
 マルチテナント型の運用はリーシングが課 題になるが、島津ゼネラルマネージャーは「こ れまでの物流施設の購入や運営を通して既に 相当なネットワークができあがっている」と 自信をのぞかせている。
    (藤原秀行) メープルツリー・インベストメンツ・ジャパン ──地方の中規模都市までカバーする テレンス・ヘン社長 OCTOBER 2012  40  物流施設投資を手掛ける旧日本レップが世 界的な総合不動産会社グッドマングループの 完全子会社となり、二〇一一年九月末に社名 を「グッドマンジャパン」に変更して一年が経 過した。
この間、物流拠点として注目度が高 い大阪など三カ所で開発用地を取得。
国内外 から新たな投資マネーも獲得した。
 ポール・マクギャリー社長は「素晴らしい成 果を上げてきたと自負している。
物件の長期 保有や運用、管理を基本として、日本での投 資を継続していきたい」と強調。
「お客様は物 流のコスト削減やオペレーション効率化などの プレッシャーを受けている。
物流面でソリュー ションを提供し、お客様にハッピーになってい ただくのが我々のビジネスの目的だ」と力を 込める。
開発中のプロジェクトを含めて管理 資産は一九、運用総資産一一八三億円(完成 後の想定価値分を含む)に上る。
 新たに手に入れた開発用地三件は大阪府堺 市と川崎市、千葉県市川市。
マルチテナント 型の大型施設を開発する計画だ。
賃貸面積は 計約二五万?で、完成時の資産価値は五五五 億円を超えると見積もっている。
 同社長は堺など用地取得競争の激しい三カ 所で、入札ではなく相対で用地を獲得したこ とに関連し、「物流専業ディベロッパーとして のノウハウ、知識がアドバンテージだ。
お客様 と非常に緊密かつ良好な関係を構築している のでニーズを早く理解し、迅速に動けること も優位点だ」と胸を張る。
グッドマングループ の一員というネームバリューも、顧客の信頼を 獲得する上で威力を発揮している。
 今後も最優良の物流立地のみに焦点を当て て取得を目指す。
エリアは当面、関東と関西 に主眼を置くほか、顧客の要望があれば地方 でも開発を検討する。
開発は自社単独を基本 とするが、他社とパートナーを組む可能性は 否定しない。
ただ、既存物件の購入は「あま り関心がない」(マクギャリー氏)という。
 開発の規模について、マクギャリー氏は「土 地で五〇〇〇坪、総賃貸面積で一万坪ぐらい は最低必要という感じだが、それ以下のサイズ では決してやらないというわけではない」と 解説する。
大規模施設をメーンとしつつ、顧 客のニーズを踏まえて臨機応変に対応してい くことを基本戦略に据え、マルチテナント型 とBTS型をバランス良く開発する方針だ。
 海外進出する日本企業に、グループが保有 する現地の物流施設を紹介するなど、世界で 一五〇〇社以上と取引関係を持つグッドマン グループのネットワークを生かしたビジネス展 開も進めている。
ただ、マクギャリー氏は「世 界規模のネットワークは武器でもあり、同時に リスクでもある。
日本でお客様が我々のサー ビスに満足していただけないと、グローバル に手を引かれてしまう」と気を引き締める。
 私募ファンドの「グッドマンジャパン・コア ファンド」(GJCF)が物流施設九棟と開発 用地一件をポートフォリオに組み入れており、 総資産額は四八〇億円超。
今年三月には三メ ガバンクを含む金融機関五社のシンジケート 団から、期間五年のノンリコースローン総額三 七〇億円を調達してリファイナンスを完了、資 金面の裏付けを済ませた。
また、エクイティ として、欧州の機関投資家などから計一億ド ル(約八〇億円)を確保した。
 さらに、今年に入り、中東の政府系ファン ド、アブダビ投資庁(ADIC)と新たなファ ンド「グッドマンジャパン・ディベロップメン ト・パートナーシップ」(GJDP)を組成し た。
海外の機関投資家などから資金を募って おり、当初の投資予算は十億ドル(約八〇〇 億円)超を計画。
東京、大阪の物流施設開発 案件をターゲットに据え、既に堺と川崎、市 川の開発用地をポートフォリオに入れている。
 今後、グッドマンジャパンが新規開発する 案件は、基本的にGJDPへ供給する予定だ。
こうした案件はGJDPが長期保有するほか、 物件完成後にGJCFへ売却する可能性もあ る。
二つのファンドが、対象を新規開発案件 と、完成物件に棲み分けることで、多様な投 資家の要望に応える体制を確立した。
国内外 からの投資拡大へ着々と布石を打っている。
 マクギャリー氏は「日本での投資には下限 も上限も設けず、市場動向に応じたお客様の ニーズを重視する。
我々は長期的に日本でビ ジネスをやろうと決めている」と、腰を据え て物流不動産投資に取り組む姿勢をアピール している。
          (藤原秀行) グッドマンジャパン ──アブダビ投資庁とファンドを組成 新ステージの投資戦略 ポール・マクギャリー社長 新ステージの投資戦略 41  OCTOBER 2012  レッドウッド・グループ・ジャパンは近く、 千葉県市川市に国内初の物流不動産開発案 件「Redwood市川原木」(仮称)を着 工する。
竣工予定は二〇一三年九月。
敷地面 積は一万六四〇〇?で、延床面積が三万二七 三九?。
 建物は四階建てで一階に三〇台のトラック バースを設ける。
太陽光発電システムやLE D照明の採用など、環境も重視する。
計画段 階ではマルチテナント型を想定していたが、着 工前に3PL事業者による一棟借りが決まっ た。
 立地は、京葉道路の市川ICから約一キロ、 二〇一五年完成予定の東関東自動車道(東関 道)と東京外環自動車道の市川ジャンクショ ンに隣接し、京葉線の「二俣新町」駅から徒 歩圏内にある。
交通面だけでなく、労働力の 確保にも適している。
また、成田空港と羽田 空港の中間地点に位置し、東京税関出張所も 至近という好条件で、航空貨物の取扱にも向 いている。
 清水建設出身でプロロジス、AMBブラッ クパイン在日代表等を経て、現在はレッドウッ ドで開発の指揮をとる松波秀明マネージング・ ディレクターは「以前に関わったことのある 個人的にも思い入れのある土地で、入札では なく相対で取得することができた」と言う。
 好調な滑り出しに見えるが、それでも松波 氏は「難産だった」と振り返る。
同社設立者 で、CEOのスチュアート・ギブソン氏とプレ ジデントのチャールズ・デ・ポルテス氏はとも にプロロジス出身で、プロロジスの日本進出 時から物流不動産に関わり、その後AMBブ ラックパインの共同設立発起人・共同CEO も務めていた。
 二人とAMBとの間の競業避止義務契約が 二〇一〇年まで続いていたことから、〇六年 にシンガポールにレッドウッドを設立してから これまでは、オフィスや商業施設、住宅を対 象とした不動産投資を行ってきた。
一一年に 日本の物流不動産市場に復帰してすぐファン ドの組成を目指した。
 とはいえ、経営陣は経験豊富でも投資実績 のない新規参入企業が投資家の信頼を得るの は難しい。
一号案件はヨーロッパとアメリカ の二社によるプロジェクトファイナンスで資金 を調達した。
建築費や土地取得費などについ て、その都度、承認を得るのに時間を取られ た。
 それでも市川原木をまとめ、着工前にテナ ントも付いたことで準備は整った。
投資家か らは第二弾、第三弾を急かされる状況になっ ているという。
松波氏は「テナントが半分付 けば投資するという方針で今後はアクセルを 踏んでいく」と意気込む。
 総合ディベロッパーや総合商社など新規参 入が続いているが、他の不動産セクターと比 べればプレーヤーの数は限られている。
日本 市場の黎明期から市場の中心で活躍してきた メンバーたちが揃っているだけに、リーシン グ面についても一日の長があると自負してい る。
「物流不動産ビジネスは人と人との繋がり がモノを言う。
新しい人が来て、すぐできる 仕事ではない」と松波氏。
 有力3PLの経営層とのパイプだけでな く、日々のオペレーションを担うセンター長 クラスとの情報交換を重視している。
一つひ とつ現場に出向いて、そこで具体的に何が起 きているのか、どんなニーズがあるのかを把 握する。
既存施設が手狭になっている、新規 案件が受託できそうといった情報を個人的な ネットワークを通して入手することで、リー シングや開発競争で優位に立つ。
 今後は、ファンド組成を中心にして、五〇 〇億〜六〇〇億円の資金を集め、同規模の借 り入れを行うことで、三年で一二〇〇億円規 模の投資を日本で計画している。
競争の激化 で物流適地の取得は難しくなっているが、市 川に一件、名古屋に二件、?隠し球?もある という。
 また、中国では今年七月、オランダの大手 年金サービス会社PGGMから、九五〇〇万 ユーロ(約九五億円)相当の米ドルの投資を 得て、「レッドウッド・チャイナ・ロジスティ クス・ファンド」をクローズした。
当面、総 額二五億人民元(約三一一億円)を二カ所の 物流センターに投資する計画で、予約契約も 締結済み。
すでにドイツ企業の入居が決まっ ている。
           (渡邉一樹) レッドウッド・グループ・ジャパン ──1号案件「市川原木」の成功をテコに 松波秀明マネージング・ ディレクター OCTOBER 2012  42  日本ロジスティクスファンド投資法人(以 下「JLF」)は物流施設に特化する唯一の Jリートだ。
現在の資産規模は一五八六億円。
保有する物流施設は首都圏を中心とする三〇 物件で、三八社のテナント企業を抱えている。
資産運用会社は三井物産、三井住友信託銀 行、ケネディクスの三社が出資する三井物産 ロジスティクス・パートナーズ(以下「ML P」)だ。
 二〇〇五年の上場以来、?超?がつくほど 堅実な投資運用スタイルを貫いている。
無借 金から出発し、現在においてもJLFのLT V(負債比率)は二八・七%に過ぎない。
J リートの平均LTVはおよそ五〇%、最も高 い水準のリートは六〇%を超えていることか らも、その差は明白だ。
低いLTVを維持す る理由を、MLPの川島高之社長は次のよう に説明する。
 「借入金を大幅に増やして積極的な投資を すれば、利回りや分配金を上げることは簡単 だ。
ただし、そういった手法には大きなリス クも伴う。
我々のポリシーは、良質な物流施 設を適正な価格で買い、安定的に成長してい くことだ。
決してムリな投資はしない」  際立つ堅実姿勢に対し、投資家からは「物 足りない」と指摘されることもしばしばあ るが、財務の健全性はJリート屈指といえ る。
このポリシーが奏功し、〇八年のリーマ ンショック直後はJLFにとって大きな商機 となった。
それまで過熱していた物流不動産 の売買市場が金融危機で急停止し、多くのプ レーヤーが資金難で身動きが取れなくなるの を尻目に、JLFは強固な財務基盤を武器に 打って出た。
 ゼロに近かったLTVを徐々に引き上げな がら借入金を調達。
一〇年には公募増資も 実施した。
これらの資金を使い、〇九年から 一〇年にかけて「市川物流センター?」、「習 志野物流センター?」、「加須物流センター」、 「東雲物流センター」などを相次いで取得し た。
その全てが競合不在の相対取引のため、 高騰局面では決して実現しないような割安価 格での購入に成功している。
 市況の混乱が収束し、各プレーヤーの資金 調達力も回復してくると、優良施設の相対案 件は減り、再び売り手優位の入札案件が増え てきた。
JLFは従来の方針通り、必要以上 に価格が吊り上がるオークションからは距離 を置いた。
この影響もあり、一一年の新規取 得物件はゼロという結果に終わっている。
 競争環境が再び激化したことを受け、今年 からは投資機会創出のために新たなアプロー チを採用している。
スポンサーとの共同プロ ジェクトだ。
今年三月に三井物産の一〇〇% 子会社である三井物産リアルティ・マネジメ ントが組成するSPCとの共有で「草加物流 センター」を取得したほか、九月には三井物 産と三菱地所が共同企画した「辰巳物流セン ター」を取得している。
辰巳物流センターは JLFが開発段階からノウハウを提供するか たちで参画し、竣工後に物件を引き受けるス キームを採っている。
 今後も開発プロセスから参画できる案件を 模索する方針を固めている。
開発パートナー はスポンサー企業に限定せず、これまで競合 相手と見なされていた物流不動産プレーヤー とも協力体制を築く。
開発が得意で、物件の 出口を欲している企業となら、互いにメリッ トを享受できるという目算だ。
既に水面下で は複数社と具体的な話し合いが持たれている。
 川島社長は「今後五年をメドに資産規模三 〇〇〇億円を目指す。
LTVは三〇〜三五% が一つのラインだ。
今は売買市場が高騰局面 にあるのでチャンスは多くないが、待ってい れば、いずれリーマンショック後のような?買 い?に適したタイミングは訪れる。
その時に、 前回と同様、果敢に攻められる体制を築いて おくことが重要だ」と判断している。
 リーシングや施設管理にも力を入れている。
今年六月にテナントが退去した「八千代物流 センター」ではバリューアップ工事を実行。
こ れによって分割賃貸が可能になり、使い勝手 が向上した。
「JLFのポートフォリオ稼働率 は九七%を達成している。
施設のメンテナン スやバリューアップを怠れば、テナント満足は 得られず、結果的には投資家にも迷惑をかけ る。
コストはかかるが、避けることのできな い施策だ」と川島社長は言う。
 (石鍋 圭) 日本ロジスティクスファンド投資法人 ──市況を見極めチャンスを待つ 新ステージの投資戦略 三井物産ロジスティクス・ パートナーズの川島高之 社長CEO 新ステージの投資戦略 43  OCTOBER 2012  産業ファンド投資法人(以下、「IIF」) は今年二月、自身二度目となる公募増資を 行い、約一九六億円の資金を調達した。
これ に借入金を合わせた約三七三億円を投じ、物 流施設を含む六つの物件を今年三月から四月 にかけて取得している。
この投資により、資 産規模は従来の約一〇八二億円から三四%増 の約一四五五億円に拡大。
保有する施設は一 六物件から二二物件に増加した。
ポートフォ リオ全体の平均NOI利回りは五・三%から 五・九%に上昇している。
 
稗稗討了饂艮人儔饉劼任△觧杏商事・ ユービーエス・リアルティの久我卓也社長は 「投資家にとってメリットのある取引が実現で きたと判断している。
今後も良い機会があれ ば積極的に投資する方針だ。
当面は資産規模 二〇〇〇億円を目指す」と語る。
 
稗稗討亙流施設のほか、工場・研究開 発施設等、インフラ施設を投資対象とするJ リートだ。
全二二物件のうち物流施設が十三 物件で最も多く、次いで工場・研究開発施設 等が五物件、インフラ施設が四物件という構 成だ。
資産規模ベースでは一物件当たりが大 きいインフラ施設の比重が最も高いが、「我々 のコアは物流だ」と久我社長は言う。
 二〇〇七年一〇月に上場を果たしたが、ス タートからの数年間は冬の時代だった。
タイミ ング悪く上場直後にサブプライム問題やリー マンショックなどが相次いで発生。
これによ り、成長目標の時間軸を大幅に修正する必要 に迫られた。
〇八年に予定していた公募増資 は中止。
資産の売却や劣後投資法人債の発行 などを通じ、一時は六〇%以上にまで上昇し たLTV(負債比率)の引き下げを図るなど、 財務基盤の立て直しに追われた。
 潮目が変わったのは二〇一〇年。
投資家へ の分配金上昇を図り、「習志野ロジスティクス センター(底地)」を取得し、それと並行して 「船橋ロジスティクスセンター」を売却するな ど、資産の一部組み替えを行った。
これが市 場から好感され、それまで下落を続けてきた 投資口価格(※株価に相当)が反騰。
粘り強 く継続してきたLTVの低減、借入金の長期 化・固定化なども投資口価格押し上げの要因 となった。
 これを受けて、翌一一年には上場以来初と なる公募増資を実施。
市場から調達した約六 一億円に借入金を合わせ、総額約一一三億円 をかけて五つの物流施設を取得した。
さらに 今年に入ってからは、冒頭で説明したように 二年連続となる公募増資を実現し、大型投資 に繋げている。
 ポートフォリオ全体の収益力の向上や財務 面の強化により、一口あたり分配金は二年の 間に四一%増加している。
これが奏功し、一 〇年初頭から反転した投資口価格の上昇は現 在に至るまで続いている。
現在の投資口価格 は、当時の水準の二倍以上にまで跳ね上がっ ている(一二年九月一八日現在)。
IIFの 軸足は、完全に冬の時代を脱し、再成長の フェーズへ移行したと見て良いだろう。
 懸念材料としては、テナント数が挙げられ る。
IIFの抱える二二物件に対し、テナン ト企業は二三社のみ。
保有するほぼ全ての物 件が一社専用施設のためだ。
現状は稼働率一 〇〇%を達成しているが、一社が抜けるだけ で、全体に大きな影響が発生することになる。
更新のタイミングが迫る物件においては、如 何に円滑に代替テナントをリーシングするか、 あるいは既存テナントの契約を延長するかが 危機回避のポイントになる。
直近の例として は今年六月に「厚木ロジスティクスセンター」 が更新を迎えたが、空室期間を出すことなく 富士ロジテックの誘致に成功している。
 物件取得に際しては「CREソリューショ ン提案」と呼ぶ手法を用いている。
民間企業 が抱えているノンコア不動産にターゲットを 絞り、相対で交渉して取得するというものだ。
今年取得した六物件および昨年取得した五物 件などは、いずれもこの手法による。
 「入札による取得よりも投資額が抑えられ るのが最大のメリットだ。
取引先企業にとっ ても、早期にバランスシートをスリム化し、コ ア事業への集中や新規投資への資金創出を実 現できるといった利点がある。
一般の入札価 格が高騰傾向にある現在において、こうした 選択肢が存在することは我々の大きな強みだ」 と久我社長は説明する。
  (石鍋 圭) 産業ファンド投資法人 ──資産規模2000億円に向けて再成長 三菱商事UBSリアルティ の久我卓也社長 OCTOBER 2012  44  三菱商事グループのファンド運用会社、ダ イヤモンド・リアルティ・マネジメント(DR EAM)は十月、私募リート「DREAMプ ライベートリート投資法人」を組成する。
ス タート時の資産規模は約三二〇億円だが、三 年後に一五〇〇億円、五年後には二五〇〇億 円に育てる計画だ。
 運用資金の三分の一以上を物流施設に充 てる。
国内の私募リートは二〇一〇年十一月 に野村不動産が第一号を組成したのを皮切り に、これまでに三菱地所、三井不動産が参 入、ゴールドマンサックスも九月までに参入す るとしているが、物流不動産をポートフォリ オの中核に据えるのはDREAMが初めて。
 国内年金基金を始めとする日本の機関投資 家を物流不動産市場に呼び込むことが狙いの 一つだ。
これまで日本の物流不動産市場を支 えてきたのは、海外投資家やリスクマネーに よる私募ファンドが中心で、国内の年金や生 保などは様子見の域を出ていなかった。
 市場が未成熟であったことに加え、運用期 間と投資金額に制約があるファンドや、株式 市況に影響を受ける上場リートは長期安定的 な運用を期待する資金とは相性が悪かった。
それに対して私募リートはファンドと違って 運用期間や投資金額に制約がなく、非上場な ので価格変動リスクも低い。
 同社の辻貴史副社長は「私募リートを梃子 に、海外では安定的な投資対象として認知度 が高い物流不動産投資を日本にも普及させた い。
約三〇〇兆円と言われる国内年金基金の 数%が不動産市場に流れるだけでも大変なイ ンパクトがある。
物流施設特化型の上場リー トも存在するが、投資家に物流不動産を正し く評価していただくうえで、投資家と直接コ ミュニケーションが取れる私募リートが担う役 割は大きい」と見ている。
 ただし、そのためには国内機関投資家への 啓蒙が必要だ。
投資家向けのプレゼンテーショ ンは「物流講座」から始まる。
物流の機能、 歴史を解説し、その上で立地や施設の特徴を レクチャーして、ようやく投資対象としての 検討が始まる。
 辻副社長は「その点で当社は三菱商事が有 する実業知見を活かせる。
日本の物流に深く 根差していることで、投資家に対して臨場感 のある解説ができる。
私自身、三菱商事の 物流部門出身で、そのことが武器になってい る」という。
 
庁劭釘腺佑運用する資産規模は一二年九 月時点で約五三〇〇億円、国内商社系の不動 産ファンド運用会社としては最大となる。
そ のうち物流施設は一一五〇億〜一二〇〇億円 を占めている。
「物流施設は商業施設と並び当 社の得意分野。
今後も優良施設を組み込み、 テナント様に安心してご利用いただけるよう、 長期安定運営を目指す」と辻社長は意気込む。
 二〇一〇年に運用を開始した物流施設特化 型の第一弾ファンド約二三〇億円は、厳しい 環境下でも安定した収益を確保し、高い評価 を得られた。
これを受けて今年九月には、第 二弾の運用を開始した。
投資対象は神奈川・ 千葉臨海部の物流一等地にある築浅大規模 物件で、資産規模は二五〇億円、運用期間は 一二年九月末〜一九年九月末。
今後も第三 弾、第四弾と組成していく方針だ。
 同じ三菱商事系のファンド運営会社に、三 菱商事UBSリアルティがある。
同社は「産 業ファンド」を始めとする上場リートの運用 を担当し、DREAMが私募ファンドおよび 私募リートを担当するという役割分担だ。
 上場リート同様に、DREAMも自社開発 はしない。
三菱商事が施設を開発もしくは既 存物件を取得。
タイミングを見てグループのフ ァンド運営会社等に譲渡するかたちで、金融 商品化している。
投資用不動産を一時プール するために三菱商事は約一〇〇〇億円の枠を 設けている。
これを利用して投資家のニーズ と市況のギャップを調整することができる。
 この他にDREAM独自でも他のディベロ ッパーや事業会社から物件を仕入れている。
優良物件の取得は競争が激しくなっているが、 「物件のパイプラインは豊富で、三菱商事の開 発案件やテナント様からの相談もある。
また 三菱商事のリスクマネーを活用しながら決済 の柔軟性と確実性を高めることにより、売主 サイドに安心感を持っていただき、入札では なく相対で取引してもらえるケースも多い」 という。
           (渡邉一樹) ダイヤモンド・リアルティ・マネジメント ──私募リートで国内機関投資家を市場に導く 新ステージの投資戦略 辻貴史副社長

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