2012年1月号
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「需要予測から需要コントロールへ」 JDAソフトウェア・ジャパン 鈴木洋史 社長

JANUARY 2012  4 補充を行うことになるわけです」 ──いわゆる「C P F R(Collaborative Planning Forecasting and Replenishment)」ですね。
 「そうです。
CPFRを運用する一 連のプロセスに当社のパッケージが利 用されています。
それを人手でやれば 大変な手間がかかる。
発注忘れやミス も発生する。
それを自動化すること で、人件費や物流コストを大幅に削減 し、同時に売り上げ機会の損失を防ぐ んです」 ── 自動補充方式に関して、日本 では九〇年代に中堅スーパーの平和 堂が米国のウォルマートのノウハウ を踏襲して「C R P(Continuous Replenishment Program )」と名付け た取り組みに挑戦しましたが、結局、 定着はしませんでした。
それが現在は CPFRとして日本でも実用化されて いるということですか。
 「日本でもチェーンストアの本部と店 舗間ではCPFRが現実に運用されて います。
チェーンストアの本部は、店 舗に対して卸の役割を果たしています。
PB商品に限ればチェーン本部はメー カーでもあります。
つまりチェーン本 部はベンダーであって、店舗に対する 供給責任を負っている。
そのベンダー =店舗間、さらにはPBの製造を委託 しているメーカーまでがコラボレーショ 自動補充方式が日本にも普及 ──ロジスティクス周りの情報システ ムに関しては、このところ大きなトピ ックがありませんでした。
一九九〇 年代末から二〇〇〇年代初頭にかけ て「SCP(サプライチェーン計画ソ フト)」がブームになり、日本でも多く の企業が需要予測の高度化に取り組み ましたが、どこもあまり上手くいかな かった。
それ以来、IT投資は停滞し たままという印象です。
 「パッケージを導入したものの使い こなせず、結局、廃棄してしまった という企業も確かにありました。
しか し、その一方で、SCMの業務プロセ スの核にパッケージを完全に組み込ん で、着々と取り組みを進めている企業 も、国の内外を問わずあるんです。
日 本だと当社のクライアントのイオンさ んがその代表例で、一九九〇年代に当 社のパッケージを導入してから現在ま で、改修とバージョンアップを繰り返 しながら着実に展開を広げて、取り組 みを進化させています」  「IT投資の目的も以前よりずっと 踏み込んだものになってきています。
従来は在庫削減やオペレーションの効 率化が主な目的でした。
そのために多 くの企業が数量ベースの需要予測の高 度化に取り組んでいた。
それが現在は スコープが大きく広がり、営業予算や 事業計画などの金額ベースの計画と数 量ベースのオペレーションの計画をど う擦り合わせてギャップを解消するか というテーマに、グローバルレベルで 取り組むようになっています」 ──金額と数量の擦り合わせというの は?  「経営レベルの事業計画、商品計画 は、どんな会社でも金額ベースで管理 していますよね。
しかし、生産や物流 のオペレーションは金額ではなく数量で 動いています。
そのため金額ベースの 計画を、数量ベースのオペレーション計 画に落とし込む必要がある。
そのプロ セスで擦り合わせが発生するわけです」  「また小売業で店舗に陳列する商品 の品揃えを最適化するプロセス、いわ ゆる『カテゴリーマネジメント』にお いても、金額と数量の両面から品揃 えを検討して計画を立てる必要があり ます。
カテゴリーマネジメントで最適 な棚割が決まると、どの棚に、どの商 品を、どれだけの量、どれだけの期間 にわたって陳列するのかが決まるので、 必然的にオペレーションが決まってき ます。
POSデータでリアルタイムの 販売量を把握して、在庫が基準値を下 回った場合には最低ロット単位で自動 JDAソフトウェア・ジャパン 鈴木洋史 社長 「需要予測から需要コントロールへ」  需要予測精度の向上によるコスト削減から一歩踏み出し、 需要自体をコントロールしようとする取り組みが現在、本格化 している。
マニュジスティックスやi2テクノロジーズなどの かつての有力SCPベンダーを買収・統合したJDAソフト ウェアがそのシステムを提供している。
(聞き手・大矢昌浩) 5  JANUARY 2012 ンに加わって、自動補充方式が運用さ れているんです」 ──しかも、その取り組みが進化して いる。
補充の自動化によるオペレーシ ョンコストの削減や在庫の最適化とい う段階から、その先の段階に進もうと しているわけですか。
 「価格や販促活動の最適化が現在の 最先端のテーマになっています。
従来 の需要予測は、販売価格が決まってい る前提で、需要をいかに読むかという ことを問題にしてきました。
それが現 在は、販売価格を変えることで需要が どう変わるのかということに焦点が移 っています。
そうしたシミュレーショ ンが技術的に可能になったんです。
そ の結果、その商品をいついくらで売れ ば利益が最大化するのか、在庫を売り 切ることができるのかといった判断が できるようになってきた」 ──しかし、需要予測は当たらない、 どんなに高度な解析エンジンを使って も未来のことは予測できない、という のが先のSCPブームから得られた教 訓だったはずです。
そのためにIBM は『センス・アンド・レスポンス(S& R)』というコンセプトを打ち出し、需 要を予測するのではなく、市場の変化 に素早く反応することこそ重要なのだ と主張しました。
 「S&Rの考え方と先ほどの話は矛 受けてそれを分析し、補充計画や販促 計画を立案して小売業に提案するとい う作業です。
月一回のコラボレーショ ン会議にも当社は参加しています」  「その結果、店舗の欠品を一八%改 善し、流通在庫を二七%削減し、需 要予測精度を四〇%向上することが できました。
これによって米国ソニー は〇九年にウォルマートの『ベスト・ オブ・サプライヤー』に選ばれました。
さらに現在はソニー本社と世界各地の 生産拠点間での需給のマッチング作業 を当社が代行しています」  「他にもデルやリーバイス、ドクタ ー・ペッパー、P&Gといったクライ アントが当社のソリューションを導入 し、いずれも大きな成果を挙げていま す。
そして、そこで使用されているパ ッケージ、我々は『S&OM(Sales & Operation Management)』という 名称で商品化しているのですが、それ が日本を含め全世界で大変な勢いで売 れ出しているんです」 盾しません。
S&Rにおいても需要は 予測するんです。
実際、八割くらいの 商品については需要予測は一定以上の 確度で当たる。
回転率の良い商品、定 番商品は当たります」  「ただし、残りの二割は当たらない。
過去の販売実績とは関係のない売れ方 をするからです。
そこで予測が当たる 領域と、当たらない領域を切り分けて、 当たる領域は自動化する。
当たらない 領域については変化への対応スピード を強化するというアプローチがS&R だと私は理解しています」  「つまり例外管理だけを人間系で処 理するわけですが、その例外にしても 分析を積み重ねていくことで絞れてく る。
予測がブレてしまうのは、販売部 門の売上計画には願望が加わっている という問題に加えて、大口顧客の大量 発注や販促計画を事前に把握できてい ないことが大きい。
従って、そうした 大口の需要情報を担当営業が吸い上げ ることができれば、例外を絞れるよう になってきます」 「S&OP」の導入が本格化 ──需要予測の高度化とは別の切り口 で、グローバル化への対応という側面 からも新しい動きが出ているようです。
 「ERPの普及によって在庫の『見 える化』は相当に進みました。
グロー バルで何がどれだけ売れたのかは把握 できるようになった。
しかし、どこ で、どれだけ儲けられるのかが分から ない。
もちろん各現場レベルでは、あ る程度は分かっている。
ところが、サ プライチェーンが拡大して複雑化した ことで、本社側で全体の動きを把握で きなくなってしまった。
それを解決し ようという狙いから欧米企業はもちろ ん、日本企業も『S&OP(Sales & Operations Planning)』に本腰を入れ 始めています」 ──S&OPは抽象度が高く、理解す るのが難しいコンセプトです。
 「我々は『Shelf Connected Supply Chain(棚と繋がるサプライチェーン)』 という言葉で説明しているのですが、 店頭の棚から出発して、原材料の調達 まで遡る本当の意味でのトータルサプ ライチェーンの統合管理です。
これま ではコンセプトに過ぎなかったことが 現実化しています。
導入が始まり、実 務で回るようになってきました」 ──具体的には?  「例えば米国ソニーと大口顧客二社、 ウォルマートとベストバイですが、そ のコラボレーションにおいて当社は現 在、ビジネス・プロセス・アウトソー シング(BPO)の担い手となって業 務運営を代行しています。
小売りの 日々のPOS情報や販促情報を当社が JDAソフトウェア  一九七八年に大手小売業向けのソリュー ションベンダーとしてカナダで創業。
九六 年に株式公開。
同年、日本法人のジェイ・ ディー・エイ・ソフトウェア・ジャパンを 設立。
二〇〇〇年以降、顧客層を製造業 に拡大し、〇六年にマニュジスティックス、 一〇年にi2テクノロジーズを買収した。
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