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佐高信
経済評論家
53 MARCH 2004
『週刊現代』の新春号で小沢一郎と対談した
が、その時、小沢が、
「公明党=創価学会には政権にしがみついて
いなければならない理由があるんです。 大問
題になっちゃうから、ここで具体的には言え
ませんが」
と発言した。
その「大問題」が何かを、『現代』二月号の
魚住昭レポート「野中広務と創価学会」が明
らかにしている。 新進党時代、小沢は公明
党=創価学会と組んでいた。 だから、その動
きはよくわかったのである。
住専国会で新進党を切り崩す材料を、当時
は亀井静香とともに反学会の急先鋒だった野
中広務が手に入れる。 池田大作の側近で東京
都議会議員の藤井富雄と山口組きっての武闘
派といわれる後藤組の組長、後藤忠政の「密
会ビデオ」だった。 魚住は事情をよく知る者
の次のような証言を引く。
「亀井さんが入手したそのビデオのなかで、
藤井さんは反学会活動をしている亀井さんら
四人の名前を挙げ、『この人たちはためになら
ない』という意味のことを言ったというんで
す。 受け取りようでは後藤組長に四人への襲
撃を依頼したという意味にもとれる」
静岡県富士宮市に創価学会の「富士桜自然
墓地公園」(敷地面積一二二万平方メートル)
がある。 この開発をめぐってトラブルがあり、
学会は地元の後藤組と関係を持つようになった。 窓口が藤井である。 藤井は「醜
しこ
の御盾
み
た
て
」
つまり学会の裏社会に対する防波堤として力
をつけていったのだった。
魚住は「富士宮市で後藤組の内情をよく知
る男」に会い、
「自民党がビデオの問題で創価学会に揺さぶ
りをかけたのを知っているか」と尋ねる。
「聞いてるよ。 ヤクザより政治家のほうが汚
いね。 (後の)自公連立は後藤組がきっかけを
つくってやったようなもんだ。 公明党は与党
になってからもう四年になる。 それでどれだ
け得したことか」
ビデオ問題で弱みを握られた学会側が自民
党に接近し、それが自公連立につながったと
いうのがこの男の推測だった。
次の亀井静香の「答えられない」という答
えも、むしろそれを裏づける。
「私は今、藤井とは仲良くしているから、そ
んな話は一切答えられん。 やはり日本の政治
は自民党だけじゃどうにもならんということ
で我々は公明党と連立することを認めたわけ
だ。 過去のことは金庫のなかに入れて‥‥。
私はいいかげんな政治家ですから」
しかし、「過去」は現在を支配する。 元学会
幹部の次の証言は不気味なリアリティをもっ
ているのである。
「学会には国会議員のブラックリストがある
んです。 誰がどこでどう発言したか、どんな
反学会の動きをしたかが全部記録されている。
それをもとに『この議員は敵性です』と一言
いえば、簡単にその議員を落選させられる
(前回二〇〇〇年の総選挙で)島村宜伸、小杉
隆、深谷隆司(いずれも自民党の東京都選出
代議士)が落ちたでしょ。 あれがいい例です。
こうなると議員たちは二度と学会を批判しな
くなり、学会批判は政界のタブーになってい
くんです」
復活した加藤紘一も先の選挙で学会に協力
を要請したといわれるが、いま、「敵性」と呼
ばれるのを恐れず、学会を批判する政治家は
いないのか。 「小泉の兵隊ごっこを叱る」とい
う一点で共鳴した小沢も、
「相手がフェアじゃないからといって、こち
らもアンフェアに攻めるわけにはいきません。
それに、もはや正々堂々とやって勝てるとこ
ろまで来ている」
と私に言った。 しかし、果たしてそうか。
政治家が敏感なメディア支配も、学会は着々
と進めている。 吠えているのは菅直人だけと
いうのでは?前途不安〞である。
公明党=創価学会が政権にしがみつく理由
『現代』の魚住レポートが暴いた学会支配
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