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取りする形で体制
を整える方針だ。
庫内は従来から
新基準を満たして
いる。 問題は配送
時だ。 欧州での医薬
品配送は週一度、
大型車で直送する
ようなケースが多
く、多頻度の共同
配送が中心の日本
とは事情が違う。 扉
の開閉が多ければそれだけ多くの外気が荷室に入
り込むため、一五℃〜二五℃を維持するのは今の
車両スペックでは難しい。
対応策の一つとして同社が取り組んでいるのが
保冷ボックスの開発だ。 医薬品用の保冷ボックス
は、同社で取り扱っている治験薬の輸送などでも
既に使われているが、倉庫事業部業務課品質管理
グループの渡辺周平氏は「製品へ範囲を広げて実
用化するには、温度維持性能を保ちつつ大型化す
るという課題をクリアしなければならない」と指
摘する。 一三年内の導入を目指して、研究を進め
ている。
同社は一一年十一月に、医薬品専門の運送子会
社「DPネットワーク」を運送会社二社と共同出
資で設立している。 さらなる配送品質向上のため
には運送会社と同じ目線に立つ必要があると考え
たからだ。 このDPネットワークが中心となって、
配送中の荷物温度をリアルタイムで記録するための
システムも一三年中のサービス開始を目指して開発
中だ。 (渡邉一樹)
三菱倉庫は医薬品物流で三〇年の実績を持つ。
二〇一二年十二月現在、約二五社・五〇拠点で医
薬品物流センター業務を受託している。 売上高で
倉庫事業部門の約二割に及ぶ主要分野に育ってい
る。
医薬品メーカーは他の分野と比べて物流の外部委
託には慎重だった。 それが一九九〇年代以降、当
初は外資系医薬品メーカーを中心に外部委託が進
んだ。 三菱倉庫がその主な受け皿となった。 二〇
〇〇年代に入ると、山之内製薬(現・アステラス
製薬)の業務を受託したことで国内メーカーの引き
合いも加速、〇四年度には国内九カ所の物流拠点
を立ち上げるなど一気に拡大した。
医薬品センターの庫内品質、特にハード面は倉
庫の設計から自社
で行っているため、
ひときわ自信を持
っている。 温度面
でも保冷品は二℃
〜八℃と、非常に
狭い範囲でキープ
可能となっている。
ソフト面でも万
全を期す。 庫内作
業は子会社に委託
しているが、三菱倉庫本体の品質管理グループが
運営を管理している。 温度、作業員教育、設備、
安全衛生からセキュリティーまで全社的な統一基準
を策定。 検品にも力を入れ、発送前に在庫数を確
認し数が合わなければ出荷しない仕組みを取って
いる。 品質管理データベースを導入し、各地で起き
た事故の情報を共有して、点検・対策を全施設で
横展開できる体制も整えた。
ただし昨今は、抗がん剤や抗体薬品、バイオ薬
品など、温度管理が一層シビアで、丁寧な荷扱い
が必要な商品が増えている。 同社倉庫事業部部長
代理・医薬品チームの加藤栄一マネジャーは「例え
ばマイナス二〇℃管理であるとか、極端なもので
はマイナス八〇℃管理が必要というものまである」
と言う。
さらに欧州委員会(EC)は一一年、医薬品の取
り扱い基準を定めた「Good Distribution Practice
(GDP)」草稿を発表した。 新基準は日本で従来
一℃〜三〇℃で運用してきた室温品についても、
一五℃〜二五℃の管理を要求している。
欧州のGDPに対するメーカー側の受け止め方に
は現状では温度差があるが、日本でも既に一部の
外資系メーカーから三菱倉庫は対応を求められて
いる。 日本でも近い将来、同等の品質管理が要求
されるようになることを想定し、国内ニーズを先
JANUARY 2013 32
──欧州の医薬品管理基準を先取り
三菱倉庫
慎重な検品作業が要求される
品質管理グループの
渡辺周平氏
加藤栄一マネジャー
温度管理
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