2013年1月号
特集

通販物流 ディノス ──メーカー直送を廃止し付加価値配送

 メーカー直送の大物家具類にクレームが目立って いた。
コストよりも顧客満足度を重視して、自社 センターからの出荷に切り替えた。
品質が向上し ただけでなく、複数注文の一括配送、納品時の設 置・組み立て、不要になった同等品の引き取りな どのサービスが可能になり、売上増に貢献してい る。
専門部隊を組織して検品を徹底  ディノスは一九七一年に創業したテレビ通販会 社の先駆けだ。
取り扱いアイテムはアパレルや家具 類を中心に八万点に上る。
フジサンケイグループの 一員として培ったブランドイメージを武器に、高級 志向の顧客に訴求する戦略を採っている。
 同社では二〇〇五年まで、コスト削減に主眼を 置き、大物家具類をメーカーから顧客に直送して いた時期があった。
ところが、同社の近村信之ロ ジスティクス本部長は「それによって品質面で大変 な目に遭った。
返品された商品をメーカーが別の顧 客にそのまま再出荷してしまい、大問題となった こともある」と振り返る。
 配送面の課題も大きかった。
出荷のコントロール ができず、納期が見えにくい。
コールセンターには 顧客から納期を問い合わせる電話が引っ切り無し にかかってくる。
一括配送もできない。
テーブル、 ソファー、本棚を一度に購入した場合でも、それ ぞれの商品が違うメーカーから、違う運送会社によ って送られてくる。
その度に荷受けの手間が発生 する。
 メーカーから直送する商品の品質管理は、ディノ スから要望は出すものの、基本的にはメーカー次第 だ。
そこで〇六年、大胆な改革に踏み切った。
食 品などごく一部の商品を除いてメーカーからの直送 を廃止したのだ。
 同時にセンターの集約にも着手した。
〇六年一 〇月に東京・町田市に「ロジスティクスセンター東 京(DLC)」を開設し、それまで全国に五カ所あ った物流センターをDLC一カ所にした。
 DLCは延べ床面積五万二〇〇〇平方メートル 超という大規模施設だ。
五階建てで、五階と四階 が大物家具、三階がアパレル・小物類、二階が小 物類、一階が出入荷エリアとなっている。
デジタ ル表示によるピッキングシステムや無線ハンディタ ーミナルなど最新のマテハン機器を採用した。
高級 衣料のハンガー品については特に取り扱いを重視、 折り畳まずに仕分けるハンガー品専用のゲートアソ ートシステムを導入した。
 DLC開設に伴って、検品体制を大幅に強化し た。
DLC内に衣料品用の検品会社を入居させて、 JANUARY 2013  34 全国のメーカーから送られてくる商品の検品・検 針を行う体制を組んだ。
加えてディノス独自の品質 管理(QC)部隊を、アパレルと家具の二チーム、 計約一二〇人配備した。
 QC部隊は返品のチェックと出入庫時の検品が 主な役割だ。
アパレルQC部隊は返品クレームと商 品を突き合わせてチェックし、型崩れ、汚れ・臭 い等を点検した後、商品に問題が無ければアイロン 掛けなど処置を施して再び出荷できる状態にまで 仕上げる。
 一方の家具QC部隊はチェック後、指紋や汚れ が残らないように布できれいに拭きとって再出荷 に備えるといった作業を行う。
 最近は中国のメーカーから直輸入する商品が増え ている。
それに伴い「組み立て家具の部品が足り ない」「サイズが違う」等、顧客からのクレームが 増加した。
そこで一〇年から、直輸入製品に関し ては、センターのQC部隊が入荷時に抜き取りで 欠品やサイズ違いなどのチェックを実施している。
全商品をリストアップし、クレーム率が高いメーカ ー・搬入元の製品から念入りに行っている。
 家具の接着剤などに含まれる微量な揮発性有機 ──メーカー直送を廃止し付加価値配送 ディノス通販物流 新設のホルムアルデヒド検出室 35  JANUARY 2013 化合物(VOC)対策にも力を入れる。
一二年八 月、数千万円を投入してホルムアルデヒドの検出室 をセンター内に設置した。
商品の大きさに合わせて 一〇立方メートルと、五・五立方メートルの専用ル ームを用意した。
 検出方法は、商品を温度・湿度などを保った室 内に十二時間放置し、フィルターにVOCを吸着 させる。
そのフィルターを専門の調査機関に送付し て分析してもらうという手順だ。
 一日に二品目しか調査できないため、一台数万 円の簡易検出器を取引先の各メーカーに配り、下調 べを行ってもらったうえで、疑わしいものを調査 している。
「商品品質は本来メーカーの役割だが、 だからといって顧客に不満を抱かせてはいけない。
品質はディノスの信頼を保つ砦だと考えている」と 近村本部長は強調する。
配送サービスを成長ドライバーに  メーカー直送の廃止によって、配送面でも大きな 改善が現れた。
出荷はDLCに一元化され、全て ディノス側でコントロールできるようになった。
D LCにはヤマト運輸と佐川急便も入居している。
重 要な配送トラブルは即座に二社に伝えられ、スピー ディーな対応ができるようになった。
大型家具の 配送日付指定も徹底され、コールセンターへの到着 時間の問い合わせは激減した。
 配送関連の付加価値サービスも複数生まれた。
一 括配送が可能になったことを受けて、例年一月か ら六月まで「家具まとめ買いキャンペーン」を展 開している。
家具を複数まとめて二〇万円分以上 注文した場合、商品代金が一〇%オフになるうえ、 有料サービスと して提供してい る室内への運び 込み・組み立て も無料になる。
 さらに「不要 家具引き取りサ ービス」が売上拡大に大きく貢献している。
三万九 八〇〇円以上の指定商品を購入した顧客から、同 等の不要品を無料で引き取るサービスだ。
納品に訪 れた配送員が、それまで使っていた家具をそのま ま引き取る。
首都圏を中心に始めたサービスだが、 好評のため、一二年十一月から沖縄県や島嶼部を 除く全国に範囲を拡大している。
 大物家具の配送はヤマトホームコンビニエンスと 佐川引越サービスの二社に委託している。
しかし、 一連の付加価値サービスの開始に伴い、配送員に 対するクレームがディノスに直接寄せられるように なってきた。
 近村本部長は「顧客の意識が、『配送の品質も含 めてディノス』というふうに変わってきた。
家具の 運び込みや組み立て、引き取りなどでは室内に上 がり込むということもあり、配達時の応対だけで なく、汗の臭いや靴下の汚れに至るまで、我々が 直接『おしかり』を受けることになってきた」と 話す。
 最近は家具に関しても小型の宅配と同じように 配達時間をピンポイントで指定したいという要望が 増えている。
近村本部長は「コールセンターの業務 も変化した。
以前であればお届け時間をきちんと お知らせすれば満足していただけたが、最近はそ れでは済まない。
希望の時間に配送するため、業 者との交渉・調整が必要になってきている」と言 う。
 顧客が配送に求めるハードルは高まる一方だ。
配 送会社とは月一度の定例ミーティングを持って、配 送員の教育などを重ねて要望しているが、「ディノ スの配達レベル」を高めるためには、今後はより 密接な連携が必要になってきそうだ。
(渡邉一樹) 大型家具のQC部隊アパレルQC部隊協力企業に配った簡単検出器 家具の組み立て検品ハンガー専用のアソートシステム検出室内に設置された家具 近村信之ロジスティクス 本部長 特集

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