ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2013年1号
特集
IT・マテハン活用 アシックス ──大型ソーターを軸にフローを設計

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

 アシックスの「つくば配送センター」は、東日本 エリアをカバーする販売物流拠点として二〇一〇 年八月にオープンした。
敷地面積約一万坪、延べ 床面積約一万一七四六坪の三階建て自社倉庫で、 常時七万〜八万アイテムを在庫している。
その大 半をスポーツシューズが占めている。
 同拠点から百貨店や量販店、アシックスの直営 店などに向けて、一日あたり一二〇〇〜二〇〇〇 件を出荷している。
オペレーションには一〇〇%子 会社のアシックス物流が当たっている。
 庫内には大型自動ソーターが導入されている。
一 階から三階までが一本のコンベアで繋がっていて、 その総延長は三六〇〇メートルにも及ぶ。
「この自 動ソーターが入荷から出荷に至るまでの全工程で中 心的な役割を果たしている」とアシックス物流の戒 井治社長は説明する。
 フローを見てみよう。
まず入荷した商品をコンベ アに流し込む。
商品の外箱にはそれぞれシリアルナ ンバーが振られており、コンベアの入荷口付近にあ るゲートでこれを 読み込み、入荷検 品をする。
 検品が済んだ商 品は、そのままカ テゴリーごとに二 階または三階の保管スペースへと運ばれていく。
二 階と三階はそれぞれ四つのエリアに区分けされてい る。
シーズンやその時の物量に応じて、各エリアの 用途を保管スペースや流通加工場などに柔軟に切 り替えている。
 ピッキングはハンディターミナルもしくは指示書 に基づいて作業員が人手で行う。
ピッキングした商 品のバーコードをその場で読み込んで検品。
プラス チックコンテナに詰め、コンベアに流す。
 各ロケーションに設けられた商品の乗り降り口を、 ?ステーション?と呼んでいる。
それぞれのステーシ ョンから投入された商品は一階まで下りてきて、三 三本ある出荷ラインのいずれかに振り分けられる。
 出荷ラインに到着した荷物は、そこで作業員の 手で納品店舗別に仕分けられる。
出荷ライン一本 につき約七〇店舗を割り当てている。
店舗別に仕 分けされた商品は、物流会社に引き取られて納品 先へ。
空になったプラスチックコンテナは、出荷ラ インの下段に設けられたコンベアを通り、保管スペ ースへと帰っていく。
 同センターの誤出荷率は、稼働当初から「一万 分の一」という高い精度を叩き出していた。
さら に、自動ソーター周りのオペレーションを改善する ことで、より高い品質に挑み続けている。
 その一例として、ピッキングなどで使用するハン JANUARY 2013  44 ディスキャナーの台数を、当初の六〇台から九〇台 まで段階的に増設した。
目視による作業の割合を 減らすことで、ミスが大幅に減った。
今後は音声 システムの導入なども視野に入れている。
 機械化に頼るだけでなく、作業手順の改善など にも積極的に取り組んでいる。
以前は店舗への最 終仕分け時に、誤って隣の店舗に投入してしまう というミスが頻出していた。
そこで、店舗ごとの 間口に納品リストを張り出し、投入した商品を必 ずチェックして消し込むというルールを徹底した。
 こうした細かな取り組みを積み重ねることで、同 センターの現在の誤出荷率は「三万〜五万分の一」 にまで改善している。
戒井社長は「最終的には一 〇万分の一にまで高めたい。
機械化と人の工夫を 組み合わせれば、必ず達成できるはず」と自信を 深めている。
           (石鍋 圭) ──大型ソーターを軸にフローを設計 アシックスIT・マテハン活用 アシックス物流 戒井治社長 つくば配送センター庫内図、誤出荷率10万分の1を目指している 出荷ライン 入荷ライン フリースペース ステーション 補充用倉庫 3F 2F 1F 保管スペース 流通加工スペースなど (用途により変化) 特集

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