ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2013年1号
物流指標を読む
第49回 経済や貨物輸送の予測は難しい 「2012・2013年度の経済と貨物輸送の見通し」日通総合研究所

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

  物流指標を読む 第1 回 JANUARY 2013  78 経済や貨物輸送の予測は難しい 第49 ●2013年度の国内貨物総輸送量は1.1%減の予測 ●消費関連は微増、生産および建設関連はマイナスへ ●衆院選の結果や経済動向次第で全く別のシナリオも さとう のぶひろ 1964 年 生まれ。
早稲田大学大学院修 了。
89年に日通総合研究所 入社。
現在、経済研究部担当 部長。
「経済と貨物輸送量の見 通し」、「日通総研短観」など を担当。
貨物輸送の将来展望 に関する著書、講演多数。
LCCが貨物輸送に参入?  二〇一二年十二月十一日、フジテレビの「スー パーニュース」は、LCC(格安航空会社)が始 める新サービスについて独占キャッチしたと報じた。
それは、成田国際空港を拠点に、八月に就航した エアアジア・ジャパンが、国内の貨物運送事業に 参入する意向を持っているというニュースだった。
 エアアジア・ジャパンは一二年十二月現在、成 田国際空港~新千歳空港間で三往復/日、成田国 際空港~福岡空港間で二往復/日、成田国際空港 ~那覇空港間で一往復/日の運航を行っているが、 機材の回転率を高める目的もあって、成田国際→ 新千歳、成田国際→福岡の路線では、第一便の出 発時刻がそれぞれ六時二〇分、六時三五分とかな り早い。
ポイントはそこだ。
 国内航空貨物輸送においては、早朝や夜間の時 間帯に出発する便に対するニーズが非常に高く、そ のため、昼間便に比べて実勢運賃も相対的に高い。
仮に、早朝便を使用して、かつ安い運賃でサービ スを提供できるのであれば、利用したいという荷 主やフォワーダーもいるかもしれない。
 ただし課題もある。
まず、これは筆者の偏見か もしれないが、LCCの場合、機材繰りの関係な どで、通常の国内線に比べて欠航のリスクが高い ようなイメージがある。
そのため、航空宅配便な ど時間指定が厳しい貨物の輸送には適さないので はないか。
 第二に、駐機時間が短いこと(注:通常の国内 線の場合は四五~六〇分であるが、LCCの場合 は三〇分程度)もネックだ。
エアアジア・ジャパン が使用している機材はエアバスA三二〇だが、一 般的なエアバスA三二〇とは少し異なる。
一般的 なエアバスA三二〇はLD -三型のコンテナを七基 搭載できるが、フジテレビによると、エアアジア・ ジャパンの機材は、旅客を多く乗せる仕様のため、 コンテナは搭載できないとのことだった。
そのため、 貨物の機材への搬入はバラ積みとなり、コンテナ積 みの場合よりも相対的に多くの時間を要すること から、搭載できる貨物量は物理的に制限されよう。
 もう一点、通常の便よりも搭乗する旅客数が多 いため、当然手荷物も多く、従って、そもそも貨 物スペースにあまり空きがないのではないか。
 ただし、フジテレビの同番組を見た限りでは、最 後の点については問題無さそうだ。
番組では、あ る日の沖縄便の映像が映されていたが、旅客が預 けた手荷物はわずかに九個だった。
また機材への 積込作業を見ていると、機体後方の貨物スペース にそれらの手荷物を積み込んだだけで、前方のス ペースは空の状態だった。
なぜならば、激安運賃 のLCCでは、機内食のほか、荷物の預け入れな ど多くのサービスが有料となっているため、乗客の 多くは機内に持ち込める手荷物だけで利用するケ ースが多く、荷物を預ける人は少ないのだという。
 そこで、エアアジア・ジャパンは、この空いた スペースを生かした新規ビジネスに参入しようとし ているのだ。
同社の貨物担当者は「現在、前(の 荷室)は空いている状態です。
そこを貨物のスペ ースとして利用することが、今後、期待されてい ます」と語っていた。
また、岩片和行社長(本稿 執筆時点)は「LCCの特徴は、朝早く空港を出 て、折り返し帰ってくる。
朝は六時台から、千歳 「2012・2013年度の経済と貨物輸送の見通し」日通総合研究所 79  JANUARY 2013 ありますが、同様に、貨物についても安くなるの ではという期待はあります。
(半面)きっちり指定 した時間に着けるかどうかなどが、航空輸送にお いて大きな要素となっています」と述べた。
十人十色の見解  閑話休題。
日通総合研究所は年に四回、経済と 貨物輸送の予測を行っており、筆者は同調査のチ ームリーダーである。
 今回の予測結果は、間もなく「二〇一二・二〇 一三年度の経済と貨物輸送の見通し」として発表 する予定であるが、今回の予測は非常に難しかっ た。
なぜならば、見解の分かれそうな事案が山積 しているからだ。
 たとえば政治。
本稿の執筆時点では、まだ衆院 選が実施されていない。
選挙直前の世論調査では 自民党の圧勝という結果が出ているが、この手の 調査は、昼間に固定電話に出た人を対象にしたも のであり、いわゆる無党派層の意見を代弁してい るとは言い難い。
万が一、いわゆる第三極が大勝 ちし、渡辺喜美首相や小沢一郎首相が誕生した場 合、実施されるであろう経済政策は、自民党のそ れとは全く異なるものとなろう。
まず、一四年四 月の消費増税の実施は見送られよう。
財政政策や 金融政策についてもまた然りである。
 また、対中国外交はどうなるのか。
中国の反 日強硬姿勢はいつまで続くのか。
米国の「財政の 崖」問題や欧州債務危機問題の行方はどうなるの か。
などなど、評論家が一〇人いれば、見解も一 〇通りに分かれそうである。
 そうした中で、我々は、自民党が第一党になり、 積極的な公共投資、いっそうの金融緩和などの経 済政策を実施する。
中国の反日強硬姿勢は、最 低一年間は継続する。
米国の「財政の崖」問題は、 大統領と議会が歩み寄って沈静化する。
欧州債務 危機問題も当面は落ち着く、等の前提に立って予 測作業を行った。
 予測結果については、弊社のHPで全文を公開 しているので、是非アクセスしていただきたい。
以 下では、国内貨物輸送の見通しについて、概要を 示したい。
●二〇一三年度の国内貨物総輸送量は、上期は景 気が低迷する中で、消費関連、生産関連、建設 関連貨物とも水面下の推移が予測される。
下期 に入って、一四年度における消費増税を見越し た駆け込み需要の発生を受けて、一部の貨物に 増加が期待できるものの、総輸送量をプラスに 押し上げるには至らないであろう。
こうしたこ とから、総輸送量は一・一%減と再びマイナス に転じよう。
●品類別にみると、消費関連貨物は、個人消費 の伸び悩みなどに伴い微増にとどまろう。
生産 関連貨物は、鉱工業生産や設備投資の低調な推 移を受けて、一〇~十二月期まで一般機械、自 動車、鉄鋼などを中心に停滞が見込まれる。
一 四年一~三月期には若干持ち直すとみられるが、 年度全体では一%台前半のマイナスが避けられ ない。
建設関連貨物については、駆け込み需要 もあって民間住宅投資の増加が期待できる一方、 公共投資が弱含むことから、二%弱のマイナス となろう。
や福岡に飛んでいるので、荷主にとっても、今ま でにない、新しい時間帯や方面に貨物を運べるの で、双方プラスになる」と語っていた。
LCC独 特のタイトな運航スケジュールを生かしながら、貨 物のニーズを掘り起こしたいということだ。
 ちなみに手前味噌で恐縮であるが、同番組で筆 者はコメントを求められ、「正直、予想外でした。
LCCは、旅客の運賃が非常に安いという魅力が 国内貨物輸送量の見通し 年度・期 機関 2012 年度2013 年度 2011 年度2012 年度2013 年度 総輸送量 2,380.0 2,444.9 2,357.9 2,414.1 4,816.4 4,824.9 4,772.0 (1.3) (△0.9) (△0.9) (△1.3) (△3.5) (0.2) (△1.1) 19.4 22.9 19.0 22.3 40.4 42.3 41.4 (10.5) (0.2) (△1.8) (△2.4) (△7.5) (4.7) (△2.1) 13.9 16.2 13.8 16.1 29.6 30.1 29.8 (4.1) (△0.7) (△1.0) (△0.7) (△3.7) (1.4) (△0.9) 5.5 6.7 5.3 6.3 10.7 12.2 11.6 (31.1) (2.5) (△3.6) (△6.5) (△16.5) (13.6) (△5.2) 2,182.6 2,235.3 2,164.0 2,208.5 4,414.2 4,417.9 4,372.5 (1.1) (△0.9) (△0.9) (△1.2) (△3.7) (0.1) (△1.0) 1,557.0 1,564.4 1,550.8 1,562.5 3,101.1 3,121.4 3,113.3 (2.0) (△0.6) (△0.4) (△0.1) (△0.6) (0.7) (△0.3) 625.6 670.9 613.2 646.0 1,313.0 1,296.5 1,259.2 (△0.9) (△1.6) (△2.0) (△3.7) (△10.2) (△1.3) (△2.9) 177.6 186.3 174.5 182.8 361.0 363.9 357.3 (1.8) (△0.1) (△1.8) (△1.9) (△1.6) (0.8) (△1.8) 0.444 0.456 0.442 0.457 0.896 0.900 0.899 (1.6) (△0.6) (△0.4) (0.3) (△4.8) (0.5) (△0.1) 上期下期上期下期 鉄道 自動車 内航海運 国内航空 営業用 自家用 J  �
� その他 単位:百万トン、( )内は対前年同期比増減率(%) 注)1.原系列。
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押�2011 年10-12月期まで実績値。
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