ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2013年3号
特集
第3部 輸送の見える化 クラウド型の可視化システムで荷主支援──東陽倉庫

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

MARCH 2013  32 問い合わせへの対応業務に忙殺  東陽倉庫は中部圏を地盤とする中堅物流企業 だ。
二〇一二年三月期の売上高は約二〇四億円に 上る。
同社は昨年五月、国際貨物の可視化システ ムを稼働させ、既存荷主に対して提供を開始した。
荷主がインターネット上の専用画面で自分の貨物を 検索すれば、現在の位置やステータス情報を確認す ることができる。
 「船への積み込みは終わったか、現地での通関は 通ったかなど物流の進捗状況を掴むことで、荷主 は適正な在庫管理や製品供給に繋げることが可能 になる」と若山英二執行役員情報システム部長は 説明する。
 当初は日中間、日米間の輸送貨物で同サービス を導入していたが、スタートから三カ月後の昨年八 月には日本・タイ間の貨物もトレースできる体制を 整えた。
今後はインドネシアを始めとする東南アジ アなど、需要の高いエリアで随時導入していく方 針だ。
 東陽倉庫がこの可視化サービスを開始した背景 には、国際貨物の取扱量拡大がある。
同社は経営 の重点施策の一つとして「グローバル業務の強化」 を掲げ、この数年、海外拠点の拡充を推進してい る。
一〇年十二月に上海、一二年三月にタイで現 地法人を立ち上げたほか、今年六月にはミャンマ ー支店の開設も予定している。
今後も東アジアや 東南アジアを中心に、グローバルネットワークの強 化を図っていく方針を固めている。
 並行して、日本と現地あるいは三国間の輸送をド ア・ツー・ドアで一括受託する「国際複合一貫輸 送サービス」を荷主にアピールしてきた。
それまで の東陽倉庫の国 際貨物関係の事 業領域は、名古 屋港をベースと した日本におけ る輸出入がメー ンだった。
しかし、それだけでは拡がりが望めな いと判断。
整備しつつある海外拠点などを武器に、 現地までの一貫物流を取り込む姿勢を鮮明に打ち 出した。
 この施策が功を奏し、同社の国際貨物量は順調 に拡大してきた。
ただし、それに伴って新たな課 題も浮上した。
国際複合一貫輸送を受託している 大口荷主から、貨物ステータスの問い合わせを頻繁 に受けるようになったのだ。
「荷物は今どこにある のか」「現地の通関は切れたのか」「時間通りに納 品先に届くのか」。
このような声が、複数の荷主か らほぼ毎日、多いときは一日一五件以上も寄せら れた。
 東陽倉庫が自ら荷扱いをしている日本国内の荷 物ステータスであれば、データ上ですぐに確認し、 返答することができる。
しかし、問い合わせの対 象は通関や海上輸送、現地での陸上輸送などがほ とんどで、そのオペレーションと情報管理は協力物 流会社や代理店に委託している。
当然、元請け的 な立場にある東陽倉庫がそれぞれの企業に電話や メールで状況を確認し、その結果を荷主に伝える 必要がある。
 青山章輸出部長は「すぐに情報を掴めれば良い が、時差や商慣習の違いなどが障壁になり、状況 把握が進まない場合が往々にしてある。
正確な情 報を集めて回答するまでに時間が掛かり、荷主か クラウド型の可視化システムで荷主支援 ──東陽倉庫  「荷物は今どこにあるのか」「現地の通関は通ったのか」「時 間通りに届くのか」──。
国際貨物の増加に伴い、荷主か らの問い合わせ業務に追われるようになった。
担当者はメー ルや電話で情報把握に奔走するが、荷主へのレスポンスは どうしても遅くなる。
クラウド型の可視化システムを導入 することで、問題の解決を図った。
       (石鍋圭) 若山英二執行役員 情報システム部長 第3部 輸送の見える化 33  MARCH 2013 らのお叱りを招いてしまうこともあった。
また荷 主からの問い合わせに対応する社員は、事態が解 決するまでその案件に掛かり切りになる。
結果的 に他の業務にも支障を来す。
当社に掛かる負荷も 相当なものだった」と振り返る。
 この状況を打開すべく、一一年中旬から国際貨 物の可視化システムの構築を社内で検討し始めた。
情報システム部、輸出部、国際複合輸送課から計 七人のスタッフを選出し、システムの概要や要件、 自社開発か既存パッケージの活用か、などをゼロベ ースから詰めていった。
早期のスモールスタートを優先  付き合いのあるシステムベンダー三社と個別 に面談した結果、NECが提供する「NeoSarf/ Logistics」を採用することを決めた。
国際輸送の可 視化を支援するSaaS型のクラウドサービスだ。
 東陽倉庫は本来、システムに関しては自社開発を 基本スタンスに据えている。
WMS(倉庫管理シス テム)を始めとする同社のシステムは、これまで全 て自社開発によって構築されてきた。
アウトソーシ ングに頼らず、自ら設計・構築した方が、荷主の 細かなニーズに柔軟性を持って応えられるという理 念が根底にあるからだ。
コストに関しても、Sa aS型はスタート時こそ安価で済むが、その後のラ ンニング費用を考えれば五年程度で逆転されるとい う認識を持っている。
 今回はその基本スタンスを捨て、初めてクラウド サービスを採用した。
その理由を若山執行役員は 次のように説明する。
 「一つは、導入までの期間をできる限り短く済ま せたかったことにある。
荷主のグローバル対応は 待った無しで進んでいる。
開発に長い時間を掛け るわけにはいかなかった。
二つ目は、今回の目的 は比較的Saa S 型に向いてい ると判断したこ と。
荷主にウェブ 上で荷物情報を 確認してもらう だけなので、そこまで複雑な作り込みは必要ない。
当社の基幹システムとのデータ連係に問題が無いの であれば、ベンダーが構築したパッケージを活用し た方が合理的だと考えた」  
裡釘辰東陽倉庫の要望に柔軟に対応したこと も大きいという。
いくら型の決まったクラウドサー ビスとは言え、新機能の追加など東陽倉庫向けに カスタマイズして欲しい点がいくつかあった。
それ に積極的に応じる姿勢を評価した。
実際、検索キ ーの追加や書類ダウンロード機能など、独自の付加 価値が実現している。
 一一年末からデータ連係や要件設定などの作り 込みを経て、昨年五月からサービスを本格的に開 始した。
稼働から約九カ月が経過したが、これま で運用上の問題も無く、荷主からも高評価を得て いるという。
 同時に、東陽倉庫に掛かっていた問い合わせ対 応業務の負荷も激減した。
昨年、中国との間に尖 閣諸島の問題が発生して現地の通関が混乱に陥っ た時でさえ、荷主からの問い合わせは限定的だっ た。
 東陽倉庫はこの可視化サービスを提供すること で、システム使用料などを荷主に請求するつもり はない。
それよりも、物量維持や拡大のためのツ ールとして位置付けている。
 青山部長は「今はまだ既存荷主への提供に留ま っているが、今後はこの可視化サービスを武器に 新規荷主の拡大にも力を入れる。
現在のサービス提 供先は約一〇社だが、これを三〇社程度にまで広 げていきたい。
当社のグローバルネットワークと組 み合わせることで、高い品質のサービスを実現でき るはずだ」と意気込みを語る。
青山章輸出部長 物流総合クラウドサービス NeoSarf / Logistics ●各社が持つモノの流れの情報を連携 ●グローバルなモノの流れをタイムリーに把握 物流可視化基盤 貨物追跡イベント管理可視化アラート管理KPI オーダー管理 輸送オーダー 受付 輸送データ 登録 イベント 情報登録 完了情報 登録 倉庫管理 ソリューション 配送計画支援 ソリューション 輸送トレース管理輸出入管理 輸出入書類作成 輸出入書類参照 外部システム 荷主オーダーNo. INV・PL・SI INV 納品書NO. BL 発地 倉庫 週間 CY 海/空 CY 通関 倉庫 納地 発荷主 輸送 事業者 倉庫事業者 (輸出) 運賃事業者船会社輸入事業者(輸入) 着荷主 特集 物流の 見える化 最新版

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