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APRIL 2013 34
《九州》生産集約進むも市況に響かず
震災や原発事故を受け、企業がリスク回避のために生産拠点
を九州に新設したり、既存の施設を増強したりする傾向があり、
貨物が増えている分野が見られる。 円安を追い風に、輸出が増
えている。 ただ、こうしたプラス要因も、横ばい・微減が続く
運賃相場を突き上げるほど力強い動きにはなっていない。 燃油
の上昇もまだ荷主の説得材料になるほどではなく、転嫁できる
状況からはほど遠いとの悲観的な声が出ている。
るという感じ。 ルート配送は県内一日一五〇キロ
で二万四〇〇〇円。 それはここ一五年ぐらい全
然変わっていない。 ただ、取引先では大手さん
の方が値下げの要請が強く、その場合は飲まざる
を得ないことがほとんど。
同業者に聞くと、昨年の十二月ごろから円安
効果で輸出が増えているとの話だ。 うちは冷凍食
品などが大半だが、震災後は大きく仕事が増えて、
現在はその伸びた状態で横ばい、という感じだ。
震災と原発事故を受けて、メーカーがリスク回避
のために九州に製造拠点を新設したり、九州か
らの調達を増やしたりしている影響のようだ。
(佐賀・食品物流)
●運賃は規制緩和以降、長期下落傾向にある。 今
は、二トン車で一日二万〜二万五千円程度。 ガ
ソリンの高騰分は転嫁できないので、当然自分の
利益の中で吸収するしかない。 政権が変わって株
価が上向くなど明るい話もあるが、うちの仕事に
今のところまったくプラスにはなっていない。
(大分・食品物流)
●運賃はほぼ横ばいだ。 値下げ圧力は強いが、さ
らに値下げするのであれば仕事はできないとお伝
えしている。 冷凍の十二トンで九州〜東京は片道
二五万〜三〇万円ぐらい。 小口ではない貸し切
りだと二〇万円程度。
うちは農作物が主力だが、九州内の農産物の動
きは減っている。 農家も後継者不足やビニールハ
ウスの暖房に使う燃油高騰などの影響で作付け面
積が減っているためだ。 人手不足はずっと続いて
いる。 繁忙期に傭車を頼もうと思っても集まらな
い。 人手不足で不安定なトラックを抱えている余
裕がない、陸運局の監査が厳しくなっている、と
いった理由で車を減らしているという話はあちこ
ちで聞く。 (熊本・総合物流)
●うちは冷凍や生鮮、チルド食品などがメーン。 運
賃は横ばいだ。 九州〜東京間の増トン車で二八万
〜三〇万円ぐらい。 ドライバー不足は感じていな
い。 うちはきちんと給料を支払うので、それに見
合うだけのレベルの仕事をきちんとしてくれとい
う方針。 採用に関しても、面接の際に家族も同席
してもらうなど、人間性を見極めて判断している。
長距離輸送の際はほとんどフェリーを使い、ドラ
イバーに休養を取らせるよう配慮している。 そう
いう取り組みが奏功して定着率も良く、一五年以
上働いてくれている人もいる。 (福岡・一般運送)
●運賃は景気のいい頃から下がった後の低位でここ
数年、ずっと推移している。 上がることはない。
燃油上昇はそもそも運賃に転嫁できない。
(福岡・一般運送)
●運賃は総じて横ばいが続いているが、デフレもあっ
て荷主からの値下げ圧力は厳しい。 サーチャージ
は一部で受け入れてもらっているが、全体で見れ
ば割合は小さい。 貸し切りなどコストに見合う収
益を確保できる分野に重点を移している。 ドライ
バーの人手不足や収益性、リスク管理の負担など
を考えて、長距離はかなり前から自社でやらず、
全部協力会社にお願いしている。
(福岡・総合物流)
●運賃は最初に契約した分でその後もお願いするの
が基本。 当然荷主からの値下げ圧力はあるが、交
渉の結果、何とか現状維持で理解を得ている。
(福岡・物流子会社)
●運賃は総じてほぼ横ばい圏。 九州から東京まで冷
凍車(増トン)は直荷で片道一七万〜一八万円
ぐらい、運送会社さん経由だと一六万円ぐらい。
荷主が大手さんだとそこから一〇%ぐらい引かれ
市場の声
解 説
ブロック別・この春の運賃市況
特集
35 APRIL 2013
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特別積合せ貨物の荷動き長距離フェリーのトラック輸送
(千トン) (%) (百台) (%)
2011年度
航送台数
2012年度
航送台数
2011年度
前年同月比
2011年度
前年同月比
2012年度
前年同月比2012年度
前年同月比
2011年度
輸送トン数
2012年度
輸送トン数
出所)国土交通省出所)国土交通省
2011年4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
2012年1月
2月
3月
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6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
95.1
93.9
106.0
102.7
102.3
102.5
100.1
102.6
109.1
87.9
108.4
108.3
93.1
99.3
96.0
103.7
96.4
99.5
111.3
99.1
101.6
101.6
100.9
109.0
104.0
105.8
102.7
101.0
102.7
103.0
95.7
104.4
108.4
100.6
105.6
99.4
101.7
98.4
96.7
96.2
97.0
94.2
前月比
(%)
前年同月比
(%)
一般貨物の荷動き
2012年1〜3月
4〜6月
7〜9月
10〜12月
2013年1〜3月見通し
20
20
10
13
13
26
34
27
36
33
54
46
63
51
54
74
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70
75
75
△6
△14
△17
△23
△20
国内向け出荷量の実績と見通し
出所)日通総合研究所「日通総研短観」より抜粋
出所)経済産業省
出所)国土交通省
景況感一覧
宅配貨物 宅配以外 一般貨物
11年
1〜3月
11年
4〜6月
11年
7〜9月
11年
10〜12月
12年
1〜3月
12年
4〜6月
12年
7〜9月
12年
10〜12月
13年
1〜3月(見通し)
特積貨物雇用関連総合計
出所)全日本トラック協会
判断指標
矢印
… -100 … -60 … -20 … +20 … +60 … +100 …
貨物車両数推移(両)
82,045
81,945
81,831
81,789
81,740
81,747
81,782
81,725
81,774
81,736
81,789
81,790
81,796
81,707
81,663
81,555
81,520
81,676
81,559
81,596
81,612
5,296
5,290
5,283
5,281
5,304
5,305
5,314
5,297
5,313
5,305
5,294
5,292
5,310
5,298
5,322
5,317
5,313
5,318
5,291
5,310
5,303
16,655
16,656
16,704
16,723
16,733
16,756
16,791
16,815
16,791
16,779
16,891
16,893
16,874
16,859
16,886
16,890
16,921
16,996
16,984
17,026
17,055
普通貨物小型
四輪貨物被けん引車
※すべて営業用
出所)国土交通省
時期荷動き
指数回答社数
構成比(%)
増加横ばい減少
鉱工業生産指数推移(2005 年=100)
110.0
108.0
106.0
104.0
102.0
100.0
98.0
96.0
94.0 12年
1
月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10
月
11
月
12
月
13
年1月
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