ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2013年5号
メディア批評
メディアが報じない黒い噂のスポンサー単なる野球のヒーローではない長嶋茂雄

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

佐高 信 経済評論家 MAY 2013  68  まさに「悪い冗談」としか言いようのな い四月一日の国民栄誉賞の発表である。
長 嶋茂雄と松井秀喜へのダブル受賞というの だが、たとえば四月三日付の『夕刊フジ』で、 テリー伊藤は発表の前に安倍首相から直々に、  「テリーさんは長嶋さんの大ファンだから、 お知らせします」  と電話をもらったと言い、びっくりした と同時に嬉しかった、と告白している。
 漫画家のやくみつるや黒鉄ヒロシも、  「受賞は万人の気持ちが一致するところ」  「反対する人は一人もいないでしょう」と 手放しである。
 しかし、私は多大の違和感をおぼえた。
どうも私は「万人」の中に入っていないらしい。
 松井より野茂英雄ではないかとか、張本 勲や野村克也はどうするのかといった問題 もあるが、長嶋には以前から黒い噂の絶え ないスポンサーがついていた。
確か、長嶋夫 妻の仲人もやった東日貿易社長、久保正雄 である。
久保はインドネシアへの賠償汚職に からんで、スカルノ大統領に根本七保子こと、 のちのデヴィ夫人を世話した政商であり、久 保がバックアップしていた長嶋は単なる野球 のヒーローではない。
 無色透明の国民的英雄ではなく、甲高い 声で、社会党政権になったらプロ野球がで きなくなるから困る、と短絡的なことを言 う?困ったちゃん?なのである。
 テリーもやくも黒鉄も、それを知らない のだろうか。
知っていても、そんなことは どうでもいいのだ、と目をつむりたいのか。
 かつて私は『噂の真相』に連載した「タ レント文化人筆刀両断!」で長嶋を取り上げ、 おかしいと書いた。
要約して紹介しよう。
 歴代首相や多くの無責任財界人が師と仰 いだ安岡正篤という人がいた。
最晩年に占 いの細木数子と浮名を流して話題を呼んだが、 三島由紀夫も敬慕していた漢学者とも右翼 思想家ともつかぬ?御意見番?である。
 『黙』の二〇〇〇年一月号によれば、長嶋 は「安岡先生の書物を読むようになってから、 生きざまが変わり」、一週間から一〇日のロ ードに出る時は、「安岡先生のご本をいつも、 最低三冊はバッグに入れていく」のだという。
 ほとんどアタマは空っぽで、感性だけで動 くというイメージのチョーさんが巨人軍の監 督になって理論派への変身を図ったのか。
 最もコッケイだったのは次のエピソード。
 一九九九年のキャンプで清原和博が自打 球で骨折した時、長嶋はそのギブスの包帯に、 「失意泰然」と書いたというのである。
 安岡の本に出てくる「六然」から採った のだと思うが、清原はそれをありがたがっ たかどうか‥‥。
「男子の本懐」と名づけら れた『黙』の「渾身の人生論」で長嶋は、「お 客様は神様です」という三波春夫の言葉は プロとしての本心だと語っている。
 しかし、そのファンの気持ちを自らが指示 して裏切ったのが上原浩治のペタジーニ敬遠 事件ではなかったか。
相手が松井を歩かせ たから、こちらも歩かせたのだというが、「お 客様は神様です」と言うなら、それでも勝 負させるべきだったろう。
 「上原の涙もマスコミは興味本位で論評 していますが、内情はそういうことでした。
だって人間はやっぱり一人では生きられませ んものね」  チーム事情を優先させたことについて、 長嶋はこう弁明しているが、読売の老害ド ンのナベツネと同じように、長嶋のアタマの 中にも、ファンのことはもちろん、プロ野 球の未来などまったく入っていない。
 九八年にお情けで留任した長嶋は、九九 年に優勝できなかったのに監督をやめなかっ た。
そのかわりに部下が責任を取らされている。
 「みんなが喜ぶ」とか、「誰も反対しない」 という声を伝えずに、メディアはせめて長嶋 の黒幕のことも書くべきではないか。
メディアが報じない黒い噂のスポンサー 単なる野球のヒーローではない長嶋茂雄

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