ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2013年5号
物流指標を読む
第53回 アベノミクスは荷動き回復をもたらすか 「日銀短観」日本銀行「企業物流短期動向調査」日通総合研究所

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

  物流指標を読む 第1 回 MAY 2013  72 アベノミクスは荷動き回復をもたらすか 第53 ●安倍政権の大胆な金融緩和策は順調な滑り出し ●荷動き指数は改善基調も依然マイナス水準続く ●次回調査結果でプラス転換するか否かに要注目 さとう のぶひろ 1964 年 生まれ。
早稲田大学大学院修 了。
89年に日通総合研究所 入社。
現在、経済研究部担当 部長。
「経済と貨物輸送量の見 通し」、「日通総研短観」など を担当。
貨物輸送の将来展望 に関する著書、講演多数。
リフレ派 VS 反リフレ派  昨年末以来、「アベノミクス」という言葉を聞か ない日はないと言っても過言ではない。
仮にアベ ノミクスがうまく機能し、日本経済が大きく浮揚 することになれば、今年の流行語大賞はこれで決 まりではないか。
 また、アベノミクスと併せて最近よく耳にする のが「リフレ」という言葉である。
「リフレーショ ン」(reflation)の略称であり、「デフレーションか らは脱却したが、本格的なインフレーションには達 していない、比較的安定した景気拡大期のこと」 を指す。
「通貨の再膨張」とも訳されるそうだ。
 実は正直なところ、筆者は学生時代、この言葉 を一度も耳にしたことがなく、最近できた造語か と思っていたら、かなり古い国語辞典にも載って おり、とんでもない勘違いであることが判明した。
たとえば「新潮国語辞典」(久松潜一監修、一九六 五年十一月三〇日発行)では、「不況の場合、激し いインフレーションにならない限度において、計画 的に通貨をふやし、景気の回復をはかること。
統 制インフレーション」と説明されている。
すなわち、 筆者が生まれたころに発行された国語辞典にも載 っている一般的な言葉だったということだ。
筆者 の不勉強ぶりを改めて認識した次第である。
 さて、緩やかなインフレ政策を継続することによ り経済の安定成長を図るべきと主張する一派、い わゆる「リフレ派」という人たちがいる。
その代 表格といえば、アベノミクスの生みの親とも言わ れる浜田宏一・イェール大学名誉教授、日本銀行 の黒田東彦総裁、岩田規久男副総裁、一時は日 銀総裁候補の最右翼と言われた岩田一政・日本経 済研究センター理事長など。
マスコミによく登場 される方々では、高橋洋一・嘉悦大学教授、森永 卓郎・獨協大学教授、経済評論家の三橋貴明氏 など。
また米国では、ベン・バーナンキFRB議 長、ポール・クルーグマン・プリンストン大学教 授、ジョセフ・E・スティグリッツ・コロンビア 大学教授など、実に錚々たる顔ぶれだ。
 リフレ派は、わが国が長らく陥っているデフレ不 況を脱するために、インフレ目標値を設定した上 で、量的金融緩和や日銀の国債引き受け、ゼロ金 利政策の継続など、主に金融政策を重視する立場 を取る。
 一方、反リフレ派と言われる人たちも多い。
野 口悠紀雄・一橋大学名誉教授、経済評論家の池 田信夫氏、小幡績・慶應義塾大学大学院准教授、 経済コラムニストの小笠原誠治氏など。
 また、マスコミはどちらかと言えば、リフレ政 策に批判的なところが多いように思う。
たとえば、 筆者が四半世紀にわたって愛読している日刊ゲン ダイでは、連日、リフレ政策やアベノミクスに対す る批判記事のオンパレードだ。
もっとも昨年までは、 日刊ゲンダイも、日銀による金融緩和策は不十分 だと主張していて、高橋洋一氏、森永卓郎氏、三 橋貴明氏なども頻繁にコメントを寄せていた。
し かし、安倍政権の復活が確実になった昨年末ごろ から、反リフレ派に一八〇度方向を転換し、いつ しか高橋氏なども紙面から消えてしまった(注: 森永氏だけは、「自腹で昼めし日記」なるコラムを 連載していた)。
 日刊ゲンダイの場合は、リフレ政策が正しいのか 「日銀短観」日本銀行 「企業物流短期動向調査」日通総合研究所 73  MAY 2013 本を出版し、テレビの討論番組でお互いに口角泡 を飛ばしているが、どちらの主張が正しいのだろ うか。
冒頭でも書いたように、筆者は最近までリ フレという言葉すら知らなかったので、正否を判 定する能力もなければ資格もない。
あくまでも外 野席からの意見として言わせてもらうと、現在の ところはリフレ派が優勢のようだ。
生産財の荷動きは大幅改善  日本銀行は、四月四日の金融政策決定会合に おいて、新たな金融緩和の枠組みとして「量的・ 質的金融緩和」の導入を決定した。
これを受けて、 本稿を執筆している四月上旬現在、日経平均株価 は一万三〇〇〇円台を回復しており、金融セクタ ーは活気づいている。
 以上のように、アベノミクスを構成する三本の矢 (大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資 を喚起する成長戦略)のうち、大胆な金融政策は 順調に滑り出した格好である。
ただし、アベノミ クスの効果が実体経済に波及するには、まだ少々 時間を要しそうだ。
 「日銀短観」(三月調査)によると、大企業・製 造業における業況判断DIはマイナス八と、前回 (昨年十二月調査)より四ポイントの改善にとどま っている。
また、三カ月後の先行きについてもマ イナス一と、改善の動きは続くものの、依然とし て水面下の推移が見込まれている。
 また、大企業・製造業における一三年度計画の 設備投資額(注:含む土地投資額)は、前年度比 マイナス〇・七%と低調だ。
もっとも、想定して いる為替レートは回答企業平均で一ドル=八五・ 二二円と、足元に比べてかなりの円高水準であり (注:本稿執筆時点で、東京外為市場では九九円 台)、次回調査において設備投資計画が上方修正 される可能性が高い。
なぜならば、このような円 安水準が続けば、海外移転を予定していた企業が 日本国内に踏みとどまり、その結果、国内におけ る設備投資が増加すると考えられるからだ。
 「企業物流短期動向調査」(三月調査)において も、一三年一〜三月の国内向け出荷量『荷動き指 数』はマイナス二五と、前期(一二年一〇〜十二 月)実績より二ポイント低下した。
一方、四〜六 月見通しでは、十一ポイント上昇してマイナス一四 まで戻す見通しである。
このように、荷動きには 改善の兆しがうかがえるものの、引き続きマイナ ス水準にとどまっている。
 業種別に一〜三月実績および四〜六月見通しの 動向を見ると、化学・プラスチックがマイナス三〇 ⇒マイナス五、窯業・土石がマイナス一四⇒プラ ス十一、鉄鋼・非鉄がマイナス四〇⇒マイナス一 九、金属製品がマイナス三七⇒マイナス二四とな っており、景気の変動に対して比較的敏感に反応 すると考えられる生産財については、荷動きに大 幅な改善が見られる。
その一方で、機械類につい ては改善の動きが鈍いが、円安水準が定着し、輸 出が回復するとともに設備投資も持ち直していく につれ、徐々に上向いていく可能性が高い。
 次回の六月調査において、国内向け出荷量『荷 動き指数』がさらに上昇し、プラス水準まで浮上 するようであれば、荷動きならびに国内景気の回 復を実感できるかもしれない。
従って、日銀短観 ともども次回調査結果は要注目である。
どうかは全くどうでもよいことで、単に自民党・ 安倍政権が嫌いなだけであるから、正確には純粋 な反リフレ派というわけではない。
まあ、嫁の箸 の上げ下ろしにもとやかくケチを付ける小姑のよ うなものだ。
 最近、リフレ派、反リフレ派がそれぞれ多くの 『荷動き指数』の推移 荷動き指数 20 10 0 -10 -20 -30 -40 -50 -60 -70 ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? 2009 2010 2011 2012 2013 △56 △28 △21 △7 △7 △5 △15 △23 △25 6 7 3 1 14 15 △61 △38 △15 △8 △4 5 △10 △12 △7 △3 △16 △26 △14 0 1 13 実績 見通し

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