ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2004年4号
現場改善
チェーンストアY社のスピード改革

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

事例で学ぶ 現場改善 日本ロジファクトリー 代表 青木正一 APRIL 2004 76 トップダウンの現場改善 Y社は首都圏に八店舗をドミナント展開して いる総合ディスカウントストアだ。
約一万三〇 〇〇のアイテムを扱い、品揃えと安さで顧客の 支持を得ている。
Y社は当社がコンサルティン グに入る三年前にも全社的な物流改革を実施し ていた。
マテハンメーカーの主導で、外部の物 流コンサルタントも使った本格的な取り組みだ ったが、期待したような成果を上げることがで きなかった。
これを教訓として改めて第二次物流改革を進 めることになった。
社内のプロジェクトチームと 当社のほか、もう一社、当社とは別のコンサル ティング会社も活動に加わった。
私はコンサル タント歴一五年になるが、テーマの違うコンサ ルタント会社が複数入ることはあっても、物流 という同一テーマで二つのコンサルティング会 社を並行して活用するというケースは初めてだ った。
改革に対するY社の意気込みを感じた。
社内プロジェクトメンバーの選抜にもそれは 表れていた。
仕入れ・商品・店舗・物流センタ ー・情報システムの各部門から、現場の第一線 にいる課長代理クラスの若手のホープをメンバ ーに引き抜いていた。
こうした人選からY社の 現場を重視する姿勢を窺うこともできた。
実際、Y社の社長や専務の現場認識と物流ノ ウハウの高さには舌を巻いた。
その後の活動で も、よく現場を掌握している経営陣と、現場第 一線の若手との具体的な改善方法や解決策のや りとりは、まさに「全社一丸」と呼ぶに相応し いものであった。
改革プロジェクトの基本的な流れは、コンサ ルティング会社二社と社内プロジェクトチーム の三つの組織が共同で現状の調査・診断を行っ た上で、三カ月後に物流改革案をトップに提示 するというものであった。
もっとも、Y社は正 式にプロジェクトを開始する以前の、我々コン サルタント会社が営業プレゼンテーションを行 っていた段階から既に次のような改革に着手していた。
a . 通路別納品(売り場) b . 運行スケジュールの変更(配送) c . センターでの出荷・入荷バースの変更(荷 受・配送) d . 自動発注ルールの改善(発注) e . ピッキング動線の改善(出荷) f . 「緊急商品」のマーキング(店舗荷受場) g . 単品スキャンの徹底(入荷検品) 順に説明する。
まず「a . 通路別納品」につい て。
それまでY社ではセンターから店舗に供給 された商品を、到着順に陳列するという形をと 第16回 中堅ディスカウントストアのY社は、物流改善プロジェクトを実施するに当た って、二つのコンサルティング会社を同時に利用した。
異例のことだが、結果は 正解だった。
Y社はスタイルの違う両コンサルティング会社から多くのノウハウ を吸収できた上、改革のスピードも速まった。
チェーンストアY社のスピード改革 77 APRIL 2004 ンター内作業を調査したところ、少量多頻度の 出荷作業の負担が大きく、作業を長時間化させ ている元凶になっていることが分かった。
そこで 売り場での欠品が発生しないことを大前提とし て、バッチ処理の回数を減らした。
これによっ て店舗側でも陳列作業を集中的に行うことがで きるようになった。
「e . ピッキング動線の改善」もセンターの改 善としては、基本的なテーマであった。
センタ ーのピッキング作業の動線が一方通行のジクザ グになっていた。
ピッキング開始地点と終了地 点を結ぶ動線がU字型になるように保管レイア ウトを変更した。
これによって大幅な作業効率 の向上が実現できた。
Y社に限らず、マテハンを中心にセンターの オペレーションを設計したセンターに、こうした 動線のムダはよく見られる。
マテハン設備の動 きと配置を重視する余り、人の動きに対する基 本的な配慮が欠落してしまっているのである。
「f . 緊急商品のマーキング」は、Y社の社長 の提案だった。
店舗からの「緊急商品」には、そ れと分かる印をつける。
具体的にはオリコンに 赤のテープを張る、というシンプルな方法だが、 気づきと知恵の改善と言えるであろう。
現場ス タッフ、特に出荷スタッフが「緊急」の認識を 持って作業に当たるようになった。
「g . 単品スキャンの徹底」は、検品作業を担当 するパート社員の作業ルールの問題だった。
セ ンターではハンディターミナルで商品バーコード を一つひとつ読み込むスキャン検品を行ってい る。
しかし、同じ商品が複数ある場合に、一つ の商品をスキャンして、後は個数を手入力して いるパート社員が少なくなかった。
そのため実 際の入荷数と差異が生じていた。
同じ商品でも 一つずつスキャンするルールを徹底した。
プロジェクトが本格的に開始される以前に着 手していた改善項目は以上のような内容であっ た。
実はこれらの改善の大半はY社の社長・専 務のトップダウンによるものだった。
その後のプロジェクト活動でも、社長・専務 はミーティングに直接参加することはしなかっ たものの、我々コンサルタントのプレゼンテーシ ョンやPJのキックオフミーティング、中間報 告、社内PJミーティングの報告など、節目と なる場所には必ず姿を現し、議論に注意深く耳 を傾けて、その場で的確な指示を出していた。
「物流改革はトップダウン」と再確認させられる 場面だった。
在庫管理部の発足に賛否両論 プロジェクト開始から中間報告までは、約二 カ月間をかけた。
その後も我々コンサルタント と社内プロジェクトメンバーは週一回のペース でミーティングを行った。
このミーティングは双 方にとって非常に有意義なものとなった。
Y社 のプロジェクトチームにとっては最終的に経営 陣に提案する改革案を検証し、すぐに実施に取 りかかれるレベルまで練り上げるための手助け となった。
当社にとっても、当事者の意見を聞 くことで、より現場のニーズにあった改革手法 を選択することができた。
こうした合同ミーティングを一カ月間計四回 行った。
そして最終報告で提案した大テーマは 以下のとおりである。
っていた。
そのため店舗のどこかで一日中、陳 列作業が行われている状態で、来客者の購買活 動を阻害してしまうことが少なくなかった。
加 えて店員は陳列をしながら接客する必要も出て くるため、陳列作業の能率が上がらず、店舗バ ックヤードに滞りを発生させていた。
そこで、店舗のレイアウトに沿って通路別に 納品する体制に切り替えた。
この通路別納品の 導入により、店舗では特定通路に集中して陳列 作業ができるようになり、作業効率が向上。
店 舗のバックヤードの滞りを解消した。
同時に円 滑な接客が可能となった。
「b . 運行スケジュールの変更」は、センター 側と店舗側の納品時間の設定と伝達に差が生じ ていたことから抽出した。
店舗毎に三〇分単位 の納品時間を設定し、比較的客数の少ないアイ ドルタイムに納品トラックが到着するようにス ケジュールの組み直しを行った。
「c . センターでの出荷・入荷バースの変更」 は、比較的実施の容易なテーマであった。
Y社 のセンターは車両への積み卸しを行うバースが 建物の片側だけにある構造になっていた。
その ため出荷車両と到着車両がかち合って混雑する ことが多かった。
具体的には店舗配送の出荷バ ースがプラットホームの一番奥に設置されてい たため、大型車両の入荷があった場合、スムー スに出発できないという事態が生じていた。
そ こで出荷バースと入荷バースの位置を入れ替え た。
「d . 自動発注ルールの改善」では、店舗側で の陳列作業を簡素化させるために発注のバッチ 数を減らし、一回当りの納品数を多くした。
セ APRIL 2004 78 1 . 在庫商品の見直し 2 . 店舗発注と補給陳列作業の改善 3 . 入荷・入荷検品の改善 4 . 保管、ピッキング、仕分けの改善 5 . 直納品の納入形態の変更 6 . 店舗配送の見直し 7 . 物流管理指標の設定 8 . 評価基準の見直し 9 . 取引先との取り組みの強化 「1 . 在庫商品の見直し」の内容は、?店舗商品 改廃基準の見直し、?Y社のセンターで一定量 の在庫を保有するDC商品と、在庫を持たない TC商品の区分の見直し、?在庫管理部(在庫 アナリスト)の発足である。
このうち最も大きな議論になったのが「在庫 管理部(在庫アナリスト)の発足」であった。
実 際、在庫管理部の創設は様々な企業で試されて はいるものの定着はままならない状況である。
そ の原因として、在庫管理部の役割がいわゆる横 割りで、組織の業務範囲を明確するのが難しい こと、また在庫管理部のスタッフに求められる 適性を持った人材が見つけにくいことなどが挙 げられる。
以下にその適性の一部を表す。
イ . (できれば)仕入れ、売場、センター等商品 の通過する全ポジションの職務経験がある人 ロ . イの代替案としてそれに準ずる知識と現場掌 握ができている人 ハ . データ加工、分析力のある人 ニ . 現場至上主義でデータを疑い、検証できる人 ホ . 部門間を越えたコミュニケーション力と進言 ができる人 ヘ . 執行管理能力の高い人 加えて組織の問題もある。
通常、在庫管理部 は商品部や物流部に属されることが多い。
しか し、在庫は仕入れ、店舗、商品、物流、情報シ ステムといった商材の流れ全てと連動する。
そ れらの縦割り組織に対して中立的で、かつ対等 な発言力を保証するだけの権限と責任を持たせ なければならないのである。
議論を呼ぶのも当 然と言えた。
この点は現在も検討中である。
フローラックは不採用、DPSは採用 「2 . 店舗発注と補給陳列作業の改善」は、?販 売数と陳列数に合わせた発注基準の設定、?部 門別の発注頻度と時間の設定、?自動補給指示 の平準化という取り組みによって構成される。
このうち?の「部門別発注頻度と時間の設定」 では、店舗側に画期的な成果をもたらした。
カ テゴリー、売場通路、棚数、アイテム数から、そ れに対する補給回数を算出し、アイテム別の発 注点を割り出した。
その結果を先に改善済みで あった通路別の商品陳列と組み合わせることに よって、通路ごとに陳列時間までの在庫数を設 定。
過剰在庫の発生を阻止することができた。
「3 . 入荷・入荷検品の改善」の内容は、?納入 台数のコントロール、?入荷バースのレイアウ ト変更、?作業フローの改善、?検品の改善、? 入荷検品精度の向上である。
Y社の仕入れ先は二〇〇〇社近くに上り、中 小零細企業も少なくない。
請求書の内容と実際 に納品された商品が違うといった誤納品の問題 には長年頭を痛めてきた。
そのためマテハン機 器を活用した納品精度の向上に従来から取り組 んでいた。
その一つが商品の重さを測って納品 内容を確認する重量検品システムだった。
セン ターに納品される全ての商品に同システムを適 用していた。
しかし、重量検品は加工食品や日用雑貨品な ど、全く同じ規格で大量生産された商品の検品 には効果的であるものの、サイズや商品による 重量差の少ないアパレル製品などには適してい ない。
そこで重量検品に適さない商品だけスキ ャン検品に切り替えることにした。
これにより 入荷検品後の作業フローは変更を余儀なくされ たが、大きな混乱は生じなかった。
「4 . 保管、ピッキング、仕分けの改善」の狙 いは、?ピッキング効率の向上、?ピッキング精度の向上、?棚入れ作業の効率化、?保管、 ピッキング機器の改善、?梱包方法の改善、? その他である。
最も議論を博したのは機器の改善の部分であ った。
先入れ先出しを重視する我々は新たにフ ローラックの導入を強く勧めた。
しかしY社の 社長は、一般的な中量ラックを有効活用するこ とを望んだ。
実はY社では過去にフローラック を導入したものの、うまく使い切れなかったと いう失敗経験があった。
最終的にはY社の意見に譲ることになった。
確 かにフローラックはピッキングしやすいというメ リットがあるが、一般ラックより広いスペースを 要する。
そして一般のラックが一台平均一万円 79 APRIL 2004 前後であるのに対し、フローラックは一台平均 五万円と割高だ。
保管効率、投資効率を重視す ることにした。
次にY社が関心を示したのがデジタルピッキ ングシステム(DPS)の提案と、そのロケー ションレイアウトであった(図1)。
Aランクの 商品のみをDPSとし、ゾーンレイアウトで運 用するというものだ。
DPSの導入により、十 二人の人員が削減できるというシミュレーショ ン結果も出ていた。
これについては、現在前向 きな検討に入っている。
その他のポイントとしては、ピッキングミスの 削減を目的とした「カラーコントロール」の導 入があげられる。
ピッカーに対して、要注意商 品や破損しやすい商品に対する注意をうながす ために、ロケーションカードや棚箱の色に変化 をつけたのである。
参考までに人間工学による と、人間が識別しやすい基準は(1)色(2) 記号(マーク・図柄)(3)数字(3ケタ)(4) 文字の順だという。
私は常々、「理想のセンターは店舗である」と 考えている。
通路幅、建物内の明るさ、上記の ような識別表示等々、いずれも店舗レベルに近 づけることで、より良いセンターになっていく。
もちろんコストが課題になるため、全てを店舗 レベルに近づけることは難しいだろうが、改善 のヒントは大いにある。
納品時間帯を整理 「5 . 直納品の納入形態の変更」の内容は仕入先 への納入形態変更の働きかけである。
後でも触 れるが、Y社は仕入先ごとにバラバラな納品形 態をそのまま受け入れていた。
店舗でもセンタ ーからはオリコンで納品されるに対して、ベンダ ーから直接納品される分に関してはケース、オ リコン、その他と統一されてなかった。
我々は当初、納品形態をオリコンに統一する 方向で店舗側と擦り合わせを行った。
しかし現 場サイドでは直納品がオリコン納品となった場 合、むしろ検品に時間を取られてしまうという 反論があった。
そこで再度検証したが、確かに オリコンへの統一は店舗側に負担がかかるため 適さないと納得できた。
「6 . 店舗配送の見直し」の内容をまとめると 以下の通りである。
?配送運賃契約体系の見直 し、?納品時間の予測による店舗物流の円滑化、 ?積み込み検品の精度向上である。
家具、パソコンなど大型商品を扱う小売業で は宅配サービスが定着している。
同様にY社も 物流子会社を通じて宅配サービスを行っていた。
しかし、そのコストは相場とは大きく乖離し、高 い料金体系となっていた。
そこで市場のプライ スリーダー企業の料金を参考に見直しを行った。
運送原価を算出し、物流子会社への支払物流費 にメスを入れた。
店舗納品作業をスムーズにするために、納品 トラックの到着時間を店舗側で把握できる仕組 みも作っている。
オリコンの店舗ラベルに車両 ナンバー情報を追加。
車両出発時にドライバー がセンター管理端末の「出発」キーを叩く。
こ れによって、どの車両にどの商品が積まれてい るかを検索できるようにするのである。
これには 情報システムの変更と現場運営ルールの変更が 伴うため、現在、仕組みを構築中である。
またセンターを経由せず、仕入先から直接店 舗に納品される商品の受け入れ体制も修正した。
これまでは納品時間を一四:〇〇.一六:〇〇 までのアイドルタイム二時間と定めていただけ で、仕入先ごとの納品時間がコントロールでき ていなかった。
これを改めアイドルタイムを複数 の時間帯に分け「仕入先別時間帯納品」を導入 した。
Aランク商品納品の時間による偏りを防 止し、店舗スタッフの陳列作業の負担を軽減さ せたのである。
パート活用の原則 「7 . 物流管理指標の設定」の内容は、?物流コ スト表による改善効果の追跡、?物流効率指標 の設定と運用、?物流品質指標の設定と運用で ある。
Y社にとって、トータル物流コストの算出は 初めてのことだった。
同社以外にも、物流改善 は行っているけれど、トータル物流コストを算 図1 
腺贈段析による「歩かせない」ピッキング ラック ラック ラック ラック ピッキング動線 DPS(Aランク商品) DPS(Aランク商品) Bランク商品 Cランク商品 CラBランク商品 ンク商品 ●「改善前」は、出荷頻度を考慮に入れないロケー ションである。
ピッカーは作業中、倉庫内すべての エリアを歩く事になる。
●出荷頻度のABC分析を行い、Cランク(1日1回以 下の出荷頻度:約30%)製品を倉庫の一方に配置 する事により、通路をショートカットするピッキン グが可能となる。
改善前 APRIL 2004 80 出していないという会社は少なくない。
トータ ルコストを算出せずに物流改善を行うと、必然 的に協力物流会社に支払っている「支払物流費」 に白羽の矢が立てられることになる。
これでは まともな物流改善は期待できない。
トータル物流コストの算出は物流改善へのキ ップである。
そこでY社でも今回のプロジェク トをきっかけに、トータル物流コストを把握し、 そこから改善目標を設定することになった。
ま た検品ミス率、ピッキングミス率、納期厳守率、 在庫差異率、センター在庫欠品率といった物流 管理レベルを算出し、定期的にチェックする体 制を整えた。
「8 . 評価基準の見直し」とは、物流部門におけ る人事評価制度の確立である。
?物流部門正社 員の評価方法の見直し、および?パート/アル バイトの人事評価の賃金体系への反映を行った。
Y社に限らず、センターの運営コストの高い 会社を調べると、そのほとんどで労働配分いわ ゆる人件費対作業量に問題が見られる。
社員比 率が高く、パート/アルバイトの導入が十分で はない。
もしくはパートの戦力化が図れていな いのである。
パートの有効活用には、正社員とパートとの 業務の線引きが重要なポイントになる。
パート 比率で八〇.九〇%が目安である。
残り一〇. 二〇%が正社員の仕事になるが、その主たる業 務は判断、指示、管理、非常時の対応、改善の 立案である。
それ以外の業務はパートで運営で きる。
これは他のサービス業、外食産業と同様 である。
現場の生産性を上げるには、各パートの仕事 ぶりを適切に評価して、信賞必罰を行う必要が ある。
模範となるパート社員は当然厚遇する。
そ れによってパートによるパートの管理が可能と なってくる。
つまり正社員とパートの業務の線 引きを改善することが可能になるのである。
「9 . 取引先との取り組みの強化」の内容は、? EDIの推進、?入庫ノー検品の取り組み、? 物流指標による取引先の評価である。
取引先との協働が課題 EDIの導入は、自社内だけでなく取引先の 協力が必要になるため長期戦になる場合が多い。
仕入先の意識、規模の大小、仕入先から見たY 社の取引ウエイトの問題など、課題は多い。
し かし、推進のメリットは大きい。
EDIによっ て情報とモノの動きを一致させる?情物一致. を実現することは、流通業の生き残り、活性化、 発展に欠かせないと私は考えている。
Y社でも従来からEDIの普及に取り組んで きたが、「入荷予定データと納品内容が違う」、 「入荷検品実績と請求明細が合わない」といった ミスの発生が少なくなかった。
仕入先の入荷予 問い合わせNO. 作成日:平成 年 月 日 報告書: 物流クレーム報告書 ?クレーム内容{報告者記入} ※?については、事故発生当日、即時提出して下さい。
発生日 社名 品名 納入先 事故種別 請求 処置 写真撮影 破損品処理 費用負担 経理処理 所見・ 今後の 対策 年 月 日 { } 時 分頃 天候{ } 誤出荷・誤配送・納入遅れ・未納・汚損・受注ミス・その他{  } ●● 出荷場所 ●● ●●● 個数 ? 処置と今後の対策 要・不要 損害金額 円 月 日 月 日 月 日 担当確認 ※?については、処理終了後速やかに再度提出して下さい。
また、写真がある 場合には、添付して下さい。
回 覧 営業 商品部 センター長 担当 図2 クレーム処理のルールも改めた 81 APRIL 2004 定データに信頼性がない、あるいは入荷検品の ミスが原因である。
解決策として、これまで入荷可能日を予定日 プラス前後数日としていたものを、入荷指定日 納品商品以外は納品検品をしないというルール に変更した。
仕入先に対して入荷予定の重要度 を示したのである。
これによって、センター側で は入荷処理の業務量を事前に把握することがで きるようになり、検品精度も高まった。
しかし、 予定日を守れない仕入先はまだいくつか存在し ており、今後さらに強い働きかけが必要である。
このことも含めて仕入先と協働(コラボレー ション)は同社の今後の最大のテーマだ。
一般 に小売業は買う側の強みで仕入先に対しての要 請も受け入れられ易いのが相場だが、Y社には その論理があてはまらない。
品揃えと安さを強 みとしているがゆえに、極論すれば多くの仕入 先に対し、頭を下げて商品をかき集めていると いった力関係になってしまっている。
このままでは、大きな改善効果は期待できな い。
そこで思い切って商流(仕入)と物流をは っきりと分けて考えてもらうように発想の転換 を促した。
といっても仕入先に物流改革を強制 することはできない。
まずは「協力レベルでの打 診」から始めた。
平たく言えば、現場レベルの 折衝に委ねたのである。
Y社の若手精鋭メンバ ーならかならず実行してくれると信じている。
こ れをクリアできなければ、物流改革のみならず 強い会社になることができない。
こうして三カ月間のプロジェクトを終え、最 終報告書に従ったY社自身の改革が始まった。
ち なみに二つのコンサルティング会社を使うとい う異例の方法は、結論から言えば正解だった。
こ のプロジェクトで当社と同時に入ったコンサル はセンターに張り付き、現場改善中心に課題の 抽出を行った。
一方、当社はセンターと店舗の 情報交換(受発注)に着目し、商流改善を現場 の視点を交えてデータ分析で進めた。
Y社はス タイルの違う二つのコンサルティング会社から 多くを吸収した。
そして改革のスピードも速ま った。
あおき・しょういち  1964年生まれ。
京都 産業大学経済学部卒業。
大手運送業者のセールス ドライバーを経て、89年 に船井総合研究所入社。
物流開発チーム・トラッ クチームチーフを務める。
96年、独立。
日本ロジフ ァクトリーを設立し代表 に就任。
現在に至る。

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