ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2013年9号
特集
緊急調査 中国事業 波乱を乗り越え再起動

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

SEPTEMBER 2013  26 ■山九 昨年の反日運動の影響からは、現状、回 復している。
今後、中国国内では、消費財(コ ールドチェーン含む)への取り組みを強化し、内 陸への拠点展開およびネットワークのさらなる強 化を図る ■匿名(港湾運送) 昨年の反日運動以降は、中国 一極ではなく、特に東南アジアに拠点(リスク) を分散する傾向は顕著に見られる。
また、今後 は中国〜日本だけでなく、中国〜第三国(東南 アジアなど)のОUT─ОUTの物流についての サービスをプラットフォーム化していくことが課 題 ■三井物産 中国における低温物流基盤の構築、 拡充を目指す ■匿名(一般運送) 現地人件費の高騰(特に沿岸 部)や尖閣諸島問題などの政治不安により、中 国・日本間の物流機能にも良くない影響が出て いる。
顧客の東南アジアへの移転・進出が進ん でいることからも、これまでのような大きな期 待は持てない。
内陸部への可能性には目を向け つつ、今後は中国にとらわれない、アジア全体 での事業拡大に注力していく ■遠州トラック 経済成長に伴う人件費の高騰や 対日感情悪化の状況を踏まえると、事業環境は 厳しさを増してきている ■匿名(総合物流) 引き続き中国市場を重視して いる。
現状は沿海部への進出に限られているも のの、今後は中部・西部への進出を検討してい く。
今までは日本の消費者を対象とした荷物を 扱う3PLが中心だったが、今後は消費市場と しての中国に注目しており、中国の消費者を最 終的な行き先とする3PL事業に注力していく ■匿名(自動車物流) 中国人の自動車保有台数 の増加に伴い作業量が増加してきたが、昨今の 日中問題から大変厳しい環境にある。
作業者の 確保と人材育成、人件費の上昇への対応も大き な課題 ■商船三井ロジスティクス 中国の税制度の変更 により、大きな投資がしにくい環境にある。
中 国マーケットのリスクから製造拠点を近隣諸国に 移転させる動きと、依然として中国での生産を 継続する動きの二通りが存在し、中国での生産 を継続する企業のニーズは今まで以上に多種多 様なものとなっている。
より柔軟な対応ができ る組織作りが求められている ■匿名(物流子会社) 中国沿岸部(香港や上海 など)の人件費・不動産価格などの高騰を受け、 内陸部への拠点進出が進んでいる。
当社も重慶 や成都を中心に内陸部への事業展開を進めてい る。
外交・国政事情により、通関検査の厳重化 など大きな影響を受けることも多く、事業継続 性の確保が課題となっている。
一方、中国の生産 コスト増加傾向や経済成長による消費の増加傾 向など、中国の位置付けが「生産地」から「消 費地」へシフトしており、物流サービス面での対 応が重要度を増している。
また、近年は中国都 市部での大気汚染が深刻化しており、現地社員 の健康管理も課題である。
中国市場の経済成長 は鈍化傾向にあると言われているが、高い成長 率であることには変わりなく、引き続き重要な 中国事業 波乱を乗り越え再起動  3PL各社に中国事業の売上実績と見通しを聞いた。
その結果、 チャイナリスクが顕在化した昨年度実績では「縮小」「やや縮小」 「横ばい」と回答した企業の合計が過半を上回った。
ところが、 今期および中長期の見通しではそれが一転。
約7割の企業が「拡 大」もしくは「やや拡大」するとの見通しを立てている。
中国 事業に寄せる意欲は依然として大きいようだ。
以下、調査結果 と回答企業から寄せられた声を紹介する。
中国における事業環境の現状、課題、 今後の見通しや展開など Q. 27  SEPTEMBER 2013 特集3PL白書 2013 は、中国内でのEコマース物流やコールドチェー ン等による高付加価値な輸送サービスを提供し、 内販強化を図る ■日本アクセス 出荷制度の改善、物流品質の向 上が課題。
中国大手小売業との業務提携を模索 する ■匿名(物流子会社) 荷主企業の中国一極集中 からASEAN地域への分散に伴うロジスティク ス設計・構築の早期実現が重要となる ■郵船ロジスティクス 人件費高騰、税制度変更、 燃料費アップなどのコスト増などが見られる。
消 費地としての物流需要は旺盛 ■匿名(倉庫業) 物流全体としては拡大基調。
今 後もこの傾向は続くとみられ、内販型倉庫の拡 大、セールスメニューの増加を行っていく ■匿名(国際物流大手) 華北〜華南および内陸 地まで要所には満遍なく拠点を網羅しているが、 営業活動が特定顧客に偏っている面もある。
今 後は日中関係や中国の経済状況を見極めながら 新たな視点での営業展開が必要 ■OOCLロジスティクス(ジャパン) 二〇一二 年には中国(事業)を八つの地域に再編成し、 国際・国内物流ともにお客様のニーズに直接対 応できるよう組織の抜本的な改革を実施。
また 第二都市・第三都市への進出を加速する方針を 明確にした。
一三年には既存の四三オフィスに 加え、一九の新オフィスを設立予定 ■匿名(港湾運送) 通関面では税関長の許可が必 要になる事項が多く、審査期間が長いことがあ る。
通関申告の際に英文のインボイスや商品説明 書を中国語に翻訳する必要がある ■匿名(倉庫業) 尖閣問題以降、横ばい傾向。
一 位置付けであることは変わらない。
一方、「チャ イナリスク」を意識した「チャイナ+1」に向け た動きも活発化すると考えており、並行して事 業展開に取り組みたい ■東海運 顧客の中国展開が加速するなど、事業 環境はプラスの方向に向かっている。
本年度は 中国内陸部からの複合一貫輸送、当社の拠点が あるモンゴル、ロシア、中央アジア、タイ向けド ア・ツー・ドアサービスを展開してゆく ■丸協運輸 二〇一三年はかなり苦戦。
倉庫は伸 びているが、それ以上に運送が落ち込んでいる ■伊藤忠ロジスティクス 中国従業員の人件費が 高騰しており、かつ中国経済成長の一服感から チャイナプラスワンが加速している。
展望として 大消費地として内需拡大の余地はあるが、現有 拠点の拡充、新拠点の開設に当たっては、今後 の中国経済の見通し、当社の主要顧客である日 系企業の中国事業の動向も注視しながら進展さ せていく。
日系物流会社が持ち込んだWMSで は中国語対応などに限界がある。
現地で開発し たシステムの方が融通が利かせやすい ■匿名(特積み) 従業員の雇用を推進しにくい。
マーケティングの諸問題で事業運営が不安定 ■丸全昭和運輸 チャイナリスク(対日抗議行動、 政治判断による規制、賃金水準の上昇、歴史観 等々)により厳しい運営環境下ではあるが、ト ラック車両等の設備を充実させ、積極的に事業 展開を図りたい ■匿名(自動車物流) 中国における貨物取扱量は 増加の傾向にあり、今後も成長を見込んでいる ■匿名(低温物流) 消費者や荷主企業の品質意 識は高まっており、現地の低温物流市場は今後 も着実に拡大していく。
低温物流の需要は、上 海・北京といった主要都市から、内陸の都市に 拡大していると感じている ■匿名(総合物流) 中国国内での人件費の上昇 や社会保険料の徴収が一部で始まり、事業環境 が変わってきている。
また日中対立で中国リス クが浮き彫りになっていることから、現地人材 の登用を加速、地元政府との関係を密にした ■匿名(食品物流) 自社単独での展開は難しく、 現地の日系物流企業と連携して3PL事業獲得 を目指す ■匿名(通販物流) 中国国内の通販物流はきめ 細やかな配送や商品特性に応じた物流に難点が あり、この分野で進出する余地は充分ある 中国事業の売上実績と見通し(N=35) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (%) 拡大 やや拡大 横ばい やや縮小 縮小 22.9 20.0 40.0 31.4 28.6 0.0 0.0 48.6 22.9 5.7 2.9 昨年度 22.9 42.9 8.6 2.9 実績 今年度 見込み 中長期 見通し

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