ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2013年9号
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「3PL+輸送管理が相乗効果を発揮する」 トランコム 清水正久 社長

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

SEPTEMBER 2013  6 になる。
昨年は三秒を切りました。
処 理スピードが倍になれば単位当たりの 人件費は半分になる。
その結果、三% しか利益を出せなかった事業所が、一 〇%を超える利益を出すようになる」 ──リーマンショック以降、既存荷主 の物量減少が3PL事業の足枷になっ ています。
 「それは当社も同じです。
しかし、 荷物は急には減らない。
全く予想でき ないということはまずありません。
事 前に何らかのシグナルは出ている。
兆 候をつかんだらスピーディに手を打つ。
空きスペースを埋める相性のいい荷物 を探したり、拠点の移転を検討したり、 打ち手はあります。
そうやって影響を 最小限に抑える。
何があっても赤字に しないことを大事にしています」 ──一方、求貨求車事業は以前から成 熟化を指摘する声がある。
しかし、実 際には成長ペースは落ちていません。
 「それでも伸びしろは限られてきまし た。
この一〇年の当社の成長は二〇〇 〇年代の初頭に作った仕組みの延長線 上にありました。
しかし、このままで 現在の事業規模を三倍や五倍にできる かと言えば、イメージがわかない。
統 計がないので求貨求車市場における当 社のシェアを正確に把握することはで きませんが、今の何倍もマーケットが あるとは思えない」 利益率七%は最低ライン ──二〇一三年三月期の過去最高決 算に続き、今期も大幅な増収増益を見 込んでいます。
逆風下で業績が伸びて いる理由をどう自己分析しますか。
 「環境がどうとか、戦略がどうとか、 数字を挙げて説明を付けることもでき るのですが、本音を言えばそうしたこ とは上っ面であって、実際はそんなこ とではないと感じています。
少なくと も景気は関係ない。
世間を見ても、厳 しい環境下で伸びている会社もあれば、 無風の業界でも駄目な会社は駄目。
業 績を決めるのは外部環境ではなくて、 内なる問題だと思う。
仕組みや戦略も もちろん重要だけれど、それ以上に内 部の体制というか、組織体としてのバ ランスというか、うまく説明できない けれど、社員たちが外を向いてしっか りと動けているかということが結果に 表れてくる。
今はそれが割と良い形に 保てているのかなと思います」 ─求貨求車の物流情報サービス事業と ともに3PL事業も順調に伸びている。
 「やっと当たり前のことが理解できる 水準になってきたというところですが、 確実にステージは上がりました。
とり わけ従業員のマインドや考える力には 自信を持てるようになってきた。
当社 が本格的に3PLに乗り出したのは一 〇年くらい前で市場では後発でした。
それまではトラック輸送中心の会社で、 私自身も含めて力技に頼るような文化 だった。
それを『2S(整理・整頓)』 や『5S』といったところから始めて、 データの取り方やKPIの使い方など 試行錯誤を重ねてきました。
拠点別の 収支管理も従来の週次から日次にして、 ようやく3PL事業の土台ができてき た」 ──
械丕婿業の営業利益率は一三 年三月期時点で七・六%に達していま す。
本誌の調査では業界平均は三〜四 %ですから相当にハイレベルです。
 「七%は高くない。
むしろ最低ライ ンだと考えています。
あれだけの手間 と労力を掛けて三〜四%しか利益が残 らないのでは割に合わない。
3PL事 業で利益が出ない理由のほとんどは業 務費が高過ぎるからです。
業務費の大 部分は人件費ですから人の使い方が下 手だということになる。
生産性が低い ために作業当たりの単価が割高になる」  「人の使い方のうまい現場とそうで ない現場の違いは決定的です。
ピッキ ング作業一つ取っても、当社で改善に 取り組んだ当初は一ピック当たり五秒 以上掛かっていた。
それが改善を重ね ることで五秒を切り、四秒を切るよう トランコム 清水正久 社長 「3PL+輸送管理が相乗効果を発揮する」  小型トラック中心の地場配送会社が家電共配事業をモノにして一九九 〇年代に上場を果たし、二〇〇〇年代には求貨求車事業によって事業 規模を飛躍的に拡大させた。
しかし、今やそれも開拓の余地が限られて きた。
センター運営と輸送管理を丸ごと請け負う「ワンストップ3PL」 の実現に向け、三たび事業モデルの転換を図る。
 (聞き手・大矢昌浩) 7  SEPTEMBER 2013 ──一〇年前に作った仕組みとは、I Tを活用した求貨求車システムですね。
当時はITブームで、 帰り荷を融通す る“水屋”の仕事を自動化したシステ ムがいくつも乱立しました。
 「当社も求車情報と求貨情報のマッ チングにITを活用しようと考えまし た。
そして、ある研究所と一緒に半年 掛けてシステム開発に取り組んだ結果、 ?無理だ?という結論に達したんです。
マッチングにはどうしても人手が必要だ と分かった。
そこで方針を改めて、マ ッチング担当者の業務をITでサポー トするかたちに切り替えました」  「その結果、マッチングの生産性が飛 躍的に向上しました。
属人的だったノ ウハウを組織化することもできた。
そ れまでは個人に仕事がひも付いていた ので、主力のスタッフが休むと売り上 げがガクンと減った。
それを一定の知 識があれば誰でもできる仕組みにでき ました。
その後もシステムのバージョン アップは重ねてきましたが、基本的な 枠組みは一〇年前と変わっていません」 ──その成長に限界が見えてきた?  「まだしばらくは増やせます。
しかし 我々の求貨求車事業の対象となる取引 先は、トラック運送会社を中心に恐ら く国内に一万数千社程度で、当社は既 に一万社程度の口座を持っている。
こ れから爆発的に口座を増やすことは物 に輸送業務を委託されるのとは違うレ ベルで荷主の情報が入ってきます。
荷 主がどのような段取りで何をしたいの か。
相当の精度と深さで事前に知るこ とができる。
それを元に我々は荷主に 対して『そうしたいなら、現在は輸送 がこういう状態なので、こうするとも っと上手く回りますよ』と提案できる。
輸送に合わせた出荷、出荷に合わせた 輸送が可能になってくる」 ──荷主から見れば輸送管理を一社に 任せると競争原理が働かなくなる恐れ があります。
 「その心配は分かります。
しかし、セ ンター運営と配車がバラバラでは、同じ ことをやれと言われてもまずできない。
結果として我々だけでなく、荷主が損 をしてしまう。
それを乗り越えるのが 3PLだと理解しています。
それを当 社では『ワンストップ3PL』と呼んで 事業ビジョンに掲げています」 理的に難しい」  「振り返ると当社はこれまでも、ほ ぼ一〇年おきに転機を迎えてきました。
名古屋の地場運送会社として出発し、 九〇年代には家電共配を軌道に乗せる ことで上場を果たしました。
ところが その後、家電業界の流通構造が大きく 変化して、共配ニーズが急速に縮小し てしまった。
そこで二〇〇〇年代に入 り、共配から求貨求車事業に大きくシ フトした。
そして今また改めて転機を 迎えていると感じています」 中ロット混載サービスを開始 ──今回はどう変化するのでしょう。
 「求貨求車サービスに流れてくるの は固定契約の幹線車両から溢れた荷物 です。
そのマッチングをベースにして、 メーカーの幹線輸送を波動対応まで含 めて全て当社が責任を持って管理する 体制に広げていきます。
大手日雑メー カーで既にその実績があります。
それ をモデルに他の荷主にも展開していく。
そのため今年三月に特定荷主に専門的 に対応する『CSセンター関西』を開 設して現在トライアルを行っています」 ──実運送も強化するのですか。
 「既に当社は五〇〇台以上の車両と 固定契約を結んで実運送業者と同等の 幹線輸送サービスを行っています。
今 年末までにこれを八〇〇台に増やしま す。
その一方、今年二月に『中ロット 関西センター』、四月に『中ロット関東 センター』を開設して、中ロット貨物 の混載サービスも開始しました」 ──路線業にも進出するのですか。
 「路線便のようにターミナルで荷物 を方面別に仕分けるような仕組みでは ありません。
当社の情報力を活かし て、幹線輸送車で二、三カ所を集荷に 回り、同じ方面の荷物で満載にしてそ のまま運びます。
路線便の定型サービ スとは違って出荷時間や積み卸し方法 など個別のニーズに臨機応変に対応で きる。
従来は路線に出すか、積載率が 悪くても車建てにするかしかなかった 荷物を当社がリーズナブルな条件で請 け負うことで、荷主との関係性を深め ていく。
そこから最終的に荷主の輸送 管理全般を当社が仕切るかたちに持っ ていきたい」 ──そうした輸送管理と3PL事業に 相乗効果はありますか。
 「幹線輸送の包括管理のモデルにな っている日雑メーカーの案件は、庫内 作業、センター運営から始まった仕事 でした。
そこから輸送管理へと業務委 託の範囲を広げていったんです。
その 結果、荷主の情報を我々が共有するこ とで一歩踏み込んだ提案のできること が分かりました」  「センター運営を任されていると、単 清水 正久(しみず・まさひさ) 1950年生まれ。
73年大阪大 学経済学部卒。
同年三井生命保 険入社。
76年愛知小型運輸(ト ランコムの前身、現ラネット) 入社。
89年同社取締役。
94年 常務。
2000年専務。
05年社 長就任。
現在に至る。

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