ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2013年9号
物流行政を斬る
第30回 省庁間の連携を欠き始めたグリーン物流への助成事業総合的見地から枠組みの整備を

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

SEPTEMBER 2013  100 国交省と経産省が協力  
達錬嫁喀侘未量麋%を占めるのが物流関連だと 言われている。
このため、国や企業は環境に優しい 物流の実現に向けさまざまな取り組みを行っている が、今回は「グリーン物流パートナーシップ会議」に ついて取り上げることにしよう。
 グリーン物流パートナーシップ会議は二〇〇五年 四月に設立された。
荷主企業や物流事業者等が単独 で環境改善に取り組んでいた状況を改め、各事業者 間の連携を促し、産業横断的な活動を育てていこう という狙いである。
 荷主の立場を代表する経済産業省と、物流事業 者の立場を代表する国土交通省が主催者として手を 結んだ。
利害が相反することの多い両省のタッグは、 非常に画期的なものと言える。
 両省のほか、日本ロジスティクスシステム協会、 日本物流団体連合会が同じ主催者として名を連ねて いる。
オブザーバーとして日本経済団体連合会も参 画している。
さらに、経済学者で一橋大学の学長も 務めた杉山武彦氏(現・成城大学教授)が世話人に 就くなど、錚々たるメンバーが揃っている。
省庁間の連携を欠き始めた グリーン物流への助成事業 総合的見地から枠組みの整備を  国交省と経産省がタッグを組んで発足した「グリー ン物流パートナーシップ会議」だが、二年前から助成 金の給付が中止され、優良事例を表彰するだけの組 織になってしまった。
その一方、国交省単独による 補助金事業がスタートするなど、環境物流に対する国 としてのスタンスが不透明になっている。
物流施策大 綱の下、もう一度省庁間の連携を深めるべきだ。
第30回  グリーン物流パートナーシップ会議の会員数は、 企業および団体が三一七八者、個人が一一六人で ある(一三年四月二二日時点)。
現在、同会議には 「政策企画委員会」と「事業推進委員会」が設置さ れている。
前者は同会議全体のマネジメントをする ものであり、後者は表彰案件の選定等を行うもので ある(図1)。
 グリーン物流パートナーシップ会議の主な活動内 容は、全体会議の開催・運営のほか、各ワーキング グループ(WG)による個別の取り組みがある。
現 在では前述の通り、「政策企画委員会」と「事業推 進委員会」が設置されているが、〇五年の設立当初 は、?事業調整・評価WG、?CO2排出量算定 WG、?広報企画WG──の三つのWGがあった。
 ?は物流効率化プロジェクトの評価を行うもの、 ?はCO2算定方法を策定するもの、?は優良事例 を選定し、そのPRや普及拡大に向けた広報を行う ものである。
このうち?に関しては、そこでの議論 の成果である「CO2排出量算定方法共同ガイドラ インVer.3.0」をグリーン物流パートナーシップ会議 のホームページ(http://www.greenpartnership.jp/ index.html)上で公開している。
 国土交通大臣および経済産業大臣による表彰制 度も設立された。
さらには補助金の支援も開始され、 その対象として、 (1) 荷主と物流事業者が連携した先 進性のある取り組みを支援する「モデル事業」、 (2) モ デル事業等の先例を基に、取り組みの裾野拡大を目 指し支援する「普及活動」、 (3) 物流のボトルネック抽 出や解決方法の検討等を行うプロジェクトの創生を 支援する「ソフト支援事業」──が設定された。
補 助金制度の当時の支援内容は図2の通りである。
 これら支援事業は、上述した各WGと連携している。
例えばグリーン物流パートナーシップ会議で、「波及 効果が高く且つ持続可能な、物流分野におけるCO2 排出削減効果(省エネ効果)のある新規型プロジェ クト」として推進することが決定すると、経産省の 補助金「グリーン物流パートナーシップモデル事業費 補助金」を受給できる、という仕組みであった。
 現在、「一三年度グリーン物流パートナーシップ優 良事業」を募集している(期間:一三年七月二九日 〜九月六日)。
受賞者は十二月に開催される第十二 回グリーン物流パートナーシップ会議において、その 取り組み内容を報告する予定になっている。
 昨年十二月十一日に開催された第十一回会議で 物流行政を斬る 産業能率大学 経営学部 准教授 寺嶋正尚 101  SEPTEMBER 2013  は、「経済産業省商務流通保安審議官表彰」をパナ ホーム、筑波物流、西塚物流、マルミヤ、三岐運 送など九社が、「国土交通省政策統括官表彰」を三 井倉庫ロジスティクス、シャープ、富士通パーソナ ルズの三社が受賞している。
また優良事業紹介とし て、パナホームと三井倉庫ロジスティクスの二社が 事例報告を行った。
補助金の給付を中止  同会議は〇五年から既に九年目を迎えるものであ り、その継続性は評価に値する。
しかし、当時と現 在ではい幾分内容が異なっている。
 何より大きな相違点は、一一年以降は支援制度が なくなり、優良事業の表彰だけにとどまっているとい う点だろう。
そのせいもあってか、筆者が担当各所 に確認をしたところ、応募件数は支援制度廃止前よ りも、かなり少なくなりつつあるとのことであった。
 また蛇足ながら、現在募集中の優良事業の詳細を 聞くため、グリーン物流パートナーシップのホームペ ージに記載されている問い合わせ先(国交省総合政 策局物流政策課)に電話をかけてみたところ、だい ぶ待たされた後、担当が国際物流課に変更になった と知らされた。
大事な担当部署の変更が、リアルタ イムでホームページに更新されていなかったのである。
些細なことではあるが、同会議にかける熱が一時期 よりもトーンダウンしているようにも感じる。
 グリーン物流パートナーシップ会議への補助金が打 ち切られる一方で、国交省単独による環境改善活動 支援がスタートした。
今年七月、同省から『「平成二 五年度モーダルシフト等推進事業」(補助事業)の募 集について』なるプレスリリースが発表された。
荷 主企業および物流事業者など、物流に関わる関係者 によって構成される協議会を対象に、運行経費を最 大で半分補助するというものである(応募期間:七 月一日〜八月五日)。
その予算額は、全体で六四〇 〇万円である。
 国が民間企業を後押しし、環境に優しい物流を促 進することは大変意義深いものであり、そこに異論 を差し挟むつもりはない。
民間企業の努力に任せる だけでは、おそらくモーダルシフト等は一向に進ま ないだろう。
社会性の観点から、国費投入による支 援はあって然るべきだと言えよう。
 ただし、我が国全体の戦略や方向性が定まってい ないことが気に掛かる。
グリーン物流パートナーシッ プ会議という立派な枠組みを設けておきながら、そ れに対する補助金の支援は中止する。
その一方、国 交省が単独で新たにモーダルシフト推進事業を募集 するというのは、国としてどのような方針に基づく ものなのだろうか。
国交省と経産省が省庁間の枠組 みを越えて手を携えたグリーン物流パートナーシップ に比べ、国交省のみによる支援は、補助金の規模も 含めて、一歩後退した感が否めない。
 省庁間を越えた総合的な物流施策大綱の下、その 効果が検証される形で、グリーン物流の推進が実施 されるべきではないだろうか。
てらしま・まさなお 富士総合研究所、流通経済研究所を 経て現職。
流通経済研究所客員研究員、 日本ロジスティクスシステム協会調査 研究委員会委員、日本ボランタリー チェーン協会講師等を務める。
著書に 『事例で学ぶ物流戦略』(白桃書房)など。
図1 グリーン物流パートナーシップ会議の組織 グリーン物流パートナーシップ会議 (世話人:成城大学 杉山教授)2005 年4月設立 主催:JILS・日本物流団体連合会・経済産業省・国土交通省 協力:日本経済団体連合会 会員:物流事業者・荷主企業・各業界団体・シンクタンク・    研究機関・地方支部局・地方自治体・個人 等 政策企画委員会 ●グリーン物流パートナーシッ  プ会議全体のマネジメント ●企業啓発や広報戦略等に  関する政策的な観点から  の規格・立案 ●表彰案件の選定 ●推進決定事業のフォロー  アップを通じた政策提言 事業推進委員会 出所:同会議ホームページより 図2 グリーン物流パートナーシップ会議設立当時の支援内容 (1)モデル事業に対して‥‥ ●経済産業省予算による支援 ●事業費の半額が、1 事業当たり1 億円を上限に補助金として交付 される ●2005 年度予算は5 億5,000 万円、06 年度以降は9 億8,000 万円 (2)普及事業に対して‥‥ ●NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構) のエネルギー使用。
合理化事業者支援事業の補助制度を、06 年 度から物流部門にも活用したもの ●事業規模は約30 億円 ●事業費の3 分の1を補助金(1 事業当たりの上限は原則5 億円)と して交付 (3)ソフト支援事業に対して‥‥ ●省エネルギーセンターの省エネルギー対策導入促進事業に対する 補助対象に物流部門を追加 ●物流関係の予算として約3,100 万円を準備 ●1 事業当たりの上限額は1,000 万円(全額補助される)

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