2023年3月号
特集

佐川急便 Kyoto Robotics 荷物情報を取得しながら自動荷降ろし

複数の積み付け形態に対応  物流分野の自動化は輸送や庫内ピッキングなどの工程で研究が進んでいる。
しかし、トラックからの荷降ろしや荷物情報の取得、検品といった作業は有効な自動化ソリューションが少ないため、ほとんどが人手によって行われている。
荷役現場での自動化推進に向け、佐川急便やKyoto Roboticsなどで構成する「荷物データを自動収集できる自動荷降ろし技術の開発」ユニットは、複数の積付け形態に対応した自動荷降ろしと荷物情報の収集を同時に行える技術を研究した。
 自動荷降ろし部分における最大の特徴はマスターレスだ。
パレットやカゴ車などに積まれた荷物の塊の中から降ろす荷物を、高精度な画像認識技術を用いてリアルタイム認識することで、荷物のサイズや重量といった荷物データを事前に登録することなく運用できる。
画像認識と重量測定などを組み合わせることで、サプライチェーンの結節点となる物流センターで荷物情報を自動収集していく。
荷降ろしした個別の荷物情報を物流・商流データ基盤に格納し、それを既存のWMSに保管されている入荷予定と突合することで入荷検品の自動化につなげることができる。
 システム開発に当たっては実際の荷降ろし現場を調査し、対象とする荷物の形状や重さと自動収集するデータの種類を定めた。
物流現場での運用を想定し、自動荷降ろし可能な荷物サイズは長さ200~750ミリ、幅200~750ミリ、高さ80~600ミリ、荷物重量は最大30キロと設定。
荷物を掴むハンドは対象となる荷物サイズの幅が広いため、大きさを2種類に分けて吸着する分割ユニットを開発した。
重量30キロまで対応する必要があることから、荷物を下から支える方式としている。
 開発したシステムはパレットやカゴ車、コンテナ直積みされた対象荷物を複数台のカメラが捉えた画像をシステムが分析した上で、ハンドが荷物を保持して自動で降ろす。
荷降ろし時にはバーコードやQRコード、荷物の三辺サイズ、重量などといった荷物情報も自動収集する。
実験ではパレットやカゴ車、コンテナ直積みされた対象荷物1個を2・8秒で認識し、認識精度は99・9%。
寸法計測もプラスマイナス10ミリ以内の精度を達成した。
バーコード・QRコード、三辺サイズ、重量、荷降ろし日時、荷降ろし場所、荷物画像といった各種データも全て収集できた。
 実用化に向けた実証実験では開発した技術を市販のマニュピレータに装着し、オークラ輸送機の協力を得て自動荷降ろし機を製作した。
これを佐川急便の札幌営業所に配置し、パレット・カゴ車やコンテナに直積みされた混載荷物を荷降ろしする実験を行った。
その結果、99・9%の精度で荷物を認識し、パレット・カゴ車からの荷降ろしでは1時間当たり600個、コンテナ直積みの場合は1時間当たり150個を荷降ろしすることができた。
 実証実験結果の公表や展示会での実演などで需要を確認できたことから、佐川急便を責任機関とする社会実装体制を確立した。
支援研究機関であるKyoto Roboticsや早稲田大学、フューチャーアーキテクトに加えて、装置開発に携わったオークラ輸送機も参加している。
自動荷降ろし機の展開は装置販売に加えて、リース会社を通じたオペレーションリースの仕組みも導入することで23年4月からの本格的な社会実装を計画している。
機能面の追加も継続して行っており、今後は海上コンテナなどのバンニングやデバンニングにも対応させていく。

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