ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2004年5号
SOLE
SOLE報告

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

MAY 2004 84 が見込めない状況下で、企業に対する評価が規模から質へ変化し、 経営の効率化、ロジスティクスの重要性への認識が高まっていると いう認識の下、ロジスティクスの経営に与えるインパクトを定量的 に検証し、ロジスティクス部門の役割を考察するという目的で実施 された。
研究は東京工業大学大学院の圓川研究室とJILSプロジェクトチー ムが共同で160社のデータを比較することによって行われた。
ロジスティクスのレベル評価はこのスコアカードで行い、経営成 果は当該企業の財務データを用い、統計分析を行った。
ロジスティ クスレベルが高い企業は経営効率が良く、業績がよいという仮説の 元に検証を行ったが、結論としては仮説は実証された。
当研究の成果から、ロジスティクス成熟度の診断に基づいて、次 のような活用が期待される。
1、自社の経営方針に合致した経営管理指標の項目と関連した項目を 重点的に改善する。
2、同業種/異業種のベストプラクティスを目標にして、従業員のモ チベーションを高める。
3、ギャップ分析(部門や職位による認識のズレを確認) なお、このスコアカードの使用に際しては、業務全般を理解して いる担当者(担当役員、事業部長など)を中心としたグループで意 見交換しながら診断するのが望ましい。
4.これからのロジスティクス構築に向けて ロジスティクス構築が難しい理由はいろいろ考えられる。
社内の問題としては、ロジスティクスの重要性に対する認識が低 いことが挙げられる。
その結果、部門最適の業績評価の仕組みにな っている。
また、状況変化に伴い、ロジスティクス改革に取り組ん でいる経営者や担当者の関心が、途中で変わってしまうことも問題 である。
目的や目標が安易な方向に流されてしまうのである。
制度上の問題としては在庫が資産として計上されていることで、 方法論的には難しい問題もあるが、在庫の時価評価の必要があるの ではないか。
商習慣上の問題もある。
価格に運賃が含まれているのが一般であ るが、売り手負担から買い手負担に変えていく必要がある。
これらの諸問題を克服し、ロジスティクスの改革を推進するには、 やはり最高ロジスティクス責任者(CLO)の育成が待たれる。
また、 科学的思考を持つ現場担当者の育成も重要である。
たとえば、科学 的改善技法、最適化技法、会計知識を持つ、数字で考える現場担当 者である。
以上(文責在事務局) 4月のフォーラムは4月16日に開催し、イスラエルのソフトウエ ア会社BQR Reliability Engineering Ltd.のIsaac Bot氏による「メン テナンス・コスト・リダクション」と題した講演を聴いた。
その内 容は次回ご紹介する。
5月のフォーラムはSOLE東京支部で現在開催中の「RAMS研究 会」の中間報告を行う予定。
RAMSとは、信頼性(R)、即応性(A)、 保全性(M)、支援性(S)の頭文字をとったもの。
このフォーラムは基本的に年間計画に基づいているが、単月のみ の参加も可能。
1回の費用は6,000円。
参加希望の方やSOLE東京支 部の活動内容に関するお問い合わせはsole_consult@jmac.co.jpまで。
SOLE報告 The International Society of Logistics 次回フォーラムのお知らせ SOLE東京支部では毎月「フォーラム」を開催し、ロジスティクス 技術、ロジスティクスマネジメントに関する活発な意見交換、議論 を行い、会員相互の啓発に努めている。
前回のフォーラムは3月23日に開催し、社団法人日本ロジスティ クスシステム協会(JILS)の浜崎章洋氏による講演「SCMロジステ ィクス・スコアカードを活用したロジスティクス成熟度と経営成果 の実証研究」を行った。
以下、講演の概要を紹介する。
*       *       * はじめに 最初に本研究は平成15年度の日本物流学会に報告したものである。
私は、定性的事象を定量化することの意義と、その方法論に関心 を抱いてきた。
このたび企業の物流・ロジスティクスへの取り組み や活動水準が、経営成果にどのように貢献しているかを定量的かつ 実証的に検証したいとの想いから、「SCMロジスティクス・スコアカ ードを活用したロジスティクス成熟度と経営成果の実証研究」と題 する研究に取り組んだ。
1.SCMロジスティクス・スコアカードとは 改革手法の一つであるベンチマーキング手法を、ロジスティクス の領域で、できるだけ簡易に適用し、他企業との比較や、経営方針 の良し悪しの確認を行うことを目的に開発した。
すなわち、SCM全 体最適の観点から、組織の各階層や部門の仕事の仕方や、IT活用の 仕方などの視点で評価項目をブレークダウンし、活動のレベル評価 をマトリックス形式で行う。
これによって企業による自己評価、診 断を可能にしたものである。
2.SCMロジスティクス・スコアカードの特徴 世の中にはECRスコアカード、QRスコアカードなど業界に特化し たもの、ITベンダーやマテハン機器メーカーの営業ツールとしての スコアカード、あるいはコンサルティングファームの内部資料とし てのスコアカードなど多くが存在している。
ここで紹介するスコアカードは、次の4つの視点からの評価で、簡 易性と共通認識のためのツールという特徴を持っている。
1、戦略・組織(5項目)・・・・・・企業戦略と組織間連携の視点で、戦 略の明確さ、顧客やサプライヤーとの情報共有化、顧客満足度、 人材育成などの観点 2、計画・実行力(5項目)・・・・・・資源(輸送手段)や在庫・拠点、 需要予測精度、SCM計画精度と調整能力、在庫・進捗情報管理、 プロセスの標準化、可視化などの観点 3、パフォーマンス(7項目)・・・・・・ジャストインタイム、在庫回転 率、リードタイム、物流品質、トータル在庫把握、環境対応、サ プライチェーン総コスト把握などの観点 4、情報技術(5項目)・・・・・・情報技術活用の仕方で、EDI、ADC、 PCや支援ソフトなどの活用度、標準化レベル、取引先への意思 決定支援などの観点 スコアカードはメーカー向けの「SCMロジスティクス・スコアカ ード」と物流事業者向けの「3PLスコアカード」の2種類が用意さ れている。
いずれも各々の観点ごとに5つのレベルについての説明 記述文があり、該当するものを選択する仕組みになっている。
3.研究成果(経営成果との関連)の紹介 当研究は、経済環境の変化や消費行動の変化に伴い、消費の拡大 SOLE東京支部フォーラムの報告

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