2023年1月号
特集
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日本ミシュランタイヤ ヤマトと手を組みRFIDで絶対単品管理
人・地球・利益の「三方良し」を重視
日本ミシュランタイヤは2022年9月、ヤマト運輸とリードロジスティクスパートナー契約を締結して、国内の物流と在庫を最適化するプロジェクトを開始すると発表した。
両社は「将来的な総ロジスティクスコストの削減や出荷リードタイムの短縮を実現し、お客さまのさらなる満足度向上を目指す」と説明。
脱炭素化が企業に強く求められるようになっていることも決断の背景にある。
同社はフランスのタイヤ大手ミシュラングループの日本法人。
1975年に産声を上げた。
スパイクタイヤが走行時に道路の表面を削って粉塵を巻き起こすことが問題視されていた82年に、国内で初めてスタッドレスタイヤを販売するなど、半世紀近くにわたり事業規模拡大を図ってきた。
現在は群馬県太田市に中核の倉庫やR&D(研究開発)施設を配置している。
同社の物流責任者を務める則竹康隆カスタマーサービス本部執行役員は、アマゾンジャパンや楽天物流、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングなどを経て20年に日本ミシュランタイヤに入社した。
ヤマトとタッグを組んだ改革について、則竹執行役員は次のように語る。
「われわれは企業哲学として、人(People)、地球(Planet)、利益(Profit)の3Pを重視した『三方良し』を心掛けている。
このいずれが欠けてもサステナブルにはならない。
50年のカーボンニュートラル達成へEV(電気自動車)2万台導入を目指されるなどヤマトさんの取り組みは当社のそうした姿勢と非常に親和性が高かった。
今回の物流改革はこの三方良しを重視した内容になっている。
2024年問題への対応という意味でも当社には改革が必要だった」。
日本ミシュランタイヤとヤマト運輸は、具体的には主に次の4点の施策を打ち出している。
①現在国内で約20拠点ある倉庫を5拠点に集約して、在庫を可視化・最適化する。
東西の中央倉庫から地域倉庫への在庫転送量極小化を実現するとともに、従来と同様の配送リードタイムを維持。
「Scope3」(サプライチェーン全体)の温室効果ガス排出量を削減する ②ヤマトの輸配送管理システム(TMS)を使い、注文ごとの配送状況をトレース。
日本ミシュランタイヤのコールセンターで迅速に案内できるようにする ③ヤマトの「デジタル送り状」を採用して、業務効率化とペーパーレス化を促進する。
複写式伝票を廃止し、汎用的なA4用紙を使い省資源化も実現する ④ヤマトのWMS(倉庫管理システム)で全ての在庫タイヤの製造年度を1本単位で管理する。
期限切れによる処分を極小化し環境問題にも配慮する。
両社は変革のスケジュールについて、2022年9月に準備を開始、23年1月から取り組みを本格化すると説明している。
タイヤの需要は、季節の変わり目に交換する3月と11月に伸びるため、まずは繁忙期を乗り切りながら、成果と課題を洗い出し、改善につなげていくシナリオを想定している。
四つの施策のうち、①の拠点集約に関しては、ヤマトが首都圏や北海道、関西、九州に構えている物流拠点5カ所を新たに日本ミシュランタイヤ向けとして活用。
日本ミシュランタイヤの国内拠点数は4分の1になるが、倉庫の総面積はほとんど変わらない。
しかし、拠点の規模を大きくすることで、より効率的な製品管理や入出荷ができるようになると見込む。
日本ミシュランタイヤは国内には工場を持たず、欧米やアジアで稼働しているミシュラングループの生産拠点からタイヤを輸入し、いったん群馬の中央倉庫に収めた後、各地の倉庫に横持ちしている。
今後は拠点の集約と合わせて、中央倉庫を経ずに、近隣の港経由で他の倉庫に直接輸送できるようにするなどオペレーションを見直し、輸配送距離を短縮する。
②のTMS活用は顧客満足度向上に主眼を置く。
現状ではタイヤ販売店や日本ミシュランタイヤの営業担当者が、同社のコールセンターに配送状況などを問い合わせている。
ヤマトのTMSの情報を使ってタイヤ配送の到着見通しなどを迅速に回答できるようにし、レスポンスに要する時間を短縮する。
③のデジタル送り状もヤマトの既存サービスを利用する。
顧客の利便性を高めるとともに日本ミシュランタイヤ内の伝票作成などに関する作業負荷を大幅に減らすのが狙いだ。
同社は送り状のデジタル化により、紙の利用を年間で約15万枚減らせると試算している。
24年までに全タイヤに RFID 改革の中でも大きなチャレンジとなりそうなのが④の絶対単品管理だ。
ミシュラングループは現在、24年までに世界で販売する個々のタイヤ全てにRFIDタグを取り付け、製造から販売、車両装着、リサイクルに至るまで1本のタイヤ単位で動向を把握できるようにするプロジェクトを展開している。
RFIDタグに製造や販売、修理の日時と場所などの詳細なデータを登録して、個品情報を読み取れるようにすることが、点検の迅速化・省力化や、管理の適正化による長寿命化などにつながるとみている。
RFIDタグに収めた製造年度の情報を物流にも生かし、使用期限が近い製品から先に出荷する「FEFO(First-Expired First-Out、先入れ先出し)」も徹底。
タイヤをより長く使えるようにするのと同時に、出荷の期限切れで廃棄処分になるタイヤを極小化することなどを狙う。
同社は以前から協力物流事業者のWMSを利用して在庫を管理しているが、先入れ先出しを完全には実現できていない。
使用期限が過ぎて廃棄になるものも、頻度は多くないが出ていたという。
ヤマトのWMSと日本ミシュランタイヤのRFIDタグのデータを連携させることで在庫管理をより精緻に行えるようになることを期待している。
環境意識の高まりで社会から廃棄に注がれる目が厳しくなっていることにも対応していく。
則竹執行役員は「RFIDタグはFEFO以外のピッキングや棚卸しなどの部分でも活用が可能。
倉庫内にどのような先進技術を導入するかなど、省人化や生産性向上の具体的な内容はこれから詰めていくが、2024年問題の存在は当社内でも共有しており、確実に対応していきたい」と語る。
庫内オペレーションの改善の先には、海外の生産拠点と日本の間の国際物流を効率化することなどを視野に入れている。
則竹執行役員は「ヤマトさんと当社のシステムを連携させることで、お客さま自身がシステム経由で配送状況を確認していただけるようにすることも考えている」と展望している。
両社は「将来的な総ロジスティクスコストの削減や出荷リードタイムの短縮を実現し、お客さまのさらなる満足度向上を目指す」と説明。
脱炭素化が企業に強く求められるようになっていることも決断の背景にある。
同社はフランスのタイヤ大手ミシュラングループの日本法人。
1975年に産声を上げた。
スパイクタイヤが走行時に道路の表面を削って粉塵を巻き起こすことが問題視されていた82年に、国内で初めてスタッドレスタイヤを販売するなど、半世紀近くにわたり事業規模拡大を図ってきた。
現在は群馬県太田市に中核の倉庫やR&D(研究開発)施設を配置している。
同社の物流責任者を務める則竹康隆カスタマーサービス本部執行役員は、アマゾンジャパンや楽天物流、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングなどを経て20年に日本ミシュランタイヤに入社した。
ヤマトとタッグを組んだ改革について、則竹執行役員は次のように語る。
「われわれは企業哲学として、人(People)、地球(Planet)、利益(Profit)の3Pを重視した『三方良し』を心掛けている。
このいずれが欠けてもサステナブルにはならない。
50年のカーボンニュートラル達成へEV(電気自動車)2万台導入を目指されるなどヤマトさんの取り組みは当社のそうした姿勢と非常に親和性が高かった。
今回の物流改革はこの三方良しを重視した内容になっている。
2024年問題への対応という意味でも当社には改革が必要だった」。
日本ミシュランタイヤとヤマト運輸は、具体的には主に次の4点の施策を打ち出している。
①現在国内で約20拠点ある倉庫を5拠点に集約して、在庫を可視化・最適化する。
東西の中央倉庫から地域倉庫への在庫転送量極小化を実現するとともに、従来と同様の配送リードタイムを維持。
「Scope3」(サプライチェーン全体)の温室効果ガス排出量を削減する ②ヤマトの輸配送管理システム(TMS)を使い、注文ごとの配送状況をトレース。
日本ミシュランタイヤのコールセンターで迅速に案内できるようにする ③ヤマトの「デジタル送り状」を採用して、業務効率化とペーパーレス化を促進する。
複写式伝票を廃止し、汎用的なA4用紙を使い省資源化も実現する ④ヤマトのWMS(倉庫管理システム)で全ての在庫タイヤの製造年度を1本単位で管理する。
期限切れによる処分を極小化し環境問題にも配慮する。
両社は変革のスケジュールについて、2022年9月に準備を開始、23年1月から取り組みを本格化すると説明している。
タイヤの需要は、季節の変わり目に交換する3月と11月に伸びるため、まずは繁忙期を乗り切りながら、成果と課題を洗い出し、改善につなげていくシナリオを想定している。
四つの施策のうち、①の拠点集約に関しては、ヤマトが首都圏や北海道、関西、九州に構えている物流拠点5カ所を新たに日本ミシュランタイヤ向けとして活用。
日本ミシュランタイヤの国内拠点数は4分の1になるが、倉庫の総面積はほとんど変わらない。
しかし、拠点の規模を大きくすることで、より効率的な製品管理や入出荷ができるようになると見込む。
日本ミシュランタイヤは国内には工場を持たず、欧米やアジアで稼働しているミシュラングループの生産拠点からタイヤを輸入し、いったん群馬の中央倉庫に収めた後、各地の倉庫に横持ちしている。
今後は拠点の集約と合わせて、中央倉庫を経ずに、近隣の港経由で他の倉庫に直接輸送できるようにするなどオペレーションを見直し、輸配送距離を短縮する。
②のTMS活用は顧客満足度向上に主眼を置く。
現状ではタイヤ販売店や日本ミシュランタイヤの営業担当者が、同社のコールセンターに配送状況などを問い合わせている。
ヤマトのTMSの情報を使ってタイヤ配送の到着見通しなどを迅速に回答できるようにし、レスポンスに要する時間を短縮する。
③のデジタル送り状もヤマトの既存サービスを利用する。
顧客の利便性を高めるとともに日本ミシュランタイヤ内の伝票作成などに関する作業負荷を大幅に減らすのが狙いだ。
同社は送り状のデジタル化により、紙の利用を年間で約15万枚減らせると試算している。
24年までに全タイヤに RFID 改革の中でも大きなチャレンジとなりそうなのが④の絶対単品管理だ。
ミシュラングループは現在、24年までに世界で販売する個々のタイヤ全てにRFIDタグを取り付け、製造から販売、車両装着、リサイクルに至るまで1本のタイヤ単位で動向を把握できるようにするプロジェクトを展開している。
RFIDタグに製造や販売、修理の日時と場所などの詳細なデータを登録して、個品情報を読み取れるようにすることが、点検の迅速化・省力化や、管理の適正化による長寿命化などにつながるとみている。
RFIDタグに収めた製造年度の情報を物流にも生かし、使用期限が近い製品から先に出荷する「FEFO(First-Expired First-Out、先入れ先出し)」も徹底。
タイヤをより長く使えるようにするのと同時に、出荷の期限切れで廃棄処分になるタイヤを極小化することなどを狙う。
同社は以前から協力物流事業者のWMSを利用して在庫を管理しているが、先入れ先出しを完全には実現できていない。
使用期限が過ぎて廃棄になるものも、頻度は多くないが出ていたという。
ヤマトのWMSと日本ミシュランタイヤのRFIDタグのデータを連携させることで在庫管理をより精緻に行えるようになることを期待している。
環境意識の高まりで社会から廃棄に注がれる目が厳しくなっていることにも対応していく。
則竹執行役員は「RFIDタグはFEFO以外のピッキングや棚卸しなどの部分でも活用が可能。
倉庫内にどのような先進技術を導入するかなど、省人化や生産性向上の具体的な内容はこれから詰めていくが、2024年問題の存在は当社内でも共有しており、確実に対応していきたい」と語る。
庫内オペレーションの改善の先には、海外の生産拠点と日本の間の国際物流を効率化することなどを視野に入れている。
則竹執行役員は「ヤマトさんと当社のシステムを連携させることで、お客さま自身がシステム経由で配送状況を確認していただけるようにすることも考えている」と展望している。
